15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/23(土) 00:07:44.10 ID:k9z9a6IOO

聖(……最近、パワプロ先輩が変わってしまった)


矢部「パワプロくんまたホームランでやんす!すごいでやんす!」

パワプロ「……別に。あの程度の球をいくら打っても自慢にならない」

矢部「でもすごいでやんす!投げれば完封!打てばホームランなんてチート級でやんす!正直羨ましいでやんす!」

パワプロ「……ふん」


聖(……少し前の先輩なら、ホームランを打ったらベンチで子供のようにはしゃいでいたのに)

聖(それだけじゃない。最近は私のサインも無視することがある)

聖(なんだか……1人で野球をやってるみたいだ)

聖(先輩……一体どうしてしまったんだ……?)


18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/23(土) 00:14:29.93 ID:k9z9a6IOO

―試合後―


矢部「今日も圧勝だったでやんす!勝利を祝ってどこか食べに行くでやんす!」

ザコプロ「いーねー。いこーいこー」

パワプロ「俺……パス」

矢部「えっ?でも今日の主役がいないとイマイチ盛り上がらないでやんす」

パワプロ「あのさ、俺はピッチャーなの。わかる?早めにストレッチして体休めないと故障のもとになるんだよ」

矢部「それは申し訳なかったでやんす……」

パワプロ「……ふん」


みずき「何あいつ。最近急に偉そうになっちゃって」

矢部「パワプロくんが偉そうになったのと急に上手くなったのはほぼ同時期でやんす。きっと何か秘密があるでやんす!」

聖「……秘密?」


20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/23(土) 00:21:24.89 ID:k9z9a6IOO

矢部「例えば……あれはパワプロくんのそっくりさんで、本物はどこかに幽閉されてるんでやんす!」

みずき「はぁ?何言ってんのよ。ゲームじゃあるまいしそんなことあるわけないでしょ?」

矢部「じゃあ謎の機関に改造されたとかでやんすか?」

みずき「あんたはアニメの見過ぎ。どうせ上手くなったから調子に乗ってるだけよ」

聖「でもみずき。人はそんな急に野球がうまくなったり、急に性格が変わったりするだろうか」

みずき「……確かにそうだけど、そっくりさんが現れたとか改造されただとか言う方が非現実的じゃない?」

聖「でも、あんなに優しかった先輩が急にこんなになるなんて……」

みずき「聖……」

矢部「やっぱりあのパワプロくんは偽物……」

みずき「まだ言うかこのオタメガネ!!」


21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/23(土) 00:28:10.74 ID:k9z9a6IOO

―次の日―


パワプロ「六道、受けて」

聖「あ……パワプロ先輩」

パワプロ「なに?」

聖「なぜ……突然名字で呼ぶんだ。今までずっと下の名を呼んでくれたろう」

パワプロ「……別に、馴れ合う必要もないし。第一『聖ちゃん』って呼ぶよりこっちの方が早いだろう。
試合中だと指示がコンマ一秒遅れただけでアウトがセーフになりかねないからね」

聖「だが…………なんだか、寂しいぞ」

パワプロ「どうせあと一年ちょっとの付き合いなんだから構わないだろ」

聖「っ……」

パワプロ「……時間を無駄にしちゃったな。早く構えてよ」

聖「……わかった」


23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/23(土) 00:34:13.40 ID:k9z9a6IOO

聖(先輩……本当にどうしてしまったんだ……)

パワプロ「まずはストレート、軽く行くから」
バシンッ!!

聖(確かに球は速くなったし、随分と重い球になった……。でも……)

バシンッ!!

聖(何か……何か違う……。このストレートは生きてない……)

パワプロ「次、スライダー」

聖(……どうしてだ、先輩)

ギュン!

聖「っあ!?」ビシィッ!


パワプロ「チッ……。集中しろよ」

聖「っ……すまない……」


28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/23(土) 00:40:52.25 ID:k9z9a6IOO

聖「いつっ……」

聖(取り損ねた球が肩に当たったのか……。よりによってちょうどプロテクターのないところに……)

パワプロ「……次、フォーク」

聖(……ダメだ。集中しないと……)

ギュン!

聖「あっ……」バシッ!


パワプロ「……チッ」

パワプロ「……」ザッザッ

聖「せ、先輩!どこに……」

パワプロ「……走り込み」

聖「あ……」


33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/23(土) 00:48:16.85 ID:k9z9a6IOO

聖「……っぐ」

みずき「あれ?聖、どうしたの?1人で」

聖「な、なんでもない!」

みずき「あんた……泣いてるの?」

聖「私は……泣いてなど」

みずき「……」

聖「みず……き?」

みずき「聖はちょっと休んでなよ。そんなに目を真っ赤にしたままだとみんな心配するから」

聖「……!」グシグシ

みずき「じゃあ、私はちょっと走り込み行ってくるからね」

聖「あ、みずき、そっちは……」

タタタタタ……

聖「パワプロ先輩……が……」


36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/23(土) 00:56:50.57 ID:k9z9a6IOO

みずき(あのバカ……もう許さないんだから!!)

パワプロ「……」ザッザッザッ

みずき「いた!パワプロ!!」

パワプロ「……」ザッザッザッ

みずき「ちょっと待ちなさいよ!!」

パワプロ「……なに?練習の邪魔しないで欲しいんだけど」

みずき「あんたねぇ……!!聖を泣かしておいて何とも思わないの?」

パワプロ「なんで俺が六道の心配しないといけないんだ」

みずき「なっ……!信じらんない!!あんた達バッテリーでしょ!!」

パワプロ「キャッチャーなんて的みたいな物だろ。俺が打たれなければ別に誰がやっても問題ない」

みずき「いい加減にしなさいよ!最っ低!!」

パワプロ「そうやってすぐ感情的になるからピンチで打たれるんだよ、橘は」

みずき「今話してることは野球とは関係無い!!」


40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/23(土) 01:08:14.94 ID:k9z9a6IOO

みずき「あんたおかしいよ。狂ってる」

パワプロ「ああ、そう。だから?」

みずき「そんなので野球やってて楽しいの?」

パワプロ「楽しい?何言ってるんだ。野球なんて『勝つ』か『負ける』かしかないだろ。何を楽しめと?」

みずき「違う……!!」

パワプロ「何が違うんだ?じゃあなんだって言うんだ」

みずき「もっとあるでしょ!ヒットを打って嬉しいとか、ホームラン打たれて悔しいとか……。
勝敗なんてただの結果よ!その過程が楽しい物じゃなかったら、試合に勝っても何も得られない!」

パワプロ「そんなこと言ってるから弱いんだよ。お前達は」


パワプロ「いいことを教えてあげるよ。社会に出たら過程は何の意味も持たない、結果だけの世界なんだよ」

みずき「私達はまだ高校生でしょ!結果なんかよりも……もっと大切な物があるの!なんでわからないのよ!」


41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/23(土) 01:11:27.36 ID:k9z9a6IOO

パワプロ「チッ……うるさいな。時間の無駄だから俺は練習を続けるよ」

みずき「待ちなさいよ!」

パワプロ「邪魔」ドンッ

みずき「きゃっ!?」

パワプロ「……」ザッザッザッ

みずき「……ばか」

みずき「ばかばかばかばかばかばかばーか!!」

みずき「ばかぁ……」


44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/23(土) 01:17:19.63 ID:k9z9a6IOO

―練習後―


矢部「パワプロくん、一緒に帰るでやんす」

パワプロ「俺はもう少し残って練習していくよ」

矢部「そうでやんすか。相変わらずパワプロくんは練習熱心でやんすね」

パワプロ「……別に、普通だ」

矢部「ところで本物のパワプロくんはどこでやんすか?」

パワプロ「……は?」

矢部(この余りにも自然な話題の切り替え……。きっと思わずポロッと本物のパワプロくんの居場所を話してしまうでやんす)

パワプロ「……」スタスタ……

矢部「無視されたでやんす!せっかくのオイラの作戦がパーでやんす!」


46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/23(土) 01:25:49.26 ID:k9z9a6IOO

矢部「ぬぉぉぉぉ!!こうならヤケでやんす!!一体誰に改造されたでやんすか!!」

パワプロ「…ッ……」

聖「……ん?」

パワプロ「……」スタスタ……

矢部「あぁぁぁぁぁ!また無視でやんすかぁぁぁぁ……」

聖(……今、一瞬パワプロ先輩の表情が変わったような)

矢部「ぁぁぁぁ……あ、聖ちゃん、今までどこにいたでやんすか?」

聖「……いや、調子が優れないので木陰で休んでいた」

矢部「聖ちゃんもでやんすか。みずきちゃんも今日は体調不良で早退したでやんす」

聖「……そうか」

矢部「そうでやんす!調子が悪いならいっぺん加藤先生に看てもらうでやんす」


49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/23(土) 01:33:38.49 ID:k9z9a6IOO

―保健室―


加藤「あら、どうしたの?矢部くんに六道さん」

矢部「聖ちゃんが体調悪いらしいから連れてきたでやんす」

加藤「そう?じゃあちょっと看ましょうか?」

矢部「ついでにオイラも股関節を捻挫したので看て欲しいでやんす」

加藤「……あら?六道さん、左肩どうかしたの?」

聖「む……。そういえば今日パワプロ先輩の球を受け損ねて……」

加藤「そういうのはすぐに冷やさなきゃダメなのに……。ちょっと冷やしましょうか」

矢部「あの……オイラは……」

加藤「矢部くん、出てってちょうだい」

矢部「ひどいでやんす!」


51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/23(土) 01:43:32.88 ID:k9z9a6IOO

加藤「……とりあえず今やれることをやっといたけど。次からは怪我したらすぐにここに来るようにね」

聖「……すまなかった」

加藤「で、肩はこれでいいとして……ついでにカウンセリングもしましょうか?」

聖「……?」

加藤「何か悩み事があるような顔してるから……ね?」

聖「……そう、か?」

加藤「私でよければ話してご覧なさい」

聖「……実は、パワプロ先輩のことで……」

加藤「何?恋の悩み?」

聖「なっ……!!そ、そうじゃなくて……いや、確かにパワプロ先輩のことは嫌いじゃないが……でも……」

加藤「……?」

聖「最近の先輩は……好きじゃない……」

加藤「どういうこと?」

聖「最近……先輩がおかしいんだ……」


55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/23(土) 01:54:11.62 ID:k9z9a6IOO

加藤「おかしい?どういうこと?」

聖「……先輩は、すごい優しい人で……チームの誰よりもチームメイトの事を考えてる人だった。
野球は上手とは言い難かったが、先輩がマウンドに立つと自然にチームが活気づいた」

聖「……だが、最近の先輩はまるで変わってしまった。野球はすごく上手くなったが……1人で野球するようになった」

加藤「……ちょっと待って、パワプロくんがおかしくなり始めたのっていつ頃?」

聖「えぇと……確か先月の終わり頃だ」

加藤(……ああ、あれだわ)

聖「先生、心当たりがあるのか!?」

加藤「えぇと、心当たりというか……なんというか……」

聖「教えてくれ!先生!頼む!」

加藤「えぇ……別にいいわよ」


58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/23(土) 02:04:56.60 ID:k9z9a6IOO

―???―

聖「……先生、なんで私はこんな格好をさせられているんだ」

加藤「いろいろ秘密事項があるからね。京子のでごめんね?」

聖「大きさは問題ない。……だが、全身紫とはセンスがないぞ」

加藤「あ……あはは……」

ダイジョーブ「オー。コンナ時間にどうシマシタカ?」

加藤「博士」

聖「あなたが先輩をあんな風にしたのか!?元に戻せ!!今すぐにだ!!」

ダイジョーブ「ワーオ!?ゲドーくんご乱心デース!!」

加藤「ちょっと六道さん、落ち着いて」

聖「……すまない。取り乱した」


62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/23(土) 02:21:20.77 ID:k9z9a6IOO

ダイジョーブ「ゲドーくんの中身ハ別人でしたカー。シカシ一体何の用デスカ?」

加藤「実は先月の彼の改造について……」

聖「やっぱり改造したのか!?」

ダイジョーブ「正確ニハ違いマース。私ハその人ノ持つ力を100%発揮デキるようニしただけデース」

聖「どういう事だ?」

加藤「普通人間は自分自身の持ってる力を100%発揮できない生き物なの。無意識のうちに自分の能力をセーブしちゃうのよ。
博士はそのリミッターを外す方法をスポーツ医学の観点から導き出したの」

聖「……?」

加藤「あー……ようするに、博士は野球がもっと上手くなるように治療できるというのよ」

聖「治療……?」

ダイジョーブ「ソウデース。立派なスポーツ医学デース」

加藤「……非合法だけどね」


66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/23(土) 02:38:19.83 ID:k9z9a6IOO

聖「でも、先輩は……」

ダイジョーブ「キット急に技術が向上シタノデ、ソレニ慢心シテしまったのデショウ。
貧乏ナ人ニ大金を与エルと途端ニ気ガ大キクなるのと同じデース」

加藤「彼の能力向上は過去のデータにも類を見ないほどだったわ。仕方ないことよ」

聖「じゃあもう一度先輩を改造してもらって……」

加藤「彼の能力を戻すと?残念だけどそれは無理ね」

聖「……なんでだ?」

加藤「まず、彼が手術を受けたがらないだろうし、それに今彼から能力を奪ったら……彼は絶望するでしょうね」

加藤「例えるならば……そうね、貧乏人は貧乏な生活でも生きていけるけど、
金持ちの人間に貧乏な生活をさせたら耐えられないわ」

聖「じゃあどうすればいいんだ!!」

加藤「……残念だけど私達には何も出来ないわ。六道さん、あなたが……いえ、あなた達が彼に野球の楽しさを思い出させてあげるのよ」

聖「私が……?」


67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/23(土) 02:45:29.30 ID:k9z9a6IOO

聖「私には……無理だ」

加藤「何言ってるの?あなたは彼のためにわざわざここまで来たじゃない。それに、チームの中であなたが一番パワプロくんと近い場所にいるじゃない」

聖「でも、私は……」

加藤「『でも』は禁止。あなたはキャッチャーでしょ?一番パワプロくんの事を見てたのはあなたなの。矢部くんや、橘さんよりもずっと注意深く、ね」

聖「……」

加藤「自信を持ちなさい。パワプロくんの心を一番理解しているのはあなたなんだから」

聖「私は……」

加藤「昔の彼に戻って欲しいんでしょう?」

聖「……」

加藤「頑張って。私でよければいつでも相談に乗るから」

聖「……わかった」


69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/23(土) 02:53:15.59 ID:k9z9a6IOO

ダイジョーブ「サテ……話ガ一段落シタ所デ、どうデスカ?アナタも治療受ケてみまセンカー?」

聖「遠慮する」

ダイジョーブ「オー……残念デース」

加藤「ごめんなさいね、博士。……さ、六道さんもう帰りましょう」

聖「うむ……了解だ。……だが先生」

加藤「なに?」

聖「やはり帰りもその布を着なければならないのか?」

加藤「もちろんよ」

聖「……」


70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/23(土) 03:01:37.02 ID:k9z9a6IOO

―翌日―


聖(パワプロ先輩が元に戻ってくれるように頑張ろう)

矢部「あれ?今日はみずきちゃん休みでやんすか?」

ザコプロ「そうみたいだなー」

矢部「聖ちゃんは何か聞いてないでやんすか?」

聖「みずきか?いや、何も聞いてな……」


みずき『じゃあ、私はちょっと走り込み行ってくるからね』


聖「……」

矢部「どうしたんでやんす?」

聖「いや……なんでもない」

聖(みずき……まさかパワプロ先輩と何かあったのか?)


71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/23(土) 03:07:17.55 ID:k9z9a6IOO

パワプロ「六道、受けて」

聖「先輩……。下の名前で呼んでくれ」

パワプロ「またか……昨日言ったろ?俺は……」

聖「下の名前で呼んでくれないなら私は受けない」

パワプロ「……なんのつもり?」

聖「私は、昔の先輩に戻って欲しいんだ」

パワプロ「……ふん。いいよ、六道には頼まない。誰か別の奴に……」

聖「今の先輩の球をまともに受けれるのは私だけだぞ」

パワプロ「……チッ」ザッザッ

聖「待て、どこに行く」

パワプロ「……走り込み」

聖「なら、私もついていく」


72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/23(土) 03:11:18.58 ID:k9z9a6IOO

パワプロ「……」ザッザッザッ

聖「先輩」タッタッタッ

パワプロ「……」ザッザッザッ

聖「……昨日、みずきと何かあったのか?」タッタッタッ

パワプロ「……」ザッザッザッ

聖「みずき、今日休んでるぞ」タッタッタッ

パワプロ「……」ザッザッザッ

聖「なぁ、何があったんだ」タッタッタッ

パワプロ「チッ……鬱陶しいな」ザッザッザッ

聖「先輩が話してくれるまで私は聞き続けるぞ」タッタッタッ

パワプロ「……チッ」ザッザッザッ


73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/23(土) 03:18:26.65 ID:k9z9a6IOO

パワプロ「……フン!」ダッ!!

聖「……!」タッ!

パワプロ「……」ダダダダダッ!!

聖「待て!先輩!なぜ逃げる!!」タタタタッ!!

パワプロ「……」ダダダダダッ!!

聖「後ろめたい感情があるから逃げるのか!!」タタタタッ!!

パワプロ「……!」ダダダダダッ!!

聖「みずきに申し訳ないことをしたって思ってるんだろ!そうなんだろ!先輩!!」タタタタッ!!

パワプロ「誰が……!!」ダダダダダッ!!

聖「じゃあなんで逃げるんだ!!」タタタタッ!!

パワプロ「俺は逃げてなんかいない!!」ダダダダダッ!!

聖「だったら私と話をしろ!!」タタタタッ!!


76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/23(土) 03:27:17.78 ID:k9z9a6IOO

パワプロ「……はぁ……はぁ……」

聖「……はぁっ……はぁっ!よ、ようやく止まった……な……」

パワプロ「なんなんだよ!さっきから!」

聖「言ったろう……私は……昔の先輩に……戻って欲しいんだと……」

パワプロ「鬱陶しいんだよ!そういうの!!」

聖「先輩……。そんな悲しいこと言うな……」

パワプロ「五月蝿い!俺の邪魔をするな!!」

聖「先輩……みずきには後でちゃんと謝らないとダメだぞ。へそを曲げると厄介だからな、みずきは」

パワプロ「謝る?俺が?なんで?」

聖「だって……チームメイトだろう?」

パワプロ「知るかよそんなの!それに俺が完投すれば橘なんて必要ないだろ!」

聖「先輩、野球は1人じゃできない……ぞ」


パワプロ「……あぁもう!鬱陶しい!!どっか行けよ!!お前の顔なんて見たくない!!」

聖「っ……」


79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/23(土) 03:34:13.22 ID:k9z9a6IOO

パワプロ「……クソッ!!」

聖「……」


聖「あそこまで必死になるということは、やっぱり心のどこかに罪悪感があるってことだ……な」

聖「やっぱり今の先輩は優しい心はあるんだ……。きっといつか、昔みたいな優しい先輩に戻ってくれるはずだ……」

聖「……はは……おかしいな……十分良い兆候が見えたというのに……」




聖「どうして……私は……泣いてるんだ……」




聖「『お前の顔なんて見たくない』……か」

聖「正面切って言われると……さすがにこたえる……な」


80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/23(土) 03:40:36.94 ID:k9z9a6IOO

矢部「あ、パワプロくん。ロードワークからの帰りでやんすか?」

パワプロ「五月蝿い!」

矢部「やんす!?」

パワプロ「……」ザッザッ

矢部「パ、パワプロくん?一体どこに……」

パワプロ「気分が悪い!帰る!!」

矢部「わ、わかったでやんす!」


パワプロ(クソッ……なんなんだよ、あいつ……)

パワプロ(チームメイト?こんなの下手くその集まりだろうが!!)

パワプロ(俺がいるからこのチームは勝ってるんだ!なのになんだよ偉そうに……!)

パワプロ(俺は生まれ変わったんだ。昔の俺なんか、クソ食らえだ!)


81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/23(土) 03:47:22.52 ID:k9z9a6IOO

聖(……私も、そろそろ練習に戻らないと……な)

聖(……いや、こんな顔で戻ったら、みんなに心配かけてしまう……)

聖(……もう少し外を走っていよう)


聖「……」タッタッタッ

聖(先輩……)タッタッタッ

ドシン!!

聖「あ、すいません……だぞ。少し、考え事をしていた」

カレン「構いませんわ。ワタクシはあなたの涙に誘われてやってきたのですから」

聖「……え?」

聖(……デカい人……だな)

カレン「さぁ迷える仔羊よ、その涙のワケをこの姫野カレンに洗いざらいぶちまけちゃいなさい!!」


84: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/23(土) 03:57:53.47 ID:k9z9a6IOO

カレン「大体事情はわかりましたわ」

聖「……すまないな、見ず知らずのあなたにこんな話をして」

カレン「構いませんわ。そう、これがワタクシの宿命なのですから」

聖「……そう言ってもらえると助かる」

カレン「それで、失われた殿方の心を取り戻したい……との事ですわね」

聖「ああ……」

カレン「そうなったらもう猛アタックするしかありませんわ!!再びあなたの方を振り向いてくれるまで攻めて責めて攻めまくるんですわ!!」ムッハー!

聖「……私も、最初はそう思った。先輩は……押しに弱い人だったから」

聖「……でも、ダメだった……先輩は……『鬱陶しい』って……『お前の顔なんて見たくない』って……」

カレン「そう……でしたの」

聖「私……はっ、先輩に゙……嫌、われ、た……。絶対……、嫌われ、たぁ……!!」

カレン「今は泣きなさい……いつか女神があなたに微笑んでくれるまで。
それまでこのカレンの胸を貸して差し上げますわ」

聖「ふぐっ……うぇっ……うぇぇぇぇぇぇぇぇ……」


88: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/23(土) 04:10:51.10 ID:k9z9a6IOO

カレン「……落ち着きました?」

聖「……すまない。見苦しいところを見せた」

カレン「気にしないでくださいませ。乙女にも泣きたくなることはありますわ」

聖「……うむ、ありがとう……だ」

カレン「ふっ……また迷える仔羊を1人救ってしまいましたわ」


カレン「それと……あなたはそんなにかわいらしいのですから、きっとその殿方に嫌われてなどいませんわ」

聖「えっ……?」

カレン「きっとあなたが急に迫ってきて戸惑ってしまっただけ……。本心から出た言葉ではありませんわ」

聖「そう……か……?」

カレン「えぇ。このカレン、嘘は申しませんわ」

聖「そう……か……」

カレン「では、ワタクシはこれで。カレンはあなたのことをいつでも見守っていますわ……六道聖さん」

聖「……む?おい、いつ私の名を…………いない……」


90: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/23(土) 04:19:23.13 ID:k9z9a6IOO

聖「……ひとしきり泣いたらすっきりした。そろそろ練習に戻ろう」





矢部「あ、聖ちゃんお帰りでやんす。ずいぶん長いこと走ってたでやんすね」

聖「まぁ……な。……パワプロ先輩はどうした」

矢部「それがさっさと帰っちゃったでやんす。大分ピリピリしてたでやんすから、しばらくはそっとしておいた方がいいでやんす」

聖「む……、そう……か」


矢部「みずきちゃんもいないし、なんだか今日の練習はグダグダでやんす。早めに切り上げて終わった方がいいでやんすかね」

聖「……そうだな。実の入ってない練習に意味はない。このまま続けても時間の無駄だろう」


91: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/23(土) 04:25:06.78 ID:k9z9a6IOO

矢部「やっぱりそうでやんすよね。じゃあキリのいいとこで切り上げるでやんす」

聖「……矢部先輩」

矢部「なんでやんすか?」

聖「私は、先に上がらせてもらっていいだろうか」

矢部「別にいいでやんすけど……」

聖「恩に着る」

矢部「どこかに行くんでやんすか?」

聖「……みずきとちょっと話をしてくる」

矢部「そうでやんすか。じゃあ、行ってらっしゃいでやんす」

聖「ああ……ありがとう」






矢部「……あれ?今おいら初めて聖ちゃんにありがとうって言われたでやんす!フラグでやんす!」

矢部の弾道が上がった


94: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/23(土) 04:33:26.11 ID:k9z9a6IOO

―橘邸―

聖(いつ来ても広いな……ここは)

聖「みずき、私だ」

みずき「聖!?どうしたの突然。練習は?」

聖「みずきが来ないのと……パワプロ先輩が早退したから早めに切り上げるそうだ」

みずき「そ、そう……」

聖「……やはり少し元気がないな」

みずき「やっぱりそう見える?」

聖「うむ」

みずき「さすが聖ね。隠してるつもりだったんだけどねー」

聖「バレバレ……だぞ」

みずき「うっ……なかなかハッキリ言ってくれるわね。ま、とにかく上がってよ」


95: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/23(土) 04:42:22.05 ID:k9z9a6IOO

みずき「で?どうしたの?」

聖「……パワプロ先輩のことだ」

みずき「……まぁ、予想はついてたけど」

聖「みずきは……パワプロ先輩の事が好きか?」

みずき「ばっ、な、何よ突然!!誰があんな奴なんか……」

聖「私は好きだぞ。あの優しくて仲間思いの先輩が……な」

みずき「……聖?」

聖「今の先輩も、優しくないわけじゃないんだ。今日みずきが練習を休んだことも、どこか気にしてるみたいだった」

聖「きっと今は戸惑ってるだけなんだ。急に野球が上手くなった自分に……」

みずき「聖……」

聖「だから、私たちが先輩を助けてあげなきゃならないんだ。
きっと先輩も、落ち着いたら昔みたいに戻ってくれる」

みずき「……」


97: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/23(土) 04:52:23.07 ID:k9z9a6IOO

聖「今、パワプロ先輩はみんなを突き放そうとしてる。このままじゃ、パワプロ先輩は本当に1人になってしまう」

聖「もしパワプロ先輩が元に戻っても、1人ぼっちだったら……きっと今と同じようになってしまう」

聖「だから、私たちが先輩のそばにいてあげるべきなんだ」

みずき「……本っっっ当にあいつにゾッコンなのね」

聖「……何がだ?」

みずき「聖が、あいつにめちゃめちゃ惚れ込んでるってこと」

聖「なー!なんでそんな話になるんだ!!」

みずき「えー?だって聖自分で言ったじゃない。『私は好きだぞ。あの優しくて~』って」

聖「そ、それはそういう意味じゃ無くてだなっ!先輩としてというか……」

みずき「ぷっ……あはははははは!!相変わらずね、聖も」

聖「みずき……からかうのはやめてくれ」


100: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/23(土) 05:00:59.92 ID:k9z9a6IOO

みずき「ごめんごめん。今度スイーツ巡りに連れてってあげるから。……料金はパワプロくん持ちで」

聖「!」

みずき「どう?」

聖「みずき……。ああ、ありがとう」

みずき「別に聖にお礼言われるようなことしてないわよ。ただあのバカの目を覚まさせればいいんでしょ?」

聖「……ああ」

みずき「それに部屋で1人で落ち込んでるってのも私らしくないし」

みずき「あいつに言われっぱなしってのも癪だからね」

聖「……みずきらしいな」

みずき「そ!じゃあ明日からガツンと行くわよ!」


101: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/23(土) 05:06:02.33 ID:k9z9a6IOO

―翌日―


パワプロ(……気まずい)

パワプロ(いや、気まずいなんて思う必要はないんだ。この俺の邪魔をした六道が悪いんだ……)

パワプロ(明後日は公式戦だから……こんなこと忘れて集中しないと)


聖「パワプロ先輩」

パワプロ「っ!?」

聖「どうした?投げ込まないのか?」

パワプロ「あ……う……」

聖「明後日は公式戦だぞ。ちゃんと投げといた方がいい」

パワプロ「え……あ、ああ……」


パワプロ(……クソッ。なんで俺はこんなに同様してんだ……)


102: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/23(土) 05:11:21.59 ID:k9z9a6IOO

パワプロ「……ストレート」

聖「……うむ。こい」

バシン!

聖「先輩、肘が下がってるぞ。そのせいで球威がない」

パワプロ「あ……、ああ……」

パワプロ(こいつは……なんで……)

バシン!

聖「どうした先輩。全然球に勢いが無いぞ。もっとしっかり腕を振れ」

パワプロ「……俺に指図するな」

バシン!!

聖「む、さっきよりは球威が上がった。でも、まだまだだ」

パワプロ(昨日言ったこと……気にしてないのか!?なんでこんなに普通に話しかけてくるんだよ!!)


104: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/23(土) 05:17:50.39 ID:k9z9a6IOO

パワプロ「六道、お前は……」

聖「……なんだ?先輩」

パワプロ「っ!なんでもない!!」

パワプロ(さっきから俺は何を考えてるんだ!六道のことなんて気にしても仕方ないだろう!)

みずき「パワプロくん、隣借りるね~」

パワプロ「なっ……!」

みずき「……ふっ!!」

パシィン!

ザコプロ「ナイスボール~」

みずき「ん~!今日は調子いいな~。パワプロくんよりいい球投げれるし」

パワプロ「なんだと……?調子に乗るな!!」

バシィッ!!

聖「む……。ナイスボール、だ」


107: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/23(土) 05:23:57.96 ID:k9z9a6IOO

パワプロ「ふん!どう……っ!?」

パワプロ(俺は何を張り合おうとしてるんだ!橘なんて相手にしてもしょうがないだろ!!)

みずき「調子に乗ってんのは……どっちよ!!」

パシィン!!

ザコプロ「おお!いい球!!」

みずき「ふん!どうよ」

パワプロ「……アホらしい」

聖「待て、先輩。どこに行く」

パワプロ「お前らといると調子が悪くなるんだよ」

聖「だが試合は明後日だぞ。今日しっかり投げ込んでおかないと……」

パワプロ「投げ込みくらい壁にでもできる!!俺に指図するな!!」

聖「先輩……」

パワプロ「っ……!!」タッタッタッ……


108: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/23(土) 05:32:40.26 ID:k9z9a6IOO

みずき「何よあいつ、偉そうに。『俺に指図するな』だってさ」

聖「でも……みずきの挑発に乗るあたりは先輩らしい」

みずき「……そうね。すぐムキになるとこは、あいつなんだけどねぇ」





パワプロ(なんだよなんなんだよ!)

パワプロ(なんで六道はあんな顔するんだよ!)

パワプロ(俺なんかと一緒にいても辛いだけだろ!!)

パワプロ(なんで俺のことをいちいち気にかけるんだよ!!)

パワプロ(なんで俺を1人にしてくれないんだよ……!!)



聖『先輩、野球は1人じゃできない……ぞ』



パワプロ(なんなんだよ……)


110: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/23(土) 05:35:36.94 ID:k9z9a6IOO

矢部(……パワプロくん相変わらずピリピリムードでやんす)

矢部(本当は話しかけたくないでやんすけど……)

矢部「あの……パワプロくん、どこに行くんでやんすか?」

パワプロ「五月蝿い!!気分悪いから帰るんだよ!!話しかけんな糞メガネ!!」

矢部「ひぃぃでやんすぅぅぅ!!」

矢部の弾道が下がった




そして、その翌日もパワプロが姿を現すことはなかった


113: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/23(土) 05:46:40.19 ID:k9z9a6IOO

―公式戦―

大門監督「それではオーダーを発表する。一番センター矢部、二番ショート原、三番セカンドザコプロA、四番ピッチャーパワプロ、
五番レフト大京、六番ファーストザコプロB、七番キャッチャー六道、八番ライトザコプロC、九番サードザコプロD」

矢部「おいらが先頭でやんす!」

みずき「ちぇ。パワプロくんが先発か。いい?しょーもないピッチングしたら許さないからね!!」

パワプロ「うるせぇ!!」

矢部(あわわわわ!みずきちゃんダメでやんす!パワプロくんは機嫌が悪いからそっとしとくでやんすよ!)

みずき「ちょ……どこ触ってんのよエロ眼鏡!!」

矢部「へぶしっ!?」

矢部の調子が下がった



パワプロ(クソッ……橘の奴、舐めやがって。誰のおかげで試合に勝てるのか教えてやる!)


115: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/23(土) 05:53:51.75 ID:k9z9a6IOO

聖「先輩、平常心……だぞ」

パワプロ「言われなくてもわかってる!!いちいち話しかけるな!!」

矢部(なんでこのチームには空気読めない子が多いでやんすかね……)



パワプロ(……あれ。キャッチャーってあんなに遠かったっけ)

パワプロ(いや、キャッチャーだけじゃない。ファーストも……セカンドもサードも遠い)

パワプロ(球場ってこんなに広かったっけ)


審判「プレイボール!!」


パワプロ(遠い……。キャッチャーミットが豆粒みたいだ……)


119: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/23(土) 06:03:06.97 ID:k9z9a6IOO

審判「ボール!フォア!!」

パワプロ(クソッ……こんなんでストライクが入るわけがないだろ……)


聖「先輩、楽に行こう。体が強ばってるぞ」

パワプロ「話しかけるなって言ったろ!俺は緊張なんてしていない!!」

聖「……ふっ」

パワプロ「……何がおかしい!」

聖「先輩が初先発した時のことを思い出してな。誰がどう見てもガチガチだったのに、『ダイジョーブ、緊張シテナイヨー』とか言ってたな」

パワプロ「そんなくだらないこと考えてる暇があったら、次の投球の組み立てを考えろ!!」

聖「ああ……そうだな」


パワプロ(最低だ……。六道に当たって事態が変わるわけでもないのに……)


聖「先輩」

パワプロ「何だよ!早く戻れよ!!」

聖「私は、ここにいるぞ」

パワプロ「はぁ……!?」


120: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/23(土) 06:08:18.43 ID:k9z9a6IOO

聖「私は……ここにいる」

パワプロ「意味……わかんねぇよ」

パワプロ(でも……)

パワプロ(さっきよりミットが大きく見える……)


パワプロ(緊張……してるのか?俺……)

パワプロ(なんでだよ……もう何度も先発のマウンド経験しただろ……)

パワプロ(有り得ない……)

パワプロ(ちょっと前は普通に投げれたのに……)

パワプロ(昔と何が違うんだよ……)

パワプロ(そういや……)

パワプロ(声、聞こえないな……)


121: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/23(土) 06:12:31.45 ID:k9z9a6IOO

パワプロ(ああ、そうか)

パワプロ(俺、今1人でマウンドに立ってるんだ)

パワプロ(ははっ。どうりで緊張するわけだ)


審判「ボール!フォア!」


パワプロ(遠いなぁ、みんな)

パワプロ(俺が遠ざけたんだっけ)

パワプロ(……馬鹿だなぁ、俺)


審判「ボール!フォア!」


パワプロ(ははっ。ストライク入んないや)

パワプロ(辛いなぁ、1人で野球すんのって)

パワプロ(本当、何やってんだろ)


122: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/23(土) 06:15:17.42 ID:k9z9a6IOO

審判「ボールスリー!!」


パワプロ(ははは……。情けないや、俺)

パワプロ(……早く……交代しないかな)







                            聖「先輩っ!!」







パワプロ「……!」


125: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/23(土) 06:20:54.45 ID:k9z9a6IOO

聖「私はっ!!ちゃんとここにいるぞ!!」


パワプロ「……!!」


聖「私はここにいる!ちゃんと私を見てくれ!!」


パワプロ「聖ちゃん……」


みずき「ちょっと!しっかりしなさいよ!!しょーもないピッチングしたら許さないって言ったでしょうが!」


パワプロ「みずきちゃん……」


矢部「この前までの威勢はどうしたでやんすか!シャキッとするでやんす!」

「せや!もっときばりぃ!パワプロ!」

「頑張れってパワプロ~。お前ってその程度の男じゃないだろ~?」


パワプロ「矢部くん……みんな……」


128: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/23(土) 06:26:52.77 ID:k9z9a6IOO

パワプロ「……なんだ。ここの球場、こんなに狭かったんだ」

パワプロ(みんな遠くにいると思ってた……)

パワプロ(でも、そんなことなかった)

パワプロ(みんな、ちゃんとここにいたんだ)

パワプロ(ここにいてくれたんだ)


聖「……」

パワプロ(今ならミットもはっきり見える)

パワプロ(……やっぱり野球は9人で……いや、チームのみんなでやるスポーツなんだ)

パワプロ(思い出させてくれてありがとう、聖ちゃん)


パワプロ「……」ザ…

パワプロ「……フンッ!!」ビシュッ!!


ズドン!!


審判「ストライーク!!」


130: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/23(土) 06:33:34.35 ID:k9z9a6IOO

審判「ストライク!!アウト!!」

審判「ゲームセット!!」


パワプロ「よ……っしゃああ!!」

聖「やったな。パワプロ先輩」

パワプロ「ああ!ありがとう、聖ちゃん」

聖「……私は何もやってない……ぞ」

パワプロ「いや、聖ちゃんがそこにいてくれたから最後まで投げることができたんだ……ありがとう」

聖「む……照れるぞ……」


みずき「ちょっと、聖にばっか構ってないで、私達に言うことはないの?」

パワプロ「えと……あの……その……」

パワプロ「みんな、ごめん!俺のせいでいろいろ迷惑をかけて……」

みずき「はぁ?違うでしょ?」

パワプロ「……へ?」


131: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/23(土) 06:40:38.36 ID:k9z9a6IOO

みずき「何?聖には『ここにいてくれてありがとう』とか言っといて私達には何も無し?」

矢部「水くさいでやんすよ!パワプロくん!」

パワプロ「みんな……」



パワプロ「みんな、ありがとう。俺と一緒に野球やってくれて……」


みずき「……ぷ」

みずき「ぷく……くっ……あははははははは!無理無理!あはっあはははははは!」

パワプロ「えっ……ちょっと、なんで笑うの!?」

みずき「あはは……だってついこないだまで『俺に指図するな!』とか言ってたくせにさらっとそんなクサい台詞言うから……あははははははは!」

パワプロ「笑いすぎでしょ!」


132: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/23(土) 06:47:16.93 ID:k9z9a6IOO

聖「……」グスッ

パワプロ「こっちは泣いてるし!どうしたの聖ちゃん!?」

聖「いや……嬉しいんだ……前みたいに優しい先輩に戻ってくれて……」

パワプロ「聖ちゃん……」

みずき「ひじ……っくく……あははははははは!」

パワプロ「みずきちゃんいつまで笑ってんの!!」

みずき「ダメダメ!ツボに入った!あははははははは!!」

パワプロ「うーん。なんか良さげな空気だったのに台無しだ」

聖「ふふっ」

パワプロ「あれ?」

聖「どうした?」

パワプロ「今、聖ちゃん笑ったよね」

聖「……そうか?」

パワプロ「うん、絶対笑った」

聖「……そう、だな」


134: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/23(土) 06:50:18.13 ID:k9z9a6IOO

聖「なぁ、先輩」

パワプロ「ん?」

聖「これからも、ずっと一緒だぞ」

パワプロ「うん。当たり前だろ?」

聖「……約束だぞ」

パワプロ「もちろん、約束するよ」

聖「……ありがとう、先輩」

パワプロ「……こちらこそ」


137: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/23(土) 07:00:12.89 ID:k9z9a6IOO

―数日後―


みずき「じゃあ次はあの店行きましょう!」

聖「……」コクコク

パワプロ「あの……みずきさん?」

みずき「なに?」

パワプロ「そろそろお腹いっぱいになる頃じゃ……」

みずき「全然?」

パワプロ「聖ちゃんは……」

聖「まだ大丈夫だ。問題ない」

パワプロ「……お金、足りるかなぁ。この2人のスイーツ巡りはまだまだ終わりそうにないからなぁ……」


みずき「ほら、パワプロくん。早く早く!」

聖「先輩、早くしないと置いてくぞ」



~HAPPY END~


144: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/23(土) 07:03:41.68 ID:X5JIizcw0


みんなかわいくてみんないい



元スレ:六道聖「だから……私がパワプロ先輩を止める!」パワプロ「へぇ」

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