こんにちは! ドラマ『曹操』案内役の哲舟です。
また、少し間があいてしまいまして、すみません。

さて、黄巾党討伐軍として出陣した皇甫嵩(こうほすう)と朱儁(しゅしゅん)は、
数の不利もあって苦戦に陥り、青州の長社城に立て籠もりました。

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そこへ、5千の兵で救援に向かった曹操は、一計を案じて
黄巾党の将・波才(はさい)の陣営に火矢を射かけ、
陣営を別の場所に移そうと移動しているところを奇襲します。

この攻撃は大成功し、黄巾軍は大混乱に陥って波才は逃げ去りました。
かくして長社城の包囲も解け、曹操は皇甫嵩らの危機を救います。

初陣にして、見事な策略と陣頭指揮を見せた曹操。
最初は曹操を侮っていた皇甫嵩と朱儁もすっかり見直し、
曹操の陣営へ祝杯を交わしにきました。

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さんざん、馬鹿にしていたくせに現金なものです。
ただ皇甫嵩や朱儁、本作ではこんなキャラですが、史実ではかなり優秀な将軍でした。
本作では曹操の手柄になっていますが、
火攻めを思いついたのも皇甫嵩自身だったようです。
なので、嫌いにならないであげてください(笑)。

・・・そのとき、曹操は黄巾軍の捕虜がいないことに気づき、
あわてて彼らが生き埋めにされそうになっているところへ駆けつけました。

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「去りたい者は去れ、残りたい者は曹操の下で働け!」

曹操は彼らの命を助け、自分の軍に加えました。
兵力の少ない曹操にとって、彼らは貴重な新兵。
黄巾党といっても、元は飢えた農民ですから、
曹操は彼らに食事と働く場を与え、活用しようとしたわけです。

そこへ、何進から次の命が下りました。
命令を受け、冀州の曲陽へと向かう討伐軍。

曲陽では盧植(ろしょく)が、黄巾党の主力である張角軍の猛攻に苦戦していました。
そこへ朱儁と曹操の軍が援軍として到着し、盧植軍に加勢、危機を救います。

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盧植が曹操をねぎらっていると、そこへ3人の威丈夫が、挨拶にやってきます。
後に曹操の終生のライバルとなる劉備、関羽、張飛。
三国志ではおなじみの三兄弟が、第7話にして初登場。
劉備は盧植の学問の弟子なので、その縁で戦いに参加していたようです。

そこへ勅旨がやってきて、都へ戻れとの勅命を伝えます。
しかし、盧植は奸臣の讒言によって罪人として囚われ、
護送されることになってしまいました。

霊帝から、恩賞を与えられる皇甫嵩、朱儁、曹操たち。

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一方、罪人として連れて来られた盧植。
霊帝が軍監として派遣した左豊(さほう)が、
霊帝に「盧植は賊を恐れて戦おうとしない」と讒言したことで
このような目に遭ったのですが・・・霊帝は、途中でそれを嘘だと見抜きました。

左豊は盧植に賄賂を要求したところ、断られた腹いせで讒言したのでした。
史実では、盧植が無罪として許されるのはもう少し後なのですが、
本作ではすぐにこれを見破り、霊帝の聡明さを強調する演出がなされています。

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女遊びが大好きでも、本気を出せばかなりデキる皇帝、劉宏さんです。

その後、曹操は相(しょう)として、新たな赴任先である済南郡へと向かいました。
そこは、袁術の息のかかった悪徳役人たちの巣窟でしたが、
曹操たちは彼らの悪行を暴いて懲らしめ、民衆たちの心をたちどころに掴みます。

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祭礼の場で、役人たちが祠堂を作るという名目で集めた金や
重税として搾り取った作物を、民に返してやりました。

この地に通じた鮑信(ほうしん)、王允(おういん)という人物がおり、
曹操は彼らを見込んで密偵として用い、悪徳役人らの所業を暴いたのでした。
曹操は彼らからも信頼されるようになり、ますます陣容を強化していくのです・・・。


~名シーン・クローズアップ~
曹操が愛飲した名酒 「九醞春酒」(きゅう うん しゅん しゅ)

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第7話では、曹操が済南の相として活躍している間、
袁紹が曹操の動向を探るために訪ねてきて一緒に酒を飲むシーンがあります。
同席者は荀彧(じゅんいく)。

ここで曹操は、酔った勢いで「荀彧を君に譲ってやる」と言い放ち、
そのまま酔いつぶれたように倒れ込みます。

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それを聞いた荀彧は「これからは袁紹殿のもとへ出仕します」と約束。
安心した袁紹、彼もすでにひどく酔っていましたから、
ついにパタリと倒れ、そのまま眠ってしまいました。

酔いつぶれていたふりをしていた曹操は起き上がり、
袁紹を担いで宿所まで送って行くよう、許褚(きょちょ)に命じたのでした。
曹操、ベロベロに見えましたが全然平気でした。相当な酒豪です。

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さて、このシーンもそうですが、曹操はいつも、
「九醞春酒」(きゅう うん しゅんしゅ)という酒を愛飲しています。
この酒、本作では宴の時には必ずといって良いほど登場しますね。

曹操の故郷でかなり昔から造られていたようで、
諸人にも受けが良く、みんなとてもおいしそうに飲みます。

この九醞春酒は実在した酒です。史実では曹操が献帝に造り方を
「九醞春酒法」として上奏し、広めたらしいのです。
本作には登場しませんが、郭芝という人物がその酒を造っていたのだとか。

ただ、いつ頃からこの酒が造られるようになっていたかは、分かりません。
史実では曹操の晩年あたりではないかと伺えるのですが、
本作では第2話から登場し、かなり昔からあったという設定がなされ、
ポピュラーなものになっています。

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「九醞」(きゅううん)という名前の通り、九回に分けて麹を加える、
または発酵させるという作り方で、今の日本酒や紹興酒にも似たものです。

よく「当時の酒は質が悪くて薄く、馬並みに飲まないと酔わなかった」といわれますが、
この造り方だと、アルコール度数もそれなりに高いものが出来たと思います。
少なくとも10度ぐらいはあったと思うので、日本酒に近いぐらい。少量でも酔えそうです。
もちろん、他の酒(度数が薄かったり、質の悪い酒など)もあったと思います。

ひょっとすると、この造り方が大陸から日本に伝えられた・・・ということがあって
日本酒の祖先は、曹操が広めた酒をモデルに造られたのかもしれません。
確証はありませんが、そう考えるのも夢があって良いのではないでしょうか。