2015年07月21日
私たちができること(mm)
安保法案が衆議院を通り、あとは60日ルールで
参議院は何もしなくても通るという事態。
国会の多数派が決めれば何でもできるのが形式的な民主主義で、
主権者たる国民は、地団駄を踏む気持ちです。
しかし、国民には「世論」という武器があります。
これは実質的な民主主義です。
政権は、「支持率」を気にしています。次の参議院選もありますから。
新国立競技場問題を白紙にしたのも
世論があまりに反対が強かったので、これ以上支持率を落とさないためには
こうせざるを得なかったのでしょう。
(競技場担当実務者は頭を抱えているでしょうが)
今から私たちができることは、反対の世論を盛り上げることです。
学者たちは一生懸命にやり始めました。
若い人たちも、国会前に集結したりして、アピール度を高めています。
職場や学校や、食堂や美容院などで、
平和の大切さや、安保法案の拙速さを話すだけでも効果があります。
これから2か月、自分ができることを1つでも、2つでもやりましょう。
後悔先に立たずです。
2015年06月20日
大学の役割(mm)
人文社会科学系や教員養成系の学部の廃止や他分野への転換を求めています。
要は「文系の学問は実社会に役に立たない」ということなのでしょう。
大学の起源は、中世ヨーロッパにあります。
ローマ時代からの市民の一般教養とされた7学科(文法、修辞、論理、数学、音楽、幾何、天文)を修め、
その後、3つの専門過程(神学、法学、医学)の学部の進みました。
神学というのは、今でいえば哲学にあたると考えられ、文系がむしろメインでした。
(これらは当時の高度な専門職に必要な学問だったのでしょうが。)
今日の高度な専門的学問は、大学ではなく大学院に移行しています。
アメリカでは、医師になるには医学大学院、法律家になるには法科大学院に行くことが必要です。
日本でも、理系の専門職の場合は、大学院に行くのが当然視されています。
高度な専門職であればあるほど、幅広い教養が必要であると考えられているからです。
今の大学は、半数近い人が進学するようになっていますが
その目的は、高度な発見をする研究者を生み出すことではなく
幅広い教養を身に着けるとともに、新しいものを発見する「考え方」を学ぶところにあります。
「文部科学省検定教科書」には書かれていない、
これまでの既成観念に縛られない、自由な考え方をしていい教育機関は、大学以外はありません。
切り口は、法学、文学、哲学、心理学、教育学などさまざまでしょうが、
共通する「自由な考え方」が、新しいものやサービスや組織運営を生み出す上で生きてきます。
非常に狭い意味で「役に立つ」ことだけを追求すると、人材を薄っぺらいものにします。
迷走する新国立競技場問題や、国立大学へ国旗・国歌を要請するのを見ていると
廃止すべきは、文科系ではなく文科省ではないかと思えてきます。
2015年06月17日
日本の品格はどこへ(mm)
下村文部科学大臣が、全国の国立大学の学長に対し、国旗掲揚・国歌斉唱を要請しました。
これは、安倍首相が改正教育基本法の「愛国心」を持ち出し
国立大学の入学式や卒業式で、国旗掲揚・国歌斉唱が行われていないことを問題にしたことが発端です。
「日本を取り戻す」というのが安倍首相のスローガンです。
私は、「美しい日本」というと、自然や風景はもちろん
謙虚で、思慮深く、品格ある人間性が何より大切だと思います。
戦争を行わず、平和を愛するおだやかな国柄こそ、日本が世界に誇るものでしょう。
ところが、愛国心を叫ぶ張本人が「早く質問しろよ」などと見苦しいヤジを飛ばし、
自分たちが呼んできた憲法学者に対して
自分たちが気に入らない発言をしたとたん、
「人選ミス」「政治の素人」などと礼節を欠いた言葉を平気で浴びせ、
カジノなどという、最も品格に欠ける施設を公然と建てようとし、
アメリカという、世界で最も戦争の好きな野蛮な国と一緒に戦おうとしています。
つつましく、品格のある日本人の精神性は
愛国心を叫ぶ人たちによってメチャクチャにされています。
国旗や国歌などという形式の押しつけではなく
日々の行動や心構えの涵養こそ、日本のリーダーたちがすべきことではないでしょうか。
2015年06月13日
中国の脅威と集団的自衛権(mm)
集団的自衛権が目玉の安保法案を通したい人がよく言うのは、
「時代は変わり、外国からの脅威が高まっている」というもの。
これを聞くたびに不思議に思うことが3つあります。
1 多くの人が考えていることは、日本が中国から攻められたらどうするということで、
要は個別的自衛権の話です。そのために既に自衛隊があります。
それが、どうして地球の裏までアメリカについていくという
集団的自衛権を容認することになるのか。
中国や北朝鮮以外の、日本から離れた日本の敵国とはどこなのか。
2 中国が攻めてこないように、上手に外交をする必要があると思いますが
安倍首相はわざわざ中国が嫌がるような歴史修正主義で喧嘩をふっかけ、
いまだに政府間の関係は最悪です。
攻められたときのことを考えるより、攻められない努力をすることが先決ではないのか。
3 集団的自衛権とは、世界中の紛争にアメリカ(主に)の味方として参加するということですが
アメリカが正しいという判断がどうしてできるのか。
世界で起こっている紛争の多くは、アメリカが原因になっています。
世界の火薬庫の中東諸国でアメリカが嫌われているのは、それなりに理由のあることです。
価値観が混沌としている時代に、無批判にアメリカに追随することは
これまでは日本の敵ではなかったアメリカの敵を、日本の敵にしてしまい
「外国からの脅威」をわざわざ増やすことになるのではないか。
何かというと、「外国の脅威」「中国が攻めてくる」と言う人に、ぜひ聞いてみたいです。
2015年06月10日
シンプル(mm)
大ヒットする映画は、必ず一行で説明できるものだそうです。
例えば、ジョーズは「巨大サメが人間を襲う話」。
ターミネーターは「未来から来たロボット同士が人間を守るために闘う話」。
「日本の反知性主義」という本の中で内田樹さんが、
「ユダヤ的フランス」という19世紀最大のベストセラーについて書いています。
フランス革命を説明する上で
「フランス革命以降、最も利益を得たのはユダヤ人だから、
フランス革命を計画実行したのはユダヤ人である。」
という荒唐無稽な内容なのに、
「一読して胸のつかえが消えました」
「これまでわからなかったことが腑に落ちました」
というような、熱狂的なファンレターが多数届いたそうです。
フランス革命がなぜ起こったのかは、
「ユダヤ人」を単一の張本人にするほど単純ではないですが
それを学術的に説明すると、一般市民にはわけがわからなくなります。
内田さんは、「いささか無礼な言い方になるが」として
「それは、彼ら(一般市民)が、自分程度の知力でも理解できる説明を切望したからである」
としています。
「で、結局どうなの?」という一言だけが、一般市民はほしいのです。
「もっと勉強しましょう」と100回言ったところで
「学問には正しい答えというものはないんです」と言ったところで
深いところで、一般市民の心情を変えることは難しいと思います。
そこで、これを逆手にとり、
「安保法制は違憲(または憲法違反)」
という一言で闘うのがいいと思っています。
憲法学者が全員「違憲」と断じたことが国民の間に動揺を広げているのは
「違憲」というシンプルさが効いているからに違いありません。
暴走する為政者を憲法が縛るという「立憲主義」を、今まさに体現しています。
40年も前に大学で学んだ「立憲主義」を、こんな形で学び直すとは思ってもいませんでした。
2015年06月07日
憲法の意味(mm)
あっという間に9か月も経っていたとは!
ここでしか発言できないこともあるので、ボツボツ再開しようと思います。
再開する直接のきっかけは、先日の衆議院の憲法審査会で、
3人の憲法学者がそろって「安保法制は違憲」と断じたことです。
まともな感覚の人なら、誰が見ても違憲だと思うのですが
「私が総理なんだから正しいんです」と平気で言える異常な総理が
「早く質問しろよ」などと、国権の最高機関の国会をなめきった野次をとばし、
どんなに深刻なことがあっても、官房長官はすぐさま「全く問題ない」と言う、
まさにファシズムそのものの事態になっているのに
それをだれも止められないことに、ものすごい無力感を感じていたところへ
やっとまともな意見が日の目を見たことで、元気が出ました。
6月14日付の「サンデー毎日」の青木理さんのコラムによると、
「現政権の内部や周辺に巣食う連中のレベルは相当に低い。」とし、
たとえば政権の最中枢の幹部は、自身のツイッターで
「(立憲主義は)学生時代の憲法講義で聴いたことがない。昔からある学説なのか。」
と書き込んだそうです。
安倍首相だって「立憲主義は王権時代の考え方」と言って国会で大恥をかいています。
どうみても、法学部の学生として劣等生だったのでしょう。
今、国家の異常事態を止めるのは誰か。
学識経験者とものを考える市民でしょう。
政治家と官僚とメディアが、権力にここまで弱いとは、嫌と言うほど思い知らされました。
私の大学時代のゼミの佐藤幸治先生(憲法学)は
どちらかというと政府よりの立場と言われることが多いようですが
今回、憲法審査会で自民党から参考人に推薦されたのを断り、
昨日6月6日には、東大で政府を痛烈に批判する講演をされました。
700人の定員に、1400人も集まったそうです。
今こそ、立憲主義が問われている時はありません。
市民ももっと頑張らなければ、と熱い気持ちになりました。
2014年09月22日
日本社会のサル化(mm)
ゴリラは群れの中に序列をつくらず、非常に平和的で、勝ち負けの概念を持っていない。
しかし、サルは対照的に、強い者を頂点に据えて、明確なヒエラルキーを構築する。
人間は生物学的にはゴリラに近いはずだが
血縁関係を中心に自分の利益を最大化するために群れをつくり、
利益を侵す者を集団に組み入れない、サルに近い行動をとっている。
人間は、家族、育った地域社会、出身校、職場などにアイデンティティを持ってきたが、
国家や民族にアイデンティティを据えすぎてしまうと、それが紛争の原因になることもありる。
現在はグローバル化によって国境を越えて、人や物、文化が動いているわけで、
地球のなかでつながり合っている感覚―「地球市民」であるという感覚を育んでいく必要がある。
ところが今は、国が率先して日本社会のサル化を進めようとしているようにみえる。
支配者からしたらそうした社会は動かしやすい。
人間の崇高さは、争いを平和的に解決し、全体の幸福を実現することにあるのではないでしょうか。
集団ごとにやられてやりかえすというのはサル並みで
それを乗り越えるどころか、ナショナリズムをあおる政府は
人類の退化以外の何者でもないでしょう。
2014年09月14日
歴史から何を学ぶのか
第4回「開戦・リーダーたちの迷走/なぜ勝ち目がないことを知りながら開戦を避けられなかったのか?」を見ました。
http://www.at-douga.com/?p=11664
開戦を決定した当時の関係者の誰もが、この戦争は勝てないと思っていたという驚くべき事実。
それなのに、誰ひとりとして「この戦争はやめるべきだ」と発言しなかった事実。
これを見て、つくづく人間の愚かさを思わずにはいられません。
極東軍事裁判について、
「あれは戦勝国による一方的な裁判だ」などという人がいますが
戦争というのは、勝つか負けるかをはっきりさせることであり、
そして勝った国が負けた国を裁くものですから
あたりまえのことだと言わざるをえません。
日本だって、日清、日露の戦争で戦勝国になり
負けた国にとっては理不尽な領土略奪をしてきました。
戦争とはそんなものです。
だから、戦争を始めてはいけないのです。
まして、負けるとわかっている戦争を始めては絶対にいけないのです。
同じNHKスペシャルのシリーズの第3回は「”熱狂”はこうしてつくられた」で
政府とメディアが一体になって
民衆を戦争支持にかりたてていく様子が描かれています。
http://www.at-douga.com/?p=10891
私たちは、負けるとわかっていた戦争を国の指導者が始め、
大量の死者を出した歴史から何を学ぶのでしょうか?
私たちは、政府やメディアによって
騙され、あおられていった歴史から何を学ぶのでしょうか?
昨今の安倍政権による好戦的な諸施策や、
政府側の立場に立った諸メディアの朝日新聞への異常ともいえる攻撃、
またそれに同調する人々の発言を聞くにつけ
同じ空気を感じて、いたたまれない思いをしています。
2014年08月13日
本気(mm)
男性の育児休暇の取得者がとても少ないことは以前から問題になっています。
以前、四日市市職員を対象に調査したことがあるのですが
年間1人いるかいないか、多くても2人が最高でした。
これを増やしたいとして、国は育メンプロジェクトなるものをやっていますし
自治体でも、子育てにかかわった男性を集めて大々的なイベントをしたりしています。
でも、以前SSKがやった調査では、
なぜ男性が児休暇をとらないかというと
とりたくないのではなくて、
自分がとったら他の人に仕事のしわ寄せがいき
迷惑をかけるからという答えが最も多かったのです。
つまり、今職場はみんなとても忙しくて残業が多く
休むことが許されない状態にあるということだと思います。
女性の場合は直接子どもを産むので、
「困ったものだがしかたない」という空気がありますが
男性の場合は、「おまえまで調子に乗るな」という空気があるように思います。
従って、男性の育児休暇取得者を増やすためには、2つの方向性があります。
1 仕事量を減らす
2 休んだ時、代替職員の数を増やす(臨時の人を1人の休業者に2人つける)
現代の職場は、顧客重視、コンプライアンス重視、完璧主義なので
1を実現することはなかなかできません。
そうなると、2が即効性を期待できます。
ところが、2は予算がないとか何とかで、ほとんど手を付けられません。
そうでしょうか。
やらなくてもいい少子化イベントや目立つイベントに、膨大な予算をかけているのではないでしょうか。
この予算を、代替職員の人件費に充てたら、相当な数の代替要員が確保できます。
そうなれば、年間1人や2人ではなく、
10人くらいは育児休業取得者が増えるのではないでしょうか。
政策づくりを科学的に行ったり、できない理由を深掘りしたりせずに
何かやっていることを見せるパフォーマンスとしての施策になっています。
問題解決の本気さが問われます。
2014年07月13日
真の少子化対策(mm)
このところ、急に少子化問題がクローズアップされ
少子化対策に力を入れる自治体も増えているようです。
少子化対策とは何かといえば
保育所の整備や、子育て世帯への給付金などが真っ先に思い浮かびます。
また、お父さんが育児しやすい環境づくりとして
三重県では「みえの育児男子プロジェクト」なるものを実施しているし、
四日市市でも「父親子育てマイスター」認定制度なるものをつくっています。
育児環境は劣悪なので、何とかしなければならないし、
男性の育児参加も必要なのは確かですが、
肝心の少子化がそれで止まるかといえば、あまり効果はないだろうと思っています。
未婚のまま子どもをもつことについて、強い拒否反応がある日本では
若者が結婚しないと子どもは生まれません。
つまり、少子化対策は結婚対策なのです。
平成26年版「少子化社会対策白書」によると、未婚率と晩産化が進行しています。
25~29歳の未婚率は平成22年時点で男性71.8%、女性60.3%です。
国の統計では、現在20歳の若者が50歳になった段階での未婚率は
男性は4割くらい、女性は3割くらいという予測も出ています。
これは驚くべき高い数字ではないでしょうか。
いまどきの若者は孤独が好きとか、人とのコミュニケーションがとれないなどと
「婚活」に力を入れる自治体もあるようですが
これもやらないよりやったほうがいいかもしれませんが、本質を外しています。
先日、私の2年生のゼミ生(20歳の男子16人)に、
「30歳の自分」について、仕事と結婚について、
自分の理想と、予測される現実について書かせてみました。
その結果はっきりしたことは、ほぼ全員が24~26歳の間に結婚するという理想を持ち、
実際には24~30歳の間に結婚すると予測していることです。
若いパパになりたいと書いている学生もいました。
その理由は、若くて元気なうちに子どもと遊びたいからだそうです。
この調査をしている間、ゼミ生の間で、いろいろ雑談をしていて
自分の子どもができて未来へ自分の血がつながっていくことについて
「何かいいよなあ」という憧れの声が聞かれました。
若者は、純粋に結婚したがっています。子どももほしがっています。
彼らに、あなたがたの4割は、生涯結婚できない可能性があるんだよとは
かわいそうで言えませんでした。
就職に対しては、彼らの理想は高給の職に就くこと。
しかし、実際には無理だろうと感じています。
上記の「少子化社会対策白書」では、
20~30代の未婚者が望む少子化対策として、
「給料を上げて安定した家計を営めるよう支援」が49.2%で最も多く、
次いで「雇用対策」が42%でした。
要は、少子化対策=結婚対策=雇用対策なのです。
今の安倍政権の政策では、
非正規雇用やそれに近い形態が増加していくことが予想され、
ますます雇用は不安定になります。
結婚を決意するには、安定したそれなりの収入が不可欠ですが
今の政府は、一方では少子化対策が重要といいながら、
それと逆行した政策が行われています。
自治体が育児男子や父親子育てマイスターをいくら養成しても
そもそも結婚できない若者があふれる未来が待っているのです。
(統計で既に予測されていることは上に示したとおりです。)
結婚や子どもをもつことに夢をもっている若者を絶望させない社会を
何とかつくってやりたいのですが・・・。
2014年07月06日
反アマゾン法(mm)
昨日読んだ週刊誌に、面白い記事がありました。
(最近の週刊誌はみんな安倍首相のヨイショで、あれほど話題になっている集団的自衛権の記事など全くないのでつまらないこと甚だしいですが、書評やコラムには秀逸なものがあります。)
フランス議会が、文化の保護を目的に、
ネット通販業者が書籍を販売する際に、配送無料サービスを禁止するという法律を可決したというのです。
アマゾンを狙い撃ちにした法律であるため、「反アマゾン法」と呼ばれているそうです。
フランスが保護する文化とは、国内に焼く3500店舗ある「町の本屋さん」。
アマゾンが行う送料無料配送は「ダンピング」に相当し、中小の書店経営を圧迫しているという認識があります。
アマゾンがネット通販で送料無料を武器に、中小書店をなぎ倒していくのを看過すれば
そうした書店で働く労働者の生活が成り立たなくなるため、
政府がまちの文化の担い手である町の本屋さんを守る、ということです。
大手の企業が、ダンピングして零細業者をなぎ倒していくさまは
SSKも、最近の入札で身をもって感じたところです。
CSRなどといっていますが、いざとなると企業は醜いまでにあざといです。
企業には営業の自由があるというなら
それを規制して零細業者を守るのは政府・自治体以外にありません。
「まちの文化を守る」「市民の市民目線の活動を尊重する」など
ただ「安いほうがいい」という論理ではない規制理由を立てることは
政府・自治体の基本姿勢そのものです。
今の日本は、露骨な「金儲け」主義が蔓延しています。
そんな日本は「強い日本」でもなんでもなく、ただの「弱いものいじめの国」です。
フランスのような、草の根の文化を守れる国こそ、風格のある「強い国」だと思います。
2014年06月29日
忙しすぎる先生(mm)
OECDの中学校の教員の勤務環境などの国際調査結果が発表されました。
1週間の勤務時間は、53・9時間(平均38・3時間)で最長です。
その内訳は、授業は17・7時間(平均以下)でわずか3分の1しかなく、
残りの3分の2は,部活などの課外指導と事務作業です。
その一方で、学級運営や教科指導などについての自信の度合いは、
「非常に良くできている」「かなりできている」の割合の合計は
参加国・地域中、最低でした。
日本の先生たちは、世界一長時間働いているが、
その内容は雑務が多く、肝心の授業があまりできておらず
指導への自信もない、というのが全体像のようです。
日本と対照的なのはチリです。
総勤務時間は29.2時間で最も短く,そのうちの9割以上が授業です。
教員の仕事は授業とはっきり割り切っているようです。
子どもがイギリスの小学校に行っていた時
登下校の方法について親の同伴の必要性を質問した私に対して
学校の門の中のことは学校が責任をもつけれど
門の外のことは親の責任で決めてくださいと
はっきり言われたことを思い出します。
日本の学校は、学校外で起こることについて
責任を持ちすぎていないでしょうか。
そのために、たくさんの事務が発生しているように思います。
それから公務員の体験から思うことですが
日本の組織は、
仕事の対象者(子どもや市民など)のための仕事より
組織内部のための仕事(説明資料の作成など)が多すぎます。
実質より形式的な完璧主義を重んじる体質が
自分たちの首をしめているように思います。
2014年06月23日
人情に国境なし(mm)
経済学部が圧倒的に多く、私の学部(総合政策学部)は最も少ないのですが
私のゼミには、そのうち数人が希望して所属してくれています。
今年4月に四日市大学で行った、ささえあいのまち創造基金の公開プレゼンテーションに
中国人留学生のSさんが参加してくれました。
その時彼女は、草の根の地域で人々がさまざまな社会貢献活動をしていることに
ずいぶん感動したようです。
先日、ある日本の団体からSさんは留学生を支援する奨学金を貰いました。
彼女は、それをくれた団体に確認をし、自由に使っていいという返事をもらい、
その足で私のところに来て、とても恥ずかしそうに
「これを先生がやっている活動に寄付したい」
と、少したどたどしい日本語で言い、金封のまま差し出したのです。
「あなたの学費や生活費に使っていいお金でしょ?」
と言ったのですが
決して高価そうではない服装の彼女は、
「いや、私、いろいろ考えました。私は生活に困ってない。
先生がやっていることのために使って欲しい。」
と本当に恥ずかしそうに言うのです。
彼女の気持ちを大切にするために、私はありがたく受け取りました。
そしてささえあい基金へ寄付しました。
日本の団体からの中国人への善意の寄付が
日本の地域へ、中国人の善意で循環してきたわけです。
中国や韓国を罵倒したり、集団的自衛権など戦闘ムードをあおったり
最近の日本には、近隣諸国を敵扱いする空気が蔓延していますが
一人ひとりの人間の人情に、国境はありません。
国籍が違おうと、ささえあう姿や、やさしい心に人は感動するし
戦争は嫌だし、人が死ねば悲しいのです。
戦争が起こったらどうするかということをあおるのではなく
戦争が起こらないような外交こそ、
憲法9条を持つ日本は率先実行して欲しいものです。
2014年06月16日
外国人と家事労働(mm)
いよいよ少子化が深刻とわかって、女性を働かせることに急に熱心になり、
さらに、掃除や洗濯など家事の負担を減らして女性の就労を促すため、
外国人労働者を家事サービスの分野で受け入れる方針を固めたそうです。
具体的には、大阪、京都、兵庫の3府県を「国家戦略特区」に指定し、
18歳以上、単身での入国」などの条件で、今秋にも受け入れを始めるとか。
受け入れ国は限定しないが、フィリピンやインドネシアなど、東南アジアが中心になる見通しだそうです。
かつては、貧しい家の女性を、「お手伝いさん」として住み込ませていたのを
今度は国際版にするらしいですが、
豊かな家庭(国)の女性のために、貧しい家庭(国)の女性を
誰もやりたくない家事に従事させるという構図は全く同じです。
おそらく日本人の家庭が払えるような安い給料で働かせようと思って
東南アジアの女性を想定しているのでしょう。
少子化の深刻さに尻に火がついて、あたふた女性の社会進出などと言い出す姿勢がまず嫌ですが
外国人の女性を踏み台にする発想はもっと嫌です。
本来なら、ワークライフバランスをすすめ
男性も家事を分担できるようにすることが第一のはずです。
今の政府の考え方は、女を遊ばせておくわけには行かない。
男も女もめいっぱい、フルタイムで日本経済のために働いていただく。
そのために、家事などというつまらない仕事は外国人にやらせる。
そういうことです。
これは、家事を大切に考えている日本の専業主婦と外国人の両方を、
露骨に馬鹿にしているとしか思えません。
そもそも、女性が仕事をする上で負担が大きいのは、
掃除や洗濯などではなく、食事作りと育児です。
日本の家庭の食事づくりも育児も外国人にさせるのでしょうか?
女性の実態を知らない、政財界の男性が考えそうな愚策ではありませんか。
2014年06月01日
ユニバーサル就労(mm)
たくさんのメディアに大きく報じていただき、まずは順調な滑り出しといえるでしょう。
働きにくさを抱える人のための、一般就労と福祉的就労の中間形態の就労の場としての「社会的企業」づくりの必要性について、市民社会研究所ではこれまでずっと検討してきました。
2009年度 イギリスの障害者雇用等の社会的企業制度の調査実施
2010年度 市民社会研究所が三重県の「コミュニティビジネス支援人材緊急雇用事業」を
受託。引きこもりの若者の社会とのつながりの場としてのコミュニティビジネ
スの調査を行う。
イギリス・韓国の障害者雇用等の社会的企業制度の調査実施。
2011年度 市民社会研究所が三重県の「コミュニティビジネス支援人材緊急雇用事業」を
受託。「敷居のない食堂」(多様な就労困難な人々の仕事づくりセンター)
構想の研究発表を行う。
6月、厚生労働省受託事業として北勢地域若者サポートステーション開設。
イギリス・韓国の障害者雇用等の社会的企業制度の調査実施。
2012年7月 市民社会研究所が一般社団法人ユニバーサル志縁社会創造センターの会員登録
中間的就労の場としての社会的企業の研究に取り組む。
2013年3月 社会的企業の内容として、「おやき」の構想固める。
四日市市諏訪栄町に地域若者サポートステーションと併設する社会的企業
のためのビル物件に出会う。
4月 同ビル購入契約。
5月 市民社会研究所が三重県の起業支援型地域雇用創造事業を受託
7月 伊勢おやき工房設立に向けて活動開始
8月 四日市市諏訪町星座ビルに事務所を移動。伊勢おやきの開発と工房の開所
に向けた諸準を本格的に開始。
2014年 4月 竣工。大型機械・各種機器搬入。スタッフ採用。
5月 伊勢おやき本舗開店
事前の長い検討期間があったのですが、
開店前はスタッフの採用も含めて、ほとんど1ヶ月間程度の準備期間しかなかったので、
よくも開店までこぎつけたものと、改めて製造スタッフのパワーに感じ入ります。
働きにくさの中には、軽い障害がからんでいることが多いですが
それらの「グレーゾーン」の方々の中には(グレーゾーンの人は実に多いです)、
障害がある人のための福祉施設で働きたいとは思っていない人がかなりいます。
彼らは普通の会社で働きたいのですが、
会社としても能率よく仕事を進めなければならないので、なかなか採用してくれません。
また、障害認定を受けられないために、障害者施設には入れない人も多いです。
今は障害がある人の社会参加は、多くの場合、特別支援学校や障害者施設のように
障害がある人とない人が隔離された状態で行われることが多いです。
そのほうが、障害がない人にとっては「楽」ですが、
現実の社会は様々な人が生きていることに気づかないままになってしまいます。
また、目に見える障害だけでなく、さまざまな働きにくさを抱えている人がいることにも
気づかないままになってしまいます。
ただ、ユニバーサルな就労を作り出そうとすれば
ただ障害者雇用をすすめよ!といきり立ったり、啓発チラシを配布しても
それだけでは絶対に無理で、必要なしくみやノウハウを構築することが不可欠です。
伊勢おやき工房は、そのための実践的な研究の場です。
持続可能なユニバーサル就労の場とするために最も重要なのは、
実は、障害がないスタッフにとっても働きやすい就労の場とすることです。
収益をあげて、賃金を払うためには、障害がないスタッフが重要な役割を果たすからです。
そのためのノウハウが、ユニバーサル就労の鍵を握っていると考えています。
*多くの福祉的な就労の場では、障害がない働き手が、障害がある人の保護者であったり、
福祉団体の役員であったりすることで、しんどさに耐えていることが多いです。
課題の「当事者・関係者」であることは重要ですが、それだけでは社会全体にユニバーサル
就労を広げていくことは困難です。
難しい仕事ですが、多くの人々が、この考え方に共感していただいていると感じ、
また、この仕事を通じて成長している人々の姿を見るにつけ、
今後、丁寧にかつ大胆に、仕事を進めていきたいと思います。
2014年05月14日
少子化と集団的自衛権
このままでは2060年に日本の人口は8700万人まで減少するので、
1億人を維持するために、2030年までに出生率を2.07まで回復させるとし、
出産・子育てへの政府の支援を倍増する案を発表したそうです。
何をいまさらという気持ちです。
そんなことは数十年前からわかっていたことではありませんか。
それなのに、働く女性の職場や生活環境を劣悪なままにしてきた結果に
今頃あせってどうするのと私は思います。
女性に働いてもらわないと経済がまわらなくなることが、今頃になってやっとわかってきたらしく
保守政治家を自称する安倍総理すら、女性の社会進出をしきりに主張し、
女性の家事を担うために、外国人を入れる案まで出てきています。
今度は日本の女性のために、外国の女性を踏み台にするのかと
政治家たちの泥縄式の女性の人権無視の発想には嘆息するばかりです。
現在の予測では、2060年は人口8700万人、そのうち65歳以上の高齢者が40%だそうです。
安倍総理がしきりに導入したがっている集団的自衛権ですが
戦場で前線で働くのはどう考えても20~30代の若い男性でしょうから
8700万人のうちの60%の非高齢者のうち、
さらに男性はその半分で、20~30代の若い男性はそのまた一部。
きわめて貴重な若い男性を、自国の防衛ならまだしも
他国を守る戦場に送り込むゆとりがあるとはとても思えません。
(だからといって、無人戦闘機などの人力を必要としない人殺しの新型兵器の開発などは、人間がしていいこととは思いません。)
若い男性・女性には、日本の経済を維持するために
働いてもらわなければならないのであって
一人たりとも自国はもとより、外国のために死なせるわけにはいきません。
そのために政府は、戦争を起こさないための外交を必死でする責任があります。
自分の考えはどうであれ、世界中から非難される靖国神社参拝などすべきではないでしょう。
少子化政策と防衛政策が、全くリンクしないまま走っている今の政権は
超近視眼的であり、非科学的な、持続不可能なものであることを
私は強く主張したいと思います。
2014年05月09日
四日市おやきの開発
まずはその準備に忙しくしています。
同時に、これから次の商品開発も行う予定ですが
三重県の資源を活用した「ご当地おやき」を
いろいろ考えています。
伊勢おやき本舗が四日市にあるので
「四日市おやき」を作りたいと考えていますが
形状についてはいろいろアイディアが出ているものの
(萬古焼土鍋とか日永うちわとか・・・)
中身については、これといった特産品がないため
スタッフ一同、頭をひねっています。
ヘルシーさを売り物にしているため
できれば肉類は避けたいです。
大矢知そうめんは、おやきの中身としてはあまり美味しそうではありません。
ごま油もそれだけではインパクトに欠け、
しぐれは、「桑名おやき」に使う予定であるため使えません。
できるだけ地域文化を反映させたいのですが
同時に美味しくなくてはいけません。
何かいいアイディアがあればお願いします。
2014年04月26日
自分で判断(mm)
たくさんの方々が亡くなられ、今なお行方不明の人がたくさんいるとのことで
その方々はさぞや恐ろしかっただろうと思わずにはいられません。
今回の事件でたくさん考えることがありますが
その中で印象的なのは、
「今いる場所から動かないように」という船内放送の指示に
大多数の乗客が従い、逃げ出さなかったことが
大惨事につながったという指摘です。
ロイター通信のコラムでは
「長幼の序が深く刻み込まれている韓国社会では、上位者や権威者からの要求は疑念を抱くことなく受け入れられる。多くの乗客が完全に指示に従い、逃げ出すチャンスを逸した」
と分析しているそうです。
「言うことを聞かない子どもが生きて帰って、聞き分けのよい子が行方不明になってしまった。」
という高校生の母親もいるそうです。
日本でもこのことはあてはまります。
東北の震災時、津波は行政のハザードマップの予測を大きく超え、
ハザードマップ上では津波が到達しないとされた地域で、多くの人が亡くなったそうです。
SSKでは、自分の頭で考え、行動することを設立時から提唱してきていますが
それは、災害時に特に重要であることを、改めて認識しています。
2014年04月14日
教員のモラル(mm)
・県立高校で50代の女性教諭が長男が通う別の高校の入学式に出席するため、担任を務める1年生の入学式を欠席した。
・入学式の担任紹介の中で校長が女性教諭の欠席理由を説明。女性教諭は「入学式という大切な日に担任として皆さんに会うことができないことをおわびします」という文章を事前に作成し、当日、別の教諭が生徒らに配った。
・来賓として入学式に出席した県議会議員は、「担任の自覚、教師の倫理観が欠如している。欠席理由を聞いた新入生たちの気持ちを考えないのか。校長の管理責任も問われる」と憤慨。県教育局は「教員としての優先順位を考え行動するよう指導する」としている。
これに対して、このような意見がインターネット上で出ています。
「我が子の入学式を優先することは、別段何の不思議はありません。当たり前でしょそんなの。自分の子どもの、たった一度の入学式なんですから。というか、逆に先生が自分の息子の入学式を優先しないとしたら、そっちの方が「え、親としてどーなの?ぼくが子どもなら、入学式出てほしいけど…」と思ってしまいます。
えらいオジさんが「欠席理由を聞いた新入生たちの気持ちを考えないのか」と憤慨しているようですが、そんなことは別に新入生も「へー、担任の先生のお子さんも、今日入学式なんだ。子どもいるんだね」で終わる話でしょう。次の日からは普通に授業が始まるわけですし、初日にいようがいまいが、それが今後の大問題になるとは到底思えません。
「欠席理由を聞いた新入生たちの気持ちを考えないのか」という言葉は、子どもたちが持っているである(そして持つべき)「人間としての寛容さ、柔軟性」を見くびっているように聞こえます。そして、こういうことを大人が言えば言うほど、子どもたちは「私たちの気持ちを考えないのか!」という自己中心的なモンスター消費者に近づいていくのでしょう。
法に触れているわけでもなし、倫理的な判断というのは、個々人が下していくものです。外部の人間が一方的に「モラルに反している!」と断罪するのは、強い違和感があります。賛否がくっきり分かれるテーマについて、一方的に「公式のNG」を突き立てること自体が、そもそも「教育的」ではありません。反面教師として教える、という狙いがあるならまだわかりますが…。」
http://bylines.news.yahoo.co.jp/ikedahayato/20140413-00034455/
みなさんは、どのように考えられますか?
2014年03月16日
小保方騒動(mm)
わずか1ヶ月前には、リケジョのスターだったSTAP細胞の研究者が
今や研究成果も否定され、博士号も取り消されるおそれがあるなど地獄の日々。
理系の論文は英文なので、
学問的興味だけではなく、嫉妬心や何やらで、世界中からチェックされる厳しさがあります。
大変な注目を浴びる論文を発表するにしては、
かなりずさんな研究体制だったことがわかってきました。
私自身ズボラな人間なので、コピペしたくなる気持ちは理解できますが
論文では、やってはいけないことの筆頭事項です。
STAP細胞の論文だけでなく、
博士論文も冒頭の20ページがコピペだったそうです。
これは相当イタいことです。
想像するに、小保方さんはきっとまじめな学生だったので
指導教員も信頼していて、主要な研究部分以外は、
論文をしっかり見なかったのではないかと思われます。
コピペはダメというのはあまりにも当たり前なので
信頼している学生がまさかそんなことをしているとは思いもよらなかったのでしょう。
先生も、すべての論文を読んでいるわけではないので
学生がどこからか文章をコピペしてきても、なかなか見抜けません。
優秀でない学生の場合だと、やたら優れた論文をもってくると
コピペだとすぐ疑いますが。
最近はコピペ発見器というのがあるそうで
私はまだ使ったことはありませんが
学生には、
「コピペ発見器を使ったらすぐバレるんだからね。バレたら0点だからね。」
と脅しをかけています。
小保方さんが「優秀だけどずさんな人」だったために、
今日に至るまで誰も指導しないまま、こんな事態に至ってしまったのではないかと思います。
今、精神状態がかなり悪いそうですが、自分が招いたこととはいえ心配です。