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今何でもかんでも韓国、北朝鮮、中国等に関する問題
例えばそれが「拉致被害者を取り戻そう」と
民族差別とはどう考えても関係ない事であっても
デモあるいは街宣に、「ヘイトスピーチをやめろ」と
傍若無人の振る舞いをする集団が現れます。
そもそもヘイトスピーチとはなんなのか?
その危険性はどこにあったのかを
もう一度考えてみる必要があると思います。
下記のヘイトスピーチ規制法案成立前の記事をみると
今や、懸念以上の効果が現れていることがわかります。
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ヘイトスピーチ規制法案の危険性は人権擁護法案より凄まじい! 八木秀次(麗澤大教授)  2015年(平成27年)月刊正論10月号から転載
いわゆるヘイトスピーチに対処するとして5月22日、民主党、社民党、無所属の議員で参議院に提出された「人種等を理由とする差別の撤廃のための施策の推進に関する法律(案)」(人種差別撤廃施策推進法案)が、8月4日に参議院で審議入りした。メディアではこの法案を「ヘイトスピーチ規制法案」と呼んでいるところもあるが、共同提案者の一人、民主党の有田芳生参院議員は、法案は罰則規定もなく、「人種差別は違法だ」と国が宣言する理念法であることから、「規制法案」と呼ぶのは「誤報だ」と指摘している(8月5日、ツイッター)。

 だが、規制法ではなく理念法を制定しようとするところに、この法案の本当の狙いが透けて見える。要はヘイトスピーチを止めさせることに目的があるのではなく、ヘイトスピーチへの対処を大義名分にして、別のことを実現しようとしているのではないか。法案の内容を検討するとそのような疑念が生じてくる。 

 「ヘイトスピーチはよくない」というのは党派を超えた認識だろう。特に在日コリアンが多数生活する東京・新大久保や大阪・鶴橋等において、「朝鮮人首吊レ 毒飲メ 飛ビ降リロ」「良い韓国人も悪い韓国人もみんな殺せ」「ガス室に朝鮮人、韓国人を叩き込め」等のプラカードを掲げ、「いつまでも調子に乗っとったら、南京大虐殺じゃなくて、鶴橋大虐殺を実行しますよ」と怒鳴り、その模様をインターネットの動画等で流布させることには憂慮の念をもって見ている人がほとんどだ。

 だが、「朝鮮人を皆殺しにしろ」といった個人を特定しない言動について現行法では、民法上の不法行為による損害賠償や刑法上の名誉棄損罪・侮辱罪は成立しない。平成21年に京都朝鮮第一初級学校の門前において拡声器で行った「ここは北朝鮮のスパイ養成機関」「朝鮮人を保健所で処分しろ」等の言動は、威力業務妨害罪や侮辱罪で有罪判決を受け、民事訴訟においても最高裁で千二百万円の損害賠償の判決が確定したが、これは一定範囲の人々(「この学校」「この店」)を対象として畏怖を生じさせ、業務を妨害したことによるものであって、韓国人・朝鮮人という民族一般に対するヘイトスピーチを違法行為とすることは現行法では難しい。とりわけ刑事罰を科すことについては憲法の保障する表現の自由との関係で慎重論が支配的だ。 

 5月7日、「人種等を理由とする差別の撤廃に向けた速やかな施策を求める意見書」を発表した日本弁護士連合会でさえ、以下のように述べている。

《刑事規制の対象となるヘイトスピーチか否かの判断は、当該表現行為の内容に着目せざるを得ず、表現内容の判断にまで踏み込んで規制対象を確定することになるから、表現に対する内容規制となる。/この点、名誉棄損表現、わいせつ表現等の事例で内容規制を一定の限度で合憲とする判例が定着している一方で、学説上は、表現の内容規制が正当化されるのは、当該表現行為が違法行為を引き起こす明白かつ現在の危険を有する場合に限定される等、厳格な基準が採用されている。このような現状の下で、規制されるべきヘイトスピーチと許される表現行為との区別は必ずしも容易ではないし、思想の自由市場の観点からは、表現内容に着目して刑事規制を行うことについては、なお慎重な検討を要する》(同意見書)

 このような事情から法案も規制法でなく理念法にしたと思われるが、理念法であるとして、この法案を侮ってはならない。ここには恐るべき狙いが隠されている。 

「差別」といえば差別になる

 具体的に条文を見てみよう。まず第一条で、こう規定する。

 「この法律は、人種等を理由とする差別の撤廃(あらゆる分野において人種等を理由とする差別をなくし、人種等を異にする者が相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現することを言う。以下この条において同じ。)が重要な課題であることに鑑み、日本国憲法及びあらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約の理念に基づき、人種等を理由とする差別の禁止等の基本原則を定めるとともに、人種等を理由とする差別の防止に関し国及び地方公共団体の責務、基本的施策その他の基本となる事項を定めることにより、人種等を理由とする差別の撤廃のための施策を総合的かつ一体的に推進することを目的とする」

 以下、第二条でこの法案において「人種等」とは「人種、皮膚の色、世系又は民族的若しくは種族的出身をいう」と定義し、第三条で「人種等を理由とする不当な差別的行為」「人種等を理由とする不当な差別的取扱い」「人種等を理由とする侮辱、嫌がらせその他の不当な差別的言動」が禁止されると述べるが、何をもって「不当な差別」とするかが明確ではない。 

この点、自民、公明、民主、維新の4党で8月19日、法案への対応を協議したが、自民党の熊谷大参院議員が「(解釈の)間口が広がり、表現内容に踏み込むところもなきにしもあらず」と拡大解釈や表現の自由の規制につながることへの懸念を表明している。党幹部も「人権擁護法案のようなことにしてはいけない」と警戒心を示している(産経新聞、8月20日付)。共産党も5月23日、「民族差別をあおるヘイトスピーチを根絶するために、立法措置を含めて、政治が断固たる立場にたつ」(第三回中央委員会総会の報告)としつつも、「今回、民主党などが提出した法案については、『ヘイトスピーチ』や『差別』の定義が明確でなく、恣意的に拡大解釈されるおそれがあります」との小池晃政策委員長コメントを発表している。

 自民党や共産党の懸念は無理もない。法案の第十九条は「国及び地方公共団体は、人種等を理由とする差別の防止に関する施策の策定及び実施に当たっては、人種等を理由とする差別において権利利益を侵害され又はその有する人種等の属性が不当な差別的言動の理由とされた者その他の関係者の意見を当該施策に反映させるために必要な措置を講ずるものとする」との規定を設けるが、これは差別防止の施策の策定・実施においてヘイトスピーチなど「人種等」で「不当な差別」を受けたとする「関係者」の意見を反映させなければならないことを意味する。

 これによって「差別防止」の施策は「関係者」の牛耳るものとなる恐れがある。何が「差別」なのか、その定義が曖昧な中、関係者が「差別」と称する行為が差別とされることになる。 

目的は朝鮮学校の無償化なのか?

 実際、外国人人権法連絡会などが主催した法案成立を求める国会内での集会では、龍谷大学法学部教授の金尚均氏が基調講演で「在日特権を許さない市民の会(在特会)による朝鮮学校への襲撃が下からのヘイトスピーチだとすれば、朝鮮学校の高校無償化適用外という政府の措置は上からのヘイトスピーチだ」と指摘し、「政府は朝鮮学校が朝鮮民主主義人民共和国と関係があるからとして高校無償化の対象外にしている。これにより、日本社会の中で『この人たちは別に扱っていい』という雰囲気を作り上げ、適用しないことを当たり前のこととしている」と分析している。社民党の福島瑞穂副党首も「お話があった通り、朝鮮学校を無償化の対象にしないことが、差別をしていくという政府のメッセージだと思う」と主張している(産経ニュースの【安倍政権考】仰天論法 朝鮮学校無償化不適用はヘイトスピーチ!? 強まる無償化圧力)。

 主催の外国人人権法連絡会は法案のモデルを示した団体だが、朝鮮総聯や部落解放同盟に関係する多くの団体が賛同団体として名前を連ねているのだ。法案の隠れた目的は朝鮮学校への授業料無償化の適用ということではないか、という推測も強引ではあるまい。 

繰り返すが、法案の十九条の論理では、ヘイトスピーチなどの「人種等を理由とする差別」とは、関係者が「差別」と感じれば差別とされる可能性が高いのである。例えば、私も執筆者の一人で、今夏には横浜市や大阪市など全国の教育委員会や学校で採択された育鵬社の中学公民の教科書には作家の曾野綾子氏のコラムが掲載されているが、その内容もヘイトスピーチであるとの難癖が付けられている。

 曾野氏のコラムは「よき国際人であるためには、よき日本人であれ」と題し、グローバル化の中では日本人としてのアイデンティティを自覚することが必要であることを説いたもので、文部科学省の姿勢にも沿っているが、その中の「人は一つの国家にきっちりと帰属しないと、『人間』にもならないし、他国を理解することもできないんです」という部分を東京新聞8月13日付「ニュースの追跡」が殊更に問題視し、在日朝鮮人三世のフリーライター李信恵氏に「このコラムからは(中略)在日外国人に対して、日本人となることを強要する『同化主義』を感じる。戦中の日本の植民地政策と同じだ。教科書という形こそとっているものの、ヘイトスピーチの一種のようにみえる」とコメントさせた。

 我が国の国民教育のための教科書でナショナル・アイデンティティや教育基本法でも規定されている「国を愛する態度を養う」ための記述が、「人種等を理由とする差別」とされるということだ。 

外国人が政策を支配する仕組み

 さらに恐ろしいのは、第二十条で「内閣府に、人種等差別防止政策審議会を置く」と規定していることだ。これは男女共同参画会議と同様の内閣総理大臣の諮問に応ずる審議会で、省庁を横串で刺す極めて強い権限を持つものである。

 第四条は「人種等を理由とする差別は、職域、学校、地域その他の社会のあらゆる分野において、確実に防止されなければならない」と規定する。「人種等を理由とする差別の防止」がありとあらゆる政策の上位に立つものでなければならないという趣旨で、審議会が置かれる府省庁は「広範な分野に関係する施策に関する政府全体の見地からの関係行政機関の連携の確保を図るとともに、内閣総理大臣が政府全体の見地から管理することがふさわしい行政事務の円滑な遂行を図ることを任務とする」(内閣府設置法第三条)内閣府とされる。二十条は審議会の権限を「必要があると認めるときは、内閣総理大臣又は関係行政機関の長に対し、意見を述べること」「必要があると認めるときは、内閣総理大臣又は内閣総理大臣を通じて関係行政機関の長に勧告すること」と規定している。

その権限を握る審議会がいかなるメンバーになるかは、大きな問題である。第二十一条で「委員十五人以内で組織する」とし、「人種等を理由とする差別の防止に関し学識経験を有する者のうちから、内閣総理大臣が任命する」と規定するが、前出の外国人人権法連絡会も声明で「人種等差別防止政策審議会の設置は、この法案の肝ともいうべきところでしょう。行政から一定程度独立した『人種等を理由とする差別の防止に関し学識経験を有する者』による専門機関を新設し、そこが基本方針作成などの重要事項を調査審議し、内閣総理大臣などに意見を述べることができることにより、より公正で的確な政策を担保しようとする点を評価できます」と述べている。

 ここでいう「学識経験者」の中にヘイトスピーチを受ける立場の外国人や彼らにシンパシーを持つ学者、弁護士などが入るとしたら、どういう事態になるか。現に法案の成立を求める団体の一つ、認定NPO法人ヒューマンライツ・ナウが出した声明(5月28日)には「障害者基本法33条2項と同様の規定を置くことによって、人種差別の被害を経験した者が委員に入ったり、調査審議に被害者の経験が十分に反映される仕組みを実現することを求めたい」とある。日本で「人種差別の被害を経験した者」とは外国人であろう。つまり、そうなると確実に我が国の政策全体が外国勢力に壟断されることになる。そのことを避ける規定は法案にはないのである。 

 問題はそれにとどまらない。法案に直接の規定はないが、内閣府に置かれる事務局の体制だ。男女共同参画局に類似の「人種差別撤廃推進局」なるものが内閣府に置かれ、全ての省庁の上に君臨し、ありとあらゆる政策を「人種等を理由とする差別の防止」の観点から総点検する。ヘイトスピーチ防止という誰も反対しない美名の下で、審議会と事務局に関わる外国勢力が国政を乗っ取ることができる仕組みが出来上がるのだ。民主党は8月19日の4党協議で「法案がズタズタになっても受け入れる覚悟だ」と主張し、有田議員も協議後、法案修正について「全くこだわらず検討したい」と語っているが、法案の肝の部分さえ維持できれば、あとは譲ってもいいとも解釈し得る態度だ。自民党も審議会を内閣府に置くことの意味をよく考えて対応して欲しい。

地方自治体で過激化することも

 法案は地方自治体にも網を掛けている。第六条は、地方自治体にも「人種等を理由とする差別の防止に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する」と規定しているが、この点についても外国人人権法連絡会の声明は「人種差別撤廃が国のみならず、地方公共団体の責務であることを明記したことにより、地方公共団体がそれぞれ人種差別撤廃・禁止条例を制定したり、公共施設を人種差別行為に使わせないよう利用条例のガイドラインを作ったり、地域におけるマイノリティの状況に合わせた人種差別撤廃教育に取り組むなどの施策を促進するでしょう」と評価している。 

■ヘイトスピーチは問題だが…

 いわゆるヘイトスピーチに対処するとして5月22日、民主党、社民党、無所属の議員で参議院に提出された「人種等を理由とする差別の撤廃のための施策の推進に関する法律(案)」(人種差別撤廃施策推進法案)が、8月4日に参議院で審議入りした。メディアではこの法案を「ヘイトスピーチ規制法案」と呼んでいるところもあるが、共同提案者の一人、民主党の有田芳生参院議員は、法案は罰則規定もなく、「人種差別は違法だ」と国が宣言する理念法であることから、「規制法案」と呼ぶのは「誤報だ」と指摘している(8月5日、ツイッター)。

 だが、規制法ではなく理念法を制定しようとするところに、この法案の本当の狙いが透けて見える。要はヘイトスピーチを止めさせることに目的があるのではなく、ヘイトスピーチへの対処を大義名分にして、別のことを実現しようとしているのではないか。法案の内容を検討するとそのような疑念が生じてくる。
(文責中田梅子 )