乳がんが見つかり、がん患者となった日から
わたしの心は急に不安定になった。

外面は平静を装っていても
内側で心は千々に乱れて、
おろおろと困り果てる時もあれば
一方でふしぎと冷静にこれからのことを
考えられる時もあった。

弱い自分と強い自分が
一日の中ですら目まぐるしく入れ替わり、
そしてそのタイミングは
全く予測がつかない。

そんな頃のわたしにとって、
周りにいちばんしてほしくなかったのは
わたし以上に過剰に嘆き悲しんだり
動揺されたりすることだった。

そういう反応というのは
共感し同情してくれた結果なのだろうが、
わたしは自分の精神状態を
フラットに保つのにいっぱいいっぱいで
他人の感情の揺れを受け止める余裕など
全くなかった。

彼女の再発を聞いて、
その頃の自分を思い出した。
わたしはその時、
ひとにどうしてほしかったのだったか?

本人以上に取り乱したりせず、
けれども他人事のようでもなく、
すっといつの間にか隣に寄り添うように
押し付けがましくなく支えてもらいたかった。

つまりは、それまでと何も変わらずに
普通に接してほしかった。

そうしてもらえることで、
がんになった自分の状況が
とんでもない悲劇などではなく、
治療すれば解決できる
「人生のちょっとしたトラブル」
のように思えてくるからだ。

けれども、川面に落ちた木の葉のように
自分ではどうしようもなく辛い方へと
心が流されてしまう時もある。

そんな時には、
いつもより少し(ほんの少しでいい)
ともだちの距離を近くして
そっとそばにいてもらいたかった。

彼女にとっていつまでも
ちょうどいい距離のともだちでいよう。

そう思いながら、深夜に彼女の話を聞いた。



      
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