THE KILLING/キリング DVD-BOXI
ソフィー・グローベール
アミューズソフトエンタテインメント
2013-09-25






(更新: 『キリング』シーズン4の情報を求めてこのページに来られたかたへ。現在、Netflix と Hulu で見ることができます。私はアメリカ版のDVDで見ました。アメリカ版DVDは字幕なし(英語字幕もない)なので、購入するつもりの人はそれを頭に入れておいたほうがいいです。)

  とても面白いドラマです。しかし、ここで取り上げるのは、このドラマを紹介するためではありません(以下に引用しますが、このドラマのインターネット上のレビューを見ると唖然とします)。

 もともとデンマーク版がオリジナルで、『キリング / 26日間』は、デンマーク版をもとにしたアメリカのドラマです(AMCで2011年から放送、全26話)。

 シアトル(デンマーク版ではストックホルム)でロージー・ラーセン(デンマーク版ではナナ・ラーセン)という高校生が、学校のパーティに参加した後、行方不明になる。警察は事件に巻き込まれたと想定して捜査を始める。捜査の最初の1日目の夜、池(デンマーク版では水路)に沈められた車が発見され、そのトランクの中からロージーの遺体が発見される。その車は市長選挙を闘っている選挙事務所のものだった。

 選挙事務所の車だった、ということから政治との関連が予想されますが、実際、政治を巻き込んだ大きな事件に発展します(殺人事件の前の時点で言えば、政治がらみの陰謀があった)。この政治との関連は、アメリカ版のほうがより深い関係をもったものとして描かれていて面白いです。

 物語の面白さのひとつのは(見方を変えれば、つまらなさは)、"red herring" と呼ばれる手法にあります("red herring" の辞書的な意味は、「話の主題とは無関係なものへと読者の注意をそらすもの」)。

 捜査の過程で容疑者が浮かび上がってきます。絶対的な証拠はありません。しかし、視聴者は、いくつかの状況証拠から(それはかなり説得力があります)、その容疑者が犯人だと思いこみます。その後、その容疑者が犯人ではない、ということが判明します(例えば、容疑者には、個人的に隠したいことがあった)。この過程が何回か繰り返されます。この予想が覆されるところが、このドラマの面白さのひとつです(逆に、本当の犯人から話がそらされ、話が遠回りの展開をするところに、非現実性や作為を感じてしまう人もいるようです)。

 アメリカ版はデンマーク版をもとにしていますが、完全な「リメイク」ではありません。後半はまったく別の話になっていますし、最終的に明らかにされる犯人も異なっています。殺人の過程もまったく別のものです。

(話が違う展開を見せる後半部分は、アメリカ版のほうが面白いと思います。犯人の意外性もアメリカ版のほうが上です。また共通している前半部分でも、手がかりや証拠から容疑者という過程と、その後、その容疑者が犯人ではなかった、とわかる過程が、よりしっかりと描かれています。ただし、デンマーク版もとても面白いドラマですし、デンマーク版がオリジナルなので、デンマーク版がより評価されるべきだと思いますが)

 アメリカ版はデンマーク版をもとにした話ですが、完全な「リメイク」ではありません。しかし、日本のインターネット上では、「リメイク」として評価している人が多いのです。アマゾンのレビューでは、

何これ?リメイクの失敗例?オリジナルのが断然面白いですけど!

(というレビューがありますが、アメリカ版は見ていないと思われます。だったら、なんでアメリカ版のレビューに書き込むんでしょうかね?)

『キリング』は、デンマーク版とアメリカ版のどちらを見るべきですか、というヤフーの知恵袋では、

断然デンマークのほうが面白いですよ
 アメリカのは結局打ち切りになりました
話も終わらずダラダラしていると言うので一話で観るのをやめました
 デンマーク版はきっちり終わっていて、今は別の話でシーズン3を放映しています

 デンマーク版のラストは緊張感があって気が付くと正座をしたままで観ていました(^▽^;)


私はデンマーク版を全編見て
 リメイク版は他DVDに一話入ってたのをざっと見ました。

リメイク版は原作に忠実に作られてて内容自体はほぼ同じだと思います。よく出来ていると思います。

しかし、私には主演のサラ・ルンドはデンマーク版の方が魅力的に思えました。
また、デンマークのドラマを見ることはなかなか無いのでデンマーク版をおすすめします。
 北欧独特の雰囲気が心地よいです。

「リメイク版は原作に忠実に作られてて内容自体ほぼ同じ」? どこが? ひどいな。

別の知恵袋の同じ内容の質問では、

客観的な判断材料として、惜しまれつつ完結編を作って終わったオリジナル版と、人気がなくて契約更新されなかった後でギリギリ敗者復活できたけど、結局ダメで本当にキャンセルされたリメイク版では、面白さも完成度も一目瞭然だと思います。

http://dramanavi.net/news/2013/09/the-killing3-1.php

なのでオリジナル版をおススメします

 (これも酷い回答ですな(最初の人も同じことを言ってますが)。『26日間』はキャンセルされていませんし、アメリカでも評価が高いです。最終話(第26話)の評価は、IMDbで9.0点、TV.com で9.5点です。シーズン4で『キリング』というドラマを終了すると決定されただけです。また、シーズン3とシーズン4は『26日間』とは別の話です。)

 

 つまり、デンマーク版とアメリカ版のどちらがおすすめですか(どちらが面白いですか)、という質問に対して、デンマーク版がいいですよ、と回答している人の多くが、実際にはアメリカ版をまったく見ていないのです(見ているとしても1話だけ)。

 (もう一点、奇妙なのは、私見では、こういう批評はアメリカではない、ということです。アメリカ版は自国のドラマになるので、ちゃんと見ているということもあるのでしょうが。)