スピタメウォッチング

スピリチュアル好きによるエンタメウォッチング

2016/08

BIGMAMAの死生観がにじみ出る"夢”をテーマにした一曲

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BIGMAMAの作詞作曲を担当している金井の歌詞の世界観が好きで、当ブログでも何度か紹介してきたが、2014年発売のシングル「Sweet Dreams」も、彼の死生観が色濃く反映された非常に味わい深い曲である。夜寝ているときに見る"夢"と目標を語るときの"夢"、意味は違うのに同じ単語で表現されるのは彼らに言わせれば”偶然ではない”だろう。どちらも意味にも取れる二つの"夢”が交錯した歌詞に注目しながら、分析してみたいと思う。ちなみにこのテーマは昨日取り上げたflumpool「夜は眠れるかい?」からの睡眠つながりである(笑)。 

 ●「Sweet Dreams」(2014年発売シングル、9th album「THE VANISHING BRIDE」収録曲)


BIGMAMA "Sweet Dreams" MV

メンバー5人の笑顔があふれるハッピーな印象が強いMVだ。彼らのサウンドの最大の特徴であるバイオリンの刻み部分やソロ部分の美しいメロディラインが効果的に全体を盛り上げ、「Sweet Dreams」のタイトル通り甘く優美な雰囲気を醸し出している。

歌詞について、作詞者金井のブログから印象的な部分を引用する(サイトはこちら)。

僕はミュージシャンになって、何千何万人の前で歌うなんて夢にも思ってなかったよ。だって僕は世界で一番普通な人間なんですもの。夢が叶うとか、叶えるとか言うけど、知らないよ。だっていつのまにか自分の方が勝手に夢みたいな世界に入り込んでしまったんだから。んでさ、エラく居心地が良いもんで。

目標としていた"夢”というのは、夜寝ているときに見る"夢”のように、現実なのか幻想なのかわからないくらい現実味を帯びていないものだったのにもかかわらず、今こうして何千何万人の前で歌えているという現実があり、それはまるで「勝手に夢みたいな世界に入り込んでしまった」かのようであり、夢見心地のような幸せを感じている、と。

「死ぬまで覚めない夢を見よう」に込められた思い

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いつだって醒めてもおかしく無いと思ってる。ドッキリでした!と言われてもおかしく無いと思ってる。でも絶対に振り落とされないように死んでもしがみつきたいとも思ってる。全部悪あがきなんですきっと。消えてなくなるのが怖いんでしょうね。おかしいなあ、いつ死んでも良い覚悟で生きてんのに。だったらもう死ぬまで醒めない夢を見ていたいなあと思ったわけで。

「いつ死んでも良い覚悟で生きてん」のにもかかわらず、夢か現実かもいまだにわからないような三次元の肉体次元での夢見心地の体験に執着し、「消えてなくなるのが怖い」という素直な感情を吐露している。

スピリチュアルな宇宙スケールでの学びを深めていくと、”この世は全て幻想、夢であり、死んで肉体を離れた時に、この世の方が夢の世界であったことに気づく”という真実に出会うことがある。考えてみれば、私たちの意識・肉体感覚というのは非常にあいまいであり、仮に寝ている間の"夢"の世界という別次元の世界があった場合、私たちが生きていると思っている肉体次元での体験が、あちらから見たら"夢”の世界であるかもしれないのだ。私たちの経験は常に主観的で、基本的には肉体を持って生きている(と錯覚している)三次元レベルの意識でしか外の世界を認識することはできない。金井の言うところの「死ぬまで醒めない夢」(歌詞は「覚めない」表記)というのは、宇宙的スケールで言えば真実であり、肉体を持って生きているこの世界こそが”夢”みたいなものなのである。

「信じる者は皆救われるとは限らない」迷える子羊(僕ら)の運命は?

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この曲の一番の主題はこの部分だ。

「哀しみを乗り越えて
 苦しみをすり抜けて
 気づけば群れをなし
 蔑んだ眼差しで
 こちらを睨みつけている
 信じる者は皆救われるとは限らない
 偽って出し抜いて
 迷える子羊(僕ら)は
 最後に心から笑えるのかな」(2番Aメロ、Bメロ)

金井のブログのタイトルも「信じ"ぬ"者は救われ”ぬ”」となっており、この曲のキーとなる部分であることがわかる。彼のブログは、最後にこんな文章で締められている。

「信じる者は皆救われる」ってのはちょっと言い過ぎだ。でも「信じ”ぬ”者は救われ”ぬ”」ってのは確かだと思う。

”信じる者は救われる”とはよく言ったものだが、様々な解釈ができる言葉だと思う。筆者が思うに、信じるにも2パターンあると感じる。一つはある種の宗教的なものや教え、誰かの言ったことなど、積極的に何かを信じようとする姿勢。もう一つは、自分自身や宇宙の大いなる流れを信頼し、悪あがきはせずにすべてを大きなものに委ねようとする姿勢。”信じる者は救われる”という言葉に対して違和感を感じるのは前者の方の”信じる”だと思う。他人の言葉、自分以外のなにものかを信じるという姿勢。一方、後者の”信じる”、つまりは自分に対する自信や宇宙の多い流れへの信頼というものは、絶対に裏切らないと思っている。そして両者にも言える真実が、金井の言うところの「信じ”ぬ”者は”救われぬ”」なのだ。

「Sweet Dreams」
歌手:BIGMAMA 作詞:金井政人 作曲:BIGMAMA

歌詞サイトはこちら

自分を信じる者は救われるというのは、彼らと親交の深い[Alexandros]川上の言動と活躍を見ても明らかだ。 

 

Sweet Dreams

Sweet Dreams

  
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よくよく聞くと深すぎるBIGMAMAの歌詞

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もともとは”どうやってライブを終わりたいか”を考えた末に、「そこはやっぱり"おやすみ"かなと」思ってできた曲らしい(同ブログより)。結果、ライブの終盤で歌われるファンにおなじみの定番曲となった。欧米の言葉にある、母が子を寝かしつけるときの”Have a good night, sweet dreams"という表現からヒントを得たようで、さすがはBIGMAMAだ、と感じる。しかし、よくよく聞いてみると単なる”良い夢を”以上の意味が込められており、自分の人生と深く向き合ってきたと思われる金井の死生観が色濃く反映された、聴けば聴くほど深く"人生という夢”について考えさせられる名曲なのである。

※すべての記事一覧はこちら 

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”優等生”flumpoolの化けの皮が剥がれた一曲

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筆者がflumpoolのシングルを買うほどハマっていたのは2008年~2010年の「君に届け」辺りまでで、実はその後ブランクがあり、熱心に追っていない時期があった。2016年になってまたマメにチェックするようになってから一番衝撃を受けたのが、この「夜は眠れるかい?」という曲である。今まで筆者のイメージしていたflumpool像が一気に崩れ去り、最初こそ違和感を禁じ得なかったものの、聴けば聴くほど好きになっていった。今までflumpool”優等生っぽさ”にシンパシーを感じていたものだったが、彼らのピュアで爽やかな仮面の下にある"ダークサイド"な一面を綺麗事抜きに嘘偽りなく表現したこの曲も、どろどろした人間味に溢れていて非常に魅力的なのだった。

●「夜は眠れるかい?」(シングル曲、4th album「EGG」収録曲)


flumpool「夜は眠れるかい?」MusicVideo

筆者はデビュー当時の夢追いソングや希望やあたたかさに満ちた素朴な曲が好きでよく聞いていたので、この曲を初めてyoutubeで観た時は正直、”なんだこのKAT-TUNみたいな曲は!"と思った(笑)。朝より夜、光より闇、夏より冬、自転車よりバイク、軽バンよりスポーツカー…(笑)。今までのflumpoolはどこ行ったのだ!と驚きを隠せなかった。昔はこんな曲を作っていたアーティストだなんて信じられない。↓


flumpool "見つめていたい" Music Video (Special Edition)

2009年の「見つめていたい」。こういう素朴な曲と「夜は眠れるかい?」の振れ幅の大きさ。「EGG」という最新アルバムのタイトルからもわかるとおり、flumpoolというアーティストが文字通り"殻を破った”ことがわかる2016年だった。

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歌詞分析のおともにアニメ『亜人』を


劇場版『亜人』本予告

「夜は眠れるかい?」は人気アニメ『亜人』のタイアップソングとして制作された。インタビューでも『亜人』の世界観を意識して書かれた曲であると語られており、歌詞分析の際も考慮したい部分である。(インタビューはこちらのサイトを参照)
アニメ、ゲームの知識ほぼゼロの筆者が簡単にあらすじを説明する。"亜人"という決して死なない存在が17年前のアフリカで発見された。以降、全世界では46体、日本では2体が確認されている。主人公の高校生永井圭は、ある日交通事故で死んでしまう。しかしすぐに生き返った。彼は亜人だった。彼は敢えなく日本政府に追われることとなる。不死身の"亜人"と日本政府の手に汗握るバトルが繰り広げられるアクションアニメ(漫画)だ。(公式サイトはこちら
筆者も詳しくは語れない分野なので恐縮だが、とにかくバトルものということで、グロくて壮絶で救いのない雰囲気が見て取れた(違ったら申し訳ない)。正直、このアニメの主題歌をflumpoolに依頼するというのは、かなり異例の判断なのではないかと思う。

息を飲む緊張感と厭世観

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ようやく歌詞を見てみることにしよう。

「深く眠れるかい?
 傷は癒せたかい?
 夜が寂しいからって無理して誰かを愛さないで

 夢を見る事だって
 咽び泣く事だって
 知りもしないまま死んでみたって」(1番Aメロ)

疾走感のあるイントロから始まり、エフェクトがかかったクールでハードなアレンジで歌われるこの部分。「○○かい?」という問いかけは一体誰へのものなのだろうか?二人称の"君""あなた"的な歌詞が出てくる曲ではないので、おそらく自分自身への問いかけ、自分自身に言い聞かせるような曲なのだろう。一生こんな緊張感のある、いつ死ぬかわからない、しかし"死ねない"という大きな矛盾を抱えた人生を生きなければならないという絶望と厭世観。『亜人』に感情移入して読むと、より深い部分も読み解ける。

「今宵 RUN AWAY RUN A WAY 嘘みたいだ
 誰かこの手 掴んでくれよ
 見えない明日は来なくていい
 今はただ 眠りたい」(サビ)

「RUN AWAY」何者かから逃げ続ける日々。強くあれ、強くあれと自分に言い聞かせ、弱音を吐きそうになる自分を押し殺しているが、本音は「誰かこの手 掴んでくれよ」なのだ。誰かに頼りたい、安心したい。どこか、ほっとして静かに休める場所はないのだろうか。今後一生、安らかに眠ることはできないものだろうか。「今はただ 眠りたい」

今までのflumpoolにはない汚い言葉も…

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「鼓動を打ち鳴らそうぜ
 声を張り上げようぜ
 ウザい世間に見せつけるように」(2番Aメロ’)

「止まらないように
 揺るぎないように
 自分自身はまだ 捨てないように」(2番Bメロ)

「ウザい」という歌詞。インタビューでも語られているが、こんな”汚い”言葉は今までのflumpoolの曲ではありえなかった。1番では息を潜めて生きていたのだが(歌詞サイト参照)、2番では「鼓動を打ち鳴らそうぜ 声を張り上げようぜ」と、自分は自分として堂々と生きたい、自分らしく生きたいという意欲を感じさせる。自分を押し殺して生きるのはもうまっぴらだと。

「生きる術とは?クソみたいな
 愛情 友情 押し付けんじゃねえよ
 悔し泣いて 口遊んだ歌は 誰の歌だろう?」(Cメロ的サビ)

「クソみたいな愛情 友情」とはまた"汚い"言葉だ(笑)。何かに対する怒りやもどかしさや悔しさ、言葉にできないどろどろとした感情を挑発的に歌うこの部分は、日ごろ自分を押し殺して生きている多くの人々の心に突き刺さることだろう。

運命を占うコインは作為的…!?

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PVをご覧いただくとわかるように、2分58秒あたりの「口遊んだ歌は」の直後、音楽がストップし、冒頭で山村が投げた”運命を占うコイン”を、何者かが意図的にひっくり返してしまうシーンが流れる。このPVで一番面白いのはここであり、最大のクライマックスだ。この男はフードをかぶった山村であり、”もう一人のダークサイドな自分”を表現していると解釈した。PV内でも1番の山村はフードをかぶっているが、2番では外すという演出になっている。歌詞を見ても1番は”息を潜めて自分を殺して生きていこう”という希望のない世界観なのだが、2番は”やっぱり自分は自分らしく生きたいのだ”という本音との葛藤を描いている。
2番の途中からは純白の衣装を身にまとったバレリーナも登場し、闇の世界とは正反対の対照的な要素が加わって、ちぐはぐな不気味さを醸し出している。バレエ=クラシック=心安らかに穏やかに「眠りたい」という渇望の表現だろうか。

「夜は眠れるかい?」
歌手:flumpool 作詞:山村隆太 作曲:阪井一生

歌詞サイトはこちら 

夜は眠れるかい? 【通常盤】

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 新境地開拓!次の一手はどう出るか大注目

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ここまで今までと全く違うテイストの曲を出してしまうと、次に従来のflumpoolらしい曲で行くのか、「夜は眠れるかい?」の流れを汲んだハードロックテイストの曲で行くのか、売り出し方が難しくなってくるのではないか。最新アルバム「EGG」も好評で、殻を破ったことによるファン離れが起きているわけではなさそうだ。新生flumpoolの運命を占うコインはどちらの道を指し示すのだろうか。これからも彼らの活躍から目が離せない。

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[Champagne]時代の今も色褪せない名曲

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今回紹介したい「涙がこぼれそう」[Alexandros][Champagne]時代に発売された両A面シングル「starrrrrrr/涙がこぼれそう」に収録されている。この曲はいつもの彼らの”こんちくしょー!”感がなく、男のバカさ加減がよくわかるコミカルな恋愛ソングだ(笑)。野郎飲み会で格好のイジリネタになりそうな男子の恋愛を描いている。

●「涙がこぼれそう」(上記シングル、4th album「Me No Do Karate.」収録曲)


[Alexandros] - 涙がこぼれそう (MV)

PVに出演している美女は2016年夏月9ドラマ「好きな人がいること」にも出演している飯豊まりえ。このCDが出たのが2013年なので当時は15歳そこそこだ。非常に大人っぽい。中身は、彼女をズームイン・ズームアウトする様子の繰り返しなのだが、ズームインした後に彼女のテーブルの食べ物やバックのメンバーのポジション、楽器が変わっているという内容になっている。途中川上がふざけて楽器を弾いていないところがある(笑)。演奏がやたらオーバーでコミカルだ。最後の小ネタも楽しい。

「僕は普通の奴と違う
 非常に面倒くさい奴で

 群れる奴を小馬鹿にして
 なるべく関わらない

 でも君 君だけは
 笑わせたいんだ

 かくして君の事を
 僕は手に入れたんだ

 周りの事 目に入らずに
 僕は浮かれていた

 今この両目から
 涙がこぼれそう

 笑い 笑い 笑いすぎて
 涙がこぼれそう」(1番メロ、サビ)

ここは説明不要だ。この男は「非常に面倒くさい奴」で、カッコつけてクールな一匹狼を装い、ミステリアスさをあえて醸し出すような、大学生あるある的なちょいイタ男子。そんな男にも春が来たようで、ついに校内一の美女と付き合えることに!「群れる奴」のやっかみも、全く気にならないくらい、嬉しさと誇らしさと自慢したい気持ちで「笑い」が止まらなかった。調子に乗って「笑いすぎて涙がこぼれそう」というのはまさにこのことだ。

そんなある日、耳を疑うニュースが

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「風が噂を運ぶ
 聞きたくない事
 左辺りが痛み出す
 心臓が踏み潰される

 今すぐ飛び出して
 君に会いに行こう

 大丈夫 大丈夫
 笑ってくれる
 君に会いに行こう

 でも今 君の瞳から
 涙がこぼれそう

 笑い 笑い 笑いすぎて
 涙が

 なんでもない」(2番メロ、サビ)

ある時、耳を疑う話を聞いてしまう。
”お前の彼女、この間渋谷で別の男といちゃついてるの見たぞ。”
教えてくれたこいつは「群れる奴」の一人。誰だよ、別の男って…。心臓の鼓動が高鳴る。額からは冷や汗がしたたり落ち、気づけば手のひらもぐっしょりだ。でも待て、「群れる奴」は俺を羨ましがって嘘をついたかもしれないし、見間違いかもしれないじゃないか。渋谷で彼女に似たような背格好の女子なんてたくさんいるだろうし。思い立ったら即行動の俺は彼女のバイト先にサプライズで乗り込んで、休憩時間にそっと外へ連れ出して聞いてみた。

えっ?えっ?なんであなたが泣くのん?

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彼女にさりげなく例の噂の話を切り出してみる。問いただすでもなく、”そんなはずないよね~見間違いだよね~”的な感じで、内心ヒヤヒヤなのに余裕がある男を演出する俺。笑って否定してくれるだろう…と思いきや、見る見るうちに彼女の顔が曇り始め、両目から「涙がこぼれそう」になっている!口を開けば”ごめんね…”とでも言いそうな顔だ。いや、ちょっと待てよ~泣きたいのは俺の方なんだけど!!

ハハハ…笑っちゃうよな…大学デビューしてやっと校内一の美女と付き合えたってのに、こんな結末なんてよ。笑っちゃうぜ…ホント…「笑いすぎて涙が」。いや、ここは最後までクールキャラを貫こう。「なんでもない」

「涙がこぼれそう」
歌手:[Alexandros] 作詞・作曲:川上洋平

歌詞サイトはこちら

女の尻追っかけてばかりの男の情けなさ

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ここで、川上のブログに書かれたこの曲の解説を引用してみよう。(サイトはこちら

■歌詞:歌詞に関してはかなり変更されている。そもそも失恋だったりなんだったりのラブソング関係ではなかった(多分)。当時は何について書いたか特に覚えていない。新しく書き直されたのは完全にそっち方面である。男性の女性に対するコンプレックスが全て詰まった歌だと思っている。"She's Very"という曲にもそういった描写があるけど、基本的に男性は女性を追いかける特性を持っていると思う。そこで生じる情けなさや葛藤は歌詞やストーリーにすると面白可笑しい。いつまでたっても適わない対象なのであろう、女子とは。

注)2007年にはこの曲の原型があったことを受けて書かれている。
まさにこのブログ記事の通り、いつも女の尻追っかける男のバカさ加減や「情けなさや葛藤」が非常によくわかるコミカルな曲だ。PVを観ても、飯豊まりえばかりにフォーカスした映像で、男性が女性の表情やその他に一挙一動してしまう様子も見て取れる。カワイイ子をモノにした喜びもつかの間、一気にどん底へ突き落されるその転落ぶりも面白い。「小馬鹿にして」「群れる奴」がほくそ笑んでいるのが目に浮かぶようだ。 

starrrrrrr/涙がこぼれそう

starrrrrrr/涙がこぼれそう

 

 

Me No Do Karate.【初回限定盤】

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パワーストーンの店で米津玄師に思いを馳せる

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先日、あるパワーストーンショップを訪問した際、一つの石に目が留まった。その名も「フローライト」グリーンパープル、透明に近いものやレインボーフローライトと言われるものまで種類は様々だ。涼しげで透明感がありながらも、そこはかとない強さや優しさに心惹かれ、一つ購入することにした。
そういえば米津玄師の「フローライト」という曲があったではないかと思い出し、さっそく記事ネタにすることにした。

●「フローライト」(3rd album「Bremen」収録曲)


米津玄師 MV「フローライト」

この曲は筆者が米津玄師を知るきっかけとなった曲で、"この人すごすぎる!”と衝撃を受け、他の曲も聴き出すようになった最初の曲だ。ポップで明るい曲調で、PVは彼お得意のイラストではなく、本人出演の映像作品となっている。「アンビリーバーズ」(同アルバム収録のシングル曲)のPVにも怪獣の着ぐるみが登場するが、こちらのPVにも赤い怪獣が登場し、メルヘンチックに仕上がっている。米津玄師はヒッピーのようなスナフキンのような衣装で、アニメの実写化かと思うほど、正直似合いすぎる。PVに出てくるのが幼い男女なので、幼馴染との恋愛ストーリーと仮定して分析を進めよう。

お守りパワーストーン「フローライト」

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タイトルにもなっている「フローライト」は別名「蛍石」とも呼ばれていて、加熱すると発光する性質を持っている。PVにも出てくるグリーンフローライト魚座の守護石として知られており、米津玄師自身も3月10日生まれの魚座なので、以前から知っていたのかもしれない。この石の持つエネルギー(効果・効能)は以下の通り。
・感性やインスピレーションを研ぎ澄ませる
・過去の思い込みや固定概念を手放し、子どもの頃の無邪気さを取り戻す
・頭脳明晰さ、賢さの強化
・心の調和、平穏、リラックス など(各種の本やサイトを参照)
魚座の特徴を表す言葉として、「感性、インスピレーション、芸術、創造性」などのキーワードがあり、「フローライト」は創造的な仕事をする人に良いと言われている。また、受験のお守りとしても使われたり、グリーンフローライトは心の平穏、平和な感覚を取り戻すのに特に良いそうだ。もともと魚座の彼はインスピレーション型なので芸術家肌、さらにそれを強化するのが「フローライト」というわけだ。

幼馴染への思いを「フローライト」に投影する僕

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「僕」「君」への思いを綴る歌なのは間違いなく、PVを見る限り小さいころから知っている幼馴染に片思いしている設定であることは確かだろう。
「君が街を経つ前の日に 僕にくれたお守り
 それが今も輝いたまま 君は旅に出ていった
 今は何処で何をしているかな 心配なんかしていない
 君のことだからな

 君が思うよりも君は 僕の日々を変えたんだ
 二人でいる夜の闇が あんなに心地いいなんて
 この世界のすべてを狭めたのは 自分自身ってことを
 君に教わったから」(1番Aメロ)

「フローライト」「君」にもらったお守りであると。「君」がどこで何をしているか、「僕」は知らない関係性らしい。PV通りに解釈すれば、小さいころ仲良かった幼馴染が(親の転勤か何かで)引越していなくなってしまった。その前の日に彼女がくれた「フローライト」「僕」はずっと大切に持っていて、ことあるごとに思い出して再会を願っている。あらすじはそんなところだろうか。
「この世界のすべてを狭めてたのは 自分自身ってことを 君に教わったから」とあるが、これは真実で、スピリチュアル的にも"この世界を創造しているのは自分自身である"と言われている。自分以外の誰かが世界を狭めているのではなく、自分自身が自分が創った制限の中で生きているだけだということ。「君」がそんな大切な事に気づかせてくれたらしい。

運命の再会を信じて「フローライト」を握りしめる

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サビは飛ばして2番を見てみよう。
「夜が明ければ陽が昇る 道は永遠に続く
 素敵な魔法で溢れてる 僕らは今を生きている
 それと同じくらいに君のことを信じてるってことを
 君は笑うだろうか

 確証なんてのは一つもない でもね僕は迷わない
 君が信じたことなんだから 僕にはそれで十分さ」(2番Aメロ、Bメロ)

「信じてる」というフレーズが繰り返し出てくるが、「僕」は何を「信じてる」のだろうか?これは解釈がわかれるところかもしれないが、筆者は小さいころに”大きくなったら再会して結婚しようね。私は君のこと信じてるよ"的な約束をしたのではないかと考えている。再会できる「確証なんてのは一つもない」のだが、「僕」の気持ちは強い。再会できず寂しくなる時、運命を疑ってしまうとき、「フローライト」「君」を投影して、時に思い出を振り返っては、”その時”を楽しみに待っている。

運命を信じる僕は「フローライト」のように透明で純粋だ

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「フローライト こんなものが
 世界で一番輝いて見えるのは
 フローライト きっと君が
 大切でいる何よりの証だろう

 確かめていたんだよ僕らは ずっと目には見えないものを
 ふいにそれは何かを通して 再び出会う」(サビ)

「僕」は幼馴染と再会できることを絶対的に信じている。「僕ら」が確かめていた「目には見えないもの」というのはおそらく”運命の赤い糸”のことだろう。なんとピュアで純粋なことか。「フローライト」という鉱物はちょっとした刺激で欠けてしまうそうだ。「僕」が幼い頃「君」にもらった「フローライト」を欠けることなく持ち続けているとしたら、それは「僕」の彼女を信じる心に一点の曇りも疑いもないことの表れなのではないだろうか。「フローライト」の力を借りて、ますます感性やインスピレーションが研ぎ澄まされていく「僕」のことだから、再会の日もきっと近いだろう。

「フローライト」
歌手・作詞・作曲:米津玄師

歌詞サイトはこちら 

Bremen

Bremen

 

 

 人間離れした個性的な衣装が似合う米津玄師

Cut 2016年 09 月号 [雑誌]

Cut 2016年 09 月号 [雑誌]

 

 この曲のPVの米津玄師がとても好きで、何度も何度も観てしまっている。 彼は『CUT2016年9月号』のインタビューの中で”魂の原点”の一つに『もののけ姫』を挙げている。なんとなくこのPVの米津玄師『もののけ姫』に出てきそうな衣装をまとっていて、彼自身自分を”怪獣”だと思っていると語っていることからも、妖精とか妖怪とか怪獣とか、そういう存在のオーラを感じてしまう(笑)。あんな衣装で自然の中にいたら本当に人間じゃないキャラみたいだ。ライブでも是非個性的な衣装を着こなしてほしいと思った。

※すべての記事一覧はこちら
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サカナクションの「宇宙・月」ソング特集第2弾

昨日の記事に引き続き、(どこか宇宙人っぽい)サカナクション「宇宙・月」ソングをご紹介したい。「セントレイ」「ナイトフィッシングイズグッド」に続き、今回はマニアックだがさそり座をテーマにした曲「アンタレスと針」を取り上げる。  

●「アンタレスと針」(5th album「DocumentaLy」収録曲)

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 この曲は不朽の名作「DocumentaLy」に収録されている曲で、あまり目立つ曲ではないし、ライブで歌われることも少ないので、正直人気がある曲ではないと思う。

「アンタレス」というのはさそり座の1等星で、夏の空に赤く輝く星である。写真で言うと右寄りの一番大きく輝いている星だ。

「僕はスコーピオ
 スコーピオの針を担う星を探してる

 君は少しだけ
 少しだけ僕に触れ 何か言おうとしているよ

 僕はスコーピオ
 スコーピオの針を担う星を探してるから

 君は少しだけ
 少しだけ何も言わずそうしててよ」(Aメロ)

「シャウラ シャウラ その輝きは二番目 そう二番目で
 シャウラ シャウラ その輝きは控えめ そう控えめでいいだろう?」(サビ)

「スコーピオ」と言うのは"さそり座"のことだ。「スコーピオの針」というのは、さそり座のさそりの針の部分、下図を見て頂くとよくわかるだろう。「シャウラ」というのはさそり座の針の部分にある。「シャウラ」「アンタレス」の次に明るい星。「その輝きは二番目」というのは、読んで字のごとく、事実その通りである。

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(画像はネットから引用させて頂いた)

初々しいデートの曲?もどかしい二人

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「実はスコーピオ
 スコーピオの針を担う 星なんか見ちゃいなかった

 君は少しだけ
 少しだけ僕に触れて 合図をした」(2番メロ)

「シャウラ シャウラ もどかしすぎるくらいが 僕らには
 シャウラ シャウラ ちょうど良いはずだろう 僕らには」(最後サビ)

登場人物は「僕」「君」で、二人で夜の星を見ているというシチュエーションだろうということがわかる。「僕」「シャウラ」を探して星空を見上げているのだが、「君」「少しだけ僕に触れ何か言おうとしている」らしい。そして「僕」「少しだけ何も言わずそうしててよ」と思っている。2番では「星なんか見ちゃいなかった」と暴露する「僕」。心ここにあらず。
この状況をリアルに思い浮かべると、こんな感じだろうか。ある晴れた夏の日の夜、人通りの少ない公園か河川敷かどこかに二人で並んで座っている。「僕」はそわそわしてなんだか落ち着かない。星が好きな振りをして、「アンタレス」を手掛かりに「シャウラ」を探すと言って空を見上げる。「君」は何かをしてほしそうに服の袖を引っ張っている。スルーする「僕」心臓の鼓動は高鳴る…。

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付き合いたてのカップルの初キス前って感じがしないだろうか。「もどかしすぎるくらいが 僕らには」「ちょうど良いはずだろう 僕らには」とあるように、この「僕」はウブで不器用な男であり、遠くで見ていたらもどかしくなるくらいおどおどチキンなのだ(笑)。
「その輝きは二番目 そう二番目で」「その輝きは控えめ そう控えめでいいだろう?」という部分は、この「僕」の恋愛に対してウブで奥手で不器用なことを表しているのではないか。クラスでも目立つ方じゃない、営業成績も全然良くない、女の子にキスひとつまともにできない…そんなもどかしい控えめな男だけど、そんな俺でも良いよね?と「シャウラ」を引き合いに出して歌う曲なのだ(笑)。己のチキンっぷりを「シャウラ」に重ねることで自己肯定しているということだ。

「アンタレスと針」
歌手:サカナクション 作詞・作曲:山口一郎

歌詞サイトはこちら 

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 "さそり座"をテーマにここまで書けるおとめ座の山口一郎はすごい。

こんなマニアックな星座の曲が書けるということは山口一郎自身、相当な星オタクなのだろうか?この曲のために星を調べたのかもしれないが、それでも興味・関心がなければこんな曲は生まれない。全く関係ないが、「アンタレス」という釣り道具を見つけた。 

シマノ リール 12アンタレス 右

シマノ リール 12アンタレス 右

 

 もしかして、この釣り道具を使ってて「アンタレス!?」とか思って星を調べたりしたのだろうか(笑)。まさか、考えすぎか。
さそり座の歌ではあるが、彼自身はおとめ座のアイデンティティが強い方だ。星座と占星術の○○座は実は全然違うものなので関係ないのだが(笑)、あえてさそり座の歌を歌うという着眼点が面白い。天の川や七夕にちなんだベガとアルタイルの歌は他のアーティストの曲にもあるので、今後折を見て紹介するかもしれない。 

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