2007年12月

2007年12月19日

Assassinはなぜ売れたのか

なぜいきなり250万本も売れたのか、という仮説。

→プレス向けのイベントで「ソーシャルステルス」「フリーランニング」「フリーパスデザイン」「アサシネーション」など、ゲーオタが飛びつきそうな造語を駆使して大々的に発表。

→ゲーオタであるエディターと、ニュースをチェックしてるゲーオタが大騒ぎ。

→ゲーオタたちのどよめきが、1年半かけてライトオタから普通の人へとオンラインで伝播。

→Assassin発売。ゲーオタだけでなく、よくわからないけどそんなにすごいゲームなのかとライトオタ、普通の人も購入して大ヒット。

→一部のエディターとゲーオタが期待はずれだと怒る。←いまココ

あとプレスの影響力の強い現在、ゲームはなるべく年末に発売したほうが得だと思った。

ノト at 02:25|PermalinkTrackBack(0)

2007年12月18日

私的GOTY2007と今年のまとめ

以下は今年僕が遊んだゲームの中から選んだ、GOTY(ゲーム・オブ・ザ・イヤー)。

Call of Duty 4
Infinity Ward: Xbox360, PS3, PC

S.T.A.L.K.E.R.
GSC Game World: PC

同率首位的なイメージで今年はこの2本に決まり。

ゲームデザインから製作環境まで、思い切り正反対のポジションにいるFPSだが、品質はどちらも超一流。この品質を上回るタイトルはそのうち出てくるかもしれないが、「今年この2本を遊んだインパクト」を超えるタイトルは当分(もしくは二度と)出ないだろうと思う。

2本ともシューターとしてはオーソドックス。CoD4はCoDシリーズ伝統のレールライド・アーケードシューター。STALKERは頭の良い敵AIと、緻密なデータに基づく武器性能を軸に据えたリアル系(設定はSFだが)。どちらのスタイルも完成度は大変高い。まぁここまではFPSとしての基本性能の高さの話。

どちらも時代性を意識したタイトルなのは間違いないので、この2本の素晴らしさを説明するために、今年のトレンドっぽいキーワードを並べることも可能なんだけど、そんなものいくつ並べても意味無い気がする。

この2本のFPSをプレイして僕が何を得たか。どんな体験、どんな心象だったのか。

それは「ゲーム世界への深い没入」。これに尽きる。

面白くてのめり込むビデオゲームだったら、この世に腐るほどあるが、この体感はFPSでしか味わえない。

FPSなんてどれも一緒じゃんとか、もう進化止まったよね的な印象を持ってる人、最近のゲームって面白くない、何か新しい体験がしたいという人には、この2本は特におすすめ。次のステップへの道筋も照らしている。

一応リアルタイムの感想も貼っときます。

ゲーム脳日記: CoD4シングルプレイクリア
ゲーム脳日記: アノーマリー

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以下次点と今年のまとめ。

BioShockも相当よく出来てたんだけど気分が持続しなかった。もし11月に発売されてたらGOTYにしてるかも。そのあたり内容は全然違うけど気分的な立ち位置は去年のGearsに似てる。たぶん海外メディアの多くはBioShockをGOTYにするんじゃないだろうか。結局そのあたりって宣伝と初動売り上げ、それに煽られるユーザの祭り度で決まるんだと思う。もちろん中身も飛びぬけて良いのが前提の話で。

BioShockとGears、どっちのタイトルも普通の人やゲーム会社の偉いおじさんに、「なるほど、これが次世代か」と思わせるヒキの強さがある。Gearsのときもそうだったけど、たぶん来年あたりからBioShockと似たようなタイトルの情報が何本か出てくることでしょう。

さらに今年期待していたデザインのキーワードと、成果を上げたと判断するタイトルをざっとまとめてみる。

即興性(Improvisation)関係はBioShockが良かった。しかし即興性はマルチ主流のなかコンソール伝統の俺TUEE方向に解釈されやすく、リプレイ性を担保しづらい事もBioShockが証明してしまったように思える。ということで来年以降の動向はやや微妙か。とりあえずSplinter Cell: Convictionに期待。

次はフリーローミング関係。といってもBoilingPointやTES4のような真の野放しスタイルではなく、ある種の制限をかけた上での「フリーローミング風、サンドボックス風な気分」を味あわせるスタイルに変化。肝は気分を味あわせるだけでなく、そこに何を絡めるか、となる。今年はAIエコロジーを絡めて雰囲気作りを優先した、STALKERの解釈がダントツに良かった。BioShockは前宣伝を翻し発売前に突然リタイア。この流行もコストに見合った効果が出ないという判断で来年以降は微妙なことになるかもしれないなーと思っていたが、Assassinがバカ売れしたおかげで、もうしばらくは各タイトル、デザインを試行錯誤するチャンスがあるかもしれない。

AIエコロジー関係もSTALKERかな。STALKERも全然前宣伝には及ばない完成度だったんだけど、フリーローミング風味なレベルデザインと相まって、それっぽい雰囲気はすごく醸し出してたので。BioShockはスクリプトで雑魚が衝突する程度だったので選外。

上記のトレンドをまとめると、いかに偶発的・プロシージャルな要素にドラマを見出せるか、という方向になるのかな。来年はSC: Conviction、FarCry2あたりにそっち方面の期待をしましょう。

もうひとつのキーワードは偶発的要素の対極にある、主観視点の物語り。こっちは豊作だった。というかもうFPSだったら猫も杓子も似たようなことをやってて、駄目なタイトルも沢山あるんだけど、そのなかでも意欲的なタイトル、全体のハードルを引き上げるようなタイトルがいくつかあったから。

まずはBioShockとCoD4。この2タイトルは歴史の転換点になるタイトル。文句無し。ありきたりの表現しか出来ないけど、どちらのタイトルも人間が描けてることが結局他のFPSとの違いだと思う。人に歴史ありと言いますが、その歴史をプレイヤーの感情に紐付けする技術が恐ろしく巧み。たぶんどちらもその道のプロ仕事。それが単にNPCが喋るだけの寸劇との大きな違いだと思います。

次点でDarknessかな。Darknessはトータルの完成度に足を引っ張られたけど、ビデオゲームのストーリーテリングとその手法に対してすごく意欲的なタイトル。バイオレンスやグロ描写の地続きで、愛やヒューマニズム、弱者の尊厳を語ろうとする野心作だった。このタイトルはもっと評価されてもいいと思う。

偉大なオールドスクール、Half-Lifeが提示した「主観視点の物語り」というコンセプトは進化し続けている。GOTYの話にも書いたけど、こっち方面の進化がある限りシングルFPSは面白いし、僕は遊び続けると思う。これって最終的にはVR方面に向かうんでしょうかね。

最後にパッケージ的な話をすると、どのゲームもプレイ時間がやたら短くなってて、難度がとにかく下がってる。このへんの基準を最初に具体的なプレイ感としてイメージさせてくれたのはGRAW2かな。

あとは相当マルチ化が進んだなーとか、やっぱ元PCゲーのデベロッパが強いなーとか、だいたい去年の流れをそのまま継承してる感じ。このへん、元を辿れば全部お金の話に行き着いちゃうんだろうけど。

|| 360 Games Zone || | S.T.A.L.K.E.R.のGSC Game World、Xbox 360参入を正式発表
我が社が多大な努力を注いで正式にXbox 360の開発会社となれた事を嬉しく思います。旧ソ連を拠点とする独立系開発会社にとって、それは非常に大きなステータスとなり、ここに来るまでに2年という長い時間がかかりました。

「アクティビジョン カンファレンス 2007」開催。PS3「コール オブ デューティ4」など新作4タイトルを発表
「Infinity Ward」というスタジオで人を雇うにあたり、現在市場にいるベストな人材だけを集めているという自負があります。

私的GOTYの2タイトルについても↑な感じ。

PCゲーム最後の仇花、最後の良心とでもいうべき存在だったGSCもコンソールに参入してしまった。

以前、GSCとお付き合いがあったという日本の会社の人にチラッと聞いたことがあるんだけど、STALKERチームはウクライナの超エリートで構成されているらしく、自分たちの能力に相当な自信とプライドを持っているらしい。

そんな連中が、たった1本のタイトルを5年も6年もかけて作ってたわけだから、そりゃ豊かなゲームになるだろうと思う。

欧米資本から外れたところで規格外の超A級タイトルが突然変異的に現れる、なんて夢のある話は今後はもう無いでしょう。そういう意味でもSTALKERは最後の1本、奇跡の1本というロマンがある。

これもグローバル化と言うんでしょうか。今や「ゲームの品質や面白さ=どれだけお金をかけたか」ということに限りなく近い状態。良くも悪くも欧米パブリッシャ主導のハリウッドスタイル。

面白い話を考える人、良いプログラムを書く人、絵の上手い人、良い音楽を作る人、仕事を効率よく回す人、どれもぜんぶ市場価値の高い人材に換算できる状態。お金の集まるところに良い人材が集まり、面白いゲーム、売れるゲームが出来上がる。儲けたお金で次に投資、という冷たい方程式に収束しつつある。

CoD4のInfinity Wardあたりはその最右翼にいる印象があるかな。新規性やゲームデザイン、ドラマ性といった情緒的な感性が支配するところまでデータ品質至上主義を貫いている感じ。クレバーで合理的、余りも足りないところも見つからない完璧なデータの集合、CoD4は遊んだだけでそんな印象を受けます。

まぁお金のかけ方にも色々あって、制作費○○億!とか、お金をかけたことぐらいしか自慢できないタイトルも困るんだけど。

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今年、というか去年のホリデーシーズンからの1年は、本当にゲームの当たり年だった。毎月のようにGOTY候補や満点レビュー(これも乱発しすぎは問題あるんだけど)が飛び出すような状態で、僕も相当な数のゲームを購入することになってしまった。なるべく絞って買うようにはしているつもりなんだけど。

きっと10年ぐらい経っても、「あの年はすごかったねー」という話題になるに違いない。ゲーマーとして本当に幸せな1年でした。

以上です。長文お疲れ様。


関連エントリー:
私的GOTY2006と今年のまとめ

ノト at 12:54|Permalink

2007年12月10日

Assassin感想

辛かったけどようやくクリアした。

結論を先に言うと、エンジニアリングやアートは超一流。しかしゲームデザインは三流。個人的には合わせて中の下といったところ。

今はクリア直後の気分なんで結構辛めだと思うし、ネットを見る限り、好意的に評価している人も多いので、あまり文句は言いたくないんだけど…

ということで以下あくまでも個人的な感想。

主人公のアクションは本当に素晴らしい。クイックでストレスを感じさせない操作性の良さと、リアルなモーションを両立させたキャラクター制御。

製作チームの前作にあたるPoP: Sands of Timeを遊んでも判る通り、もともと彼らはキャラクターメカニックに関してズバ抜けた実力を持っている。技術のことはよくわからないが、きっと高度なモーション補間技術と、手作業による職人的なアニメートによって成立しているんだろう。

尚のこと、これだけの能力を持ったスタッフと、その成果を活かすことの出来なかったゲームデザインの脆弱さ、トータルの歩留まりを見極めなければならないディレクションの不手際さが目に付く。

製作が進むにつれ連鎖反応的に発生したと思われるような、ゲーム設計の整合性の無さや矛盾点を挙げていくとキリがないので(遊び始めた当初は、あえて狙ってセオリーを外し続けているのかと勘ぐった)、いちいちどこが気になったのかまでは書かない。

一番残念だったのは、発売前からこのゲームを紹介する際に使われていたキーワード、「ソーシャルステルス」という今作の主軸となるコンセプトが証明できないままだった(と僕は感じた)こと。

他にも「フリーローミング」だとか「環境を駆使した即興性」だとか、たくさん同時代的なキーワードを掲げてプロモーションしていたような気がするが、僕の見る限り殆どの要素が、似通ったコンセプトを掲げる他タイトルの水準にまで達していない印象だった。

あとはダラダラと能書きをたれるカットシーンもキツかった。いま時いったいどういうセンスをしているのかと。個人的には冗長なだけで何のドラマも感じなかった。

このあたりも、実際のところデザイナーやシナリオの責任というより、元を辿れば統括するディレクターや、GOサインを出した更に上の層に起因する問題なんだろう。

だがプロモーションが大きかったこともあって、海外での売れ行きは大変良いようだ。もともと三部作(?)の構想らしいので、続編が出ることはまず間違いない。

海外のレビューなんかを見ると「練りこみ不足、消化不良気味だが続編に期待」的なことが書かれているが、どうだろうなー。根元の部分から何かセンスがズレてる気がするし、結構深いところから見直さないと似たような結果になる気がする。

リニア進行のアスレチックパズルにまで回帰する必要は無いのかもしれないけど、革新性とか新規性に拘らずに(もしかしたら全然そういうことが得意じゃないチームかもしれないし)、もうちょっと自分たちの持ち味を活かした、ベーシックでシンプルな方向に見直すのもいいんじゃないだろうか。


関連エントリー:
Assassinファーストインプレ

ノト at 02:46|PermalinkTrackBack(0)

2007年12月05日

カットシーンその2

この10年の間に、ゲーム製作者、プレイヤーを問わず、様々なかたちでカットシーンの是非が議論されてきたことと思う。

プレイヤーからの非難と賞賛を同時に浴びながら、様々な手法を取り込み、模索し、洗練され、カットシーンは多様化と進化を遂げた。

こと現代においては、カットシーンという手法を採用すると決定した時点で、どんな製作者であろうとも、その歴史と存在の是非を神経症的に意識せざるを得ない。

つまり、カットシーンスキップ不可という糞仕様が、「ついうっかり」とか「気が利かなくて」などという理由で見過ごされ、そのままひょっこり発売されるということは、今や絶対に有り得ないのだ。特にゲームデザインに対し意識的と喧伝されるようなタイトルならば尚の事。

おれの話が終わるまでスキップ不可、かったるくても絶対に飛ばさせない、という仕様とゲームデザインには必ず理由があり、そこには製作者の信条、理念、哲学と魂が込められている。

あ、全然関係ないけどAssassinの感想はクリアしたら一応書こうと思います。


関連エントリー:
カットシーン
見てほしいところを見てない問題

ノト at 03:13|PermalinkTrackBack(0)