先月も大学入試改革の話題に触れましたが、同じ教育再生実行会議の場で
センター試験を廃止して、新たに「達成度テスト(仮称)」を創設する方針を
固めたとの報道がありました。「達成度テスト」は2段階になっており、
高校在学中に学習の到達度を測るテストを「基礎」、現行のセンター試験に
あたる物が「発展」というかたちで、2回にわけて試験を実施するということでした。

下村文科相は「高校段階における学習の到達度を把握し、高校の指導改善や
大学入学選抜に活用する新たなテストとして、基礎レベルと発展レベルからなる
到達度テストを導入する方向で現在調整している」と述べていますが、
「一発勝負ではなくなるので助かる」という声があがる一方で、
「試験体系がより複雑になり、高校生の新たな負担になる」という声も聞かれます。

私は後者の声に賛同します。まだ方針を立てただけですので、これから具体的に
実施時期も含めてどのような体系になっていくのかが不透明ですが、
「一発勝負」であることの負担よりも、一発ではないので目標が定めにくい負担の方が
大きくなってしまう危険があると考えます。

私は生徒に「体調管理も含めて試験だ」と、受験生に限らず口をすっぱくして言っています。
中学3年間の集大成を見せる高校入試日に、高校3年間の集大成を見せるセンター試験の日に
万全の体調でないということは、運が悪かったのではなく、「自己管理」という試験で
ふるい落とされたのだと。社会人になって、会社の行く末を占う大切な会議の日に
体調を崩して万全のプレゼンができない人間は、会社からの信頼を得られません。
少々きつい言い方ですが、そう言って生徒たちの自己管理を促しています。
その意味でも、入学試験は一発勝負であるべきだと考えています。もちろん、センター試験が
1月という時期に実施されるべきかには疑問を持っていますが。

今回の改革が実施されるのは、早くても5年後とのこと。これが多くの高校生にとって
チャンスが増えて有益になることを望みます。