2014年06月01日
ユニバーサル就労(mm)
たくさんのメディアに大きく報じていただき、まずは順調な滑り出しといえるでしょう。
働きにくさを抱える人のための、一般就労と福祉的就労の中間形態の就労の場としての「社会的企業」づくりの必要性について、市民社会研究所ではこれまでずっと検討してきました。
2009年度 イギリスの障害者雇用等の社会的企業制度の調査実施
2010年度 市民社会研究所が三重県の「コミュニティビジネス支援人材緊急雇用事業」を
受託。引きこもりの若者の社会とのつながりの場としてのコミュニティビジネ
スの調査を行う。
イギリス・韓国の障害者雇用等の社会的企業制度の調査実施。
2011年度 市民社会研究所が三重県の「コミュニティビジネス支援人材緊急雇用事業」を
受託。「敷居のない食堂」(多様な就労困難な人々の仕事づくりセンター)
構想の研究発表を行う。
6月、厚生労働省受託事業として北勢地域若者サポートステーション開設。
イギリス・韓国の障害者雇用等の社会的企業制度の調査実施。
2012年7月 市民社会研究所が一般社団法人ユニバーサル志縁社会創造センターの会員登録
中間的就労の場としての社会的企業の研究に取り組む。
2013年3月 社会的企業の内容として、「おやき」の構想固める。
四日市市諏訪栄町に地域若者サポートステーションと併設する社会的企業
のためのビル物件に出会う。
4月 同ビル購入契約。
5月 市民社会研究所が三重県の起業支援型地域雇用創造事業を受託
7月 伊勢おやき工房設立に向けて活動開始
8月 四日市市諏訪町星座ビルに事務所を移動。伊勢おやきの開発と工房の開所
に向けた諸準を本格的に開始。
2014年 4月 竣工。大型機械・各種機器搬入。スタッフ採用。
5月 伊勢おやき本舗開店
事前の長い検討期間があったのですが、
開店前はスタッフの採用も含めて、ほとんど1ヶ月間程度の準備期間しかなかったので、
よくも開店までこぎつけたものと、改めて製造スタッフのパワーに感じ入ります。
働きにくさの中には、軽い障害がからんでいることが多いですが
それらの「グレーゾーン」の方々の中には(グレーゾーンの人は実に多いです)、
障害がある人のための福祉施設で働きたいとは思っていない人がかなりいます。
彼らは普通の会社で働きたいのですが、
会社としても能率よく仕事を進めなければならないので、なかなか採用してくれません。
また、障害認定を受けられないために、障害者施設には入れない人も多いです。
今は障害がある人の社会参加は、多くの場合、特別支援学校や障害者施設のように
障害がある人とない人が隔離された状態で行われることが多いです。
そのほうが、障害がない人にとっては「楽」ですが、
現実の社会は様々な人が生きていることに気づかないままになってしまいます。
また、目に見える障害だけでなく、さまざまな働きにくさを抱えている人がいることにも
気づかないままになってしまいます。
ただ、ユニバーサルな就労を作り出そうとすれば
ただ障害者雇用をすすめよ!といきり立ったり、啓発チラシを配布しても
それだけでは絶対に無理で、必要なしくみやノウハウを構築することが不可欠です。
伊勢おやき工房は、そのための実践的な研究の場です。
持続可能なユニバーサル就労の場とするために最も重要なのは、
実は、障害がないスタッフにとっても働きやすい就労の場とすることです。
収益をあげて、賃金を払うためには、障害がないスタッフが重要な役割を果たすからです。
そのためのノウハウが、ユニバーサル就労の鍵を握っていると考えています。
*多くの福祉的な就労の場では、障害がない働き手が、障害がある人の保護者であったり、
福祉団体の役員であったりすることで、しんどさに耐えていることが多いです。
課題の「当事者・関係者」であることは重要ですが、それだけでは社会全体にユニバーサル
就労を広げていくことは困難です。
難しい仕事ですが、多くの人々が、この考え方に共感していただいていると感じ、
また、この仕事を通じて成長している人々の姿を見るにつけ、
今後、丁寧にかつ大胆に、仕事を進めていきたいと思います。
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この記事へのコメント
それにしても、閣議決定による憲法の解釈変更は、クーデターとしかいいようがありません。どうしてこんな暴挙がまかり通るのか、絶望的な気持ちになります。市民も学識者もメディアも、権力者からなめられきっているのです。