【GS018】3■「業務の組織化」に不可欠なノウハウの整備3-1「組織図」


3■「業務の組織化」に不可欠なノウハウの整備


3-1「組織図」から始まる業務運営管理体制整備ノウハウ


運営管理ノウハウの出発点は「組織図」です。現在これを正しく理解している事業者はほとんどありませんが組織図は業務運営管理の「基本中の基本」です。


●「業務の組織化」と「組織図」

組織化とは文字通り「組織を作ること」です。「組織そのもの」を確定するものは何でしょうか。それが組織図です。組織図は「家系図」ではありません。つまり「個人の位置のみを示すもの」ではなく「その位置での仕事=必要な職能・業務内容・職責など」を示すものです。ですから組織図上の全職種・職位については、それら個々の「具体的な業務内容・職責」の明記が不可欠であり、その仕事を「確実に担える職能ある人材」が配置されなければなりません。


●組織図の意義と目的

「意義」は組織の「横の区分=業務部門」と「組織の縦の区分=責任階層」の明確化により「業務全般の客観的・合理的な運営基盤を確定すること」です。
 そして「目的」は「横と縦」による職種・職位の位置付けから「各人の業務内容とその責任を明確にすること」です。
 つまり「横の位置付け(職種)」により「その業務に不可欠な職能を明確にすること」、そして「縦の位置付け(職位)」により「その業務の実施責任者と管理責任者を明確にすること」が重要なのです。


●「組織図」は全ての運営管理システム・マニュアルなどの母胎

組織図は人体に例えれば「骨格」であり「母胎」です。「骨格」という例えは、組織図上の位置(縦と横の関係)によりそこに配置される人材に求められる「役割や機能」が確定するという意味です。
 つまり「ある人材の組織図上の位置」は、その人材に求められる「職能・職責・業務内容」を自動的に決定するということです。
 そして「母胎」という例えは、組織図上の個々の職種・職位の「職能・職責・業務内容」を具体化するために、そこから「運営管理に関する全てのシステム・マニュアル等が自動的に発生する」ということを意味します。つまり運営管理体制の全ては「組織図から生まれる」のです。
 ですから「組織図と業務分掌表」をよく見れば「その事業者の運営管理実態」は概ね想像できます。そして「発生しているであろう問題」は概ね推測・予測できます。
 なぜなら、それらの不完全=構造的欠陥だからです。しっかりした経営者なら事業構築の原点として、この二つ(組織図と業務分掌表)をおろそかにするはずはありません。これは一般企業にも共通します。良い企業では、その多くでこの二つがよく出来ており遵守されています。


●組織図の作り方のポイント

「シンプルかつスリム」な組織がベストです。そうでなければ報告・連絡・相談のチャンネルも複雑になりますし、業務責任も曖昧になります。

①業務部門(=横の区分)の確立
原則として「兼務者」は不可です。しかし例外的にはありえます。たとえば「在宅と施設の両部門のケアマネジャー業務等の場合」です。

②管理責任階層(=縦の区分)の確立
絶対に「兼務者」は不可です。たとえば「同部門での部長と課長の兼務」はスリム化に反するし無意味です。また「他部門での課長と現業員の兼務」などは基本的にはありえないと思いますが「責任範囲が不明確」になるので危険です。


●組織図から生まれる「業務運営に不可欠なシステム・マニュアル」

下記は全て組織図が健全なら、そこから自然発生する「具体物としてのシステム・マニュアル」の主要なものです。ですから、それらは「組織図と各システム・マニュアル間の有機的関係」を慎重に考慮して作成されなければなりません。(番号は「組織図から生まれる」順)

1.業務分掌表(業務内容表)=(事業者にとって組織図の次に重要なもの)
基本機能・業務内容・使用帳票・小悪管理するシステムやマニュアル・実施責任・管理責任などを具体化及び明確化するものです。単なる「…に関すること」との記述のみで済ませるのレベルのものは無意味です。

2.各種業務システム・マニュアル
運営管理・職員教育・リスクコントロール・顧客管理(ケアマネジメント)などの業務全般に関するシステム・マニュアルです。
※システム・マニュアル間の有機的設定(職種・職位との明確なリンク)がポイントです。

3.職種・職位毎の日常基本業務フロー
基本的な日々の業務の流れを「出勤~退出までの全ての基本業務内容」を具体的に明記したものです。
※「基本が無ければ応用は不可能」です。「緊急対応も予測できるものは"基本"業務」です。

4.業務日報
各部門職種・各職位それぞれの日常基本業務は異なります。それを考慮した書式と運用ルールが必要です。(汎用書式と個別書式の二方法があります)
※「1~3」による基本業務と不定期業務の報告・連絡・相談のツールであり考課資料でもあります。経営者自身も書くべきです。

5.勤務表
労務管理の基盤です。運用責任は現業管理責任者(経営側)です。「平等性・透明性」が不可欠です。

6.就業規則
「事業理念」を基盤として「1~5」との関連を踏まえて策定されるものです。「事業者の憲法」です。これを「背骨」として全てのシステム・マニュアル等が「準則」などとして有機的に体系化されます。

7.業務心得
「事業理念と業務倫理」の具体化として策定されるものです。


※各項については後段にて「作成方法と作成例」などを解説