2008年12月

2008年12月31日

2008年のまとめ

相変わらず撃つゲームばかり楽しんでる気がするし、そうなるとGOTYとか言うのも気が引けるんで今年はそういうの選ぶの無しにします。

個人的に楽しんだタイトルを一応挙げるなら、FarCry2とDead Spaceかな。でも他にも秀作がいっぱい出た、去年に続くゲームの当たり年でした。

今年のまとめというか、最近の僕のゲームの好みの傾向を話すと、血も涙も無い市場原理に貫かれているか、または理想や情熱が溢れているかという、両極端なタイトルにしか興味が無くなってきてる。僕が去年選んだGOTYの2本もそんな感じかな。

世に出ているタイトルならば、どっちもそれなりの傾向はあって当然なんだけど、稀に「並外れた」振り切れ方をしているタイトルというのが出てきて、そういうゲームは触った瞬間にビビっとくる。

実際のところゲーマーに支持されているタイトルというのは、大抵どちらの傾向も兼ね備えているものだし、並外れたリアリストでありロマンチストでもある、というのは面白いゲームを作る条件なんだと思う。

逆に言うとそのへんが中途半端だと、再編や退場を迫られるようなケースが今後は出てくるのかもしれない。

ということで来年もまたみんなが面白いゲームで遊べますように。

みなさん、良いお年を。


関連エントリー:
私的GOTY2007と今年のまとめ

ノト at 17:38|Permalink

2008年12月30日

シューター天国 ファー クライ 2

では、遊んで駄目だった点から順番に書いていく。

発売前から大々的に宣伝されていた、プロシージャル・ナラティブだのダイナミックなファクション変化だのといった、ゲームデザインに関する新規要素は全滅状態。

実体の無いバズワードで風呂敷を広げ、革新的なゲームデザインだとメディアを通して印象付けるUbiのプロモーションスタイルは、去年のAssassin's Creedのやり方とまったく一緒。合理性の欠けた矛盾点の多い構造、初期のゲームデザインの構想が破綻して、無意味な仕様としてその痕跡が点々と残っているところなんかも、なんとなくAssassinと似てる。

他に批判されているのは、とにかくゲームの展開が単調な点。

数パターンしかないミッション(要は戦闘するだけ)の依頼を受け、依頼の目的地まで長い距離を移動し、その道中でも高回転でリスポーンし続ける敵を倒し続ける。これが本当に延々と続く。

おそらく初回プレイではクリアまで30時間以上はかかると思うけど、本当にただ敵を倒し続けるだけの単調なプレイが、30時間以上続くことになる。このひどい単調さが、FarCry2のメディア評価、ユーザー評価を下げているのは間違いない。

で、ここから僕の感想。

先行して海外版を買っていた国内ユーザのネガティブな反応も多少見ていたので、僕もあらかじめ期待値をかなり下げてから遊び始めた。

ゲーム開始数時間で、前述した新規要素の欠如、ゲームデザインの合理性の無さが露呈。展開の単調さも、おおよそ想像が付いてしまった。駄目な点は遊べばすぐに判るタイプのゲームなので。

当然のように「うーん。これは駄目かな」という第一印象だったんだけど、実際にプレイするまで予想外だったのが、このゲームのシューティング部分が案外面白いこと。

基本はパッド操作を考慮した「止まって撃つ」スタイルで、序盤はアサルトライフルを使ったシャープシューティングが中心になる。おそらくミドルレンジからアイアンサイトで短くバーストするスタイルになると思うのだが、それが予想以上に面白い。面白いというか楽しい。「FPSっておもろいなー」という原始的な快感を思い出させてくれるような楽しさ。

もちろんFPSだから撃つのが面白くて当たり前じゃないと駄目なんだけど、ディレクターのClint HockingはコンソールのSplinter Cellでキャリアを積んできた人なので、純粋なFPSはディレクション未経験。こちらとしても発売前に宣伝されていた彼のゲームデザインの新規性ばかりに目が向いていて、正直FarCry2のシューティング部分にはほとんど期待していなかった。

まぁでもこのシューティングの面白さも、いつかはこのひどい単調さに負けることになるんだろうと思いながらプレイし続けた。

――10時間、相変わらず単調だが、まだまだシューティングが面白い。

――20時間、30時間、飽きるどころか戦闘が楽しくて仕方なくなってくる。

――40時間、そしてクリア。

あれだけ単調でうんざりだと思っていたのに、クリアしてみると何故かまだ物足りない。そのまま2週目に突入したけど、実は初回プレイよりも楽しめてたりする。

戦闘が印象に残っているタイトルといえば、初代FarCryやFEARあたりになるが、ここ数年は、このFarCry2ほど戦闘を純粋に楽しめたタイトルは個人的に無かった。

ずば抜けてAIが優秀ということもなく、斬新なメカニックがあるというわけでもないが、おそらく様々な要素のバランスが良いのだろう。シューティングの楽しさを上手に引き出したチューニングになっていると思う。

あとはオープンエンド/フリーローミングというデザインを、きちんとシューティングに活かしているのも良かった。

目的地までの道中では、隠れながら移動し敵をスルーするか、弾薬や回復薬の補充のために戦うかを選ぶ。最初はセーブポイントも敵に制圧されているので、セーブのタイミングも慎重にプランを立てる必要がある。

目的地に到着したら、地図や実際の地形を観察しながら、敵陣地に360度どこから攻め込むかを検討する。

昼夜の変化で敵AIのセンシティブが変化するので、夜間にステルスで侵入するか、日中視界の開けた時間帯にランボープレイで突撃するかを選択。

装備編成の戦略性も高い。シンプルだが所持数など制限のバランスを丁寧にとっているからだろう。ステルスならばダートライフルとサイレントMP5を装備し、藪の中で夜を待つ。ランボースタイルならばロケランにグレラン、火炎放射器あたりを装備し、アサルトトラックに乗って正面突破。

プローンとリーンが使えないことに関しては、プローンはクランチと明確に差別化できないなら必要ないと思うし、FarCry2の敵AIの行動特性ならリーンを使った戦闘もあまり意味は無いだろう。むしろ個人的にはステルスの陽動手段として、初代FarCryのような投擲スロットに小石が欲しかったかな。

あとは景観描写も地味によかった。コンソールベースのため、Crysisのように贅沢なリソースの使いかたはしていないけど、しっとりとした質感と、光線の減衰を活かしたバランスの取れた自然な絵作りが素晴らしい。穂波の美しさは一見の価値あり。昼夜や天候の自然な変化、爆発、炎上エフェクト、破壊表現や様々な物理挙動など、環境表現はSEも含め全般的に良かった。全てはリアルな戦闘を表現するためというコンセプトも明快。全体の絵作りや表現の方向としてはコンソール版のGRAW2に似てた気がする。

さてまとめ。

このFarCry2、賛否両論あるのはもちろん理解できるが、僕は極めて純粋なシューターとして評価したい。

他のゲームのように邪魔な民間人もおらず、余計な成長要素も無い。広く美しい世界と様々な施設、ゆっくりとした時間の流れ。すべては敵と戦うためだけに存在している。

草むらに這いつくばり息を潜めながら、アイアンサイトに敵の頭が重なる瞬間を想像するだけで人差し指に力が入ってしまう奴。

1セットわずか数分の昂ぶりが、永遠に続けばいいのにと願う奴。

そんな連中には、食べても食べても減らない大好きなお菓子として、シューター天国、FarCry2をお勧めする。

今回も過剰に褒め過ぎた気がするけど、また始まったと流してください。


関連エントリー:
Far Cry 2日本語版、ファー クライ 2
Far Cry 2

ノト at 00:43|Permalink

2008年12月01日

感動の定量化

まずはfov120.netさんが翻訳してくれた、下記リンク先にある、ValveのGabe Newellの文章を読んで欲しい。今後5年、いや10年かもしれない、ビデオゲームの未来を示唆する重要な文章、だと僕は思う。

fov120.net - EDGE: Gabeが語るLeft 4 Dead (08/11/21)

10年前に作られた初代Half-Lifeでは、「主観視点の物語り」を発明し、海兵隊との戦闘によってAIとの駆け引きが可能なことを証明。

5年前のHalf-Life 2では、描画技術を圧倒的に進化させ、物理演算のゲームメカニックへの導入を証明。

コンピュータの力を、どうビデオゲームに応用・展開すべきかを常に模索し、テクノロジーとゲームデザインを両輪としたコンセプトを打ち出す。そして、そのコンセプトを投資した製品を売って証明させる。つまり机上の空論ではなく、僕らゲーマーが信頼するに足る「面白いゲーム」として。

つくづくGabe Newellという人物はたいした男だと思う。いまの市場で流通しているタイトルが、5年前・10年前のValveのマイルストーンで未だ商売していることを考えると、こういう人物をビジョナリーと呼ぶんじゃないだろうか。こういうビジョンを持ってゲームの未来を語る人間が居る限り、僕はロマンチストなのでゲームを遊び続けると思う。

いくらロマンがあっても、たしかに現世代のL4DとAIディレクターは、未完のコンセプトモデルかもしれない。だが彼は本気でゲームデザインを「科学」し、「面白さ」や「感動」を定量化するという、とんでもない仕事を将来は実現しようとしてるんだと思う。

昨日より今日のほうが「面白く」、今日より明日のほうが「面白い」。科学の先に、脆弱な創造性やエゴは影を潜めることになるのかもしれないが、「感動の定量化」は、決して無機的なAIから生まれるわけじゃない。

開発開始直後からプレイ可能な雛形を作り、その後数年に渡ってテストプレイを延々と繰り返す、イテレーションを前提とした開発スタイルと、Steamのネットワークを通し収集・統計されたデータ解析から、「感動」が生まれている点にこそ注目すべきだ。

Valveの目指す未来のビデオゲームと、コンピューティングパワーの原点には、常に人間、つまり僕らゲーマーがいる。Steamのサーバーにはその時のため、僕らの遊んだ膨大な量のプレイデータが眠っているのだから。


関連エントリー:
シューター
即興性とQTE、仕込みとコンピュータゲーム
Far Cry 2日本語版、ファー クライ 2

ノト at 00:59|PermalinkTrackBack(0)