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Soichiのメモ。興味や勉強などを紹介。

5 4月

MIT無料コース:教育の機会と日本の未来

まだまだ続くMIT無料コースはどんどん難しくなってきます。
その途中で気になる映像があったので、記録しておきました。

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写真の手前に映っているこの人は教壇ではなく生徒のほうを向いていますね。静画ではわかりにくいですが、この人は手話で講義を耳の不自由な人に伝えているようです。おそらく学校が用意してくれているのでしょう。

僕自身がアメリカ留学時代にも両足が不自由でほとんど歩けない生徒がいました。その生徒は通常の学費を払い、学校が車を所有している生徒にバイト代を払って、この障害者の移動を助けていました。 流石はアメリカ。全ての人に平等の機会を!という思想では世界有数でしょう。

しかし現実は平等からは程遠く、ハーバードなどの有名私立大学の学費は天文学的。その機会を得られるのは、ズバ抜けてできる人が奨学金を得て通うか、学費を払える金持ちか、に限られるのがほとんどようです。まあ、かなりできる人でなければ授業についていけないという事実もあるでしょうが。

最近話題のこの有名大学が提供する無料コースは、発表されたときは話題に上がるようですが、その後あまり話を聞きませんね…日本人にとってどう映ったのでしょうか? 興味のある人、内容を必要な人は限られているのは確かでしょう。しかし無料で提供する背景には、批判の強い不平等な教育の機会を少しは緩和したいという思惑も透けて見えてきます。

高すぎるとも言われる日本の大学進学率を考えてみると、教育の機会と言われてもピンっとこないかもしれません。しかし、世界的に見るとこの無料コースはとてつもないインパクトがあると思います。それは

新興国や発展途上国の、本来ならば経済的に教育の機会に恵まれない人達が、ある日を境に突然高等教育を受けられるようになった。

ということです。ディスカッションフォーラムでは、英語が苦手にも関わらず、一生懸命質問に参加している人達がかなりいます。その質問ぶりから相当力を入れて取り組んでいることがわかります。その人達の素性はわかりませんが、質問に答える側も下手な英語など気にせず、しっかりと答えを返しています。本当にやる気のある人は少しくらい不自由でも、チャンスがあればそれにしがみつくハングリー精神を持っているものです。

惰性のように行われる日本の教育ととても対照的で興味深い傾向ですね。しかも広がっていくオンライン講座の可能性は、英語力なくしては味わえない。日本の場合はまず「英語教育」という大きなハンディキャップを背負ってしまっていて、世界の中では致命的な差になってしまう気がしてなりません。
27 3月

MIT無料コース:知識は過去のもの、教育は未来のもの

引き続き、MITの無料公開コースの話です。

右の写真のこれがなんだかわかりますか?transistor


 少しでも電子回路を触ったことがある人なら誰でも知っているでしょう、トランジスターです。
トランジスターは20世紀最大の発明(と僕は思っている)で、トランジスターラジオによって世界的企業に上り詰めたソニーは知る人も多いでしょう。
他にも現代の形のパソコンはこのトランジスターの発明によってなされ、ムーアの法則で表されるように、情報化社会の立役者です。

しかし電子回路の観点から言うと、初学者にはその動作を理解するのが難しく、僕自身過去に挫折した経験があります。そのリベンジにとこのコースを受講しているのです。

さて、このトランジスターは人間の歴史にある日突然現れたわけではなく、様々な知識の積み重ねの末に誕生しました。
人間は過去に築かれた知識を更なる創意工夫によって改良を重ね、今に至る訳です。

MIT--
このように、トランジスタは真空管を代価する半導体として誕生し、MOSFETという更にその進化版も生まれます。 人間の知識の進化を見て取れると思います。


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それにしてもこのコースは分かりやすい。動画での講義だけでは足りず、これまた無料で公開されている教科書を読み込む必要はあるものの、生徒の理解を深めるという意味でとても有意義なものです。
 
説明のわかりやすさはいろんな要素が絡んできますが、このMITのコースを受けていて「知識の積み重ね方」について学ぶことがあったので書いてみます。

わかりやすく人にものごとを説明するには、語彙の選択、例え方、図による説明など様々な要素が重要になりますが、ここでは「全体構成」についてです。。

上記のように、トランジスターは人間の知識の積み重ねの結晶ではありますが、現代では単なる通過点にすぎません。ではこのコースで実際にどういう順番で教えているかというと…

CopyofMIT--



トランジスター涙目…orz

過去の知識が現代の礎になっているとはいえ、それが現代そして未来に活きる知識となり得るとは限らない、ということでしょうか。未開拓の荒野をさまよい続け、自ら終着点を探していくことは尊いですが、一旦その終着点が発見されれば最短距離を見つけられる。その新たに発見された最短距離こそ、次世代の教育にふさわしいものとなるのでしょう。

知識は過去の遺産であるが、それを伝える教育は常に未来を向いていなければならない。決して過去を振り返るものであってはならない。

自論ですが…

これは外国語教育にも言えるかもしれません。「子供は文法を習って言葉を覚えるわけではない」という批判を耳にしますが、僕はそれには反対です。一旦大人になれば感覚的に学ぶ力を失ってしまう。その反面、理屈で学ぶ力を身につけます。文法という体系から入るのは、それだけでは不十分とはいえ、理にかなっています。

それだけではありません。僕は根っから理系脳で、昔から歴史の授業が嫌いでした。「こんなのなんの役に立つの?」といつも愚痴をこぼしていました。今考えるともっといい教え方があるのでは、と思います。

逆に教えればいい。

Untitleddrawing

現代から歴史を逆にさかのぼりながら教えていく…今起こっていることへの因果関係が明確になるのではないでしょうか(理系脳の戯言と取ってもらってかまいません)。

この世に無駄な知識などありません。でもそれが活きるかどうかはその知識をどう積み重ねてあるか、にかかっていると思います。

25 3月

多言語ディクテーションWebサービス:開発秘話

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僕が個人的に作っていたWebサービス、「Listen & Transcript」のβテストを開始しました。

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 これはディクテーション用に特化したエディタを自作。YouTubeの外国語動画を自分で聞き取ってみようというサイトです。もちろん字幕など用意されていないので答えがありません。ですので、外国語学習のレベルとしては最高難易度ではないかと思います。

こんなものを開発した背景には僕の個人的な欲望がありました(笑)

知っている人も多いかも知れませんが、僕は外国語を勉強するのが大好きです。フランス語やロシア語、中国語を勉強していました(なぜか過去形…)。しかしやはりそこは英語に比べて人気度の低い言語達。それに比例して学習教材も生まれません。特に「聞き取り」の教材はとてもモノを言ってしまします。

なんとかそういった教材を増やしたい。でも増えたとしてもお金払って買っているととてもじゃないけど身がもたない。どうしたら…悩む日々が続きました。

ある日、ひらめきます!

そうだ!僕よりできる人達につくってもらおう!

なんという自分勝手な発想でしょうか。今考えてもオレひでぇ…と思います(笑)

開発が始まりました。しかしここで思わぬ事態が…

Webサービス開発に時間を費やし、外国語が勉強できなくなった…orz


本末転倒な結果に… 開発者ならわかると思いますが、こういうものを作るのにはエラー処理に多大な時間を費やされます。ほとんどがエラー処理、と言っても過言ではないかもしれません。

でもお陰でRuby on Railsの腕も向上し、なによりフロントエンド、バックエンド、デザイン、全て僕一人でこなせたのは嬉しい限りです。

でもやはり難易度が高すぎたかも知れませんね。あまり良い印象は今のところ受け取っていませんから(^_^;)

質問・感想お待ちしております。開発に関する質問もお受けしますので、なんでも聴いてください。
20 3月

MIT無料コース3週目突入報告…:質問がある場合は?

先日の記事に引き続き、MITの無料公開講座、エレクトロニクスを受講しています。
ようやく2週目の宿題が終りました。計算に頭を使いますね…まあ、理系科目なんてこんなもんですが。


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この先生は面白すぎます(笑)
この映像は電子回路のデモンストレーションなのですが、なんと着替えて音楽に合わせてダンスを踊りながら教室に入ってきました。思わず僕も吹き出してしまい、実に楽しいコースだな、と実感した次第です。
電子回路に「ノイズ」を入れるというデモンストレーションで、そのためにチェーンソー(手に持っているが、刃はついていない)を振り回し、回路にノイズを起こしました。非常にユニークな先生で、他にも「...digital land...」と言うところを「Disneyland!...oh, execuse me..」とわざと言い間違えたりと、個性豊かで遊び心に満ちた教授です。

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こちらは電子回路を視覚的・直感的に理解してもらうために出されたオンラインデモ。
下部に見える4つのスライドを動かすと、上部の回路の抵抗値がリアルタイムに変化し、出力電圧の変化を観察できるというもの。これもインターネットの発達の賜物で、一昔前にはこういったデモンストレーションを作成するのにも苦労したものです。それを全世界に簡単にやってみせる…すごい時代ですね。

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同じWebサイトには計算機も常備されています。物理学ベースのエレクトロニクスということで、計算は常に何重もの括弧をつかった複雑なものになるため、通常の計算機では無理が出てきます。これは括弧はもちろん、三角関数(sin cos tan)などの特殊な計算もできるようにできています。
我々にとっては計算機は珍しいものではないかもしれませんが、おそらくは発展途上国の人たちにも不自由なく受講できるように、という配慮ではないでしょうか。

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更には教授の(おそらく)アシスタントによる、追加授業も用意されています。違った説明を聞くのも勉強になりますね。

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さて、新しい内容を学んでいるときにはどうしても疑問点がわいてくるものです。それらを質問したいですよね。オンラインコースではディスカッションフォーラムが用意されています。
受講生の数は万単位。それらを教授+アシスタントではとても処理することは不可能です。ですので、受講者同士でディスカッションして質問・疑問点を解消していこうというものです。
先に宿題を終わらせた人(提出すれば即座に自動採点されるので、正解かどうかがその場でわかる)や、院生(?) が答えてくれているようです。しかしもちろんそこには厳しいルールが用意されています。当然ですが、答えを直接教えてはいけない、というもの。みんなで監視しあい、たいていの人が真摯にルールを守ります。答える側も自身の理解の補強になりますし、説明を工夫する必要があるので、とても有意義なフォーラムとなるようです。
基本は当然英語。ここでも英語力が重要になってきます。僕の個人的なプログラミングでもそうですが、インターネットには無数の質問フォーラムが存在し、そのほとんどが英語でやりとりされています。内容にもよりますが、数分のうちに答えが返ってくるのはやはり世界では英語を話す人の数が圧倒的に多いことを意味しているでしょう。
 
それにしても、日本での教育過程では不思議と同じ授業をとってる人同士では強力し合うということが少なかった気がします(僕だけでしょうか…?)。同じ学年でもできる人、できない人の個人差がでてくるのは必然なことであり、それが駄目なこと…そんな雰囲気が日本の教育現場にはあったような気がします。お互いに助け合い、進んでいる人がそうでいない人を助ける…単に相互の理解向上だけではなく、先生の負担も減るという利点もあると思いますが、横並び根性がいまだにはびこる日本では上手くいかないようですね。「みんなが一緒じゃなければならない」、という不可思議な思想がみんなに不利益を与えていることにいつ気づくんでしょう…
13 3月

世界トップレベルの授業とは:MITオンラインコース2週目突入報告…

先日の記事の続きです。

MITの提供する無料オンライン講座、エレクトロニクスは2週目に突入しました。
最初の週の宿題は無事に提出し終りほっとしたところですが、もちろんそれが難易度が上がり続きがすぐに用意されています。

1週目を終え、全体像が見えてきたこの公開講座。無料とはいえMITの冠に恥ない内容であることはたしかです。
期限内に宿題などの課題さえこなせばどんな時間に受講しても構わない、ということは最大の魅力の一つでしょう。もっとも僕はまとまった時間に一気にやりたい性分ですが…
動画の再生スピードを速めれば時間短縮もでき、とても快適です。これからの時代の教育を象徴しているかのようです。

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画像を見れば分かるとおり、教える講師(教授:Anant Agarwal)はインド系の方。喋る英語もわずかですが訛りがあるものの、とても綺麗な英語を話します。
動画では顔を出すことはほとんどなく、だいたいはスライド画像に文字や絵を書いていく映像です。後述するデモンストレーションの時だけ本人が登場します。

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動画構成は一つ5分から8分くらい(僕は常に1.5倍速で聞いているのでもっと短い)。それがいくつも連続して用意されており、全部で一つの授業内容をカバーします。

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所々に挿入されているのはクイズ(小テスト)です。講義を聴き、クイズを答え、また聴く、を繰り返します。クイズは最終成績には反映されませんが、内容を理解しているかを確認するためには重要です。

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クイズはこんな感じです。入力フォームに数値、もしくは数式を入力し、チェックボタンを押すと正誤判定してくれます。リセットすれば何度でもやり直しができ、答えも見ようと思えば見ることができます。 
でもクイズをやってみるとなかなか正解が得られない。それもそのはず。クイズのほとんどの内容は、その後続く講義でカバーされているからです。つまり、

とりあえず自分で考えてやってみろ!

その後説明してやる!

という構成です。一見すると理不尽ですが、効果は抜群。前持って考えておけば、講義内容のポイントに集中することができます。その後再度クイズに戻って確認すると更に効果的なのは言うまでもありません。

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内容がエレクトロニクスと言うこともあり、実際に電子回路で実験することはとても重要になります。このコースではポイントごとに映像が切り替わり、その実験をデモンストレーションしてくれます。百聞は一見にしかず。

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この回路に刺さっているのはピクルス。あのハンバーガーなどに挟まっているやつです。回路の抽象化というデモンストレーションですが、これが笑える。僕も動画を見ていて思わず笑が込み上げました。所々にジョークを混ぜてくれる、それも講義の内容を理解するのに役に立ちます(ちゃんと聞いていないとどこが面白いかわからないでしょ?)。

誰でもそうでしょうが、学校教育では無数の先生の授業を受けたことがあるはず。この先生は間違いなく、僕の人生の中でトップ3に入る先生です。勿論、「先生がダメだから僕はできない」、という言い訳は卑怯であり、「僕は実際にそれができない」という現実を改善できるか?という意味でも生産的ではありません。ダメな教え方をする先生だったので独学で頑張って向上させる、というプラス思考も考えられます。しかし、本当に良い先生は生徒の理解の向上だけでなく、モチベーション維持という意味でも素晴らしいものを発揮してくれます。

コース全体には相当の準備を要したに違いありません(教授は指示だけで、アシスタントが作業したんでしょうが…)。こんな素晴らしい先生の授業を受けられるのは、本当に幸福なことです。内容の理解力だけでなく、「ああ、こんな風に人に説明できる人間になれたらな…」という夢も膨らみます。

こういった無料の公開講座が増えてくることは間違いなく、世界中の教育に影響を与えることは必至です。問題はどんな内容が増えてくるか…課題の提出、並びに、自動採点の現実味を考えると、理系科目がほとんどを占めるでしょう。プログラミング、エレクトロニクスが可能ならば、数学も可能なはず。現在はまだある程度の基礎知識がある人向けですが、もっと基本的な内容が増えてくるかもしれません。

欠かせないのは英語力。英語力があれば可能性はどんどん増えてきます。外国語教育も無料で…と言いたいところですが、こればっかりは「対人練習」を必要とするため、簡単には無料は実現しないでしょう(最近話題のSiriなどの人工知能が発達すれば可能かも…)。むしろ、教育費用を(日本の場合なら)英語力だけに特化し、その他の理系科目は無料の…といった考え方ができますね。