December 21, 2004

角川クーデタの話

 ライトノベル関連の話題で局所的に盛り上がったので、大森望・三村美衣『ライトノベル☆めった斬り!』を買ってきて読んでいる。ちょっと値段が高いのが気になるが、ライトノベルを大森と三村の対談というか雑談で通史的に理解できる。偏っているような気もするが。
 この本にも角川クーデタというか角川書店のお家騒動について触れられている。簡単にまとめると、
・兄の角川春樹と弟の角川歴彦が仲違い
・歴彦が角川を追い出される。歴彦系の編集者も退社
・歴彦は子飼いの編集者でメディアワークスを設立
・1年後に春樹がコカインで逮捕、角川書店社長を解任される
・歴彦が角川書店に復帰する。メディアワークスは角川グループの企業になる
・春樹は角川春樹事務所を設立
 というのがだいたいの流れ。からっぽになった角川の編集部の写真が『噂の真相』に掲載されたり、書き手が両方の間で右往左往するはめになったり、編集者やライターをコンプティークが募集しまくっていたりと結構な騒ぎであった。私はこのへんの騒動を『噂の真相』でフォローしていただけなのであまりよく知らない。
 私の印象では、春樹型の大がかりなメディアミックス戦略が行き詰まった末の路線変更がこういう形で現れた、というものだった。春樹は映画の人、歴彦はゲームの人という以上に、バブルがはじけた直後の舵の切り方の問題だったような気もする。
 角川家には複雑な背景があるようで、「悲しきあしながおじさん 角川春樹とかつての美少女たち」によれば、
「父、源義が愛人に子を生ませる→軋轢の末、愛人が我が子を殺してしまう→源義がその愛人の身元を引き受ける→愛人と本妻が同居の生活という状態に→本妻――春樹、歴彦の母が神経をすり減らし、離婚→愛人と再婚→元・愛人の子――春樹にとっての異母妹、真理の誕生という流れの末、妹、真理は17歳の春に突然自殺してしまう」
 のだそうだ。そんな環境ならばせめて兄弟仲良くと思うがそうもいかないのかもしれない。

 『ライトノベル☆…』にはもうひとつ大陸書房の話が出てくる。大陸書房はたしかチャーチワード『失われたムー大陸』を出版するために設立された出版社で(名は体を表す)、この手のオカルト神秘主義本をいろいろ出しまくり、その関係か伝奇小説もいろいろ出していた。かの茅田砂胡『デルフィニア戦記』のオリジナル『王女グリンダ』も元は大陸書房から出ていた本である。
 この大陸書房が潰れたため、大陸書房系の書き手があちこちの出版社に移り(移れなかった人も多いだろうが)、角川の騒動とあいまって業界再編が起きた、という話。

soylent_green at 00:54│Comments(2)TrackBack(1)この記事をクリップ!読書 

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この記事へのコメント

1. Posted by リムフォ   December 21, 2004 17:03
TBありがとうございます。
これはなかなか…面白い! メディアワークス誕生の裏にはこんなのがあったんですねぇ。
2. Posted by そいれん@忘却界抄   December 22, 2004 10:23
間で右往左往するはめになった人たちのほうは迷惑ですよねーこれ。

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