造影MR像における股関節唇損傷の分類 チェルニー(ツェルニー)分類
をご紹介したいと思います。


これは我々整形外科医が 頻用する分類方法です。


股関節唇損傷の診断は、難しく、整形外科医の多くはまだ診断することができません。
それはわずか6ミリくらいの組織を大雑把なMRで撮影をしてもうまく描出することができないからです。

MRの発達とともに 肩関節の世界では 造影剤を関節内に注入して、バンカート病変やSLAP病変を造影MRで診断する方法が1990年代初頭から始まりました。



1996年から  1999年にかけて 股関節でも造影剤を注入して MRを撮影し、手術所見とどのくらい正確であるかを調べた論文を Czerny先生が報告しました。


造影MR像における股関節唇損傷の分類 チェルニー(ツェルニー)分類です。


MR arthrography of the adult acetabular capsular-labral complex: correlation with surgery and anatomy.
Czerny C1, Hofmann S, Urban M, Tschauner C, Neuhold A, Pretterklieber M, Recht MP, Kramer J.




原著論文は ここからダウンロードしてください




スライド1


















英語では
Stage 0 (normal). Homogeneous low signal intensity, a triangular shape, and continuous attachment to the lateral margin of the acetabulum without a notch or a sulcus.
Stage IA. Area of increased signal intensity within the centre of the triangular-shaped labrum.
Stage IB. Similar to stage IA, but the labrum is thickened and there is no recess.
Stage IIA. Extension of contrast material into the labrum without detachment, and the presence of a triangular shape and a recess.
Stage IIB. Same as stage IIA, but the labrum is thickened and a recess is not present.
Stage IIIA. The labrum is detached, and there is a triangular shape and a recess.
Stage IIIB. Same as stage IIIA, but the labrum is thickened and there is no recess.







スライド2


















スライド3




















スライド4

















スライド5














日本語訳











スライド5




















Stage 0 (normal): 関節唇は内部は均一な低信号で、トライアングルの形を呈し、関節唇が臼蓋縁と連続して付着しているもの
Stage IA: トライアングルの形を呈した股関節唇の真ん中に一部信号上昇を認める。
Stage IB. StageIAに似ているが、股関節唇が肥厚し関節包と関節唇との間に溝がないもの
Stage IIA.  関節唇と臼蓋縁との分離はないが造影剤の流入が認められる。トライアングルの形を呈し、溝がある。
Stage IIB. IIAに似ているが、関節唇は肥厚し、関節包との溝がない。
Stage IIIA. 股関節唇は臼蓋縁から完全に分離し、トライアングルの形を呈し、溝を有するもの。
Stage IIIB. Stage IIIAと似ているが、肥厚し、recessがない。







ステー0が正常
ステージ1が軽傷
ステージ2が中等度
ステージ3が重症

という感じになりますでしょうか?

基本的にステージ0からステージ2までの方は保存療法で経過観察をします。

無症状で撮影をしても ステージ3の人なんて結構います。
すなわち このMRの分類で股関節唇が良くないからといって 必ずしも手術が必要であるとは限りません。

MRを撮影して、手術を勧められても、焦らず、しっかりと股関節はもとより、全身の機能評価をします。
機能障害があれば、リハビリをして機能向上をさせ、症状が取れれば保存的に経過観察をしますが、症状がそれでも改善しない場合は、変形性股関節症へと進行する可能性があることも鑑みて、最終的に手術をするかどうかを相談します。

症例数をたくさん経験し、患者さんの気持ちに寄り添うことができるドクターにセカンドオピニオンを受けに行かれるのも良いアイディアかと思います。



この情報がお役に立てれば幸いです。