友の孤独死

村田春樹氏FBより

3月末に畏友梶谷洋一氏を喪った。孤独死だった。
4月下旬に昔の近所バイク仲間４人(全員同い年)で久しぶりの悪ガキ同窓会をやった。場所は門前仲町の居酒屋。

一人誰だかわからない奴がいたが、なんと数十年ぶりの邂逅、往年のフォーリーブスの北公次似のS君だった。顔面激変にオドロクばかり。米沢の名門興譲館→中央大学理工学部。甘いマスクで女にモテたと思いきや、ズーズー弁を恥じてかおそろしく無口だった。従って全くモテなかった。

27歳頃から連絡とれず、この邂逅時彼の人生を聞いて驚きの連続。彼は若くして結婚(結婚式の司会者は私)大学を中退。一子を得たが離婚。そのあと若いチョー別嬪と結婚。結局３回結婚して子供８人。外資系企業でバブルに乗って営業で大優績で俄に大金持ちになったそうだ。無口だったのに何故か？との問いの、答えがふるっている。「俺は村田に憧れていたんだ、都会的でとにかく社交的で口がうまくて女にことかかない。しかも保険の営業で大成功。それで俺は一生懸命村田の真似をしたんだよ。」私は褒められたのだが、なぜか憮然。しかし彼の成功を聞いて嬉しかった。北公次そっくりの甘いマスクにトーク力？まさに鬼に金棒。モテないわけはない。

彼はガンガン飲んで人生譚の後半に入った。ジェットコースターは激しく落下。もろもろあって別荘にも何年かいったそうだ。妻子とは全く連絡なく、孫は何人いるかわからないそうだ。つまり家庭的には全く孤独。

そして話は佳境、「俺は自慢じゃないが日本人の三大疾病全部やったぞ、10年前心筋梗塞で死にかけ、5年前に大腸癌で20�兩攴�、最近脳梗塞でまたまた死にかけたよ。ワッハッハ。」

私は彼に梶谷氏の孤独死の話をした処、彼は「俺も孤独死が心配なんだ、行政に相談して見回りに来て貰うかなあ。」などと言っていた。

21歳の夏、この日の４人含む6人で、バイク3台に二人乗りでテント担いで北海道に行った。その思い出話に花が咲いた。
写真右端がS君。

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この仲間とはその年に、後楽園球場(ドームになる前)で、ハードロックのグランドファンクレイルロードの雨の伝説のコンサート見たり、村上龍の「限りなく透明に近いブルー」の劈頭の日比谷野音でのロックコンサートに行ったりした。

S君は「次の飲み会では北海道バイクツアーの写真持ってきてくれ、必ず！」私は固く約束し別れた。

今日友人から電話があった。S君は先ほどアパートで遺体で発見された。ここ2-3日全く連絡とれず、警察に踏み込んで貰ったそうだ。享年75。梶谷氏はフランスから娘さんが駆けつけてくれた。S君は誰か引き取ってくれるのだろうか。あたかもNHKのクローズアップ現代で激増する孤独死が取り上げられていた。合掌。