38-1
袁紹との決戦に勝利した曹操軍でしたが、その喜びに水を差す人物がいました。
烏巣(うそう)への奇襲を進言した許攸(きょゆう)です。

確かに彼がいなければ、曹操軍の勝利はなかったかもしれませんが、
許攸はおごり高ぶり、酒に酔って自分の功績を誇る
ばかりか、諸将を馬鹿にした態度をとり規律を乱します。
「人間、偉くなってもこうなってはいけない」という典型ですね(笑)。

38-2
曹操も内心、不快に思っていましたが、彼の功績も大きかったので
公然と処罰することができずにいました。しかし、祝勝会の夜に
許攸が一人になったところで、許褚に命じてあっさりと斬らせてしまいました。

38-3
冀州の黎陽(れいよう)を占領し、家族を呼び寄せた曹操は、
久しぶりに一家団欒のひとときを過ごします。
妻の卞(べん)、曹丕、曹彰、曹植の3兄弟とともに卓を囲む曹操。

久々に登場した卞夫人、相変わらずの美貌です。
曹操は、国作りの考え方が異なる荀彧の陰口を叩こうとした曹丕を
「それ以上いうな」と制します。図星だったからでしょうか?
楽しいムードもしらけてしまいました。

38-6
そのころ、袁紹に最期の時が訪れました。
官渡・倉亭の戦いに敗れて以来、河北では反乱が頻発するようになり、
心痛のあまり病床に伏していましたが、建安7年(202年)5月、
妻子たちに看取られ、ついに世を去ったのです。

・・・個人的には正直、袁紹はもう少し有能な人物として描いて欲しかったです。
河北で独立してからの袁紹は、まったくいいところがありません。

それは、ある意味史実通りなんですが、そもそも、
なぜ、袁紹はあれだけの大勢力を誇ることができたのか、
ドラマなりに、もう少し「大物」として描いても良かったように思えます。
そういう意味で呂布も物足りなかったです。

ライバルを大きく見せることによって、曹操の偉大さが、
さらに引き立ったんではないか・・・、と私は考えるのですが、どうでしょう?

さて、「袁紹死す」の報を聞いた曹操も、さすがに衝撃を受けたようですが、
これで怖いものがなくなりました。曹操は袁紹の領地を受け継いだ、
袁譚、袁煕、袁尚の3人を争わせて自滅させようと手を廻します。
曹操はそれを足がかりに、袁紹の旧領地である河北統一をめざすことになります。

38-4
卞夫人は、曹操にあるものを手渡しました。
それは布に書き留めた胡人の歌。匈奴(きょうど)の商人が歌っていたものといいます。
一読した曹操は、懐かしい思いにとらわれました・・・。
その作者が誰であるかは、本編で明らかになりますが、詳しくは次回で記しましょう。

38-11
そのころ、鄴(ぎょう)城では袁紹の葬儀が行なわれていましたが、3人の子は
座る席の位置で揉め事を起こします。それと言うのも、袁紹が後継者に命じたのは
末っ子の袁尚だったので、長男の袁譚はそれが面白くないのです。

次男の袁煕には欲がなく、兄と弟を仲裁しますが、収拾がつきません。
こうして河北は身内同士での内紛により、混迷の度合いを深め、
曹操のさらなる進出を許していくのです・・・。