上級マクロ経済学
上級マクロ経済学 [単行本]

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第1章
1.5 量的なインプリケーション
収束の速度 
(29ページ)

 効率労働当たりの資本ストックの動学は、
140207 (1)
   (1)
 です。これは時間 t に関する微分方程式ですが、これを効率労働単位当たりの資本ストック k の式と考えます。つまり、
140207 (2)
   (2)
 です。テイラー展開で定常状態での k の値 kの近傍で近似します(1次の項まで)。
140207 (3)

   (3)
 定常状態では、つまり k=kのとき、(1)式は 0 になります。つまり k(k) = 0 です。したがって、(3)式の右辺の第1項はゼロです。
140207 (4)

   (4)
140207 (5)
 
 とおけば、(4)式は次のように表すことができます。

140207 (6)
   (5)

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 一般的に1次の微分方程式の解は次のように求めます(以下は中田真佐男氏の『動学マクロ経済学に必要な数学』をもとにして書いています)。
140207 (7)
   (6)
 x を右辺へ移項します。
140207 (8)

 両辺に eat をかけます。
140207 (9)
   (7)

 このようにするのは、次の関係を使いたいからです。
140207 (10)


140207 (11)
   (8)
 (7)式の両辺を積分します。

140207 (12)
   (9)

 (8)式を使い、(9)式の左辺を計算すると、(9)式は次のようになります。
140207 (13)
     (b は任意の定数)

 次に右辺を計算すれば、
140207 (14)


140207 (15)


 両辺を eat で割り、γx - b を A とおけば、
140207 (16)
   (10)

 となります。
 定常状態での y の値を yとすると、定常状態では y は変化せず一定の値になるので、y =0 になります。したがって(6)式から( (6)式に y =0 を代入すれば)、
140207 (17)

140207 (18)


 が得られます。これを(10)式に代入すれれば、
140207 (19)
   (11)
 となります。t =0 のときの y の値を y(0) とすると、(11)式から、
140207 (20)

 この関係から(11)式の A を書き換えれば、(11)式は、
140207 (22)
   (12)

 となります。

  つまり、(6)式の微分方程式
140207 (7)

 の解は、
140207 (22)


 になるということです。

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 これを(5)式に当てはめれば、(5)式の効率労働労働当たりの資本ストックの微分方程式の解が、
140207 (23)
   (13)
 になるとわかります。この式は、効率労働単位当たりの資本ストック k は、毎単位時間、定常状態での均衡値 kまでの残りの距離(つまり、k(0)-k)の e-λt の割合だけ、kに近づいていくことを表しています。
140207 (24)
 と置いているので、λを計算します。

140207 (24)


140207 (25)


140207 (26)
   (14)
  k=kのとき、(1)式は 0 になります。つまり k(k) = 0 です。したがって、
140207 (27)

 この式から s を求めると、
140207 (28)


 となります。これを(14)式に代入すれば、
140207 (29)

   (15)

 となります。[ ・ ] の中の f’(k)k/f(k) は産出量の、効率労働単位当たりの資本ストック k に対する弾力性です。これをα とおけば、(15)式は、
140207 (30)

 となります。n+g+δが6%程度と考えると( n =1~2%、g =1~2%、δ=3~4% / 年 と考えると)(31ページ)、
140207 (31)

 です。これは、k が、均衡値kまでの距離の4%を毎年進んでいくことを表しています。
 例えば、均衡値までの距離の半分を進む時間は、
140207 (32)

 を解けば求まります。
140207 (33)

 つまり、17年です。

 グラフで示すと下のようになります。初期値 k(0)=1、 定常値(均衡値)k=2 です。横軸の時間の単位は10年です。

solow03