2004年11月19日

過労でうつ病、解雇は無効 東芝社員が東京地裁に提訴

 東芝の深谷工場(埼玉県深谷市)に勤務中にうつ病を発症し、休職中に解雇を通告された女性(38)が「発症は会社が過酷な労働を続けさせたのが原因」として、解雇の無効確認と慰謝料など約1800万円の支払いを求める訴訟を17日、東京地裁に起こした。

 訴状によると、女性は2000年秋から新しい工程開始のための業務で、毎月の時間外労働が100時間を超えるようになった。女性は抑うつ状態と診断されたが、多忙で定期的な通院治療ができず、病状が悪化。01年秋から欠勤していたが、今年9月9日付で解雇を通告された。
 提訴後、記者会見した女性は「会社は健康より業績を重視し、労災申請についての交渉でもわたしの話をまるで聞かなかった。訴訟で対応が変わるのを期待している」と話した。
<2004年11月17日(水)共同通信>
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【コメント】
 「休職期間満了によって自然退職」と規定している会社は多いと思います。この場合は労働契約の合意解約であって解雇ではありません。また、欠勤=労務不提供=債務不履行ですので、解雇としても問題が起きる余地はないと考えられます。(実務上は復帰の目処などを考慮しなくてはなりませんが)

 ただ、これらはあくまでも私傷病によるものであって、労働災害によるものは対象になりません。
このとき問題となるのが、今回の件のような「うつ」による休職が長期に及んだときです。うつの発症が長時間労働など業務上による要因が大なのか、プライベートによるものが大なのかによって考え方は全く違ってきます。

 「会社は健康より業績を重視し、労災申請についての交渉でもわたしの話をまるで聞かなかった。」とあり、もし労災認定されていれば労基法19条に該当し解雇できないため、おそらく労災申請をしていないのだと思いますが、「毎月の時間外労働が100時間を越える」ということであれば、業務起因性が認められる可能性は十分あると思われますし、そうであれば解雇が無効になりますので、どのような決着になるのか注目したいところです。

 また、企業は労働者を使用するにあたって、安全配慮義務(健康配慮義務)というものを負っています。労災事故を防止するために様々な配慮をしなくてはならないということです。この考えは施設や機械といったハード面だけでなく、労働時間管理などにも適用されます。
そして安全配慮義務を怠ったときは、労災とは別に民事訴訟によって損害賠償を求められることがあり、過労自殺事件で有名な「電通事件」や「オタフクソース事件」では損害賠償額が1億円を超えているのです。

 今や長時間労働の削減、メンタルヘルスは企業経営に欠かせないリスクマネジメントです。
・定期健康診断を受けない従業員を放置していませんか?
・毎日遅くまで時間外労働をしている者を放置していませんか?
・短期利益を追求するあまり、必要以上のノルマを与えていませんか?
・休日はちゃんと取らせていますか?
・大きな失敗をした従業員に対して叱るだけでなくフォローをしていますか?
・上司と部下のコミュニケーションは取れていますか?
・最近元気をなくしている従業員はいませんか?
こういったことに日々気を配り、問題が大きくなる前に対処することを心がけてください。
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大変わかりやすく解説されており、勉強になりました。私の会社でも、サービス残業よりも過重労働対策の方をより重要視しております。残業代はまともに払っていますが、これによって残業が減っていかないというジレンマもあります。
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この記事へのコメント
あまり時間外労働を規制するとモチベーションを下げることにも繋がりかねず、かといって長時間労働が常態になれば人件費の増大と健康障害の問題に頭を悩ませる・・・。どこでバランスをとるかは難しいテーマですね。
Posted by SR-iffice.com通信・竹林 at 2004年11月19日 17:30