2013年12月23日

☆No.61【なぜ女性の活用は失敗するのか】



最近、様々な形で女性の活用が声高に叫ばれるようになりました。


実はこれ、景気が上向くと必ずクローズアップされるのです。

つまり、景気拡大による人手不足を補いたい企業の論理を、
まるでこれまで女性が差別されてきたことの解決であるかのごとく、
お題目を並べて、女性の活用を声高に言い始めているように感じます。

もちろんそれ以前に人口動態変化による就業人口の減少が長期的要因として存在しています。


「何を今さら」であります。


思えば、バブル絶頂期の1990年頃、同様の理由で女性の総合職採用が進みました。

その後、日本企業の組織はどのように変わってきたか。果たして女性の活用は成功したのか。

その検証が行われないまま、あれから20数年もたった今、またもや同じような現象が起こっています。

バブル時代の女性活用ブームの失敗における反省は行われたのか。
行われてきたとすれば、それを活かした対策はできているのか。

この「2回目」といえる女性活用ブームを、当時と同じく今も経営者として人材ビジネス
に関わっている私から見れば、その反省は全くもって活かされていないように思います。


このままでは、今回の女性活用ブームも失敗する可能性がとても高いように感じます。


それでは、なぜ女性の積極活用が失敗するのか。今回はその要因と対策を提示したいと思います。


まずは、失敗の第一要因


女性活用の為の数値目標やインセンティブを設定する。


女性を管理職の〇〇%にしよう、とか、女性の職場比率を上げよう、
とか、そういった単に数値目標を設定しただけでは、この施策は必ず失敗します。

その理由は簡単です。

ひとつは、「女性」がステレオタイプに規定され、まるで、「女性」が一種類かの如く
扱われることです。「女性」にも、もちろん「男性」にも様々なタイプが存在すること
は今さら言うまでもありません。「女性」を一つの種類かの如く扱うことで正しい結果を
生み出せるかどうか。これは議論するまでも無いでしょう。

また、「女性」を主語にした時点で、女性だから、という理由での特別な目線が生まれます。
また、目標数値を達成する為に優遇を行われる場合もあります。
これは、同じような境遇の「男性」には適用されませんので
結果的に職場に違和感や逆差別が生まれます。

また、女性の管理職を登用した企業に、行政が
補助金(インセンティブ)を出す政策はリスクが高いと考えられます。

なぜかと言えば、これによって、本来の実力によって、
管理職の地位を手に入れたはずの女性も、「補助金枠」管理職と
みられることがあり、かえって肩身が狭くなってしまうことがあるからです。

また、企業が補助金目当てで、実力も意思も無い女性を管理職等に登用すれば、
本人も、周りの従業員も、そのアンバランスさに戸惑ってしまうこともあるでしょう。

それこそ、補助金目当の「名ばかり管理職」を増やしてしまう結果にもなり得ます。



第二要因


本来、女性がこうありたいという希望と相反する傾向が生まれる。


少し前の調査ですが、

※「夫は外で働き、妻は主婦業に専念すべきだ」と考える既婚女性の割合がこれまでの低下傾向から一転し、増加したことが31日、厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所の「第4回全国家庭動向調査」(2008年7月に実施)で分かった。

※2010/05/31 【共同通信】記事より抜粋

となっており、若い世代でこの傾向はより顕著です。

大げさな定量調査なんかしなくても、普段から若い世代と接していると、
異口同音にこういった声を大変多く聞くことが出来ます。

本音でこのように考えている女性に、「無理矢理」負担の大きい
仕事をさせようとしても無駄に終わるであろうことは想像に難くありません。



第三要因


極端な例をマスコミが取り上げすぎる。


マスコミや研究者が、女性の活躍を紹介するとき、多くの場合、
社会的にも大きく成功した女性を例に挙げ、いかにもそれが女性の活用事例のごとく喧伝します。

特にマスコミは、見栄えが良く、成功した女性を取り上げ、それを語ります。

まるで、誰もがプロ野球選手になれるとでも言ってるかの如く聞こえます。

多くの人が気がついているように、その女性達の殆どは、
何らかの制度によってその地位を手に入れたわけではありません。

それをいかにも、「これが見本です」的に紹介することで、普通の女性は、「彼女たちは特別。
私には無理」と感じ、さらに女性が責任ある仕事に就こうとする意欲を削ぐ結果になるのです。

また、活躍している女性がテレビ等で紹介されるとき、紹介に「二児の母」などど
男性では決して使われないテロップが平気で出されることです。これは逆に、子供を持たず
に活躍している女性に対する、大変な差別心が潜んでいるように感じます。



第四要因


極端なフェミニズム


極端なフェミニズム論者が、テレビなどを通じて、女性差別を声高に叫びます。
それを見て、多くの女性達は、「ああはなりたくない」と感じます。

男性が「男らしく」生きたいと思うのと同様に、
女性が「女性らしく」生きたいと思うのは、大変自然なことです。

それを否定するかのような、極端なフェミニズムや
ジェンダーフリー論は、かえって女性の活躍を阻害します。

(もちろんそれら唱えている論者はそう思っていませんが)



これらにはもちろん解決策が存在します。それを提示したいと思います。

(公的な保育所の充実による待機児童の解消等は、行政の義務であり、産休育休などの制度は企業として当然のことですのでここでは触れません)

第一の解決策


社会的背景


国税庁の調査によると、この15年間、給与所得者の平均年収は
平成9年をピークにほぼ減少の一途を辿っています。こうなると、一人で
家計を支えるのは困難となり、自然と女性の就業意欲が高まることになります。

これは解決策と言うより「仕方なく」ですね。


第二の解決策


企業の対策


そんなに難しいことではありません。

上記の所得環境を鑑みつつ、個別の事情に合わせて、
多様な働き方を認める制度を創設し、柔軟に対応することです。

これは十把一絡げのルールだけでは不十分です。

「男女や年齢などにかかわらず」(ここが重要です)、その人の家庭環境や、
向上心、能力、等に応じてどのような働き方でも認めていくということを、ルール化することです。

誤解を恐れずに敢えて極端な言い方をすれば、
「男だって子供を産むかも知れない」
というくらいの想定をしておくと言う意味です。

制度が先に立つと、制度に当てはまらない場合、職場を去らなければならなくなります。
そうならぬよう制度そのものに柔軟性を帯びたものを設け、その都度、権限を持つ責任者が
各自に適応した勤務体系、賃金体系を決めていくことが出来るようにすることが重要です。

これは個別雇用契約(I-Deals)※の概念です。個別配慮契約とも訳せます。

100人程度の会社であればトップの意思一つですぐにでも適応可能です。

大企業の場合は、100〜200人程度の組織単位で、それを
決裁できる責任者を定めることで、この制度は実現可能となるでしょう。

これはダイバーシティマネジメントの一つの解と言えます。


第三の解決策


らしさを認める


女性を活用する。と考えるから無理があるのです。

今まで、男性中心の社会で企業が成り立ってきた歴史は、今さら変えようがありません。
そのような環境に、無理に女性を加えようとしても混乱が生じます。

女性を受け入れると考えるのでは無く、「その人らしさ」を受け入れ、活用すると考えることが重要です。

男性であってもキャラクターとして「女性らしさ」を持つ人はいます。逆も然り。
それと同じようにパーソナリティの一つとして自然に受け入れる意識を持つことです。

「らしさ」を企業の人事評価の基準に加えることは、
既に、いくつかの企業において制度化され始めています。

この考え方と、第二の解決策をミックスすることで、
自然と女性が職場で活き活きと働く企業が生まれる事でしょう。


私は、昔から、男女で仕事の差別を行ったことがありません。
しかし、採用時によく、「らしさの評価はします」と言っています。

それは、男らしさ、女らしさ、である場合もあれば、
逞しさ、しなやかさ、優しさ、厳しさ、といった「らしさ」もあります。


男女や年齢にかかわらず、「らしさ」を活かして「楽しく」働いて欲しいと思います。


【参考文献】※

I-DEALS: IDIOSYNCRATIC TERMS IN EMPLOYMENT RELATIONSHIPS DENISE M. ROUSSEAU Carnegie Mellon University  Academy of Management Review 2006, Vol. 31, No. 4, 977-994.

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