◇セ・リーグ 広島3―6巨人(2022年5月4日 マツダ)
口元を緩めたのは照れ隠しなのだろうか。同点に追い付かれた6回。九里がマウンド上で見せた表情、振る舞いには正直ガッカリした。ボールが続いて目尻がかすかに緩み、岡本和に被弾した直後にも薄笑いを浮かべた。
相手との勝負事だ。打たれた結果や四球を与えたことを、どうこう言うつもりはない。マウンド上で笑ってもいいだろう。ただし、許される場面と許されない場面がある。それまでどういう流れで試合が進んでいたか。
悪いなりにもゼロを並べられたのは、3補殺など味方の再三にわたる好守に助けられた面が大きい。5回には攻撃陣がつないで、つないで待ち望んだ援護も受けた。直後の6回は、これまでに倍する気合を入れて臨むべき要所のはずだ。
野球は1人でやるスポーツではない。みんなで戦うものだ。ましてや投手キャプテン。それがあの振る舞いでは、野手陣からの信頼が崩れかねない。この日は本来の姿ではなかった。次回登板、九里のマウンド上での姿勢に注目している。
九里が本拠地初完封!粘った133球、長男の「パパ頑張って」に応えた
(セ・リーグ、広島4-0DeNA、21回戦、DeNA12勝7敗2分、28日、マツダ)握った拳の大きさに試合に懸ける思いの強さがにじんだ。広島・九里亜蓮投手(29)が133球の力投で、9回7安打無失点。今季最多の1万5602人が入ったマツダスタジアムで入団7年目の本拠地初完封を飾った。
「朝に息子が『パパ頑張ってね』と初めてしゃべった。良いところを見せたかった」
昨年6月25日の楽天戦(楽天生命パーク)以来、2度目の完封劇。2児のパパはお立ち台で2歳になった長男との心温まるエピソードを披露した。
1-0の三回無死一、二塁では147キロの直球で梶谷を見逃し三振、ソトの一、二塁間の打球は二塁・菊池涼が好捕で救ってくれた。九回無死二塁の場面も四球で走者は出したが、三つのフライアウトで得点を許さなかった。
前回21日の巨人戦(東京ドーム)では4回6失点でKO。負ければ、最下位転落となる一戦で、背番号12が意地を見せた。「もうふがいない投球はみせたくない」と九里。投手コーチ時代から指導してきた佐々岡監督も「よく粘った」とたたえた。