2005年05月03日

社保庁「年金新組織」は厚労省外局維持、効率化が課題

 社会保険庁改革の焦点となっている年金業務の新組織は現行通り、厚生労働省の外局を維持される見通しとなった。ただ、自民党内には依然、独立行政法人(独法)化を求める声が強いうえ、外局維持についても課題は多い。

 現在の社保庁業務のうち、政府管掌健康保険は、細田官房長官の私的懇談会「社会保険庁の在り方に関する有識者会議」で分離の方向性が出されている。残る年金業務の新組織については、28日の自民党の社保庁改革合同会議で、年金保険料の強制徴収の実施が公務員型の独法では難しいとの内閣法制局の判断が示され、ようやく方向性が見えてきた。

 国の外局を維持するのは、独法に比べて、強制徴収など公権力の行使や、国会による業務の監視が容易な長所がある。党社会保障制度調査会の幹部らも国の外局維持の方針を支持する。
ただ、現在の組織改革の議論の発端が相次ぐ不祥事だったため、与野党から、「国の外局のままでは、抜本改革につながらない」「組織論ばかりが先行するのはおかしい」といった批判が出ている。今後は、国の外局を維持した上で、業務の効率化や納付率向上策を明確にすることが改革のカギになる。

 社保庁改革に関する自民党内の議論は、合同会議のほか、社会保障制度調査会、行政改革推進本部(衛藤征士郎本部長)、「社会保険庁を解体し新しいシステムを創(つく)る会」(社保庁解体議連=自見庄三郎会長)などで行われている。
このうち行革推進本部、解体議連はともに先月、年金業務の新組織について「国の外局維持では、看板の掛け替えに過ぎず、国民の信頼を得られない」などとして、独法化を求める提言を有識者会議に行っている。党内には、中堅・若手を中心に独法化を望む声が根強く、調整が必要だ。
(読売新聞) - 5月1日3時9分更新


 迷走の続く社保庁改革ですが、強制徴収など公権力行使がカギとなって厚労省の外局のまま維持していく見通しとなったということについて、半ばあきれるしかありません。
そんなこと、議論する以前にわかっていた問題であって、年金保険料の無駄遣いをどう抑制していくか、未納問題にどう取り組むかという前向きな議論をしてもらいたいものです。

 平成16年年金改正は大きな改正になりましたが、その中でいくつか首を傾げたくなるような改正も行われています。
たとえば、3号被保険者の未届け問題ですが、本来年金の保険料納付の時効は2年間です。それを今からでも届ければ、すべて保険料納付済み期間にしようという特例です。
また30歳未満のフリーター対策として、これも申請すれば納付を猶予する制度も設けられました。

 一見、良い改正のように思えますが、何のことはない、未納率を低くするためだけの数字遊びです。年金保険料を払うことは国民の義務ですから、払いたくても払えない人に対しては全額免除や半額免除の制度があってもいいかと思います。
しかし3号被保険者の未届け問題は、そこまでの救済が必要とは思えません。
会社の社長が労基法を知らずに労基法違反をしたとしても、法律を知らないことを理由として不法行為の責を免れることはできません。同様に3号被保険者の届出をしなかったのは本人の責任ですから(現在は事業主が届け出ることになっています。)、それを怠ったこと、いわば怠慢まで救済する必要はないと思います。

 またフリーター対策としての30歳未満の保険料納付猶予制度も、フリーターは30歳未満の者だけではありませんから、何を持って30歳未満なのか、疑問を感じます。所得の多寡について年齢は関係ありませんし、むしろ中高年齢者の方が家計負担も大きいのでは?(こちらは3号被保険者の未届けと違い、直接年金額には反映しませんが、加入期間を見るときは対象になります。)

 年金財政に余裕があるときならこういった改正も良いでしょう。しかし、今は少ないパイをどう分かち合うか、真剣に考えないといけないときです。育児・介護休業や勤務短縮に係る保険料免除や特例は次世代育成支援対策の観点から評価できますが、ミソもクソも一緒では・・・。

 見せ掛けの未納率だけを抑え、根本の問題は先送り。そして社保庁改革も、自民党の議員さんは「社保憎し」の恨みを晴らすこと以外に知恵を働かせることはできないらしくて、「国の外局維持では、看板の掛け替えに過ぎず、国民の信頼を得られない」と屁理屈を言い出す始末です。
独立行政法人になっても、中身が変わらなければ看板の掛け替えになるのは同じことですし、保険料徴収が滞れば、年金制度の崩壊が早まるだけです。

 失われた年金制度の信頼をとり戻すには、社保庁を解体するよりも、自民党を解体した方が早いような気がします。このブログで何度か触れましたが、年金は国が憲法で国民に約束した社会保障です。それが破綻したとき、債務不履行責任をお役人や議員さんは、どのように果たしてくれるのでしょうか?



brain




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大山鳴動鼠一匹 社会保険庁改革【社長の本音日記】at 2005年06月01日 11:28