音の水族館

決して無名な訳ではないが、もっと陽の光に当たってもいい。 そんな音楽を不定期で紹介していきたいと思います。 目指すは、光の届かない遠浅に住む海の生き物たちを美しく展示する、音の水族館。 muzie→http://www.muzie.ne.jp/artist/a050337

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第219槽 布施明 『始まりの君へ』(後篇)

先週からの続きです!前回と今回の間に無事ゴーストの映画観てきました笑
内容は、まあこんなモンだよね、ってところでしょうか…笑

8作目:『仮面ライダー電王』
Climax Jump/AAA
 
作風に伴い明るく前向きな曲調になりました。作中のキャラクターに合わせた色々なバージョンがあることが特徴です。「いーじゃん、いーじゃん、すげーじゃん」という何ともおバカな掛け声が意外にも作品にフィットしています。

9作目:『仮面ライダーキバ』
Break the Chain/Tourbillon
 
Tourbillonって誰?と思う方も多いでしょう。驚くなかれ、LUNA SEA のRYUICHIとINORANによるバンドです。
これまた想定外の人選でしたが、曲は非常にタイトなロックでカッコいい。作品の重要アイテムでもあるバイオリンもフィーチャーされています。
どうでもいいですが、作詞/作曲ともTourbillonではないため、彼ら自身この曲に対するプロモーションは行ってはおらず、ベスト盤にも収録されていないようです。 個人的にこういうのは余り気に入りません。思い入れの多寡はあるでしょうが、タイアップにより新規の客層を得た、また今後も得うる作品を自ら蔑ろにするのは商業音楽をやっているプロの姿勢としてはどうなのでしょうか。自作でない曲を演奏するのが嫌ならば最初から断ればいいだけの話です。

10作目:『仮面ライダーディケイド』
Journey through the Decade/Gackt

まさかのGacktです。二作連続(元)ビジュアル系の、しかも大御所から持ってくるとは…
スピーディかつ優美で非常にカッコいい曲です。
Gacktはavex所属ではないのですが、この曲自体はavexから発売されています。また、この曲はGacktが作詞・作曲をしておらず、前作同様、アーティストにとって自身が作詞・作曲を手掛けていない珍しい作品、という位置づけになります。この曲はGacktのオリジナルアルバムには収録されていないようですが、ベストには収録されています。
余談ですが、Gacktはこの仮面ライダーディケイドの映画に俳優として出演してたりもします。それはもうノリノリでした笑

11作目:『仮面ライダーW』
W-B-X~W-Boiled Extreme~/上木彩矢

ここから平成ライダー第二期になります。
デジタルロックが多かった平成ライダーの主題歌の中では珍しくブラスを前面にフィーチャーしたゴキゲンなポップロックです。イントロのサックスが作品のテーマである「ハードボイルド」を示していて渋いですねえ。

12作目:『仮面ライダーOOO』
Anything Goes!/大黒摩季

個人的に平成ライダーの中で一番好きなのがこの曲。「とにかくハデハデなロックサウンドを頼む」という制作側の要望で作られたこの曲は、前作と同様ブラスをメインに据えているものの、テンポはより速く、テンションはより高い作りになっています。そして改めて大黒摩季の歌唱力の高さに圧倒されるばかりです。
知らなかったのですが、2011年には複数のプロ野球選手が登場曲に起用したそうです。

13作目:『仮面ライダーフォーゼ』
Switch on!/土屋アンナ

この時期はノリノリで明るいロックが続きます。決して悪くはないのですが、前作と曲調が似ている上、前作の方が勢いがあり、更にこれも仕方ないのですが土屋アンナの歌唱力では大黒摩季には叶うべくもなく…個人的にはちょっと可哀想な曲です。それにしてもこの頃になるとPVに仮面ライダーが出てくるのが当たり前になっていますね笑

14作目:『仮面ライダーウィザード』
Life is SHOW TIME/鬼龍院翔 from ゴールデンボンバー

まさかまさかの金爆。作品のイメージとか親和性とか大丈夫なのでしょうか・・・と不安もありましたが中々どうして悪くない。この人は本当作曲センス溢れてますね。
PVは完全なギャグテイスト。仮面ライダーでここまでハッちゃけたのは初めてではないでしょうか。一方作品は結構ダークです。。。

15作目:『仮面ライダー鎧武』
Just Live More/鎧武乃風

鎧武乃風とありますが、要は湘南乃風です。湘南乃風はトイズファクトリーですが、仮面ライダー作品である為avexから発売されています。
「戦国」「錠前」「鎧」「果物」とまるで関係ないモチーフを詰め込んだ平成ライダー中一番攻撃的な作品である本作ですが、曲も少し和風を感じさせたり、久しぶりにやや重たい曲調だったりと色々工夫が見られます。

16作目:『仮面ライダードライブ』
SURPRISE DRIVE/Mitsuru Matsuoka EARNEST DRIVE
 
SOPHIAのボーカル松岡君ですが、実は仮面ライダーWの映画の主題歌を歌っていたり、映画にも悪役で出演していたりと、仮面ライダーとは縁が多いイケメンです。
この曲は作品がメカニカルで近未来風になったことに合わせ、久しぶりにシンセを多用したデジタルロックに戻りました。いやー前向きで爽やか、凄く好きな曲です。

17作目:『仮面ライダーゴースト』
我ら思う、故に我ら在り/氣志團

やっと現行作まで来ました。
平成ライダーの主題歌の殆どの作詞を手掛けている藤林聖子が関わらず、作詞・作曲共に綾小路翔が担当しています。極めて珍しいスタイルであり、言ってしまえば普通のタイアップ、になるのでしょうか。
とは言え歌詞は作品の内容に沿ったもので、氣志團らしい泥臭くも暖かい応援歌に仕上がっています。

番外:『仮面ライダーアマゾンズ』
Armour Zone/小林太郎
 
アマゾンズは日曜朝にやっている一連の平成ライダーとは異なり、アマゾンプライムで今春放映された作品です。何かと制限/制約の多いTVでなくネット上を放送媒体とすることで、対象年齢を上げ、「製作者が本当に作りたい」仮面ライダーを描いています。
作品は硬派かつグロテスクで残酷ですが、非常に濃密。主題歌もそれに相応しい熱いハードロックに仕上がっています。



と言うことで全18曲つらつらと書いてきましたが如何でしたでしょうか。普段ご覧にならない方からすると、意外なアーティストが歌っているなーという印象を持たれたかと思います。平成ライダーの曲は職業作曲家と職業作詞家による、作品の為の曲でありながら、歌い手はJ-Popアーティストです。つまり、J-Popとアニソンの両方の顔を持つわけです。従来この二つは違う顔を持ち棲み分けがされてきましたが、徐々にその垣根は取り払われていくでしょう。今後もその展開を楽しみに待とうと思います。

さてさて、10月より新番組『仮面ライダーエグゼイド』が始まります。今度のモチーフは「ゲーム」とのことで、ここで主題歌を歌うアーティストを予想してみましょう。
おさらいですが、
・avex所属(例外あり)
・昔は売れたが、今はちょっと落ち目(例外あり、失礼!)
この二つがヒントになります。
あと、ここの所男性が続いているので次は女性が来るような気がします。

以上より筆者が予想するのは、、、島谷ひとみ、Do As Infinity、hitomi、BoA辺りでしょうか。
…倖田來未とか来ないといいなあ。笑

 

第219槽 布施明 『始まりの君へ』



今日は仮面ライダー特集行ってみましょう。
現在放映中の「仮面ライダーゴースト」の映画も始まり、秋から始まる新番組「仮面ライダーエグゼイド」の情報も出始め、先日アメトークでは仮面ライダー芸人もやったことですし。番宣?そうです、乗っかってます。
今、ライダーが熱い。

さて、と言うことで今回は「仮面ライダークウガ」から最新作「仮面ライダーゴースト」までの17作品から成る「平成ライダー」の主題歌について語ります。
番組の内容には詳しくは触れないので悪しからず。

まず、平成ライダーの主題歌は大きく3つの特徴があります。
①番組用に作られた曲である
②主題歌=番組名ではない
③J-Popアーティストが歌う

順番に説明します。
①番組用に作られた曲である
要は単なるタイアップではない、と言うことです。現時点の全17作品のうち、「龍騎」と現在放映中の「ゴースト」を除く15作品の作詞を藤林聖子さんが手掛け、その内容は番組とリンクしたものとなっています。時にその歌詞は番組の展開上伏線となっていることもあり、作品に合わせて熟考されていることが分かります。

②主題歌=番組名ではない
正確には三作目「仮面ライダー龍騎」からそのようになっています。と言うのも、前2作「クウガ」、「アギト」は昭和から平成初期まで続いたいわゆる「昭和ライダー」と総括される作品群から、10数年のブランクの後新たに作られた作品であり、ライダーのデザインや内容も、昭和の作品を踏まえ尊重したものになっている為です。
一方、3作目「龍騎」からはその既成概念や「仮面ライダーはこうあるべき」という不文律に真っ向から立ち向かう実験的な作品が増えてきます。その挑戦の一環として、「作品名と主題歌を切り分ける」ことにしたのです。歌詞の中にも「仮面ライダー〇〇」とそのまま名前が出てくることはありません。なお、「龍騎」より前は主題歌は全て男性が歌っていたのですが、「龍騎」は声優の松本梨香さんが担当し、その意味でも革新を図っています。

③J-Popアーティストが歌う
アニメであればタイアップ以外の場合、アニメソング歌手とカテゴライズされるアーティストや声優が歌うことが多いと思います。実際同じ日曜朝特撮の戦隊モノは、特撮を専属するアーティストが担当することが多いです。
一方仮面ライダーは本当に普通にJ-Popアーティスト(主にavexグループ)が担当します。しかも、普段は自分らで曲を作るアーティストが多い中、仮面ライダーの曲は作詞・作曲とも自分らで行わないことが多いのです。要するに「歌手」として呼ばれている、という訳なのですね。毎度毎度この人選が面白いのです。


以上①~③が、ライダー主題歌の構造的な特徴になります。



さて、ここで一旦表題の曲に話を移します。「始まりの君へ」は6作目「響鬼」の後期OP曲ですが、これは現在を含めても、番組内容も音楽も異色作です。布施明さんと言えば「君は薔薇より美しい」や「シクラメンのかほり」で知られる超大物歌手。キャリアも50年を数える超実力派歌手が、子供向け番組の主題歌を歌う、と言うことで話題になりました。
そりゃそうですよね。仮面ライダーのメイン視聴者層である幼稚園~小学生の子供たちはまず布施明さんのことを知らないでしょうし、下手すれば一緒に見ているご両親層ですら怪しい。
だからこそ、「こんなに歌巧い人がいるんだ」と新たな発見となり、事実「響鬼」の主題歌になったこの曲と「少年へ」は布施さんの2000年代におけるセールス上位となっています。

やや演歌っぽさもありますが、オーケストラをバックにした伸びやかで壮大な楽曲はとても美しく、時代を超えた一つの「歌」としての力を確かに持っています。サビ終わりの長音は鳥肌ものです。因みに作曲は作曲家の佐橋俊彦さん。流石です。




ここからは17作品全て一言ずつ記載します。毎年ちょっと意外と言うか、「この人持ってくるんだ~」と思わせるアーティストが担当します。言い方は悪いですが「昔ヒットチャートを賑わせたが最近は見なくなったなー」という位置づけの人が多いです。(予算の関係ですかね!←身も蓋もない)

1作目:『仮面ライダークウガ』
仮面ライダークウガ!/田中昌之

上にも書きましたが、これと次作「アギト」はまだ昭和ライダーを引きずっています。曲名=番組名で、歌詞の中にも「仮面ライダークウガ」が出てきます。曲調も現在のような激しさは余り感じさせない緊張感を前面に押し出したものです。こちらも作曲は佐橋さんです。
なお、歌は元クリスタルキングの田中昌之さん。この頃から意外性のある人選と言う傾向は始まっていたのです。
いずれにせよ、平成ライダーの礎と築いた名作です。因みに主役はご存知オダギリジョー。

2作目:『仮面ライダーAGITO』
仮面ライダーAGITO/石原慎一

番組同様クウガと同じ方向性を持った曲。ライダーのデザインも似てますしね。歌手は石原慎一さん。彼のみ特撮を中心とするアーティストで、J-Popアーティストが多い平成ライダーの中ではどちらかと言うと異色の人選です。
「見てるだけの君でいいかい?」と言う歌詞が個人的に凄く好きです。

3作目:『仮面ライダー龍騎』
Alive A life/松本梨香

上にも書いたように、ここから大転換が始まります。番組内容も「13人の仮面ライダーが殺し合う」と言う、従来の「仮面ライダー=正義」という概念を真っ向からぶち壊す衝撃的なものだったのですが、それに合わせて主題歌も変わります。タイトルが作品名でなくなり、女性である松本梨香が歌い、曲調もシンセを多用しアップテンポになり、以降の方向性を決定づけた一曲だと言えるでしょう。

4作目:『仮面ライダー555』
Justiφ's/ISSA

(ちょっと落ち目の)J-Popアーティストを起用する、という流れはこの作品で確立したと言えるでしょう。まさかのISSA。曲はビートを強くし、シンセが目立つようになってきます。簡単に言うとデジタルロック感が強まりました。

5作目:『仮面ライダー剣』
Round ZERO~BLADE BRAVE/相川七瀬

相川七瀬、久しぶりです。曲調は非常にカッコいいのですが、前二作と似ているっちゃ似てるかな?特筆すべきはベースラインでしょうか。

6作目:『仮面ライダー響鬼』
少年よ/布施明

正確にはED曲ですが、主題歌と言うことで。始まりの君へ、と同じ佐橋さんが作曲されています。この曲はミュージカルナンバーのように美しい曲を、という意気込みで作ったとのこと。エバーグリーンな輝きを持つ名曲です。

7作目:『仮面ライダーカブト』
NEXT LEVEL/YU-KI(TRF)

打ち込みとテクノ感、アップテンポ化を加速させた非常にスリリングな曲。TRFを持ってくるなんて予想できないよな~。細かいところで1番と2番のサビでメロディが少し異なるのが面白いです。


…当初は一回で終わらす予定だったのですが予想外に長くなったので続きます。
番宣対象のゴーストまでたどり着けなかったよ!笑 

第218槽 Captain Beefheart & His Magic Band 『Frownland』



世に様々な音楽はあれど、ここまで強烈な個性を放つ音楽はそうそうないでしょう。Captain Beefheartの登場です。
彼の音楽は自由を通り越して無秩序。と言うか無秩序の域を超えています。普通音楽を作る時、奏でる時は意識しないと自分が気持ちのいい進行、展開に落ち着きがちになるのですが(人が気持ち良いと感じる音の繋がりを理屈化しものが音楽理論です。) 彼の場合そんな常識は何処吹く風。気ままどころか思いついたフレーズを全く検討せずに全てぶち込んだような音楽です。

料理に例えるなら、冷蔵庫の中の目につくものを片っ端から鍋に放り込み、あるいは切り刻み、茹で、時には生で、アイディアのままに皿に並べていくかのように。

絵画に例えるならシュールレアリズム、特にオートマティズム。何も考えず何も目指さず、身体反応と反射神経と感情の赴くままに画面を構成していくかのように。

不協和音?そもそもチューニングすら怪しい。
ポリリズム?そもそもビートなんて気にしない。

酩酊状態でジャカジャカ掻き鳴らしたそのままを録音したのか?と思うほど奇抜で無節制。男くさいブルージーさがベースになってはいますが、良く分からない奇声や笑い声や音が散りばめられ、結果全くもって良く分からない。
この曲は『Trout Mask Replica』と言うアルバムの一曲目なのですが、力まず、気負わず、だらーんと聞いてください。最初の数曲はまあ何となくこんな感じねとなると思いますが、5曲目でひたすらサックスの音出しのような吹き鳴らしが2分続く辺りで、あ、このアルバム、と言うかこの人、理解しようとしちゃいけないんだなと気づく筈です。頭で理解しようとするのでなく感性の赴くままに受け入れることが大事なのです。

ドギツイ極彩色とくすんだ茶色のマーブル模様で塗りたくられた、凸凹した歪な球体のような音楽なのです。


…と、まるで自由な感性の極致のような作品という体で紹介してきましたが、ごめんなさい、嘘です。
何故ならこのアルバム、全て記譜通りに演奏された、計算され尽くした作品だからです。
アルバム再現など無理だろ、むしろ二度と同じ演奏にならないだろ、と思わせるこの作品ですが、ビーフハートは「演奏経験のない」ピアノを手探りで弾き、それを友人に聞かせ、記譜させ、再現させ、完成させたのです。単なるインプロの集合体でなく、感性のアンテナに引っかかったカケラを全力で集め、熟慮の上再構成して作られたのです。

それは全く新しい手法であるばかりか、「作曲をするのに楽器が弾けた方が良い」という既成概念すらぶち壊す問題提起でもあったのです。

かくして、「全くデタラメな音を完璧に再現する」28曲から成る世紀の問題作は産まれたのでした。日常的な音楽や耳ざわりの良い音楽に飽きてきた人、原始的な衝動を呼び起こしたい人には是非聞いてもらいたい一枚です。ですが、必ず気に入る、なんて言えません。むしろ受け入れられない人の方が多いでしょう。

勿論、苦痛を乗り越える必要もありません。大切なのは世の中にはこんな音楽もあるのだな~と感心して、このデタラメおじさんの酔狂にニヤニヤすること。きっとビーフハートもそんなやれやれなリアクションを望んでいることでしょう。

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