Consumption vs Income Taxation
http://gregmankiw.blogspot.jp/2006/06/consumption-vs-income-taxation.html
マンキューの2006年6月27日のブログの翻訳です。
 今日本の人が読むと反応が分かれる記事でしょうね。
 でも、今の日本の状況では増税するなら所得税増税のほうが望ましい、となるんじゃないでしょうか?(消費税は消費しなければ課税されないため、貯蓄に対するインセンティブを高める。)。
 また、マンキューの比較では税率をどちらも一定にしていますが、本当に消費税と所得税を比較するなら、「一定税率の」消費税と「累進税率の」所得税で比較しないといけません。

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消費税 VS 所得税    Consumption vs Income Taxation

 前の記事で消費税のほうが所得税よりも望ましいと書いた。すると去年 ec 10 を受講していた学生が次のようなインセンティブに関する重要な質問をコメントしてくれた。

 どうして消費税はインセンティブに影響を与えず、いっぽう所得税はインセンティブに影響を与えるのかがわかりません... 人々は、貯金は気にしないはずです。人々が気にするのはお金を使うことです。 

所得税の場合: 1時間の労働 → 課税前16ドル → 課税後8ドル → 8ドルでチョコレートケーキとビデオゲームとレッドソックスのチケット

消費税の場合: 1時間の労働 → 課税前16ドル → 8ドルでチョコレートケーキとビデオゲームとレッドソックスのチケット + 消費税8ドル 

 労働の量と支出の量はどちらも同じになります。どのような実質的な違いがあるのでしょうか?

 この議論に関しては彼は正しい。今日消費するために今日働くという決定だけに注目するなら、消費税と所得税はどちらも同じ影響を与える。どちらも労働する努力を同じだけ削ぐのである。

 しかし、別の限界での調整を考えてみよう: 貯蓄して将来消費するために、今日働く、という場合を考えてみよう。税率は上の例と同じ50%としよう。利子率は7%としよう。その場合、今日1ドル貯金すると、10年後には2ドルになる。

所得税の場合: 1時間の労働 → 課税前16ドル → 課税後8ドル → 貯金して10年後に16ドル → 利息のうち所得税で4ドル引かれる → 12ドルでチョコレートケーキとビデオゲームとレッドソックスのチケット

消費税の場合: 1時間の労働 → 課税前16ドル → 貯金して10年後に32ドル → 16ドルでチョコレートケーキとビデオゲームとレッドソックスのチケット + 消費税16ドル 

 したがって、消費税の場合、将来消費するために、今日働いて貯蓄するインセンティブをより高めることになる。 
 これをもう少し経済学っぽくして、少し数学を入れてみよう。W を実質賃金、r を利子率、t を税率としよう。貯蓄して T 年後に消費するために、今日働くと想定しよう。所得税の場合、今日1時間働いて10年後に得ることができる消費の量は、

13100801

  [ (1-t)W*[1+(1-t)r]^T ]

 となる。消費税の場合、10年後に得ることができる消費の量は、

13100802

  [  (1-t)W*[1+r]^T  ]

 となる。ここで両方の場合の、(訳注 貯蓄して T 年後に消費できる量の)課税後の相対的価格と、課税前の相対的価格を比べてみよう(訳注 相対的価格 relative prices、実質値ということ。実質賃金と実質利子率で計算している)。課税前の相対的な価格は、

13100803

  [  W*[1+r]^T  ]

 である。消費税は一定の差額(ウェッジ wedge )を割り引く、ということがわかるだろう: つまり、課税後の相対的価格は、いつでも課税前の価格に 1-t をかけたものになり、T とは関係なくなるのである。いっぽう、所得税の場合、その差額は年が経過するほど大きくなる。T が大きくなればなるほど、課税前の相対価格と課税後の相対価格との差は大きくなる。つまり、消費税が現在の消費と将来の消費に対して同じ率で課税するのに対して、所得税は、実質的には、現在の消費よりも将来の消費により大きな率で課税することになるのである。

 結論:消費税も所得税も労働に対するインセンティブを低下させる。しかし、所得税は貯蓄に対するインセンティブも低下させる。