2004年11月15日

一般法と特別法と就業規則の関係

 昨日、「契約内容と実態が違うといった契約違反や、労働条件の引き下げ、人事権の濫用といったことは監督署では取り締まることができません。」と書きましたが補足を兼ねて、あるところで話す予定のことを今日は書きます。
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 民法と労基法の関係で言えば民法が一般法で労基法が特別法になりますが、一般法と特別法という考えは相対的な考えで、労基法と労災補償保険法では労基法が一般法であり労災補償保険法が特別法になります。
このとき、一般法と特別法の関係は特別法に優先順位があります。そして特別法に定めがないときは一般法に戻ることになっています。

 例えば以下のようなケースのとき、どう判断すべきでしょうか?
− Aさん(月給制社員)が今すぐ会社を辞めたいと言って来ました。就業規則では30日以上前に退職願を提出することとなっています。なお会社の賃金計算期間は月末締めです。 −

 まず特別法である労働基準法では契約違反のときの即時解約と解雇しか記載されていません。ですから、もし会社とAさんとの間で交わした雇用契約と実際の内容が違っていたときは今すぐAさんは会社を辞めることができます。

 しかし、契約違反がないときは労基法に定めがないため、一般法の民法で判断することになります。民法627条2項では、賃金計算期間の前半に申し出たときはその期間の末日、後半に申し出たときは翌計算期間の末日に退職できることになっています。ですから仮に11月15日にAさんが申し入れてきたときは11月30日の退職で、11月16日に申し入れてきたときは12月31日の退職ということになるのです。

 ここで問題になるのが就業規則との関係ですが、11月15日に申し入れがあったときは就業規則は効力を持たず、11月30日が退職日となります。これは就業規則が法の水準に達していないためです。
逆に11月16日に申し入れがあったときは就業規則が優先し12月15日が退職日になります。これは何故かというと、会社が30日あれば合意退職を認めると就業規則で約束しているためで、それを超えてしまうと就業規則で約束した債務の不履行となってしまうからなのです。


【コメント】
 こんなことを考えながら就業規則を作っていると、ときどき頭がこんがらがってしまいます。現在2件の就業規則作成の仕事を受けていますが、なかなか前に進みません(2件といっても同一企業グループなので、親会社の方はしばらく待っていただいています)。

 「自己都合退職=30日前までに退職願を提出すること」で済ませることができれば楽なんですが、労働問題を極力避けるためには手抜きができません。また、そうでなければ高い(?)作成料を払っていただくお客様の期待に応えることができませんからね。

 さて今日は団体交渉です。blogはこれくらいにして今から団交資料の作成と準備に入ります。
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