1: ◆9NgV143E7U 2014/03/03(月) 22:44:35.46 ID:2MQWxtwSO

インターハイが終了してしばらく経った夏休み

白糸台

照「インハイ終わったから部室の空気も落ち着いたね。」

菫「そうだな。

団体優勝は清澄にもっていかれたが、照が個人戦優勝したおかげで、士気の高いまま来年を迎えられるだろうよ。

今は熱しすぎず冷めすぎずでいいさ。」

照「うん。」

菫「私達は私達で、進路とか決めなきゃな。」

照「そうだね。

でも、私、その前にしなきゃいけないことがある…」

菫「?」


5: ◆9NgV143E7U 2014/03/03(月) 22:55:25.98 ID:2MQWxtwSO

照「一度、長野に帰る。」

菫「へぇ、今まで長期休暇でも帰省はしなかったのに。

やっぱりインハイ後に清澄の妹さんと話せたおかげか?」

照「…ん。咲とはお話できるようになったけど、きっかけを掴んでるうちに、家族に会いに行ったほうがいいかなって…」

菫「いいことじゃないか。立派だよ、『お姉ちゃん』。」

照「もう!」


6: ◆9NgV143E7U 2014/03/03(月) 23:02:49.42 ID:2MQWxtwSO

長野駅

照「ふぅ…久しぶりだな、この景色」

オネエチャーン

照「?」

咲「お姉ちゃん、お帰りなさい!」

照「咲…わざわざ迎えに来てくれたの?」

咲「うん、電車の時間は聞いてたから。お父さんに車を出してもらって…」

界「おかえり、照。」

照「お父さん……ただいま!」

界「疲れただろ?荷物持つよ。さあ、車に乗って。」

照「ありがとう」


8: ◆9NgV143E7U 2014/03/03(月) 23:37:24.80 ID:2MQWxtwSO

宮永家

咲「とうちゃーく!」

界「さて、照も帰って来たことだし、お茶でも入れて、一休み…ん?」

照「……」ピタッ

咲「立ち止まってどうしたの?お姉ちゃん?」

照「ん…本当に帰ってきたんだな…って。

改めて…ただいま、咲、お父さん。」

界「ああ、おかえり!」
咲「おかえりなさい、お姉ちゃん!」


9: ◆9NgV143E7U 2014/03/03(月) 23:43:40.52 ID:2MQWxtwSO

界「咲、悪いけど、紅茶とお菓子、用意してきてくれ」

咲「うん」トテテ

界「照はまず一休みしてて」

照「ありがとう、お父さん」

界「それにしても、また照にお父さんって呼んでもらえるなんてな」

照「何いってるの。お父さんは…お父さんだよ」


10: ◆9NgV143E7U 2014/03/03(月) 23:53:04.81 ID:2MQWxtwSO

界「すまんな…俺がしっかりしてれば、母さんだって出ていかなかっただろうに。

照と咲が喧嘩したとき、俺も仕事で忙しいって言い訳して、全部母さんに押し付けちまった。

愛想尽かされても仕方ない父親だよ。

母さんだけじゃない、お前や咲にも寂しい思いさせて、すまなかった」

照「そんなことない。
私が咲と仲違いしちゃったのは、私達の問題だし、お母さんだって、東京で暮らしてても、咲やお父さんのこと気にしてたんだよ…」


11: ◆9NgV143E7U 2014/03/03(月) 23:58:10.32 ID:2MQWxtwSO

照「本当は、お母さんも一緒に連れてこようと思ったんだよ。

でも、お母さん、まだ帰る決心がつかないみたいで…」

界「ありがとな…照」



咲「はーい、お茶とお菓子が用意できたよ!」

照「お菓子!!」


12: ◆9NgV143E7U 2014/03/04(火) 00:05:31.68 ID:aJKWby1SO

界「そうだ、言い忘れるところだった。

照と咲に渡すものがあるんだった。」

照 咲「?」

界「はい、二人の子供の頃のお年玉…な。

通帳の口座に貯めてあるから、お前達の将来のために使ってほしい。」

咲「えっ!?」

界「といっても、二人から勝った分だからな、そんなに多くはないが。」


13: ◆9NgV143E7U 2014/03/04(火) 00:11:27.68 ID:aJKWby1SO

照「ただ、まきあげてただけじゃなかったの?」

界「当たり前だ。どんな鬼親だよ!!

ったく、せっかく母さんと相談して、合法的(?)に貯金させようとしたのに、お前らときたら、どんどん強くなるんだから…」

咲「そんな遠回りなことしなくても…」


14: ◆9NgV143E7U 2014/03/04(火) 00:21:30.52 ID:aJKWby1SO

界「まぁおかげでインターハイ優勝レベルの力がついたんだから。」

照「もー」

界「そういえば白糸台での話とか聞かせてくれないか?」

咲「あ、そーだね。強豪校の部活ってどんなだったの?」

照「えーっと、まず団体戦出場用のチームが学内にいくつかあって、その対抗に勝ち抜いたチームが……

説明中

照「って感じかな?あとは営業スマイルの練習、かな」


15: ◆9NgV143E7U 2014/03/04(火) 00:29:34.44 ID:aJKWby1SO

咲「あははっ、そんな練習もあるの?」

照「うん、私はインタビュー受けることが多いから、練習させられた。」

界「はははっ、もしかして雑誌の写真とかも練習したのか?」

咲「お父さん、お姉ちゃんの特集が載ってる雑誌、全部チェックしてるもんね。」キャッキャッ

照「もー、恥ずかしいよ。」ニコニコ


16: ◆9NgV143E7U 2014/03/04(火) 00:34:17.06 ID:aJKWby1SO

界「そうだ、照も帰ってきたことだし、明日はみんなで買い物にでもいくか。」

咲「ほんと!?」

界「照もこっちは久しぶりだから、見ときたいところとかあるんじゃないか?」

照「…う、うん」

咲「どうしたの?お姉ちゃん?」


18: ◆9NgV143E7U 2014/03/04(火) 00:52:27.08 ID:aJKWby1SO

照「ほんとはね…東京に行って、白糸台に入学した後は、もうこの家に帰らないつもりだった…

麻雀のプロになって、お母さんと二人で暮らして、長野には帰らないって思ってたの…」

咲「…ッ!?」

界「…」

照「でも、咲が全国大会まで追いかけて来てくれて、またお話できて…

それで意を決して、今日帰って来て、お父さんともお話してたら…

やっぱり…やっぱりここは私の家なんだな、って…」グスン

咲「あ、当たり前だよぉ」グスッ

界「そうだな…俺も、母さんに戻ってきてもらえるように…

っと、そういえば照、母さんに無事に着いたって連絡いれといたほうがよくないか。」

照「そうだった、電話電話」


19: ◆9NgV143E7U 2014/03/04(火) 01:08:35.32 ID:aJKWby1SO

夕方

照「咲、ご飯つくるの手伝うよ。」

咲「ありがとう。お姉ちゃん。」

照「何を作るの?」

咲「マーボー豆腐だよ」

照「おぉ、美味しそう。
任せて!私はエプロンをつければ、侍女式自動人形のごとく家事をこなしてみせる一一以上。」

咲「あ、お姉ちゃんも東京で料理とかしてたの?」

照「ううん。白糸台は寮だから食堂がある。」

咲(あ、これはまずいな)
「じゃあお姉ちゃん、食器出して並べてね」

照「うん」


22: ◆9NgV143E7U 2014/03/04(火) 01:17:17.62 ID:aJKWby1SO

翌日

界「よーし買い物終わり!」

咲「いっぱい買ったね」

照「おみやげも問題無し」

界「よーし。ドライブも買い物も済んだし、帰りますか。

っても、東京ほど店はなかったから、照には物足りなかったかな?」

照「そんなことない。懐かしい場所にも行けたし、みんなで出かけられるのがうれしいよ。」


23: ◆9NgV143E7U 2014/03/04(火) 01:27:44.09 ID:aJKWby1SO

照「ところでお父さん、さっき何買ってたの?」

界「あぁ、母さんの好きなお菓子だよ。
お土産に渡してくれな。」

照「うん!」

咲「ふふっ、お父さん優しーい。」

照「そうだ、咲。
今日も晩御飯つくるの手伝うね。結局昨日はお皿出して並べるのと、盛り付けしかしてないし。」

咲「そ、それで十分だよ。お姉ちゃん。」


24: ◆9NgV143E7U 2014/03/04(火) 01:34:00.65 ID:aJKWby1SO

その夜

電話口にて

照「うん…明日には帰る予定。
白糸台の寮に戻る前に、お母さんのところに行くから。」

宮永母「そう…お父さんや咲とは仲良くできた?」

照「うん、とっても楽しかったよ。あ、咲にかわるね。」

宮永母「えぇ、お願い。」


25: ◆9NgV143E7U 2014/03/04(火) 01:41:56.17 ID:aJKWby1SO

咲「あ、もしもし…お、お母さん?」

宮永母「あぁ…咲…久しぶりね」

咲「うん…あの…」

宮永母「インターハイ、見てたわよ。頑張ったね、すごいわ、咲。」

咲「…っ、ありがとう!ありがとう、お母さん!」

宮永母「寂しい思いさせちゃってごめんね。」


26: ◆9NgV143E7U 2014/03/04(火) 01:49:21.67 ID:aJKWby1SO

宮永母「照とは仲良くできた?」

咲「うん、いっぱいお話できたよ。お父さんともね、一緒に買い物に行って、お姉ちゃん、すごく楽しそうだった。」

宮永母「そう、よかった…あなた達姉妹が仲直りできて…」

咲「お母さんも…」

宮永母「?」

咲「お母さんも、こっちに顔出してくれると嬉しいな。

そうだ、お父さんと話す?」

宮永母「あ…いえ…
ううん、そうね、ちょっと代わってもらえる?」


27: ◆9NgV143E7U 2014/03/04(火) 01:56:49.14 ID:aJKWby1SO

界「あー、その…久しぶり、だな」

宮永母「ええ」

界「その…こんなこと言う資格ないかもしれんが、元気でやってるか?」

宮永母「何とかね。ねぇ、照のこと、ありがとうね」

界「何言ってるんだ。照は帰省しただけで、俺は照と咲を連れて買い物にいっただけさ。

今まで何もしてやれなかったんだ、まだまだ足りねえくらいだろ。照にも…君にも。」


28: ◆9NgV143E7U 2014/03/04(火) 02:06:24.13 ID:aJKWby1SO

宮永母「ん…そんなことないでしょう…白糸台の学費とか出してくれたじゃない」

界「それこそ、娘のためなんだ、当たり前だろ!」

宮永母「…あ、ありがと…

ねぇ、咲がね、『お母さんも長野に顔を出してほしい』って言うのよ。」

界「………俺もだ」

宮永母「……もう少し落ち着いたら、ね。待っててくれる。」

界「ああ、俺からも会いに行くよ。咲きを連れて、な。

君にちゃんと謝りたいしな。これからのこと、話し合いたい。」


29: ◆9NgV143E7U 2014/03/04(火) 02:14:59.61 ID:aJKWby1SO

宮永母「ええ、待ってるわよ」

界「あ、そうだ。
君の好きな杏(あんず)のお菓子な…

あれ、照に土産としてもたせるから、後で食べてくれ」

宮永母「あ、覚えててくれたんだ…」

界「当たり前だ!」


というその時…

オネエチャン、ソレオカアサンヘノオミヤゲダヨ!

エッ!?モグモグ


界「……」

宮永母「……」

界「まあ、今度俺自身がもって行くよ。」

宮永母「クスッ、そうね。」ニコ


カン


30: ◆9NgV143E7U 2014/03/04(火) 02:19:49.21 ID:aJKWby1SO

界さんがいつも鬼畜扱いされるので、中の人(まさやん)のファンの俺は、救いをあげたかった。

でも救いすぎて、このままだと3人目の子供が出来ちゃいそうな…

ともかく宮永家に幸あれ。



元スレ:照「長野に帰省した」

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