昨日よりあべのハルカス近鉄本店にて個展を開催される原田武先生にお話を伺いました!

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―原田先生は先日台北で開催されたInfinity Japanにもご出品頂くなど、国内外で精力的に発表を続けて頂いております。

先生が作家を志そうと思ったのはいつ頃ですか?

工芸や職人というものには子供の頃から興味はありました。高校の時にサッカー部に在籍していた時に全治3ヶ月くらいの怪我をしてしまって、部活を辞めた時に美術部の先生に誘われて美術部に入部することにしました。
そうしたら美術部の先生に芸術大学というのがあるのを教えてもらいました。

進学するなら芸術大学を受験しようと決めて、高校2年生から予備校にも通うようになりました。

せっかく芸術大学を受験するなら作家で生きて生きたいと思ってその時くらいから作家を目指し始めました。 


―なぜ金属造形を選んだのでしょうか?

子供の頃に刀鍛冶やテレビでバリバリと溶接している姿を見てかっこいいなと思っていました。
そういうイメージから金属という素材が漠然とかっこよくて美しいイメージがあったからです。

今やってきていて思うのは金属という素材は石や木などと違って鉱物を精製して出来ていてある意味買った金属板の状態が完璧で綺麗なので、それを加工するということは、言い訳が出来にくく感じます。
その分自分の腕が直に出るの楽しくもあり、辛いところでもあります。


―子供の頃からの憧れがあったんですね!大学も金属造形を学ぶために選んだのでしょうか?

受験するときは工芸か彫刻を学びたいと思い、特に金属素材に触れられるところを選んで受験しました。

広島市立大学を選んだのは公立大学というのも勿論あるのですが、それ以外に金属工芸の専攻があり、西日本最大級というくらいに設備が充実していたからです。

 

―なるほど、金属造形は設備が大切ですからね!
普段使用している道具に関しても、教えて頂けないでしょうか。

金槌や当て金等、多くの道具が手作りで、自分オリジナルの道具にしています。

新しい作品を作る時に、しっくりくる道具がない時は、一から新しく道具を作る時もあります。
なので一日中道具を作っている日もあります。

今の作品は全て金属で形を作るだけではなく、色も金属の化学変化で発色させることによって表現しています。
そのためにオリジナルの薬品の調合や色を付ける順番などがあり、色々と実験してたりするのですが、意外にその実験も楽しくて、時間を忘れてしまこともあります。

―道具もご自身で作られてるんですね!金属の化学変化を利用するという事も、大変興味深いです。
制作はどういった手順でするのでしょうか。

まず、作る作品の本や実物等の資料を集めてから、簡単な図面を描いていきます。

それから材料を機械や金切り鋏を使って切り出します。
そのあとに金属を柔らかくするため、火にかけて焼鈍し、柔らかくなった金属板を当て金という色々な形の鉄の塊に当てて、叩いていきます。
叩くと金属は固くなりますので、また焼鈍し、そして
叩きます。
基本的に形になるまではこの繰り返しになります。

細かい模様を入れる時は、松の樹液と石の粉を混ぜた松ヤニを溶かし入れます。
松ヤニは冷めると固くなるので、冷めてから色々な形の鉄の棒である、鏨で一つずつ入れていきます。
大作だと一週間以上鏨を入れ続けるので、気が遠くなる時もあります・・・


―地道な作業の繰り返しで、あの精密な作品が出来ているんですね。影響を受けた作家はいらっしゃいますか。

明治時代の金工家の正阿弥勝義です。

金属で生々しい写実表現を追求した彫金家で、大学3年の時に初めて作品を見た時は衝撃を受けました。

―なるほど、原田先生の作品世界と共通するものがありますね。作品のコンセプトに関しても教えて頂けますか。

子供のときには身近で何気ない所に関心を持っていました。

そして、何気ない所から発見をして喜びを感じていて、例えば蟻の行進を発見して時間を忘れて観察をしたこともありました。

年を重ねていくにつれてそうした発見や感動はしなくなっていて、何気ない所を注視して日常を歩くことが無くなっていきます。

そんな日常に子供の頃にもっていた観察と発見をする喜びを感じていただけると嬉しいです。

―「景」というタイトルで、日常のワンシーンをテーマにしている作品が多いですよね。

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例えば台北のアートフェアで出品した、この作品は、蝶と野花をモチーフにしています。

翅は切り嵌め象嵌という技法で、銀の板を糸鋸で切り抜いてそこに同じ形の真鍮板を嵌め込んでいます。

違う金属を模様一つずつ切り抜いて嵌め込んでいるから細かい模様の色がきれいに分かれて表現できるので

そこも見て欲しいです。
その色も金属だけで発色しています。


―また、今回は普段使い出来るコップやお椀などもご出品頂いております。オブジェを制作する時とは、考える事などは違いますか。

使用出来る作品は使い勝手やコップなどでは口当りを気にして制作しています。
人によって、口が厚い方が良、薄い方が良、重い方が良い、軽い方が良いという意見があったりと、様々な感想を頂くので、作品の形や用途によってベストとは何かといつも試行錯誤しています。


―確かに人によっての好みが大きく分かれますよね。作品の内容は昔と比べて変わりましたか。

学生の頃は本当に好き勝手に作りたいものを作り、あまり見る人のことを考えていなかった気がします。

今はどうしたら見る人に楽しんでもらえるかなというのを意識して作品の形を考えています。

また、年々技術的にも表現出来ることの幅が増えてきているので、昔に比べて細かいディテールまで追求出来るようなってきていると思います。


―年々作品も進化していってるんですね。原田先生はイギリスでも賞を受賞したり、海外のアートフェアでも作品を発表しておりますが、海外と国内では反応が違いますか。

海外だけでなく、日本の県によっても気に入ってもらえる作品が違っているなと思います。

ただ、金属、特に鍛金では、自分が制作している様な写実的な作品を制作している作家はとても少ないので、

新鮮な目で見て頂けている実感はあります。


―確かに原田先生の作品を珍しそうに、長時間ご覧になるお客様も多いですよね。最後に、今後の夢や目標を教えて頂けますか。

海外を含めてもっと様々な場所で作品発表出来るようになり、多くの方々に見て頂けるようになりたいのはもちろんなのですが、目標としては正阿弥勝義の作品を初めて見た時に受けた衝撃を与えられるような作品を作れる様になりたいです。

―原田先生、ありがとうございました!

個展は3月7日まで、あべのハルカス近鉄本店美術画廊で開催中です。
皆様是非ご高覧下さい♪


「原田武 金属造形展」
3月1日(水)~ 3月7日(火)
10:00~20:00 ※最終日は17時閉場
作家来場日:会期中全日13~17時
会場:あべのハルカス タワー館11階 美術画廊
出品作家:原田武