現在、Gallery Seekにて個展を開催されている菅かおる先生にお話をお聞きしました!
 

-今回の個展のテーマを教えてください。

今回の個展は前期後期とテーマを分けて展示します。

前期「Aqua」は水の根源的なイメージを探求するものです。

後期「Flowers」環の中で巡る季節をテーマに展示します。


菅かおる4FOrigin(black%20circle)
前期Aquaシリーズより「Originblack circle)」 F4

描かれている線やフォルムは主に海の物から取り出して構成されている。

以前の作品には描かれていなかったブラックホールのようなものが出現。

-今回、前期後期とテーマを分けるに至ったのは何故でしょうか?

個展の開催場所であるGallery Seekさんと相談して決めました。

分けて展示してみたらどうかとお話を頂いて、いつもは色々なシリーズの絵を一緒に展示しているので、今回はせっかくこのような機会を頂きましたので、一つの試みとして分けて展示させていただきました。

前期だけ見た場合と後期だけ見た場合と、私の絵の印象は違ってどちらも別人と思うのか、どちらにも共通点を感じるのか、どんな反応があるのかなと思っています。

 

-菅先生の中でそれぞれのシリーズごとの違いはありますか?

私は「水」をモチーフにしていますが、そこから色々なシリーズの絵を描いています。

一つの木から沢山の枝葉がでて実がなるように作品が作れたら良いと思っていて、自分をあまり制御していません。

描きたいものはなんでも描くし、私自身が常に新しい発見をしないと描く意味がないと思っています。

そんな制作活動の中から出てきたひとシリーズの絵を絞って並べることで、更にその中での違いが見えてきたり、ひとつの説得力が出ると良いと思います。
環の中の牡丹桜色調整
前期Flowersシリーズより「環の中の牡丹桜」S6
まわりまわる、循環する水のわと季節の花々。絵の中に永遠をとじこめて。


-2年ぶりの個展となりますが、制作されてきた中で心境の変化はありましたか。

2年ぶりという意識はあまりなくて、日々制作の積み重ねで今回ありがたく個展の機会を頂き、2年ぶりと気づきました。

この2年の間には、茶道雑誌の毎月の表紙絵や、初めての絵本といった印刷の媒体で絵を描かせていただく機会があり、紙面で自身の絵についての反応を考える経験を積むことができたと思っています。

観る人の気持ちを代弁するような絵を描きたいと思いましたし、また、この絵の原画を見てみたいと思えるような作品を作りたいなとも思いました。

 

-茶道雑誌は2年続けての採用ですよね。

茶道雑誌の作品は、普段の制作との意識の違いはありましたか?

そうですね。
印刷の色の問題や、手に取れる大きさに縮小されて本になるので、下書きの段階からそこも考慮して本画も仕上げていきます。

実際に本画を見るのと本で見るのと印象は違うと思います。

特に金箔など岩絵の具の質感は印刷に限界があることが前提にあるので、そこをどうクリアするか、例えば色が本画のようにでないとしても、構成として季節が感じられる直接的なイメージだったり、構図だったりのポイントを最初に考える努力をしました。
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茶道雑誌6月号

会場で展示をするということは、その場でどんな光の状況であっても実物を観てもらえるわけですが、印刷の場合は違います。

制作した作品を、手の中に入る本のサイズで改めて見ると、自分としてはより客観的に絵が見えますし、本画に近づけることに執着するよりも、何を伝えたいかということを優先し色校正の段階で調整する作業が勉強になりました。

 

-作品の変化には影響は出ましたか?

季節感を表現する面白さを知り、作品のレパートリーが増えたように思います。

同時に自分の個性として変わらないものや変えたくないこだわりみたいなものに気づくことができたかなと思います。

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-菅先生の中で、変わらないものや変えたくないこだわりとは?

色味だったり線の特徴だったりだと思います。

-作品のインスピレーションはどのように生まれてきますか。

日々の発見や植物や、あるいは自然物からインスピレーションを受けていて、たくさんのストックを頭の中にとっておいて、今回はこれを描こうという感じで始めます。

描き始めたら画面と対話しながら絵を作っていきます。IMG_2904

具体的には植物を描く場合はスケッチしたり、貝殻をテーブルに置いて観察したりして

描くこともありますが、写実的な画ではなく、その植物から感じる生命感や色や形のイメージを使って絵をつくっていきます。

絵の面白いところは、目の前にあるものや頭の中のものを

絵にすることで、別の何かに生まれ変わらせるというような作業ができるところです。

 

-4月に発売されたばかりの絵本「ぼくのつり」はどのようなきっかけで制作に至ったのでしょうか。

私の父は絵本をいくつか出版していまして、まだこれから沢山描こうとしているときに亡くなってしまいました。

それで、父の部屋を色々と整理しているところに、沢山の絵本のアイデアのメモやラフスケッチを見つけました。

きちんと封筒に仕分けされていて、もしかしたら私たち家族が見てもわかるように整理してくれたのかもって思いました。

それで、そのままにしておけずに出版社にずうずうしくも段ボール一箱送りつけまして、なんとか修正したり、足りないところは私が描き加えたりすることで、絵本になるものはないでしょうかとお願いしました。

1年くらい返事待ちしていて、もうダメかなと思った時にご連絡頂きました。

沢山のアイデアの中から「つり」の絵本が選ばれて、父の原作をもとにお話を編集し、かつ私が絵を全て描くということであれば絵本にできるかもしれないというお返事を頂き、つくることになりました。

私は初めての絵本を作るということで、編集さんとの試行錯誤が続き、結局完成までに3年がかかりました。

そして絵本が完成したのは父が旅立ってからちょうど10年でした。

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-制作されていた時のエピソードがありましたら教えてください。

「ぼくのつり」はお父さんと主人公のぼくが朝早く起きて釣りに出かけるお話なので、何度も想い出の海に行ったり、甥っ子と釣りに出かけたりしました。

友達の子供さんにも色んなポーズをとってもらったりして、何人かの子供さんがミックスされて「ぼく」の姿になっています。

いろいろな海を取材して家に持ち帰り、頭の中で、父の声と相談しながら制作しました。

-ページの中で特に見てほしいという場面はありますか?

私からここを見て欲しいというのは言いたくないというか、本当になくて、読む人それぞれがお気に入りのシーンを見つけて欲しいなと思っています。

絵本って子供の頃好きだったシーンと、大人になってから好きだと思うシーンが変わったり、すごく怖いと思っていた絵が、大人になって見ると案外ひょうきんな絵だったりすることないですか?

あれ、こんな絵だったかなって。

子供の想像力の凄さを考えてみると、見る側の自由さが絵本ではとても大事なんじゃないかなと思います。

私としては、絵本の風景の中に入り込んで実際に釣りを体験し、海の音や空気感を感じられるような絵が描けたらと思ってつくりました。

最近は少しずつ感想ももらっていて、ずっとついてくる犬が可愛かったとか、釣りに行ってみたくなったとか、主人公は一匹だけどお父さんは沢山釣れているねとか、こんな竿の投げ方したら餌がばらまかれちゃうんじゃないかとか、それぞれに大人もこどもも絵本を楽しんでくれている様子がわかって、嬉しい気持ちでいっぱいになります。

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-今後新たに挑戦したいことはありますか。

絵については描きたいモチーフがありすぎて、いつもその10分の1も形になってないのですが、いつかはと思っています。
 

-最後に個展を見て下さる皆さまに一言お願いします。

このような時期に個展を開けることに感謝しています。

 

今この世界は大きく変わろうとしており、私の小さな生活にも様々な変化が起こっています。

この数ヶ月、毎日が不安の連続であり、家の中で落ち着かない日々を送っていました。

そんな中でも、変わらずに在るものに気づかされることが多くあります。

例えば、庭の夏ミカンが大きくなって、次の花が咲き出すことであったり、朝、鳥たちがにぎやかに鳴いているのが聞こえたりすることです。

これは多くの人が感じていることだと思います。

とても当たり前のことだった季節は巡っているということに、私はより一層喜びを感じるようになりました。

時間が経って地球が動いているということを感じられるからかもしれません。
生きている自然のひとつひとつをとても大事に思えるからかもしれません。

今回の展覧会では、会場に出向かずオンラインでご案内するという選択肢を取り入れました。

私は今まで、日本画という素材で創り出した絵をじかに観てもらうことを大切に考えてきましたし、それは今も同じです。

この方法はその考えとは全く逆の方向を向いていると思います。

けれども、より多くの方に作品を見てもらいたい原点というべき気持ちと、今できる可能性を増やしたいという思い、もしかしたら新たな発見があるかもしれないという思いからこの試みを取り入れたいと思います。

これまでどおり展覧会は開場していますが、離れた場所にいる方、まだ自粛している方はぜひオンラインでアクセスしてくださいませ。

落ち着かない日々が続いておりますが、どうぞ愉しんで観ていただけたらと思います。

-菅先生、ありがとうございました!

個展は75日まで開催しております。

「菅かおる 日本画展」

6月19日(金)~7月5日(日)
First Half 【Aqua】   :6月19日(金)~6月28日(日)掛け替えの為、17時で閉場させて頂きます。

Second Half【Flowers】:6月29日(月)~7月5日(日)

会場:Gallery Seek
出品作家:菅かおる

生命ある水の神秘、力強さに魅かれ、水をモチーフに描き続ける画家、菅かおる。自然が生み出した豊かな曲線も法則的な直線も、等しく有機的なひとつの世界に包み込まれています。花や金魚や海草も、水の周りの幸福な象徴として描いており、それらが水に映し出す、色彩の美的で根源的な感覚を注ぎ込んだ作品を是非ご高覧下さい。


◆オンラインビューイングも受付けております。

【案内人】Gallery Seek+菅かおる 1組様30分間

ご希望の方は前日の18時までにご連絡くださいませ。

Zoomの会議IDとパスワードをお送りいたします。


過去のインタビューはこちら↓
http://blog.livedoor.jp/soratobu_penguin/archives/9226227.html