春の系外銀河シリーズ、その3として「りょうけん座M106銀河」をお届けします。
M106銀河はその中心部から赤く炎のようなジェットが噴き出していると言われています。
その様子を今年も狙いましたが、なかなかの難題ですね。今年もイマイチの結果でした。

りょうけん座は北斗七星のすぐ上に位置する星座で、その中に幾つもの系外銀河を見ることができます。
その中でも有名で人気があるのがこの“M106銀河”です。
M=メシエ番号が振られた銀河ですが、メシエが発見したものではなく近年になってメシエ天体に加えられた銀河です。

比較的大きな銀河ですから撮影する人も多いのですが、撮影は意外に難しいものだと感じています。
今回は2月19日に撮影したものですが、この日は風が強く撮影に苦労しました。
では、その画像をご覧ください。
M106_2021_Credit (3)_10

<Date>    19February2021
<Instruments>
 Telescope  Astro Tech10"RC/F8(D:250mm/FL:2000mm)
 Reducer    Astrophysics 2.7"Telecompressor(x0.75)
 Mount     Takahashi EM400Temma2M
 Camera     Starlightxpress Trius-SX814(-30℃)
<Expose>
 L:   480sec x 12
 Hα:600sec x 6(binning2x2)
 R:  480sec x 4(binning2x2)
 GB:480sec x 5(binning2x2)    Total=268minutes

ご覧のように綺麗な渦巻き銀河ですね。
この銀河の中心部には太陽の約4000万倍の質量をもつ巨大なブラックホールがあると考えられていて、その巨大なブラックホールの強烈な衝撃波で水素ガスが過熱され“炎”のように噴き出していると言われています。

Hα画像で銀河中心部から噴き出すその“炎”を炙り出そうと考えましたが、なかなか難しいですね。
上の画像を中心部を切り取って拡大してみました。
M106_2021 (2)_crop


一部中心部から左上に噴き出す“炎”と、右下に向かって赤いヒゲのように噴き出す“炎”が見て取れると思います。
やはり淡いものですから250mmの口径ではなかなか難しいですね。
Hα画像をもうちょっと撮影しないといけないようです。

参考にHα画像をご披露します。先ほど同様に中心部を切り出しています。
M106_Ha_ps (3)

Hα画像の方が“炎”の状況が分かりやすいです。
中心部から左上に伸びた“炎のガス”と右下に伸びる“炎のヒゲ”が見えますね。
大きな口径の望遠鏡と撮影すると更に鮮明な画像が得られるのではと思います。

今回の作品では、L画像にこのHα画像をブレンドしました。
Hα画像を多くブレンドすると画像自体が荒れてしまいますので20%をL画像にブレンドしたところです。
そのブレンド具合で“炎”の出方が少し淡くなったのかも知れませんが、画像の荒れとのトレードオフなので難しい選択です(笑)


さて、明日は新月で土曜日。
撮影好機ですが、空模様はとても微妙な状況です。
“ダメ元”で行こうかどうしようかと思案中です。皆さんのところはいかがでしょうか。