【GS0089】講演「業務の組織化」32■ホームヘルプサービス①

64ページですね。実は先程お話しましたホームヘルプサービスの運営の仕方の例なんですけど、今までありました部分はですね、そこに挙げておりますが、従来の形態1・2として、まず1番に直行直帰、登録型ですね。

それから2として出前型というのがありましたね。出前型なんて聞いたことありますか。

ご存知ないですね、当然です。私がかってにつけた名前ですから。

直行直帰というのは、いわゆる登録型のヘルパーのことですね。

出前型っていうのはですね、特養に詰所があって、そこから出ていって帰ってくるというやり方です。これは今減ってると思います。しかし措置時代は多かったでしょう?これが。人件費補助方式だったときですね。ヘルパーさん一人いれば、業務実績に無関係に年間350万円くらいおりていた時代にはこれがあったんですね。

ただその「直行・直帰型、出前型」のどちらもですね、介護保険でホームヘルプサービスをやっていくうえでは、これは非常にロスが多いのです。

コストが高いという部分、さらには介護事故の危険性も高いという欠陥があると思います。

ホームヘルプサービスには、これ以外の方式が実は可能です。

デイサービスの例はお話しましたね。単独型というやり方をやれば、夜8時までのデイサービスというのも可能ですよ、ということですね。お昼から来て頂いて、夜8時、9時までというやり方も出来ます、と。併設型では少し難しいところがあるけど、私は併設型でも出来ないことはないと思っています。考え方次第です。

 ホームヘルプ―ビスもどうしても直行直帰しか方法がないようなイメージで捉えられていますが、実はあります。ということで、資料の2をご覧ください。ページにして申しますと、83ページからのところなんですが、簡単に申し上げますとこういうことです。今まではどうしても直行直帰か、この出前型という形ででしかやってこれなかったんです。それは「ヘルパーとご利用者の1:1関係=担当制」が元になっているからです。

でもその中には、A新聞社がいっているキャンペーンなんかで、「困ったヘルパー物語」とか「困った事業者」なんていうふうに一方的にいろんな問題点が指摘されてますけれども、例えば、ヘルパーが訪問時間に遅れるという苦情は非常に多いんです。何故だと思いますか?直行直帰、つまり「ヘルパーさんの自宅から、ご利用者宅へ直行する」のに、時刻に遅れるんですよ。よほどのことが無い限り、本来、遅刻は無いはずですね。

これはね、教育産業でいうと、ヘルパーさんが「家庭教師と同じ気分」になっているんです。要するに、ご利用者との距離があまりに近すぎるんですね。友達感覚になっちゃっているんですよ。

そうすると、家庭教師は遅れるときに『学校のコンパで1時間延びちゃったから、1時間遅れるわ』というのは平気で電話しますよね、家庭教師は。まあ『講義が実験が長引いたから』と、適当なウソをつく家庭教師も多いでしょうが。
ところが塾講師が、塾の時刻に遅れることありますか?絶対無いですよ。遅刻すると講師は多分クビになりますからね。塾は生徒と「1:1」ではないからです。一人の講師が遅刻すると数十人の生徒(=顧客)に被害が及びます。塾の信頼はがた落ちです。この「家庭教師と塾講師」の差は要するにプロという意識があるかないかなんですよ、一つはね。

しかし、今の介護事業には、特にホームヘルプサービスには「塾講師」という部分は存在しにくいのです。ヘルパーとご利用者が「1:1 関係」ですからね。

だが、なかなか直行直帰のヘルパーさんには介護のモチベーション=意欲の高い方が多いというのも事実です。

モチベーションは高いのですが、「仕事」というよりは、個人的関係という形での「めんどうみ」という意識がが強くなっいてる。それだとですね、事業者の仕事ではなく「ヘルパー個人のご利用者個人へのお世話」なんですね。

事業者としては、供給の安全性と継続性をきちんと高めていかなければなりませんね。事故が起きたら大変です。ホームヘルプサービスでは多くの場合、ヘルパーとご利用者が「1:1」の密室で起きる事故ですから、事実は「藪の中」です。ヘルパーさん一人でしかやってない直行直帰のときに起きた事故はですね、どんな事故がおきるかわかりませんよ。「藪の中」の情報を集めることも出来ませんから。

ですから、私がご提案しているのが「最小単位の滞在型ホームヘルプサービス」という形式です。それがどういうものかといいますと、簡単に申し上げると、一人のヘルパーがAの利用者の方、Bの利用者の方、Cの利用者の方というところを順々に滞在型の複合型などをやりながら、回ってですね、1日に7時から3時までの勤務帯という早出と、2時から10時までという遅出の勤務帯をつくって、その間を軽自動車でも自転車でも良いんですけれど、1時間程度の申し送り時間をもって情報のやりとりすることによって、複数の利用者に対して、複数のヘルパーが情報共有をしながら、サービスをやっていくという仕組みです。

最低4人いたら出来るんです、これは。

具体的な仕組みはそこに書いておりますが。滞在型というのは、83ページに書いているのはですね、身体介護と家事援助が混じっている場合が非常に多いですよね、滞在型。

ですから、複合型が出てきました。それで大体派遣単位が1時間か2時間というのが多いと思います、滞在型の場合。

そこで、ラウンドという考え方を導入したわけなんです。

ラウンドというのが、その出発点から出たら、Aさんのお宅に行って、そして移動してBさんのお宅に行って、滞在型ですから例えば午前7時から午後3時まであたりでも、3軒くらいですよ、まわれても。だから実働時間が4時間か5時間です。5時間のホームヘルプサービスはヘルパーさんにはかなり辛いですけれどね、滞在型っていうのはね。

6時間というのは無理だと思います。5時間もあればね、収支が成立するんです、実はこれ。実際にやっていく時にはですね、84ページご覧いただくとですね、ホームヘルプサービスというのはね、昼間は結構種類がいっぱいあるんですよね。

だから、ご利用者それぞれの方のサービスの利用形態考えるとですね、1週間に、デイケア・デイサービスに行く日、訪問看護が来る日、滞在型ホームヘルプサービスを使う日、こんな風になってますよね。

ですから84ページの上の例のように、A様の場合だと、月木に15時から16時の入浴介助で、B様が火水木土に12時半から13時半の昼食介助みたいになってますよね。

こういう内容を良く見ていくと、「A様の入浴介助は、3時ぴったりに行かなきゃいけない」でしょうか?。

少し時刻が動いてもあまり問題ないでしょう、これは。この場合、ご利用者にご相談させていただける可塑性があります。

しかしながらBさんのですね、昼食介助、これ時刻が動かせますか?。あんまり動かせないですよね。

昼飯だっていうのに、3時に行っても意味ないですからね。

ですから、滞在型ホームヘルプサービスの中にはですね「ある程度時間を動かせるもの」と「動かせないもの」が混じっているんですね。