
袁紹との決戦に勝利した曹操軍でしたが、その喜びに水を差す人物がいました。
烏巣(うそう)への奇襲を進言した許攸(きょゆう)です。
確かに彼がいなければ、曹操軍の勝利はなかったかもしれませんが、
許攸はおごり高ぶり、酒に酔って自分の功績を誇る
ばかりか、諸将を馬鹿にした態度をとり規律を乱します。
「人間、偉くなってもこうなってはいけない」という典型ですね(笑)。

曹操も内心、不快に思っていましたが、彼の功績も大きかったので
公然と処罰することができずにいました。しかし、祝勝会の夜に
許攸が一人になったところで、許褚に命じてあっさりと斬らせてしまいました。

冀州の黎陽(れいよう)を占領し、家族を呼び寄せた曹操は、
久しぶりに一家団欒のひとときを過ごします。
妻の卞(べん)、曹丕、曹彰、曹植の3兄弟とともに卓を囲む曹操。
久々に登場した卞夫人、相変わらずの美貌です。
曹操は、国作りの考え方が異なる荀彧の陰口を叩こうとした曹丕を
「それ以上いうな」と制します。図星だったからでしょうか?
楽しいムードもしらけてしまいました。

そのころ、袁紹に最期の時が訪れました。
官渡・倉亭の戦いに敗れて以来、河北では反乱が頻発するようになり、
心痛のあまり病床に伏していましたが、建安7年(202年)5月、
妻子たちに看取られ、ついに世を去ったのです。
・・・個人的には正直、袁紹はもう少し有能な人物として描いて欲しかったです。
河北で独立してからの袁紹は、まったくいいところがありません。
それは、ある意味史実通りなんですが、そもそも、
なぜ、袁紹はあれだけの大勢力を誇ることができたのか、
ドラマなりに、もう少し「大物」として描いても良かったように思えます。
そういう意味で呂布も物足りなかったです。
ライバルを大きく見せることによって、曹操の偉大さが、
さらに引き立ったんではないか・・・、と私は考えるのですが、どうでしょう?
さて、「袁紹死す」の報を聞いた曹操も、さすがに衝撃を受けたようですが、
これで怖いものがなくなりました。曹操は袁紹の領地を受け継いだ、
袁譚、袁煕、袁尚の3人を争わせて自滅させようと手を廻します。
曹操はそれを足がかりに、袁紹の旧領地である河北統一をめざすことになります。

卞夫人は、曹操にあるものを手渡しました。
それは布に書き留めた胡人の歌。匈奴(きょうど)の商人が歌っていたものといいます。
一読した曹操は、懐かしい思いにとらわれました・・・。
その作者が誰であるかは、本編で明らかになりますが、詳しくは次回で記しましょう。

そのころ、鄴(ぎょう)城では袁紹の葬儀が行なわれていましたが、3人の子は
座る席の位置で揉め事を起こします。それと言うのも、袁紹が後継者に命じたのは
末っ子の袁尚だったので、長男の袁譚はそれが面白くないのです。
次男の袁煕には欲がなく、兄と弟を仲裁しますが、収拾がつきません。
こうして河北は身内同士での内紛により、混迷の度合いを深め、
曹操のさらなる進出を許していくのです・・・。
>ライバルを大きく見せることによって曹操の偉大さが引き立つ…。
哲舟さんのおっしゃる通り、同感です。その点ちょっとザンネンなとこありますね。