学会・研究会

June 19, 2016

第17回日本言語聴覚学会京都大会に参加

2016年6月10日~11日、京都で日本言語聴覚学会が開催された。会場はロームシアター京都、京都市勧業館みやこめっせ、の2会場。両会場とも岡崎公園にある。岡崎公園は、京都府立図書館、京都国立近代美術館、京都市美術館がある文化ゾーンである。傍には平安神宮もある。学会の合間に岡崎公園の探索も楽しめる好会場である。

さて、今回の大会テーマは「コミュニケーション知と技の融合」である。今回、演題発表よりも講演、セミナー、シンポジウムを中心に聴いた。
 
シンポジウム「急性期・回復期・生活期の失語症リハビリテーション」。失語症リハの基本をあらためて振り返るとともに、急性期、回復期、生活期の緊密な連携が必要であることを痛感した。

スキルアップセミナー「語の産出とその障害」。認知心理学的アプローチにもとづく失語症モデルを発話表出というところに絞り、詳しく説明された。モデルの理論が、実際の失語症リハにどう展開されるかまで話は及び、中身の濃いセミナーだった。

スキルアップセミナー「Dysarthriaの見方 マクロの目とミクロの目」。ディスアスリアをマクロ、ミクロの視点から考察。マクロの視点では脳卒中後の後遺症の患者が多く、高次脳機能障害、摂食嚥下障害を合併していることが多いなど分析され、マクロの視点によってディスアスリアの予後予測、介入目標や方法を検討できるとしている。ミクロの目では、実際の臨床方法が紹介された。ディアドコキネシスが臨床場面で多用される。/pataka/の他に、通鼻音、口音の反復である/nada/、口唇運動の反復である/pupi/など、具体的臨床技術が紹介された。すぐにでも使える方法ということで、とても参考になった。

会長講演「動詞の喚語訓練」。失語症の喚語訓練は名詞について行われることが多い。講演では動詞の喚語訓練に焦点を絞り、研究成果を報告された。動詞の喚語困難は非流暢性型の患者に多いが、流暢性型の患者にもみられ、動詞喚語訓練により発話の改善が得られるという。動詞の単語訓練および文訓練の方法とその結果が示された。動詞の喚語障害、文産生障害に対する訓練効果が検討された。

STの講演、セミナーは以上のものだが、今学会で、僕がとてもおもしろかったのは、他分野の先生方の講演だった。

特別講演「想像するちから」。副題はチンパンジーが教えてくれた人間のこころ、ことば、きずな。講演者はチンパンジー研究の第一人者である。チンパンジーを深く知ることで人間を理解する「比較認知科学」という学問である。チンパンジーも人間も、ともにヒト科に属する。チンパンジーと人間ではDNAでは2パーセント程度の違いでしかない。チンパンジーは人間を遥かに越える瞬間記憶の能力をもつ。人間は経験や知識を他者と分かち合うところに特徴があり、それが言語によるコミュニケーションの基盤となっている。それは、人間の赤ちゃんが「あおむけ姿勢」で育てられ、必然的に他者と非言語的、言語的なコミュニケーションをとらざるを得なくなったことに関連している。チンパンジーの赤ちゃんは、「あおむけ姿勢」はとらずに、いつも母親にしがみついて育つ。人間とチンパンジーの比較を認知という点から行う研究は、STにとってコミュニケーションの本質をみるようで、とても興味深いものである。

教育講演「ことばと生活とコミュニケーション」。副題は人は関係の網の目を広げていきる、である。講演者は、発達心理学が専門である。同時に裁判に関わり、裁判の心理学的分析をされており、その分野では日本の第一人者とされている。講演では、いわゆる発達心理学とともに、冤罪裁判における被告の心理学的な分析、アプローチが紹介された。そこで、それぞれの個人は、はりめぐされた人間関係の網のなかで生きているということ。人間関係の網からはずれると、人は生きていくことが難しくなるという話は、これまで思いもしないことだった。「ことば」というものが、人間関係の網の目によって育まれ、成立していることを気づかされた。

教育講演「社会コミュニケーションを支える脳」。講演者は精神医学の第一人者。人は社会的動物といわれる。他者からの情報をキャッチし、自らも情報を発信し、人間関係のなかで生きていく。このような社会性は「社会認知」と呼ばれる認知能力によってなされる。その基盤となる脳構造は「社会脳」と呼ばれる。たとえば、扁桃体は警告を発する装置として脳のなかで作用している。扁桃体によって人と人との距離をどうとるか、人を信用するかどうかが瞬時に判断されている。人間の行動、社会認知を脳の局在という視点からみていく。失語症の脳局在についての話はSTにとってはお馴染みであるが、社会認知についての話は、新鮮であり、とても興味深いものだった。また、自分自身の社会的な判断についても見つめ直すことができた講演だった。

というわけで、京都大会は、僕にとって、とても実りあるものだった。とくに、他分野の先生方の講演は、今学会では印象的で、帰ってからは、その先生方の読みやすく書かれた一般書を繙いてみたいと思った。

ST分野に関連する研究者の話を聴くことで、自らのST臨床にも幅が広がると思われる。これからのST学会でも、他分野の先生方の講演、セミナーをさらに取り入れてもらいたいと思いました。もちろん、STの演題発表が学会の中心に位置づけられ、その研究発表、討論が何より大切であることはいうまでもありませんが・・。


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May 23, 2016

いわて摂食嚥下リハビリテーション研究会 第24回研修会に参加

 5月22日、いわて県民情報交流センター アイーナで、いわて摂食嚥下リハビリテーション研究会 第24回研修会が開かれ、聴きに行った。

 今回は、午前中は、特別支援学校における摂食嚥下について、午後は、摂食嚥下の姿勢づくりが話題。前半は、学校現場での摂食嚥下であり、教員、学校の栄養士の講演、午後はPTの実技を交えた講演だった。

 学校現場の摂食嚥下については、まだまだ研究がこれからの分野だと思う。ST学会でも、これからはSTが、教育の現場に飛び込んでいく時代である・・ということが語られていたことが思い浮かぶ。学校では、教員の方々が、悩みながら苦労を重ねつつ、摂食嚥下に取り組んでいる。その活動には頭が下がる思いである。発表ではVTRも紹介され、実際の児童への食事介助場面も見せて頂いた。とても勉強になる講演だった。

 午後の、摂食嚥下における姿勢づくりの講演は、明日からでも現場ですぐに使える知識と技術ということで、とても貴重なもの。STは、どうしても頭頸部ばかりに集中してしまい、全身をカバーしにくいところが弱点。PTの今日の講演と実技指導を自分のものとして、摂食嚥下リハに臨みたい。

第24回研修会も、内容の濃いものだった。いわて摂食嚥下リハビリテーション研究会のますますの発展を願うばかりである。


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May 16, 2016

東北矯正歯科学会を聴く

5月14日、15日の両日、盛岡のアイーナで第32回東北矯正歯科学会が開かれた。
僕は14日の市民公開講座を聴きにいったのだけれども、とても勉強になったので、スタッフに学会を通して聴講したいむねを申し出た。すると、当日会員として、お金を払えばオーケーということだったので、参加したわけだ。

歯科の学会は、はじめての参加だったので、とても新鮮だった。STはいない。ほとんど全員が歯科医師の先生方である。

矯正歯科の分野とSTの分野との繋がりといえば、ST養成校時代の授業が思い返される。器質性構音障害という授業で、口唇・口蓋裂の小児の病態から手術、そして言語リハというところを学ぶ。また、形成外科学の授業も同様に、口唇・口蓋裂の手術例などを学ぶ。STなので、講義で机上の授業で話としてだけだが・・・。

さて、そんなST養成校時代の授業を思い出しながら、学会を聴いていった。

咬み合わせの悪さを、さまざまな手法を用いて改善していく症例を多く聴いた。とくに、僕が興味深かったのは、睡眠時無呼吸症候群についてである。

咬合の悪さから、口腔および咽頭のスペースが小さくなることにより、睡眠時無呼吸症候群になる。それに対して、矯正歯科学の治療技術を用いて改善を図る。もちろん、それですべて解決というわけではなく、CPAPなども併用していくことになる。

咬合の悪さが、発声、嚥下に悪影響を及ぼすことは、STであれば経験的に知っていることである。矯正歯科学では、治療によって、直接、咬合を改善していく。上顎と下顎の位置も適正に合わせていくわけだ。その治療は、長期間にわたって行われる。

咬み合わせの悪さは、様々な全身疾患を引き起こしていく要因にもなる。姿勢も悪くなる。矯正歯科学は、それに対して、治療技術を用いて、形態そのものを変えていく直接的な手法をとっている。STは、リハビリテーションとして、運動をさせたりすることで改善を図ることを目指す。

つまり、矯正歯科で形態を変えていき、STリハで運動を行うことで、機能の改善が図られるというわけであり、矯正歯科とSTとの関連は深いと考えられる。

ところで、今回の学会で、「超高齢社会の歯科医療を展望する」という特別講演があった。歯科の現状とこれからの課題、展望が語られた。

歯科は、う蝕を治したり、義歯をつくっていく、いわゆる治療をするのが主な仕事である。ところが、近年、う蝕は減少し、国民の歯科疾患は改善。それに伴い、歯科の収入は減少の一途をたどっているという。

しかし、高齢社会をむかえて、歯科に新しい需要があるという。それは、口腔ケアと摂食嚥下リハの領域だという。治療から、予防、リハビリにシフトしていく・・という話をされていた。

この話を聴くと、STの領域そのものである。狭い考え方ならば、STの領域に入ってくるということになろうが、発展的な考えをするならば、いまこそ、STが歯科の先生や歯科衛生士の方々と協力するべき時である。口腔ケアや摂食嚥下といっても、歯科医師や歯科衛生士とSTでは診る視点が当然、違ってくるので、お互いの強みを出し合えば、「いい仕事」ができる。

歯科とSTが協力することで、高齢者の口腔内環境は改善するであろうし、よりよい摂食嚥下リハを展開することができるだろう。いいことづくめじゃないか。

いまこそSTが社会的にさらに認知され、羽ばたく時なのではないか・・・そんなことを、この特別講演を聴いて、感じたのである。


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June 28, 2015

第16回日本言語聴覚学会(仙台)に参加

 6月26日・27日、仙台国際センターで、第16回日本言語聴覚学会が開かれ、聴きに行った。
 2013年の札幌大会(第14回日本言語聴覚学会)以来の参加。今回の仙台大会では、「臨床力を鍛える」をテーマに、様々なセッション、演題発表が行われた。

 僕は、日本言語聴覚学会では、できるだけ摂食・嚥下以外のものを聴くようにしている。というのも、摂食・嚥下分野は、日本摂食・嚥下リハビリテーション学会で聴けるから。できるだけ、STの様々な領域のものを聴くことに主眼にしている。

 今回、僕が聴いたのは・・・・
1日めは、特別講演「認知症を癒す」、演題発表(口演)「聴覚 人工内耳・補聴器」、ポスター発表「失語 訓練」
2日めは、教育講演「発達障害のある子どもたちへの対応の基本」、ワークショップ「重度失語症における異常発話の症候学」、演題発表(口演)「高次脳 申請書類」。

 今回、僕が、いろいろ聴いて感じたのは、STへの期待である。

 認知症について言えば、これから認知症患者が大変な数となり、日本のいわば国家的な課題になってくる。それに対して、様々な職種が関わっていくことになるのだけれども、プランのなかには、STは記されていない。医師、歯科医師、看護師、介護福祉士、歯科衛生士、作業療法士、臨床心理士等はあるが、言語聴覚士という言葉は見当たらないという。しかし、STは認知症にとって欠くべかざる存在であるということだ。というのも、STは、失語・高次脳領域を得意としている。つまり、神経心理学的な評価および訓練ができるため、認知症患者にとって必要な存在なのである。というわけで、STがこの分野に積極的に入っていくことが求められているという。

また、発達障害の教育講演では、小児領域でのSTへの期待が語られていた。小児領域では、言葉の教室が挙げられるように、STは関わっているのだけれども、小児を対象とするSTの数はあまり多いとは言えない。教育講演では、特別支援学校を支援する形でのSTが、この分野に入ってきてほしいということが語られていた。

 自閉症、注意欠陥多動性障害、学習障害等の子どもたちは、増加傾向にあるそうだが、医療なり教育の現状のなかでじゅぅぶんに対応できているとはいえない状況であるという。この分野にSTが、もっと参画してきてほしいということだった。STの活躍が期待されている。

従来のSTの活動範囲を越えて、様々なところでSTが活動してほしいという声があるということを、今回の学会を聴いて感じた。STの可能性は、これから広がっていくのではないかと思った。

翻って、自分自身について思うとき、勉強をして経験を積んでいくことが大切だと思った。そして、学会に足を運ぶことは、広い視点から、可能性を発見できるのだ、ということをあらためて感じたのでした。
 


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May 31, 2015

ソリューション入門講座at函館

 5月30日、サン・リフレ函館で「ソリューション入門講座」が開かれた。
解決のための面接研究会主催の研修会である。今回、初参加した。

 解決のための面接研究会は、おもに札幌を拠点にして活動している。ソリューション・フォーカスト・アプローチ(SFA)の立場の心理療法の研究会である。
「みんな元気になる対人援助のための面接法〜解決志向アプローチへの招待〜」(相場幸子・龍島秀広編 金鋼出版2006年)という本も、この研究会が出している。
僕は、この本を手にして、SFAを知り、興味をもったのである。とてもわかりやすい本で、心理学を専攻していない人でも読める書き方をしている。

SFAは、スティーヴ・ディ・シェザー、インスー・キム・バーグらによって、はじめられた心理療法である。

 SFAの特徴は、原因追究をしない。問題の原因とその解決は別物と考える。解決に導くためにクライエントに未来イメージをもってもらう。セラピストはクライエントと協力して未来イメージをつくる。クライエントの長所を見つけだし、エンパワーメントする。
 じつに前向きな発想法で、問題解決をつくりあげていく。それがSFAである。

 従来の心理療法を、問題の原因をとことん追求して、解決のための処方箋をつくりあげていこうとするものだった。しかし、原因をいくら追求しても、解決には、なかなか結びつかない。それどころか、クライエントは傷つき、疲弊してしまうのである。

 SFAでは、クライエントが解決のための資源(リソース)をもっているとし、クライエントに未来へ向かう力を与え、未来イメージを描くことで解決へと導かれるとする。

 このとことん前向きの姿勢が、僕自身の生きていくうえでの指針となるようだと思った。SFAの存在を知って・・。

 今回の研修会は、初心者向きの、入門講座。SFAとは何?というところからはじまって、そのサワリを体験する。

 SFAには、様々な面接技法があり、そのいくつかを今回、体験。

コンプリメントのワーク、スケーリングクエスチョンのワーク、TSTを使った面接のワークということで、実際に受講者同士で、面接練習を行った。

コンプリメントというのは、簡単に言えば、相手を褒めるということ。しかし、理由もなく褒めるのではなく、相手も納得するようなツボを押さえた褒め方をする。褒めることによって、クライエントに力を与え、解決に使えそうな資源がみえてくる。

スケーリングクエスチョンというのは、「1から10のスケールで、10が最高にうまくいっている状態、1が最低の状態であるとすれば、いくつぐらいでしょうか」と質問するテクニックである。クライエントが数字を出せば、「どうしてその数字なのでしょう」と聞き、また、「1あがった時、今とどんなところが違っているでしょうか」、と未来イメージを描いてもらう。

TSTというのは、Topic select talkの略。クライエントの話を聴くやり方のひとつで、クライエントの話した話題を拾って質問をし、話を聴き続けるテクニックである。クライエントが話したいだろうということを引き出す効果がある。解決のための資源が見いだされたり、さらにコンプリメントしていくと解決イメージを引き出すということにもつながっていく。

というわけで、今回、SFAのサワリを体験することができた。SFAは心理療法家だけが行うカウンセリングだけではなく、あらゆる対人援助を行う職業の人たちにとって有用なものである。

患者さんや患者さんの家族と接するときに、SFAの考え方を自分のなかに取り込んで、仕事を進めていきたい。STとして、また新たな展開があるのではないかと思う。



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May 26, 2015

第15回摂食・嚥下リハビリテーション北海道地区研修会に参加

5月23日、札幌で「第15回摂食・嚥下リハビリテーション北海道地区研修会」が開かれた。
会場は、「かでる2・7」。

 摂食・嚥下リハビリテーション北海道地区研修会は、今回が第15回だそうだが、僕は、初参加。毎年、この時期に行われているのだそうだ。

 この研修会では、日本摂食・嚥下リハビリテーション学会認定士の単位が20単位取得できる。認定士の単位が取得できるというのも魅力だ。

 4つの講演が開かれた。いずれも日本の摂食・嚥下の第一人者の講演であり、とても勉強になった。

 今回の研修会で、印象に残っているものの、ひとつは、プロセスリード。プロセスリードは、咀嚼を引き出すゼリー状の食形態。何々リードというと、エンゲリードが思い起こされる。エンゲリードは、嚥下困難者のため、最も飲み込み易いゼリーである。
 プロセスリードは、とくに咀嚼という観点に特化させた嚥下困難者のための食品である。

 咀嚼が、嚥下に与える影響として、嚥下を促通するのか、抑制するのか、学会で議論が展開されていて、決着はついていない。しかし、エンゲリードなどのゼリー状の食品の飲み込みができるようになった段階で、丸のみばかりで咀嚼が少ないというのであれば、次の段階に進むことはできない。咀嚼ができて、食形態をアップさせていくことができる。

 咽頭残留が少ない咀嚼できる食品として開発されたのが、プロセスリードである。僕も試食してみたが、たしかに噛まなければ食べられない食形態だった。しかし、喉の通過はよく、これは考えられた食品だと思った。
 研修会では、咀嚼の必要性とともに、プロセスリードが紹介された。とても勉強になった。

 さて、今回の研修会で印象的だったのは、気管カニューレについての講演である。カニューレの特徴を掴むというのは、なかなか大変なのだけれども、摂食・嚥下では避けて通れない領域である。
 カニューレを装着していて注意しなければならないのは、肉芽形成である。とくに前壁が要注意である。というのも、前壁には、腕頭動脈があるからである。カニューレの先端が腕頭動脈付近に接することがある。そのため、カニューレの刺激により出血しやすい状態になる。もし、動脈を傷つけ出血させると・・・病院ですぐに対応できる場所ならともかく、在宅などで起きると死につながるということになる。怖ろしいことだ。
カニューレの使用イコール「腕頭動脈」というキイワード・・・これを、頭に叩き込まれたような講演だった。

摂食・嚥下リハビリテーション北海道地区研修会・・・来年も、ぜひ参加してみたいと思います。

ところで、会場となった「かでる2・7」。1990年代のことだけれども、北海道高等学校図書館研究会が、毎年、ここで開かれていて、僕は、その研究会の実行委員のメンバーのひとりだった。この会場で、何度か研究発表したこともあり、僕の図書館司書時代のワンシーンが蘇ってくる場所である。
今回、STになって、この会場に足を運ぶとき、何か特別なものがこみあげてくるのである。


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December 15, 2013

第28回東北静脈経腸栄養研究会に参加

 12月14日、トラストシティカンファレンス仙台で第28回東北静脈経腸栄養研究会が開かれました。東北静脈経腸栄養研究会にはじめて参加しました。

 10時より開始。モーニングセミナー「輸液の基礎」からはじまりました。JSPENのNST専門療法士試験の内容の講義です。続いてランチョンセミナー「消化器癌化学療法における栄養療法の有効性」です。

演題発表は27題。15時30分よりティータイムセミナー「周術期の栄養管理アップトゥデート」もあり、充実した内容でした。17時30分終了予定をやや超過しての熱いディスカッションが展開されました。

 僕は11月のJSPENのセミナーで、はじめてこの分野の学会に参加。今回は2回目ということになります。日頃、NSTのメンバーとして仕事をしているので、言語聴覚士のリハという範囲を越えて、広くNSTの内容に踏み込んだ勉強をしていきたいと考えています。

 研究会終了後、定禅寺通りに行きました。仙台の街はイルミネーションで彩られています。「光のページェント」を見てきました。本当に美しいイルミネーションです。しかし、あいにく、途中から吹雪になり、急いで、地下鉄構内に避難。地下鉄で仙台駅に行き、盛岡に帰ってきました。もう少し、ゆっくりと光のページェントを見たかったのですが、残念です。


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November 03, 2013

幼児期の言語発達と支援のあり方〜岩手県言語聴覚士会小児部研修会〜

 11月2日、岩手県言語聴覚士会小児部研修会が岩手県自治会館で開かれました。テーマは、「幼児期の言語発達と支援のあり方」です。

 私は、成人の臨床のみを行っているので、小児については、ST養成校のなかで学んだ程度です。それでも、研修会は興味深いものがありました。

 言語発達とは? STにとって、永遠のテーマでしょう。

 言語発達の理論については、2つの対立した立場があります。チョムスキーのいう生成文法に代表される生得モデル。もうひとつは、スキナーの行動分析に代表される学習モデルです。

 言語は、生まれつきなのか、学ぶものなのか・・・この両者は相いれないようですが、両方とも正しいのでしょう。この両者を結ぶ立場としてトマセロらが社会相互交渉モデルを主張しています。

 つまり、言語は生得的にプログラムされたものだけれども、子どもが人との関わりのなかで学んでいくもの・・ということです。

 ここで、とても大切なのは、人と関わるなかで言語を身につけていくということです。

 視線を追う能力と言語発達は関連していると言われています。共同注視と表出語彙は関連しているのです。相手の視線や指さしを手がかりにして、目標物に共同注視できる程、2歳の子どもの表出語彙は豊富といわれています。

 また、子どもの注視だけでなく、大人が子どもの興味を読み取り、関わっていくことで、さらに言葉を学んでいくと言われています。

 おもしろかったのは、アメリカで行われた実験です。子どもに、中国語の幼児番組を見てもらいます。ビデオを見せます。番組に登場するお姉さんは、中国語でパペットを使った楽しいゲームをします。毎日、同じ番組を見せます。

 何日かしてから、どれくらい中国語を理解しているか、テストします。しかし、身についていないのです。

 もうひとつ、実験をします。番組に登場するお姉さんが、実際に子どもの前にやってきます。番組で行うことと全く同じことを目の前で行います。中国語です。
 同じようにテストをしたところ、中国語を子どもは身につけていっています。

 つまり、テレビではなく、実際に人と接した場合に、言葉を身につけているのです。

 これは、直接、人と関わることが言語獲得に、きわめて重要であるということを意味しています。言語は、社会的な対人関係と分かちがたく結びついているということです。

 この実験結果は、とても興味深く、今回の研修会で、私が最も関心をもったものです。

 今日は、小児の言語発達がテーマでしたが・・・これは成人にとっても、重要なことと思われます。患者さんに、直接、話しかけること。言語刺激を入れていくということは、とても重要なことです。たんに失語症訓練ということだけでなく・・・認知症患者さんにとっても・・、また、DNRという段階になってもです。人間は、生まれてから、死ぬまで、社会的な関係のなかで生きていく存在であり、そのシンボルが言語なのでしょう。だから、言葉で人と関わるということが、生まれてから死ぬまで、その全過程を通じて、とても大切なことだ・・・そう思うのです。

 さて、今回の研修会では、LCスケールがとりあげられました。

 じつは、私は、LCスケールは、全くはじめてでした。LCスケールというのは、Language Communication Developmental Scaleの略です。「言語・コミュニケーション発達スケール」という検査です。

 言語発達の検査というと、私は「国リハ式言語発達遅滞検査」、SS法というのが思い浮かびます。ST養成校ではSS法の練習をずいぶんしました。

 LCスケールは、新しい言語発達検査です。そのサワリ程度ですが、今回、学ぶことができました。

 知能検査では捉えきれない、子どもの言語能力を分析することができます。有効なツールです。

 LCスケールには、学童期版もあります。こちらはLCSAスケールといいます。LC Scale for School Age children「学齢版 言語・コミュニケーション発達スケール」といいます。

 事例検討では、自閉症児のLCスケール、LCSAスケールの特徴などが、とても興味深いものがありました。

 私は、SS法をスクリーニング的に、成人の認知症患者さんの言語を知るために使っていますが、LCスケールも、そういう使い方をしても、おもしろいなと思いました。

 とても有意義な研修会でした。これからは、小児の研修会にも、積極的に参加していこうと思いました。



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October 27, 2013

「片麻痺者の視知覚・視覚系と運動制御」〜宮城県言語聴覚士有志勉強会に参加

 10月26日、栗原中央病院で今年度2回目の宮城県言語聴覚士有志勉強会が開かれました。

 今回は、片麻痺者の視知覚・視覚系と運動制御というテーマです。

 視知覚、視覚がどのようなメカニズムなのか、解剖学から整理していきます。さらに、視覚には運動視差やオプティカルフローといった特徴があることも確認されました。

 車に乗っていて窓から景色を見ると、遠くの物体ほどゆっくり動き、近くの物体ほど早く動いて見えます。このような遠近による刺激の動きの違いを運動視差といいます。運動視差は遠近感の手がかりになります。これは前進運動中のオプティカルフローです。

 人が環境のなかで移動することにより、網膜上に一定の動きのパターンが生じます。このような動きのパターンをオプティカルフローというのです。

 見え方の変化は、自己の姿勢や移動の方向、速度や加速度の情報になるのです。

 視覚系の姿勢・運動制御について言えば、健常者は、視知覚・視空間をとくに意識することなく感じています。何かをしたいと思う、その課題について意識しますが、見えたものに対して、きわめてオートマティックに処理していきます。
 しかし、片麻痺者は意識下の意志でコントロールしなければならないのです。

 そこで、リハビリテーションを進めていくなかで、どうやって感覚情報を整理して患者さんに受け止めやすくするか、それについて検討を加えるというのが、きわめて重要なことなのです。

 視覚、視知覚について、これまで掘り下げて勉強してこなかったので、今回、とても興味深く学ぶことができました。

 勉強会の後半は、軽度構音障害の患者さんの症例検討でした。構音障害のリハビリに、姿勢から取り組んでいきます。肩甲骨へのアプローチで姿勢が正しく保たれるようになり、発話明瞭度も改善しました。

 症例検討会では、参加したST、PT、OTからいろいろな意見が出されて、とても勉強になりました。




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October 20, 2013

発語失行の症候学とリハビリテーション:日本コミュニケーション障害学会復興支援セミナー

 10月20日、日本コミュニケーション障害学会復興支援セミナーが岩手県医師会館で開かれた。「発語失行の症候学とリハビリテーション」という題のセミナーである。

 発語失行の症候学、評価、治療・マネジメントまで、発語失行の全体像を学ぶことができた。

 発語失行は、Darleyの定義では、「脳損傷の結果、音素の随意的産生のために、構音筋群の位置づけと筋運動の系列化をプログラムする能力が損なわれたために生じる構音の障害」となっている。

 発語失行はブローカ失語と合併することが多い。失語は言語学的レベルの障害であるが、発語失行は音声学的レベルの障害である。言葉は頭では思いついているが、うまく話せない。発声器官を動かす運動プログラムが障害されているのである。

 それじゃあ、運動障害性構音障害ディサースリアとは、どう違うのか。ディサースリアは、発声発語器官に運動麻痺があるため構音の障害が起きるのである。発語失行は、発声発語器官を動かす運動プログラムがうまくできていないのであって、麻痺はない。そこのところがディサースリアとは違う。

 だから、ディサースリアでは、一貫性のある構音の誤りをする。たとえば、サ行がうまく言えないとか・・・特定の構音に誤りがみられてくる。しかし、発語失行は、構音の誤りに一貫性がない。構音の誤りはバラバラである。言えたり言えなかったりする。うまく言おうと探索しながら話す・・それが発語失行である。

 発語失行の特徴として、発話開始の遅れ、というのがあるが、今回のセミナーでは、「発話開始の遅れ」を発語失行の鑑別のポイントとするのは、適当とは言えないのではないか、ということが指摘された。

 発語失行では、自動的・反応的発話において構音が正確なのに、随意的・目的的発話において不正確になる。自動的運動と意図的運動の乖離である。すなわち、自発話では、わりあいとスラスラ話せるのに、いざ、音読してください・・・というような課題を出すと、つっかえつっかえ、やっと話すという状態になる。ディサースリアでは、麻痺によって話せないので、話せないのは、いつも同じである。

 また、プロソディーの障害も発語失行独特なものがみられる。ストレスが平坦になったり、音節間に不適切なポーズを挿入する。ボツボツと途切れたような発話になる。これは、運動障害の影響と患者の補償的努力を反映しているという。また、発語失行は声質の変化はない。正常である。ディサースリアは声質が変わる。声の障害がおきる。

 このようにして、さまざまなポイントをひとつずつ見ていき、発語失行の鑑別を行っていくのである。

 発語失行について、今回、より深く学ぶことができました。日本コミュニケーション障害学会の学術大会や研修会に、これからも参加していきたいと思いました。今回は、復興支援セミナーということで、本当にありがとうございました。


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