凄い事に気づいた。
動くJJとアレサです。これはまだ誰も、気づいていないと思う。。

アレサフランクリンが8月16日に亡くなってから、私も皆さんと同じようにアレサ漬けの日々を送っているわけですが。
邪道とは分かっていても、動画を見るなら1974〜1979年頃の映像に集中してしまう。1977年に再婚した(のが関係しているかは知らんけど)アレサはこの頃ダイエットに成功し、アレサ史上最も麗しい姿の時期だから。目に優しい。

そんな時代の、1976年、テレビ番組の『MIDNIGHT SPECIAL』の映像がこちらです。


堂々の生歌・生演奏です。
グラディスナイトを意識して「夜汽車よジョージアへ」なんか歌っててコレが最高にウマい!最高です。

さて、この動画自体は、ありがたい事に以前からYOUTUBEにアップされていて今や珍しいものではないのです。
そして伴奏するミュージシャンも、見る限り殆どが無名の方々のようです。さすがにアレサ級になると、テレビ番組にバーナードパーディーやポールハンフリーが付き合っていたりしててワオッ!って時が多々ありますが、この日のバンドは割と「テレビの箱バン」感が強め。

なんだけど、どうもおかしい。
様子がおかしいのはベースである。

しょっぱなの「RESPECT」からして、なーんかハネてる。
「ハネ」というのは純粋に「シャッフル」の意味の「ハネ」ではなくて(それも多少あるけど)、文字通り飛んでる感じの「跳ね」です。
かなりの頻度で出てくる、拍の跨ぎ方。
16分でクって拍や小節を跨ぐ感じ。

そしてスローナンバーにおける、ダイナミクスの付け方。
押したいポイントを、1発ドスンと押さえてくる感じ。
そして全体的に1976年にしては?という「60年代感」。シンプルさとか、「ウォーキンベース」な感じ。

気付いた時には軽く震えました。
このベース、間違いなくジェームスジェマーソンですよ…!!

00:37あたり、「シンプル」なんだけど「16分」で「跳ね」てる感じ。
NYのジェリージェモットやチャックレイニー、LAのキャロルケイやウィルトンフェルダーなら(またそれ以降のモダン・ベーシスト達なら)、「16分音符のフレーズ」を弾くところでしょうし、南部のダックダンやデヴィッドフッドならずっしりと重めにリフを繰り返すでしょう。
ジェマーソンの場合は「16分の裏拍のタイミングに一発置いて、付点を付ける」。
実は音数が少なくシンプルなのに、うまい具合にアンサンブルから抜けて目立ち、それがまたファンキーなのです。
これが、ポールチェンバースやレイブラウンをルーツとするジェマーソンのマナーであると。

10:59あたり、アレサの向こうにベーシストの右手が映ります。
何回も見ました。拡大したり、一時停止したりして、何十回も見たんですよ。
まっすぐに伸びた人差し指ワンフィンガーの素早い動きと、そこに親指を添えるようなフォームは、紛う事なき「ザ・フック」。ジェマーソンそのものだ!!

楽器もサンバーストのプレベらしいことは見て取れる。ピックアップカヴァーの存在が確認できないが、もう少し綺麗な映像があれば、より確信に近づくかもしれない。

jamesjamerson

と、ここで今更ながらドクターリックス著・ジェマーソン伝記本を久々に開いてみれば、なんと。こんな記述があるではないか。

「70年代後半に何度か起こった危機的状況の真っただ中、ジェームスは体勢を立て直し、大成功を収めたアレサ・フランクリンのツアーに参加することができた。」(引用以上)

この伝記にアレサの名が載っていることすら忘れていた私です。
アレサのツアー、やってたんじゃん!
この映像がその時期のものであることは、もはや疑う余地が無いでしょう。

arethafranklinaretha

その後、ジェマーソンは1980年に『ARETHA』というアルバムに参加しています。
レコードでの共演はこれ一枚しかなく、残念ながら晩年にさしかかるジェマーソンの演奏は精彩を欠く。
しかしこの『MIDNIGHT SPECIAL』の映像には、2人の最高のコラボレーションが記録されています。両者が本来の持ち味を出し切っていて、感動的ですらある。

arethafranklinsparkle

1976年のアレサと言えば、カーティスメイフィールドがプロデュースした名盤『SPARKLE 』を新作として世に出した年です。
それを引っさげたツアーにジェマーソンが同行していたという奇跡。
この動画でもラストに歌われる表題曲「SPARKLE」の素晴らしさたるや…。
名曲・名唱に加え、17:13あたりの跳ね方にジェマーソンの生き様を垣間見て、落涙を禁じ得ない…!

もっとこの組み合わせを聴いてみたかった…。
今頃は天国で、再び3者の素晴らしき共演が果たされていることでしょう。。。

合掌。


※貴重な「動くJJ」はこちらにも。