こんばんは! ドラマ『曹操』案内役の哲舟です。
いよいよ昨日から、第2部(7~12話)「漢室衰退」がリリースされました。
すでに、手元にお持ちの方やご覧になった方もいらっしゃるかと思います。

少し遅れていますが、今夜は第4話のあらすじ解説をさせていただきます。

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新たなる任地、頓丘(とんきゅう)に県令としてやってきた曹操ですが、
民衆を蹴散らして役所へ向かって以来、まるで人が変わったかのように蓄財に励み、
有力豪族の王福とべったり癒着して、まともに政務をとろうともしません。

見かねた、甥の曹安民(そうあんみん)が、苦言を呈しますが、
曹操は相手にせず、馬に乗ってどこかへ出かけてしまいます。仕方なく、後を追う曹安民。

向かった先では、王福の弟分の王坦(おうたん)が、民を集めていました。
王福らは、肥沃な田畑のある土地を、たった50銭で買い取り、
自分らのものにしようとの魂胆で、また民衆を虐げようというのです。
曹操も何もいわず、それに加担しています。

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そうした横暴さに耐えかね、反発した民衆らは暴動を起こそうと画策し、
花火を合図に決起しようとしますが、あらかじめ見抜いていた曹操らは民を取り押さえます。

そこへ王福が悠々と乗り込んできて、民らを始末しようとしました。その瞬間、
曹操の手下の許褚(きょちょ)、夏侯惇、夏侯淵、曹仁が率いる伏兵がどっと沸き出し、
王福の兵たちを攻撃し、叩きのめしにかかりました。

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予想だにしていなかった曹操の裏切りに驚き、慌てふためく王福、王坦。
すかさず、曹操は王坦を刺し殺し、傍らにいた男が王福を刺しました。

男の名は、程昱(ていいく)。
曹操とは以前からの知り合いで、その密命を受けて
密かに民たちの間に潜り込んだ王福の密偵のふりをしつつ、
実は王福らを倒す機会を伺っていました。王福と民との両方を騙していたのです。

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この写真だけを見ると、まるで程昱(右)が悪人に見え、
命乞いをしている王福が、なんだかとても可哀想になりますが・・・(笑)

かくして、私服を肥やしていた悪徳役人の王福は倒れ、頓丘(とんきゅう)は平和になり、
土地や金が民のもとに戻されました。民衆らは曹操への感謝の気持ちを口々に唱えます。

ようやく曹操の真意がわかった曹安民、疑いを解いてご機嫌取りに必死の様子。
程昱と自らの大芝居の種明かしをして、
「黄巾の乱で天下が乱れるのを待っている。乱世の中で民を救う」という曹操。
ここで初めて安民に本音を打ち明けました。

それからまもなくして、都から張邈(ちょうばく)が詔書を持ってやってきました。
詔書は「王福を無断で殺し、黄巾党の唐周を逃がした罪により県令の職を解く」というもの。
これは、まぎれもなく蹇碩(けんせき)の陰謀でしょう。
しかし、都には曹操の祖父や父がいます。その尽力により職を失っただけで済んだわけです。

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免職となり、浪人となった曹操は故郷の譙(しょう)県へ仲間とともに帰りました。
さっそく妓楼へ出かけ、宴会を催す曹操兄弟。
あでやかな舞姫たちの踊り、酒と肴が心労を癒してくれるかのようです。

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そこへ、一人の美女が登場し、舞を披露します。
優雅な音曲に合わせてゆったりと舞うその女性に、
曹操は酒を飲む手も止めて見入ってしまいます。
卞思(べんし)という名で、妓楼では名の知られた芸妓のようです。

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一曲舞い終わって戻ろうとする卞思に、客のひとり、
張慕天(ちょうぼてん)という酔っ払いがちょっかいをかけました。

気の強い卞思は、張に平手打ちをかまし、その場を逃れようとしますが、
しつこい張はなおも絡み、その場を動きません。
それどころか、なだめに入った楽師の老人を突き飛ばすなど、やりたい放題です。

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そこへ耐え切れなくなった曹操、皿に盛られた棗(なつめ)を投げつけて張を挑発。
これに応じた張が詰め寄るも、曹操は張を引き倒し、馬乗りになってボコボコに殴りつけます。
張の手下が飛び出してくると、そばにいた曹操の弟分たちも飛び出して乱戦に。

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夏侯惇、夏侯淵、曹仁の3人にかかっては、酔っ払いの暴徒など相手にならず、
戦況は一方的。張たち一味はほうほうの体で退却していきました。

翌朝、卞は妓楼の女将さんと言い争いをしていました。
この、やりてばばあは卞が1万銭稼ぐまで徹底的に、こき使おうとしているのです。

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曹操は、そんな卞を身請けしようと考えました。
卞もまた、曹操の人物の大きさや勇敢さに惚れて
自ら歌を披露しに尋ねるようになるなど、2人は急速に親しくなっていきます。

心底ほれ込んだ曹操は、卞を「芸妓」と馬鹿にした曹仁に籾殻をぶちまけるほど。
兄弟たちには「何もいまさら芸妓を娶らなくても・・・」という思いがあるのでしょう。

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それもそのはず。曹操には、すでに2人の妻がいるのです。
一人は正妻の丁(てい)夫人、もうひとりは側室の劉(りゅう)夫人です。
丁夫人との間に子はありませんが、劉夫人にはもうすぐ子が生まれるという状況。

それなのに、曹操は劉夫人のそばにいるでもなく飲み歩いている始末・・・。
現代的な価値観から見れば、典型的なダメ夫ですね。
曹操をかっこよく描きたいはずのドラマですが、その辺は全然飾らずに描いています。

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劉夫人は曹操にとって初めての男子となる、曹昂(そうこう)を生みますが、
産後の経過が思わしくなく、出産と同時に亡くなってしまいます。
以後、曹昂の養育は丁夫人がすることになりました。

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曹昂が生まれ、喜びをあらわにする曹兄弟たち。
しかし、部屋の外には曹操に身請けされたばかりの卞思の姿が・・・。
曹操の兄弟や丁夫人にとっては、卞は一族の平穏を乱す疫病神。

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曹仁が卞を追い払おうとしますが、卞は帰るあてもなく、愛する曹操のもとを動きません。
丁夫人もまた、卞を冷ややかに見やるのみでした。いやはや、恐ろしいまなざし。
この時代、芸妓は身分が低く、「体を売る女性」と見られたようで
裕福な家の人から見れば、それだけで軽蔑の対象だったようです。

そこへ、曹操にとっては渡りに船というべきか、都から詔書が来ます。
それは曹操を「議郎」(ぎろう)という役職に復命するという旨が書かれていました。
曹操は再び朝廷の役人へと返り咲いたのです。

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卞思を残していくと、気の強い丁氏にいじめられると思った曹操は、
側室に迎えたばかりの最愛の彼女をともない、洛陽へと向かいました。

夏侯惇と典韋(てんい)に譙(しょう)の留守を任せ、曹仁と程昱を連れて洛陽へ。
再び、都での醜い政争が彼を待ち受けているであろうことは明白ですが、
その表情からは、表舞台への復帰を果たしたという喜びも感じられます。

~人物クローズアップ~
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この回が初登場となった典韋(てんい)
後に許褚(きょちょ)と並ぶ曹操の護衛官として活躍する。
第2話の許褚同様、「お前いつの間に居たの?」という唐突な登場の仕方に驚く。

「正史」によれば酒食を好み、飲み食いの量は人の倍。
宴会の時は彼のために給仕の数を数人に増やし、
左右から酒を注がせてやっと間に合うほどだった。
八十斤(48kg)もある大きな双戟と長刀を愛用したという。

本作の典韋は、背は高いがどちらかといえばほっそりした体型で、
正史や演義の人物像から伺えるような、どっしりしたタイプではない。
許褚とイメージが重なることを嫌ったのかもしれない。