2009年06月05日

愛と幻想のシュヴァルツシルト半径          〜イベント名の由来というのもおこがましい何か〜

「特異点に向かうのです」

私が宇宙の根源的悪のエネルギーと戦うために世界を旅していた時、アトス山の修道院の神父が語った言葉だ。

「特異点…?」

修道院内の小部屋からはエーゲ海を一望にすることができる。南に向いてる窓を開けひとりで見ている海の色は美しすぎて怖くなるほどだったが、背後から発せられた穏やかな声が私の意識を現実の時間の流れへと軟着陸させた。

後ろを振り返ると、法衣を纏った初老の男がまっすぐ私を見つめている。
この修道院の神父である。
彼が宇宙の根源的悪のエネルギーに関して有力な情報を握っていることを聞きつけ、私はこの修道院を訪れたのだ。

「そうです。それ即ち一切の因果律が通用しなくなるという一点。且つそれは一切を生み出す原点でもある特異点。あなたはそこへ向かうべきなのです」

神父の語る不可解な言葉は私を混乱させた。
特異点とは、あらゆる物理法則が無効となるいわゆるブラックホールの中心、そこは光さえも抜け出すことができない時空の領域のことである。

「それは…何かの譬えなのでしょうか?」

私の問いかけに対して彼はすぐに答えようとはせず、そこで目を閉じると暫く口を噤んだ。その沈黙の裏に匿しているのが、自身の言葉を理解できない者への苛立ちなのか、それともあくまで思考を整理しているだけなのか、表情からは何も読み取ることができない。
「譬え…そう捉えることがあなたの道筋ならば、それでも構わないのかも知れない。たしかにここで宇宙論や核的窮理を持ち出すのは、いささか唐突に思えることでしょう」

「カクテキ・キュウリ?」

「ああ原子物理学のことです」

そう語ると、彼は法衣を正し、再び私を見つめ直した。
穏やかな口調と静かな表情とは裏腹に、その眼光は一層鋭さを増す。

「それはこういうことなのです…」

<中略>

「…そこであなたは何かを得ることでしょう」

神父の語った言葉は全く意味が解らなかったので、私はここへ来たことを後悔した。

「ただ、私は思うのです。人は『科学では解明できない』といった言葉を安易に使い過ぎだと。本当に語り得ぬものに直面するまで語り尽くしたのかと。そう、その特異点に出会うためには、まず語らなければならないのです」

彼は私の反応などに構わず話を続ける。

「そう、徹夜とかしてでも」

「徹夜とか!それは…眠くなったりしないのですか?」

私が問い質すと、神父は窓際に歩を進めた後、こちらを振り返った。逆光によってその表情は窺い知ることができなかったが、その口からは静かに驚くべき言葉が発せられた。

「昼に寝ればいいのです」

「!」

「さああなたは向かうのです。特異点へ。
 そう、あの『はくちょう座X-1』へと」

bh

…というわけで、今回の梵唄会は深夜のトークイベントということになりました。
今さらこういうアナウンスも遅きに失してますけど、時折動画上映をはさみながらソワカちゃんを様々な視点から語ろうという集いです。
普段いろいろ小難しいことを考えているソワカファンの人には興味深い内容になるかと思います。
私のようにあまり物事を深く考えない人にとっても、酒呑んでエヘラエヘラしてれば何となく楽しいんじゃないかと思います。

それと、もはやイベント名の由来なんて誰も気にしてないと思いますが、当初は13話と連動させたタイトルにしようと思ってたのに、いろいろ考えてたらずれてきました。
でも「宇宙」ということでは一緒ですね。

そうだ 宇宙、行こう。



kihirohito at 11:13コメント(0)トラックバック(0) 
kihirohito 

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