本日より、東武百貨店池袋店にて「上中剛司 作陶展」開催中です!
瀬戸、常滑、信楽、備前、越前とともに、日本六古窯の一つに数えられる「丹波焼」を継承される上中剛司(ウエナカ ツヨシ)先生にお話を伺いました!
―丹波焼 稲右衛門は江戸時代中期から、280年来にわたり継承されているそうですね!お父様が現在丹波焼
稲右衛門窯の十代目とのことですし、やはり小さな頃から丹波焼に親しんでいらっしゃったんですよね。
そうですね。小学校の卒業文集には将来陶芸家になるって書いてたみたいですし、これ以外の道は考えたことがないです。
―上中先生の考える、丹波焼の魅力を教えてください。
えっ、これも丹波焼?と思わず言ってしまう程の多様な変化を、俗に、昔から「丹波の七化け」と表現します。釉薬の種類や装飾の技法にとても変化が多いことが特徴のひとつにあげられます。
庶民にとって身近な焼き物だからこそ、その時代のニーズを取り入れて柔軟に変化してきたことが魅力に繋がっているのではないかと思います。
六古窯の中でも全国的に見ればまだまだ知名度の低い丹波焼ですが、立杭では沢山の若手作家が活躍しており産地全体が活気に満ち溢れています。
工房外観
―偏に「丹波焼」と言っても、本当に様々なものがありますよね。
お使いの窯はどういったものがあるのでしょうか。
古来から伝わる穴窯と登り窯、そして近代的なガス窯と電気窯の4基を使用しています。
―伝統的なものから近代的なものまであるのですね。では、作陶の手順を教えてください。
土の採取、粘土作り、ロクロ成形、削り、乾燥、素焼き、釉掛け、本焼き、磨きの手順です。
今回、個展に出品している多くの作品は穴窯で焼成したものです。
平安後期から続く丹波焼には様々な焼き方があり、その中で最も古くかつ、手間のかかるのが穴窯を用いた方法です。
利便性が優先される現代では敬遠されがちで、確かに手間はかかりますが、それでも技術が存続しているのは、その方法でしか生み出せない美しさがあるからです。
山の白土を使い、穴窯で還元焼成すれば、器に降りかかった灰が化学変化を起こし、とても美しい緑色を器に残します。
焼き上げた作品を窯から出せばかけた苦労を忘れるような美しさがそこにあります。
―上中先生の作品は、伝統工芸の味わい深さに、カラフルな色彩や斬新なフォルムなどといった現代的なセンスも融合されていますよね。
作家として生きていくには人と異なるものを作っていく傍ら、丹波の伝統を守り継承していく必要があります。その2つの使命を大切にしながら制作に励んでおります。
―珍しい作品でいうと、カレイドスコープ昔館と陶万華鏡を共同制作したりもされていますが、今後器に限らず作ってみたいものはありますか?
今のところは考えておりません。
イメージを膨らませるのは楽しいのですが、今は穴窯の作品に力を入れています。
土と焼きにこだわり、薪窯の焼成技術を自分のものにして先人と肩を並べられるように作品の幅を広げていきたいですね。
―穴窯を使用した力作、個展で披露されるのが楽しみです!
丹波焼は元来「生活用器」の生産を目的とされているとか。現在はアート作品としても普及している丹波焼ですが、普段使い出来る作品を作るという点において、やはり常に使用者のことを意識しながら制作されているのでしょうか。
暮らしの道具に必要なのは使いやすさと美しさだと考えます。
丹波に伝わる用と美の伝統を常に意識しながら、、、しかし、その中に作家の個性も確かに残しながら作品造りをしています。
お皿ひとつにしても一枚の絵になるように表情のある作品造りを心掛けています。
何も入れなくても十分魅力的で、何かを入れるとまた違う新たな感動を持つ器、、、そんな器が最高だと思いますね。
工房の隣には作品展示スペースも
―なるほど。先生は海外でも作品を発表されていますよね。日本と海外での反応にはやはり違いがありますか?
海外ではフランスとアメリカで作品を発表しましたが、とても興味深く作品を見て頂いて嬉しかったです。モダンな形や釉薬ものの作品より、いわゆる古丹波と言われるような登り窯で焼成した素朴で侘び寂びを感じさせるような作品が彼らの心をうつようで、高評価だったのが印象的でした。
―侘び寂びのような日本独特の感性は特に興味深いのかもしれませんね。
最後に、個展をご覧くださる皆様に一言お願いいたします。
伝統だけでも目新しさだけでもないハイブリッドな丹波焼を自分なりに表現しました。
土の表情やぬくもりを感じてもらえたらと思います。
是非、会場にてご高覧ください。
上中先生、ありがとうございました!
個展は本日より1週間、東武百貨店池袋店にて開催されます。
皆様是非ご来場くださいませ。
「上中剛司 作陶展」
3月23日(木)~ 3月29日(水)
10:00~20:00 ※最終日は16時閉場
作家来場日:会期中全日13~17時
会場:東武百貨店池袋店 アートギャラリー
出品作家:上中剛司
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