February 05, 2004

今、バスフィッシャーマンが知っておくべきこと【1】理想の環境と、それを作る努力

 「ゲームフィッシング」の存在意義を、ずいぶん前から言い続けてきたつもりだ。そこにあるのは、釣りの経済効果を自然環境に還元するという流れであり、行政が中心になって、自国にある水域を管理するシステムである。オレは、これが理想的な形だと思う。それが成功している世界の国々の自然体系を見ていると、やはり釣り人からライセンス料を徴収するシステムを採用している。一方、これを導入していない国はどうか。よほど財政状況に恵まれていない限り、釣り場は荒廃しているか、悪い方向に進んでいるように見えた。
 そして日本。現段階では、このシステムがまったくといっていほど整っていない。だから、今後も釣りを楽しみたいと思うなら、将来的に行政が管理するゲームフィッシング制度の導入を真剣に考えなければならない。
 これまで、バス害魚論や生態系に関する論議、そしてリリース禁止の問題について、さまざまな方向性が模索されてきた。一般的に、その契機になっているのは「釣りを続けたい」という素直な気持ち。でも、なかなか釣り人側の願いは聞き入れてもらえないという現状がある。リリース禁止になろうとしているフィールドは、今も増えつつあるんだ。
 バスをめぐる諸問題について、頑張っている人たちの行動は素直に評価すべきだと思う。そのスタンスはこれからも続けていかなければならないが、と同時にバスフィッシャーマンはポジティブによい方向へ進もうとしているフィールドの現状についても、知るべきだということを伝えたい。バスという魚を中心とした経済効果を実感している、あるいは今後のためにインフラ整備を進めている地元の関係者がいるという現実がある。地元が受け入れざるを得ない状況、積極的に受け入れようとしている状況が芽生えつつあるフィールドも確実に存在している。これは、バスという魚の価値が認められていることにほかならないし、他の魚ではダメなんだ。バスフィッシングを知らない人たちにも、魚としての有益性、経済的な価値を理解してもらいたい。
 日本には「魚は食べてこそ」という古い価値観が根底にある。そんな意識の人たちの理解を得るために、まずはバスフィッシャーマン自身が実情を知っておいてほしい。そして、地元の人たちが、胸を張って「バスとバスフィッシングで生活しています」と言える環境を構築することもオレたちの果たすべき役割だと思う。「バスがいるおかげで湖はこんなにキレイです」「バスがいる湖はゴミが少ないですね」「バスがいるおかげで子供を学校へ通わせられるし、家族が暮らしていけるんです」という流れになれば、無関係な人たちや行政もバスフィッシングを認めるし、無視できなくなるはずなんだ。
 将来を見据えた釣りをしよう。「このルアーで釣りたい」とか「たくさん釣りたい」ってことだけを考えているようではダメなんだ。そこには未来がないから。
 バスフィッシャーマンしか知りえないことはたくさんある。基本的にバスは在来種を食い尽くしたりなんかしないし、一時的に個体数が増えても、やがて安定期に入ることを知っている。バスは80年も前に日本に移入された魚。今さら、その魚をゼロにしようとすると、むしろその反動で悪影響が出る可能性も否定できない。そんなリスクを背負う必要はどこにもないはずだ。
 リリース禁止前の琵琶湖では、ほかの魚を放流するためにバスを捕っていたけど、その影響でブルーギルが異常繁殖してしまった例もある。個体数が安定していたブルーギルが増えてしまった原因は、バスが減ってしまったことが一因となった可能性がある。移入されて長い時間が経過すると、バスもブルーギルも在来種も、その水域で微妙なバランス関係を保っているはずだ。これは、一見すると釣り人側のエゴ、傲慢な推論と思われるかもしれない。釣りをしない一般の人たちの自然に対する意識の低さは知ってのとおりだが、確かに、ありのままの生態系を本来のまま残すことを目的としている人もいる。でも、バスのみならず多くの国内外の外来種がすでに入っている水域をそれ以前の状態に復元することが物理的に不可能な状況では、もっと経済効果、つまり人間の利益を含めて現実的に物事を考える必要があるはず。
 もともと、日本では内水面の魚が軽視される傾向にあった。生み囲まれた島国だから、有効な利用法を真剣に考える機会が少なかったんだ。人為的に水辺の環境を破壊してきたことも含めて、今そのツケがきている。津久井湖、相模湖を見てほしい。ずっと前からバスが入っているけど、上流部を含めてしっかりと環境を整備していないから、残念ながらバスのみならず他の魚も棲みにくい状況だよね。このダムの水を飲んでいる人ですら無関心なんだから、仕方がないのかもしれないけど。
 先にも触れたように、理想は行政主導のライセンス制度。つまり自然を利用して楽しむ釣り人が、その自然の維持・管理に必要な利用料負担するということ。これが釣り人だけでなく、より多くの人に対して有益なシステムだと思っている。付け加えるとすれば、タックルを購入したユーザーが負担する「釣り具税」も視野に入れるべきだ。いずれにしても、自然を利用する人間がその行為自体に責任を持って利用料を負担するのが公平なやり方だと思う。徴収したお金を環境と魚の管理、そして湖周辺の住民にとって有効に活用されるのが理想だ。もちろん内水面だけでなく、海にも適用されていくべき。山の源流から渓流、湖、川、そして海と、トータルで管理する必要がある。すべての水域を管理してこそ、はじめて環境保全のシステムが完成するんだ。

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