2004年11月29日

「うつ病」働く女性に急増

 過重労働者仕事上のストレスが原因で「うつ病」などの精神障害を発症したとして労災を申請、認定される女性の数が急増している。成果主義の導入やリストラといった雇用環境の変化などが、機会均等の進展で重責を担うようになった女性の心を直撃しているとの指摘もあり、医師や弁護士らは「何事も頑張りすぎずに、異変に気づいたら早めに専門医に相談を」と呼びかけている。

 体を動かす気力が出てこない−−。大手電機メーカーのエンジニアとして埼玉県内の工場に勤務していた志田智子さん(仮名、38)が、初めて体調の異変に気づいたのは入社11年目を迎えた2001年4月だった。
理科系出身で女性では数少ない技術部門の総合職として入社。工場勤務で認められ、発症の1年ほど前半導体関連の新設ラインのプロジェクトリーダーに抜擢された。早朝から深夜まで会議や設計などに追われる日々が続き、ひどい頭痛や気分が悪くなる日が増えた。しかし、「私が休むわけにはいかない」と深夜残業を続けた。

 診断は「うつ病」。発症前の半年間、1ヶ月辺りの平均残業時間は80時間に達し、数回は100時間近くに上がった。02年9月に休職扱いになり、就業規則で定められた休職期間2年の満了が近づいた今年8月、会社から解雇予告通知が届いた。9月に労災を申請。今月17日に「発症は会社が過酷な労働をさせたのが原因」として、解雇の無効と損害賠償を求めて会社側を提訴した。

 過重労働で、男性は過労死に繋がる脳・心臓疾患を発症するケースが目立つが、女性はストレスから精神障害となることが多いといわれる。
厚生労働省によると、過労が原因の精神障害の発症や自殺で女性が労災認定された件数は1999年度には2件だが、2000年度に12件と急増し、03年度は31件になった。今年度上半期の男女合わせた認定件数は47件と過去最多ペース。1年間の女性だけの件数も前年度を上回りそうだという。(後略)
<2004年11月29日(月)日経新聞>
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【コメント】
 11月19日の記事でも書きましたが、東芝が過重労働による「うつ病」発症者を解雇しようとして起きた事件の詳細です。

 「うつ病」などの精神疾患の場合は、まず最初に労災との関係を疑う必要があります。
労災申請をして認定されなければ労務提供の債務不履行として休職期間満了により退職でも解雇でも可能ですが、労基法第19条では「労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間」は解雇してはならないと定められていますので、認定されたときは、労災法の規定により療養開始から3年後に傷病補償年金を受けているか3年経過以後に傷病補償年金を受けることにならなければ、または打切補償をしなければ解雇できません。

 今回の事件は労災申請をせず、規定通りに対処しようとしたためにトラブルを招くことになりましたが、発症前半年間の労働時間や精神的負担などを考えると、労災認定される可能性が大きいと思われますし、そうなったときは、解雇無効および安全配慮義務違反による損害賠償は免れないでしょう。

 社会保険労務士の目から(私の独りよがりな見方かもしれませんが)見ると、この事件はいくつか首を傾げたくなる部分があります。
]災を疑わず(もしくは労災を隠し)規定通りの解雇をしようとしたこと。
過去半年の時間外労働が長時間であり(下記の脳・心臓疾患の労災認定をご参照ください。)、体調に異変をきたしたにも関わらず対策を打っていないこと。
⇒安全配慮義務違反で損害賠償を請求される根拠になります。
就業規則の休職期間が2年間というのは大企業だから良いとしても、何故、期間満了による解雇なのか?
⇒話し合いにより休職期間の延長や合意解約の道を模索できなかったか?
ぅ瓮鵐織襯悒襯溝从がされていないこと。
⇒中小企業では難しい面もあるでしょうが、これだけの大企業であればメンタルヘルス対策は今や常識ではないでしょうか?

 このような問題は中小企業ほど起きたときのインパクトは大きくなります。
下に参考になるページへのリンクを貼っていますので、できる範囲で対策を図り、できれば労災上乗せ保険などにも加入されることをお勧めします。

蛇足ですが、私、東芝のノートパソコン好きなんです。東芝さんガンバッテ!
それから人気Blog〜人事労務屋のつぶやき〜にも興味ある記事が載っていますので、一度ご覧ください。


【参考】
メンタルヘルス指針(略称)
脳・心臓疾患の労災認定
PDF・心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き
PDF・過重労働による健康障害防止のための総合対策
PDF・労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリスト
PDF・家族による労働者の疲労蓄積度チェックリスト
PDF・中災防健康確保推進部メンタルヘルス推進センター・職場における自殺の予防と対応

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この記事へのコメント
竹林さん、こんばんは。田代です。
いつもありがとうございます。
実は私が勤務する会社もよく似た事例があり、そのため上司が新聞の切抜きを置いていたのです。長期休職者の扱いは難しいです。弁護士も頼りになりません。予防と初期対応の重要性を感じています。
Posted by 人事労務屋 at 2004年12月01日 23:17
田代さん、いつもコメントありがとうございます。
おっしゃるように予防と初期対応が一番大切だと思います。
仕事のやり方が肉体労働から知的労働に変わり、また人とのかかわりが薄れたことによって、ストレスを発散できない人が増えているそうです。
どうやってストレスを溜めないようにするか、また発散するかは本来自分で解決すべきことですが、そんなことが言えない時代になってきてるんですね。

私の義兄が心理カウンセラーをしていますが、とにかく話を聞いてあげることが重要だと言っていました。
こちらが喋りすぎたり励ますと、かえってうつを進行させることにつながりかねないそうです。
人事部の仕事は本当に大変だと思いますが、きっと独立されるときに田代さんの大きな財産になるでしょうね。
Posted by 竹林 at 2004年12月01日 23:37