May 31, 2016

風を知るータンデム飛行2&Documenting my WIND STUDY!

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photo: Miyake Kotaro

<2015年8月4日の事>

風を知るータンデム2

昨日に引き続き霊石山からのフライト。風はある。むしろ強すぎるくらいで、今日は風が乱れている。前回は全力で駆け下りた崖もほんの2メートルほど歩いたかどうかという程度で、キャノピーが風を受け、崖側に落ちるどころか、むしろ斜面から引き剥がされる感じでいとも簡単に浮かび上がった。

眼下の樹々も田んぼも風で揺れている。斜面を駆け上がる気流を観察し、サーマルの位置を市川さんは正確に捉えるとそちらに寄せてゆく。サーマル(上昇気流)のコアに入った時の上昇圧は、まるで強い海流に下からつき押されるような感触。ハーネスに深くはまる位置に動くと、空中で座っている様な感覚になる。そのハーネスの底面から伝わってくるエネルギー、耳元を轟音で吹き抜ける風から大気はかたまりで流動していることを知る。

サーマルにも大きなものと小さなものがあり感触は違う。眼下の樹々の葉の揺れ具合ー広葉樹の葉などは裏返って白くなる、稲が揺れて上空からは黒い影かモアレのように見えるーなどからあらかたの予測を立て、サーマルをつかむ。

高度は上がり、気がつくとテイクオフした頂上を見下ろす形になり、手を振るスタッフの姿が見えた。彼女の顔が笑顔なのがわかるくらいには近いが、地表からの高度はすでに350m。近くにはハンググライダーが二機、そしてトンビが一羽。音もなく、滑るようにして滞空し、近づいてきては遠ざかる。

パラグライダーを何度か大きくスウィングさせ、高度をさげ、想像以上にソフトタッチで川沿いの草地に降り立つ。飛び立つ前に遠くに見えていたこの場所に降り立ち、あそこから飛んだのか、と山を振り返る。「飛ぶ」という言葉には思っていた以上に振れ幅が大きいと感じた。そのことを話し、どうやって大気の流れと一体になるのかと質問すると、風を知る人は一言「一体?ではないですねぇ。ただ遠くにいきたい、と思って状況に対応してるだけですよ」と言った。

本日の滞空時間約20分。

お礼を言ってインストラクターの方と別れ、私はスタッフの三宅君と2人と帰り路に着く。ひとしきり空中で得た感覚を興奮気味に語り終えると、彼が「パラグライダーの起源の話し聞きました?」と尋ねてきた。彼が言うにはアルピニストの一部で、山を降りる際にパラシュートで降りるというやり方があって、そこからいろいろと改良されて、今のパラグライダーの形になってきたそうだ。まだ30年程度の歴史だとか。そういえば命知らずのフリークライマーが断崖絶壁をロープなしで素手で登り、登頂後に、背中に背負った小さなパラシュートで降りる映像を見た事があるが、あんな感じだろうか。
「だから楽したい、っていうのが起源にあるんですよ、って笑いながら仰ってました。」と彼は言い添えた。

体力的な問題もあるかもしれないが、登って来た山道と全く違うルートで帰りたい、完全に違う体験をしたい、ということもあるんじゃないかと思う。確かに歩いて降りるよりは圧倒的に楽だし、楽しいのは間違いないと思うけれど。
私の場合は空の上にいるだけで妙に笑いがこみあげてくるような、内側から活き活きと湧いて来る喜びを感じた。目に自然と良い力がきて、毛穴がひらき・・・普段私の体を地面にしっかりと結びつけている重力から、束の間だが、自由になったように感じ、何か勝ち誇った様な気分になった。そしてそれを心から楽しいと感じ笑いが止まらなかった。
遠くへいきたい、空を飛びたい、そういう意思と気象条件というコントロールの対象外にあるパラメーター、その2つが接する時に、サーマルのあの圧力が私の体を押し上げるのだ。あの感触と、あの風の音をきっとこの先何度も思いだすだろう。

soundartist77 at 22:15│Comments(0)WIND STUDY | 2014-2015 Tottori

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