一般紙でも大きく取り上げられた話題です。表題は毎日新聞電子版での見出しです。
この見出しだけを見ると、大学入試(2次試験)の、いわゆるペーパー試験をすべて廃止し、
面接や論文などで合否判定を行う、というように見て取れるのですが、これはこの記事の
元となった教育再生実行会議で発表された内容とは、真意が違うように受け取られると思います。

教育再生実行会議でまとめられた真意も含め、詳しく解説されている記事がありました。
【国公立大入試はどう変わる? 現状の問題点と大学入試で問う力】寺西 隆行(株式会社Z会理科課課長)

上記の記事をさらにまとめると、ペーパー試験をすべて廃止するのではなく、
大学の求める人物像と、入学者がよりマッチするように入試方法を改善するということです。

もちろん大学の希望に見合った人物を獲得するためには、面接や論文などで判断しなければいけない
ケースも出てくると思います。私は寺西氏の書かれている「知識型の入学試験」の問題点に注目しました。
今の入試は知識の有無を問うている形式がほとんどです。これは全国の高校入試でも同様で、
「豊臣秀吉が将軍になって、行った政治は主になにか?」という問いに、「太閤検地・刀狩り」と
答える形式です。私はこの形式を、TVのクイズ番組の早押し問題としばしば生徒に言っています。

昨年、小中高での学習指導要領の変更が実施され、それに伴い教科書も改訂されました。
そして加えられた問題は「豊臣秀吉はなぜ太閤検地を行ったのか?」というものでした。
これは太閤検地がどういうものかを知っていなければならない【知識】の分野と、それがなぜ
必要だったのかということを相手に説明しなければならない力とが必要になります。
この【説明する力】の育成に、これからの教育が重点を置き、この力を持つ人物を大学が・社会が
必要とするのだと思っています。言い換えれば、今までの世代はこの【説明する力】を育てて
こなかったのだと感じています。

学習指導要領が変更されてまもなく2年、早ければ今年度の高校入試からこの【説明する力】を
必要とする問題(いわゆる記述式問題)が、多く出題されてくるのではないかと思っています。
また大学側のこういった動きは、高校入試をつくる各県の教育委員会の方針をも動かすものでしょう。