2006年01月21日

不沈の想い

自分の時も含めてセンター試験の日は毎年のような気がするけれど、それは今年も例外ではなく、朝からしんしんと雪が降っていた。
受験生泣かせの雪。別にセンター試験は1月の何日って決まっているわけではないのに、どうしてこうもまた毎年狙ったように降るんだろう。
そんなことを思いながら、最近見た映画「男たちの大和/YAMATO」を思い出した。

1941年12月16日、今から60年以上前。
恐らく気温も今よりだいぶ低いであろう冬の日に「戦艦大和」は生まれた。
当時は“世界最大最強の不沈戦艦”が完成したとして、「こんなものが造れるんだから、日本はアメリカなんかに負ける筈がない」という風潮だったらしい。
しかしそんな思いとは裏腹に戦況は悪化していき、沖縄本土決戦を目の前にした1945年4月5日、遂に大和に“水上特攻作戦”(歴史的には“菊水一号作戦”として記録されている)が命ぜられてしまう。
戦闘機などの何の援護も無しに、大和一艦でただ敵陣に突っ込んでいく決死の作戦。
この映画では、その特攻作戦に臨む総勢3333人の大和乗組員たちの想いが力強く語られていた。

この映画の中で最も印象に残ったシーン。
それはこの作戦が特攻作戦であることを知らされ、水兵たちが上官である臼淵大尉に詰め寄るシーンだ。
「これじゃただの犬死じゃないですか!自分たちが死ぬ意味はあるのですか!?」
興奮して答えを求める水兵たちに向かって、これまで「武士道」や「死ニ方用意」について教えてきた臼淵大尉は、
「敗れなければ分からないことがある。もはや日本は、敗れて目覚めるしかない。我々はその先陣として死に行くのだ。」
と言った。

敗れて目覚めるしかない。
彼らは日本を敗れて目覚めさせ、生まれ変わらせるために死地へと赴いた。
確かに“失敗して初めて分かること”は世の中にたくさんあるかも知れないけれど、なんて大きな犠牲を払った“理解”だろう。
今まで「特攻作戦」とは軍の精神主義教育による半ば洗脳的なもので、一個人の意思や考えなど全くないものだと思っていた。
でも、実際にはひとりひとりの、この大和だけでも3000以上の“日本を生まれ変わらせる”という強い意志が込められている。
今の平和な世の中は、そんな彼らの想いの上に成り立っているんだと再認識した。
「戦争はしてはいけないもの」と小さい頃から漠然と教えられ、常識的なこととして考えてきたけど、今回初めて人物の細かい描写にまでこだわったエピソードを見た。
具体的なレベルで心からそう感じたのも、初めてのことかも知れない。

もうひとつ思うのは、これがたった60年前の出来事ということ。
60年前にはこういったことがごく当たり前に行われていたということだ。
平和な社会の中で今こうやって映画を見たり、その感想をインターネット上で書くことができるのも、彼らの命を賭した”日本を生まれ変わらせる”という想いの上に存在しているもの。
これから日本を支えていくであろう自分たちにとって、これは心の隅に常に置いておかなければいけないことだと思う。

今から20年前の夏、北緯30度43分・東経128度04分(公式大和沈没地点)、345mの深海底から大和の一部が初めて引き上げられた。
当時は大きく取り上げられたニュースだったらしいけど、その時6歳くらいだった自分にもちろん記憶はない。
その後も引き上げ作業はずっと続いているようで、何年か前に「また一部が引き上げられた」というニュースを見た記憶があるけれども、その時も別に気に留めることはなかった。
でももし今後、再び大和の残骸が引き上げられることがあったら、その時は10秒でも手を合わせて黙祷し、先人たちに祈ろうと思う。

広島の呉市には、撮影で用いられた実物大の戦艦大和が展示されているとのこと。
同市にあるという「大和ミュージアム」と合わせて、近いうちに足を運んでみたい。
  

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2006年01月14日

ホリデイ

BUMP OF CHICKENの「ホリデイ」という曲の中に、
“失敗しない 雨も降らない人生なんて ない”
というフレーズがあるけれど、今日は久し振りに雨降りの休日だった。

普段は相変わらず真っ暗なうちに起きているので、休日の朝くらいは明るくなるまで寝ていたいと思うのだけど、今日はいつまで経っても外は明るくならない。
そんな中、眠気なまこに手帳をパラパラと捲りながら、今後訪れる休日を確認してみた。
今年の連休事情はどうなっているんだろう。

2/11(土) 建国記念の日 土曜日なので振替休日なし
4/29(土) みどりの日  振替休日なし!
9/23(土) 秋分の日   振替休日なし!!
12/23(土) 天皇誕生日  振替休日なし!?

“国民の祝日”全15日中、4日が土曜日に当たってしまうなんて!
単純計算でも期待値は(1/7)*15=15/7で、せいぜい2日くらいだというのに。
中でもGWと密接に関わる、4/29−みどりの日−が土曜日になってしまったのはあまりに痛い。
こんなならハッピーマンデー制をどんどん導入すればと一瞬思ったけれど、だいぶ前に「祝日に込められた本来の意味が見えなくなってしまうのでは?」なんていう文章を書いた記憶があるから、大きな声では言えない。

そんなわけで、せっかくの休日なのに朝から完全にブルー。
贅沢は言えないけど、このところ連休続きだったからなぁ。
土日だけというのはどうしても短く感じてしまう。
いつの間にか空は明るくなりかけていたけれど、起きる気力はだいぶ削がれてしまった。

あと 2回 寝返りしたら 試しに起きてみよう
あと 3回 寝返りしたら 今度こそ起きてやろう
  
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2006年01月11日

愛着心(あいちゃくごころ)

パソコンにしろ携帯電話にしろ、あるいは毎朝使っているコーヒーカップのような小物にしろ、永く使っているとその分だけ時間と一緒にその時々の状況、思いを共有するわけで、だんだんそのものに対する思い−愛着心−も出てくると思う。

実は今週から勤務先が突然変更になり、年始に買っておいたSuica定期券を急遽、書き換えることになった。
Suica定期券は定期券としてだけでなく、お金をチャージしておけばきっぷを買うことなくどこでも行ける便利なカード。
定期の更新のときも、“モノを取り替えることなく”同じカードに上書きすることができる。
そんなわけで、今まで勤務先は何度か変わることはあったけれど、4月からずっと同じカードを使い続けていた。

新宿駅東口。
みどりの窓口でSuicaを出し、定期券の行き先を変えたい旨を伝える。
すると係の人は印字されている有効期間と行き先を見て何やら計算し出し、「これなら一回全部払い戻した方が700円ほど安いですね。」と言いながら古いカードをさっさと回収し手続きを済ませ、気が付いたら新しいSuicaと行き先変更による差額分、それからもともとSuicaにチャージしてあった分のお金が緑色のギザギザした台(お金置くところ)に載せられていた。

なんだかなぁと思う。
いくら消耗品とは言え、あのSuicaは4月からの2時間通勤を9ヶ月間共に耐え抜いた、いわば戦友のようなものだ。
古い行き先が消え切れずに残っているのも、そこに味があっていいなと思っていた。
それがこんなかたちであっさり回収されてしまうとは。
700円なんていう金額で、自分の意思を表明する間もなくことが進んでしまったことが無性に悔しかった。

そんなことを考えながら自動販売機で新しいSuicaにチャージをし、新宿駅の東口から西口へ行こうとしたら、有効期間が「翌日から」になっているのに気づかず、さっそく入場料130円取られてしまった。
しかも西口出るときにバタンと引っかかる。
定期券のとき以外は、入場券として使えないらしい。
何をやってるんだか。
もっとポジティブに考えよう。

まぁさっきも言ったように、ICカードなんて消耗品だし、来年以降、私鉄やバス乗り入れが可能になったときに、一斉に交換になるかも知れない。
いつか交換する時というのがたまたま今回来ただけで、それも1月というきりの良い時期に来たのだから、良しとしよう。
そんなわけで新しいSuicaさん、これからよろしく。
  
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2006年01月07日

東京のおみやげ(3)

東京のおみやげシリーズ第3弾。
もう正月休みではないけれども、これだけは挙げておきたい。

○東京ばな奈バウムブリュレ
販売元  グレープストーンHD 東京ばな奈ワールド
価格   1150円(ホールサイズ)
購入場所 JR東京駅南通路 Monthly Sweets
賞味期限 購入日から2日
格付け  ☆☆☆☆☆
コメント
筆者が選ぶ、キング・オブ・東京みやげ。格付けは最高評価の五つ星を付けさせて頂いた。
これをおみやげに持っていけば、普段は仏頂面の友人も思わず笑みが零れるに違いない。
ほのかにバナナが香るベースのバウムは深みのある甘さを演出し、周りにコーティングされたブリュレは歯触りの良い食感と、先の甘さと綺麗に調和するほろ苦さを醸し出す。
バウムとブリュレ。まさに「二つで一つ」を名で表す傑作である。
2005年11月にオープンしたばかりの小洒落た店頭では、パティシエがブリュレをバーナーで焼くところを見学することができる。
始めは白かった砂糖がみるみるカラメル色になっていく様は、見ているだけで圧巻。
賞味期限は「2日」となっているが、ブリュレのパリパリ感を堪能できるのは当日限り。
一人暮らしの友人に持っていくときなど手軽なハーフサイズも用意されているが、購入の際にはやはり、威風堂々としたホールサイズを選択したい。

○東京ばな奈しっとりクーヘン
販売元  グレープストーンHD 東京ばな奈ワールド
価格   680円(5個入り)
購入場所 JR東京駅南通路 Monthly Sweets
賞味期限 購入日から5日
格付け  ☆☆☆☆
コメント
3色のグラデーションが美しい、しっとりした食感のバウムクーヘン。
3つの色はそれぞれプレーン、ばなな、チョコレートに対応している。
また、このしっとり感は米粉、もち米、小麦粉の3つの配合バランスが演出しているとか。
見た目も風味も食感も、やはり3つのバランスが絶妙で、あくまで「3」という数字にこだわる、芸術的な商品。
3つの呼吸で味覚に詰め寄る、強力で美しい三段攻撃は例えるなら「乱れ雪月花」といったところか。
店頭ではライトユーザ向けに安価なカットタイプも販売されているが、おみやげに持っていく際にはもはや言うまでもなく、バウム本来の姿を表わしたホールタイプを購入するべきだろう。
それが作ってくれたパティシエに対する礼儀であり、通すべき筋であると思う。

さて、今まで3回に渡ってやってきた東京のおみやげシリーズだけど、今回でとりあえず終わりにしたいと思います。
もう本格的に仕事も始まって、こんなこと書いてる場合じゃないような気がするし。
ただ、文章を書くこと自体は結構好きで、自分のストレス解消にもなっているので、今まで通り一週間に一回くらいは自分の思ったこと、感じたことなんかを綴っていければと思っています。
  
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2006年01月03日

東京のおみやげ(2)

東京のおみやげシリーズ第2弾。
なんか正月早々くだらないことをしてる気がしてきたけど、正月だからこそこんなことができるのだと思う。

○和菓子になった東京ばな奈
販売元  グレープストーンHD 東京ばな奈ワールド
価格   500円(5個入り)
購入場所 JR東京駅南通路周辺
賞味期限 購入日から6日
格付け  ☆☆☆
コメント
説明書によると、東京ばな奈が“ガンコ和菓子職人”に相談してこの形になったらしい。
その名の通り和菓子タイプの東京ばな奈であるが、この商品にはバナナペーストクリームは入っていない。
和菓子職人の誇りに誓って、そんな西洋かぶれのクリームは断じて使わないと言ったところか。
ではその実態はと云うと“白餡が入った薄皮饅頭”というのが一番分かりやすい。
言うまでもないが、白餡はカタカナ禁止の“婆南那風味”に仕立てられている。
なんか職人っていうか、暴走族みたいなんだけど。

○ごまたまご
販売元  銀座たまや
価格   680円(9個入り)
購入場所 JR東京駅南通路周辺、JR中央線快速(1、2番線)ホーム下
賞味期限 購入日から約2週間(ただし開封後はなるべくお早めに)
格付け  ☆☆☆
コメント
岩手県の有名なおみやげに「かもめのたまご」というのがあるが、実はこの「ごまたまご」、製造元が一緒らしい。
東京みやげとしては「かもめのたまご」は取り扱えないから、アレンジして別商品・別会社として販売しているとか。
黒胡麻ペーストクリームを中心として、その周りに白餡(これにも胡麻が練りこまれているため、見た目は白くない)、スポンジ生地、更に外殻をホワイトチョコが覆う4層構造のお菓子。
サイズは少々大きいが、一口で一気に食べてしまうのが通だと思う。
意外と有名らしいが、個人的にはちょっと飽きが来やすいかなとも感じる。
しかし胡麻は「食べる丸薬」とも呼ばれる食材。
お菓子を食べつつ健康にも良いなんて、なんて幸せなおみやげだろう。

今日はこの辺で。
更新もラクで、これなら毎日でもいけそうだけど、なんか後から読み返すと後悔しそうな内容だなぁ…。
  
Posted by sounding_sea at 09:42Comments(5)TrackBack(1)

2006年01月02日

東京のおみやげ(1)

新年明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

さて、前にも少し触れたことがあったけど、去年の研修期間中、長い通勤時間をなんとか実りあるものにできないだろうかと思い、東京のおみやげをいろいろと試していた。(詳しくは2005年11月13日「東京人(とうきょうびと)」を参照してください。)
そして誰に見せるでもなく、評価リストなんかを作っていたんだけど、この度せっかくだから何回かに分けて、ここに掲載していこうと思います。
因みにコメント欄はすべて管理人の主観によるものですので、ここは違うぞ!という意見があったら遠慮なくお知らせください。
「はいよろこんでー!」と居酒屋ばりの早さで編集させて頂きます。

○名菓 ひよ子
販売元  東京ひよ子
価格   735円(6個入り)
購入場所 JR東京駅南通路周辺
賞味期限 購入日から約2週間
格付け  ☆☆☆☆
コメント
東京みやげといったらこれかあるいは「東京ばな奈」というくらい、有名なお菓子。
昔、ロバ製菓という会社(あえなく倒産)から「ぽんぽこまんじゅう」というたぬき型の饅頭が発売されていたが、味はそれに酷似している。
くどくて飽きるという意見もあるが、自分としてはそうでもないと思う。
中身の黄身餡には厳選の隠元豆(手芒豆)を使用しており、美味。
また、皮(生地)には専用の「ひよ子粉」が使われているとか。ひよここ?
焼き加減が個体ごとに違うというところにかえって好感が持てる。
ひよ子サブレー、ひよ子プチッとタルト、ピヨピヨもなか等、姉妹品多数。

○東京ばな奈
販売元  グレープストーンHD 東京ばな奈ワールド
価格   1000円(8個入り)
購入場所 JR東京駅南通路周辺
賞味期限 購入日から6日
格付け  ☆☆☆☆
コメント
いまさら説明の必要もない、東京みやげの権威。
“全国もらって嬉しいおみやげランキング”のトップ10常連商品。(因みに1位は毎回不動、言わずと知れた仙台“萩の月”である)
外見はヤマザキ製パン(株)の「まるごとバナナ」に若干似ているが、まるごとバナナは入っておらず(?)、中身はバナナペーストクリーム。
国立在住の友人N.K.曰く「甘すぎず、飽きの来ないところが良い」とのこと。
甘いものが苦手な人にもオススメかも。
キャッチフレーズは「東京ばな奈、見ぃつけたっ。」

とまぁ、こんな感じで少しずつやっていこうかと思います。
正月早々食べもの(お菓子)の話を取り上げるのはどうかと思ったけど、こういうの、勢いがないとできないからね。

次回予告→和菓子になった東京ばな奈、ごまたまご
  
Posted by sounding_sea at 12:24Comments(2)TrackBack(0)