February 06, 2004

緊急提言

 アメリカから帰国して、まる3年。バスフィッシングを取り巻く状況を少しでも改善するために、セミナーや取材を通じて自分としてできる事を全力でやってきた。アメリカのゲームフィッシング制度をもっと日本のみんなに理解してもらいたい。日本の自然環境が少しでもよい方向に進むために、知っておくべきこと、やるべきことがある。だからオレは、「このままだと日本の魚が本当にダメになってしまうぞ」ってことを本気で伝えてきた。
 しかしながら、そう簡単に流れは変わらない。バスフィッシングの現状を見ると、害魚論が収束する気配はないし、行政の対応はますます厳しいものになっている。そしてさらに、釣り人の側にも「我関せず」という雰囲気を感じることも少なくないんだ。もちろん、リリース禁止などの問題に対して敏感に反応して、どうにかしようと頑張っている人たちはいる。しかし、大半のバスフィッシャーマンたちは釣ることばかりに夢中で、実情に気づいていないし、知ろうともしない。日本のバスフィッシングがこの先どうなってしまうのかっていうことを、真剣に考えていないように見えてならない。
 バスフィッシングを始めて、もう33年が経過しようとしている。日本の釣り場、世界の釣り場、バスのマーケット(市場)、フィッシングのマーケット、そして日本の自然環境の移り変わり・・・振り返ると、本当に多くのことが自分の中に蓄積されてきた。今、そこから導き出される考え、そして提案。今回の「責任編集」では、大半のページをこのテーマに割こうと思っている。しかも他とは違う「オレ的感覚」でまとめ上げてみたい。タイトルは「死ぬなよ!バスフィッシャーマン」。この意味は読み進めてもらえばきっとわかると思う。
 オレは信じている。今回の記事を読んで認識を新たにしてくれる、たくさんのバスフィッシャーマンたちがいることを。

2003年10月8日 田辺哲男  

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February 05, 2004

今、バスフィッシャーマンが知っておくべきこと【1】理想の環境と、それを作る努力

 「ゲームフィッシング」の存在意義を、ずいぶん前から言い続けてきたつもりだ。そこにあるのは、釣りの経済効果を自然環境に還元するという流れであり、行政が中心になって、自国にある水域を管理するシステムである。オレは、これが理想的な形だと思う。それが成功している世界の国々の自然体系を見ていると、やはり釣り人からライセンス料を徴収するシステムを採用している。一方、これを導入していない国はどうか。よほど財政状況に恵まれていない限り、釣り場は荒廃しているか、悪い方向に進んでいるように見えた。
 そして日本。現段階では、このシステムがまったくといっていほど整っていない。だから、今後も釣りを楽しみたいと思うなら、将来的に行政が管理するゲームフィッシング制度の導入を真剣に考えなければならない。
 これまで、バス害魚論や生態系に関する論議、そしてリリース禁止の問題について、さまざまな方向性が模索されてきた。一般的に、その契機になっているのは「釣りを続けたい」という素直な気持ち。でも、なかなか釣り人側の願いは聞き入れてもらえないという現状がある。リリース禁止になろうとしているフィールドは、今も増えつつあるんだ。
 バスをめぐる諸問題について、頑張っている人たちの行動は素直に評価すべきだと思う。そのスタンスはこれからも続けていかなければならないが、と同時にバスフィッシャーマンはポジティブによい方向へ進もうとしているフィールドの現状についても、知るべきだということを伝えたい。バスという魚を中心とした経済効果を実感している、あるいは今後のためにインフラ整備を進めている地元の関係者がいるという現実がある。地元が受け入れざるを得ない状況、積極的に受け入れようとしている状況が芽生えつつあるフィールドも確実に存在している。これは、バスという魚の価値が認められていることにほかならないし、他の魚ではダメなんだ。バスフィッシングを知らない人たちにも、魚としての有益性、経済的な価値を理解してもらいたい。
 日本には「魚は食べてこそ」という古い価値観が根底にある。そんな意識の人たちの理解を得るために、まずはバスフィッシャーマン自身が実情を知っておいてほしい。そして、地元の人たちが、胸を張って「バスとバスフィッシングで生活しています」と言える環境を構築することもオレたちの果たすべき役割だと思う。「バスがいるおかげで湖はこんなにキレイです」「バスがいる湖はゴミが少ないですね」「バスがいるおかげで子供を学校へ通わせられるし、家族が暮らしていけるんです」という流れになれば、無関係な人たちや行政もバスフィッシングを認めるし、無視できなくなるはずなんだ。
 将来を見据えた釣りをしよう。「このルアーで釣りたい」とか「たくさん釣りたい」ってことだけを考えているようではダメなんだ。そこには未来がないから。
 バスフィッシャーマンしか知りえないことはたくさんある。基本的にバスは在来種を食い尽くしたりなんかしないし、一時的に個体数が増えても、やがて安定期に入ることを知っている。バスは80年も前に日本に移入された魚。今さら、その魚をゼロにしようとすると、むしろその反動で悪影響が出る可能性も否定できない。そんなリスクを背負う必要はどこにもないはずだ。
 リリース禁止前の琵琶湖では、ほかの魚を放流するためにバスを捕っていたけど、その影響でブルーギルが異常繁殖してしまった例もある。個体数が安定していたブルーギルが増えてしまった原因は、バスが減ってしまったことが一因となった可能性がある。移入されて長い時間が経過すると、バスもブルーギルも在来種も、その水域で微妙なバランス関係を保っているはずだ。これは、一見すると釣り人側のエゴ、傲慢な推論と思われるかもしれない。釣りをしない一般の人たちの自然に対する意識の低さは知ってのとおりだが、確かに、ありのままの生態系を本来のまま残すことを目的としている人もいる。でも、バスのみならず多くの国内外の外来種がすでに入っている水域をそれ以前の状態に復元することが物理的に不可能な状況では、もっと経済効果、つまり人間の利益を含めて現実的に物事を考える必要があるはず。
 もともと、日本では内水面の魚が軽視される傾向にあった。生み囲まれた島国だから、有効な利用法を真剣に考える機会が少なかったんだ。人為的に水辺の環境を破壊してきたことも含めて、今そのツケがきている。津久井湖、相模湖を見てほしい。ずっと前からバスが入っているけど、上流部を含めてしっかりと環境を整備していないから、残念ながらバスのみならず他の魚も棲みにくい状況だよね。このダムの水を飲んでいる人ですら無関心なんだから、仕方がないのかもしれないけど。
 先にも触れたように、理想は行政主導のライセンス制度。つまり自然を利用して楽しむ釣り人が、その自然の維持・管理に必要な利用料負担するということ。これが釣り人だけでなく、より多くの人に対して有益なシステムだと思っている。付け加えるとすれば、タックルを購入したユーザーが負担する「釣り具税」も視野に入れるべきだ。いずれにしても、自然を利用する人間がその行為自体に責任を持って利用料を負担するのが公平なやり方だと思う。徴収したお金を環境と魚の管理、そして湖周辺の住民にとって有効に活用されるのが理想だ。もちろん内水面だけでなく、海にも適用されていくべき。山の源流から渓流、湖、川、そして海と、トータルで管理する必要がある。すべての水域を管理してこそ、はじめて環境保全のシステムが完成するんだ。  
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February 04, 2004

今、バスフィッシャーマンが知っておくべきこと【2】具体的に、どうアクションすべきか。

 ゴミ、水中に残されたライン、フィールド周辺に住む住人とのトラブル。そうしたことを意識していれば、普通であればそれをケアすると思う。「そりゃマズイんじゃないの」って。小難しいルール以前のレベル。要は自意識の問題なんだ。「自分だけなら・・・」という意識が、ゆくゆくは自分にはね返ってくるっていうことをもっと理解する必要がある。個人として、ひとりのバスフィッシャーマンとして、自分自身と向き合って考えよう。ゴミ箱やゴミ収集場所以外にゴミを捨ててOKな場所がどこにある? 水辺の看板にルールとして「湖にゴミを残さないように」と書いてあるのをよく目にするけど、「それって文字にしないと守れないの?」って恥ずかしい気持ちになる。こんなことは今さら言うべきことじゃない。でも、こんな当たり前のことができていない。そんなことでは、ほかにどんな努力をしたって地元の理解を得ることなんてできない。
 根掛かりしてしまったラインだって同じ。切り方しだいで少しでも水中に残すラインを短くできるし、それ以前にスポットを潰しても根掛かりした場所に近づいていくべき。そして、釣りをする時間が短くなっても、ルアーを回収しようと努力すべきだよ。オレは、どシャローで根掛かりしても、エレキのペラをぶつけながらでも近くまで行って回収するし、必死で根掛かりを外そうとしている時、ロッドティップを突っ込んで折ったこともある。それぐらいしなきゃダメなんだ。根掛かりが積もり積もれば、結局フィールドがダメになる。そして、それが自分にハネ返ってくる。オレが伝えていることは「放置されたラインを回収しましょう」という前の段階。その「放置されたライン」を出さないように努力しなければダメだよ。
 はっきり言って、フィールド周辺に住む多くの人々にとって今のバスフィッシャーマンはネガティブな存在なんだ。特にバスがもたらす経済効果の範囲外の人たちにとって。それは、メジャーな釣り場ほどそういう状況なんだ。でも、これといった目ぼしい観光資源のない地域は、バスの経済効果が数字となって現れやすいから、少し状況が違って地域の自治体や行政を含めてまとまっている。

 取材先やセミナーを行ったフィールドでは、ボート店などでアドバイスをしてきた。それを真剣に聞き入れてくれた湖のなかには、いい方向へ進み出した例もいくつかあるんだ。
 規模の大きい公園内に湖があるような場所でも、積極的に有効利用している動きがある。入園料を徴収して釣りができるようなフィールドも全国にいくつかあるけど、将来のライセンス制へのモデルケースに成り得ると思う。
 今後、バスに関していくすべての人、バスフィッシャーマンはもちろんメディアやメーカーも、もっとこういう湖をフューチャーすべきだよ。これから先を考えているポジティブなフィールドを。逆を言えば、それ以外の湖や野池に対しては、人が多く行けば行くほどトラブルを招く可能性を大きくしているということも意識しなくてはならない。応援しなければならない湖や水域をしっかり捉え、集中して利用していくべきなんだ。次項からは、オレが考える理想的な、あるいは理想に近い湖と、そこで努力を続けている人たちを紹介したい。  
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February 03, 2004

未来を見据えたフィールドの現在

亀山湖◎千葉県
 年間30匹前後の50cmオーバーがキャッチされている亀山湖の特徴は、なんといっても7軒のボート店と小櫃川漁協のパートナーシップにあるだろう。バスのベイトフィッシュとなり得るワカサギの放流には特に積極的で、3年ほど前から従来の10倍に上る量のワカサギを放流している。結果、バスは通年コンスタントに釣れるようになり、湖に訪れるバスフィッシャーマンの数も安定したという。また、ボート店同士の協力体制は、利用する側のメリットも大きい。たとえば、どのボート店から出船しても、亀山湖にあるボート店のすべての桟橋を利用できる。このシステムは、休憩する場合に重宝するだけでなく、不意のトラブルが発生した場合にも便利だ。
 湖がオープンし、バスが釣れ始めて10年ほどの間は湖の管理をしなくても釣果は安定していたという。しかし、利用客の増加とともにプレッシャーが高くなるにつれバスが釣れない状態が続いた。その対策として、ボート店が月2回の定休日を設定したことで、バスのコンディションは安定したそうだ。地元がバスフィッシングを安定した産業と位置づけ、バスを貴重な資源として捉えているからこその対応と言えるのだろう。
 入漁料はひとちあたり1日3000円(ニジマスを除く)しか徴収していないにもかかわらず、その資金を有効に活用しているからこそ、今の魅力的フィールドがあるのだ。

西湖◎山梨県
 ヒメマス釣りのメッカとしても知られる西湖では、約10年前にバスが漁業権魚種に認定された。当初、漁協内おけるバスのイメージは決してよくなかったという。しかし、レンタルボート「白根」のオーナーであり、西湖漁業共同組合の理事も務める渡辺安司さんは言う。
 「西湖にくるバスフィッシャーマンは『いつもは河口湖に通っているけど、もう少し静かな湖で釣りをしたい』という方が多いですね。バスの経済効果は大きいですよ。現在、利用客の大半はバスフィッシャーマンで、入漁料の年間収入は約3000万円ほどになります。今は、その予算の多くをワカサギとヒメマスの放流に使っています。当然(バスは)それらを捕食するのですが、バスが捕食できない深い場所にも生息できるこれらのベイトフィッシュとうまく共存しているんです。おかげで、バスのお客さんだけでなく釣り客の総体数も増加傾向にあります」
 現在、バスは年間2回、合計1tを放流している。県内で養殖された個体が100%だ。今後、市町村の合弁に伴い、河口湖と同様に法廷外目的税(遊漁税)を徴収できる可能性もあるという。実現すれば、トイレや駐車場などの周辺施設が充実し、より利用しやすいフィールドになるだろう。

片倉ダム◎千葉県
 2001年に完成したばかりのリザーバーだ。ボート店がオープンし、ボートフィッシングが楽しめるようになったのは昨年の4月から。「笹川ボート」のスタッフ、渡辺範行さんによると、隣接する亀山湖を参考として、さまざまなプランを検討しているという。
 「ウチは家族で経営しているのですが、ボート店としてのノウハウはまったくありませんでした。そこで亀山湖のボート店の方々にアドバイスをいただき、やっと軌道に乗り始めました。とにかく、多くのお客さんに満足してもらえる湖にしたいと思っているのですが、なかなか難しいですね。将来的にはベイトフィッシュを放流して安定した釣果を望める湖にしたいと考えています。今は、とにかくフィールドに切れたラインや根掛かりしたルアーが放置されることによるフィールドコンディションの低下が心配です。まだまだ余裕はないのですが、ウチだけでなく湖周辺に利益が還元されるシステムを作っていきたいですね」  
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February 02, 2004

未来を見据えたフィールドは、他にもある

佐賀県◎北山ダム
「もともとはヘラブナの湖だったけど、ボート店がバスの利用客に注目して頑張ったんだ。5軒あるボート店のうち、3軒は特に積極的だね。地元の方々が中心になって、バスフィッシングを産業のひとつとして位置づけている。今は、バスという資源をどうしれば維持、管理できるのかをいろいろと模索しているところだよ。2、3年前からワカサギを積極的に放流しているし、オレも湖の湖で大会をやるときに“ワカサギ基金”を設けて協力したこともあるんだ。九州はボート店があるフィールドが極端に少ない。だから、今後のモデルケースとしても注目していきたいね」

高知県◎早明浦ダム
「もともとNBCチャプター(愛媛、高知チャプター)が協力して、いかに地元に利益を出せるかってことを真剣に考えて、参加選手がエントリフィーの一部を集めてそれを地元に還元している。具体的には漁協に寄付して、ダムの上流部にアマゴを放流した。そういった地道な努力が実を結んで、最近は自治体の負担でスロープが拡張されたんだ。地元の人が、もっとバスフィッシャーマンに利用しやすい湖にしようってことで動いてくれたんだよ。今は役場レベルだし、ダムの上、下流の(アユを放流している)漁協との関係もこれからだと思うけど、とにかく頑張って欲しい」

山口県◎菅野湖
「ここ数年、地元ショップを中心に“菅野湖水面利用を考える会”として活発に活動しているんだ。魚のコンディションを含めて地域のフィールドを将来まで残すため、マナー啓発や環境整備、ワカサギの放流を実施している。こうした活動をとおして、釣り人を含めたフィールドに親しむ市民だからこそ身近な自然環境の重要さに気づくことができるし、より意義のある行動を取れるんじゃないかな。昨年には、より広い視野で活動するために“NPO水環境地域ネットワーク”を立ち上げたんだ。清掃活動はもちろん、水環境に親しむ市民だからこそできることがある。日頃はフィールドに行かない人々も巻き込む形で頑張っているんだよ」

京都府◎日吉ダム
「POPEYE京都店が中心となってボート店ができた。バスのイメージはまだ決していいとは言えないけど、このダムを大事にしたいと考えるアングラーは多い。地元の人だってダムを有効利用したいと考えているはず。時間はかかると思うけれど、多くの人たちの理解が得られるように頑張ってもらいたいね」

和歌山県◎池原ダム/七色ダム
「環境の保護を目的として“環境整備基金(1日300円)”を徴収している。禁漁区も設定しているし、ワカサギの放流にも積極的だね。バスフィッシングがいかに地域の利益を生み出すか。それをボート店が理解して、自治体と協力していこうと動いている」

長野県◎野尻湖
「今年リリース禁止になりそうだったけど、ペンディングになったことは知っているよね。地元には、バスフィッシングを観光資源と考えている人が大勢いるんだよ。今後は、いかに入漁料を有効に利用するか、それによっていかによい湖にしていけるかっていうのが課題だね」

山梨県◎山中湖/河口湖
「山中湖はワカサギの放流に力を入れていて、それがバスのコンディションを維持する役割を担っている。訪れるバスフィッシャーマンは多いけど、すべての人に満足してもらえるように漁協とボート組合が協力しているんだ。河口湖では入漁料のほかに、遊漁税(1日200円)を採用している。この収益を湖周辺の設備を充実させるために使っているんだ。こういう税金を釣り客が負担するのは当然のことで、同じシステムがほかの湖でも採用されるといいね」

千葉県◎高滝湖
「ここは、それほど大きな湖じゃないけど、高滝湖観光企業組合がしっかりとバスのコンディション維持を考えている。ワカサギの放流に力を入れているんだけど、それがここ数年で実りつつあるんだ。それに地元アングラーの湖を大切にする気持ちがヒシヒシと伝わってくる。清掃活動なんかを積極的にやっているし。ほかの湖も同じだけど、こういう場所にはオレも積極的に応援したいと思っているんだ」

福島県◎桧原湖
「スモールマウスがメインの湖だけど、ほかのどのフィールドにも負けないくらいに地元がバスを観光資源として注目しているんだ。ペンションやボート店は、どうすればんもっとバスフィッシャーマンが訪れてくれるのかを真剣に考えている。個体数の維持、環境の整備・・・。解決すべき課題は多いけど釣り人と地元がもっと協力すれば、より魅力的なフィールドになるはずだよ」  
Posted by springer_rr at 12:06Comments(0)TrackBack(0)Edit