1: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/06/04(水) 20:10:44.58 ID:1PB97OuJ0.net

「暑いにゃー…」

かざした手の隙間から、大きな太陽が凛の顔を照らしたよ

きらきら輝いていて、眩しくて……凛はふと、穂乃果ちゃんのことを思い出したんだ

あの眩しかった青春時代

凛がかよちんと笑い合えてた、あの頃

「やっと着いたにゃー……」

凛はもうくたくただよ

見えた看板は、西木野総合病院


4: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/06/04(水) 20:12:10.79 ID:1PB97OuJ0.net

凛はなるべく下を向いたまま、受付を通りすぎた

看護師の視線って、ちょっぴり苦手なんだ

「凛ちゃん」

たくさん長椅子が並ぶ待合室で、凛は声を掛けられたの

「おばさん……」

凛がそう言うと、おばさんはにこりと笑った

その顔はどこか疲れてるみたいで、辛そうだったにゃ

「花陽、凛ちゃん今日も来てくれたよ?挨拶できる?」

「アー」

今日も、かよちんは凛を見てくれなかった


10: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/06/04(水) 20:13:59.75 ID:1PB97OuJ0.net

「それじゃあ行ってくるわね、凛ちゃん」

「うん…」

ほら、とおばさんがかよちんの手を引いて立ち上がる

診察の時間は、凛はやること無いんだよね

また今日も、ぶらぶらと歩き回るかにゃ?

「凛?」

「真姫ちゃん…わ、わあ」

真姫ちゃん発見、思わずびっくりしちゃうほど、キレイな服を着ていたの


12: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/06/04(水) 20:15:55.91 ID:1PB97OuJ0.net

上は白のノースリーブブラウスで、肩紐だけ見えてる黒いタンクトップがセクシーだにゃ

下は七部丈の黒パンツと黒のブーツ

モノクロ調は真姫ちゃんにぴったりで、すっごく大人っぽい

「どうしたの真姫ちゃん、そんなキレイな服着て」

「え?あぁ、これ……今から大学のサークルでコンパがあるのよ」

「え、えぇ!?コンパ!?」

今日二度目のびっくり!あの真姫ちゃんがコンパ!?

「なによ、そんなにおかしい?」

「おかしくは、ないけど……」

似合わないにゃー…


13: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/06/04(水) 20:18:21.70 ID:1PB97OuJ0.net

「私たちももう大学生でしょ?正直気は向かないけど、そういう付き合いって、大事だと思うわ」

「そっか……」

凛は大学が終わったらすぐにかよちんの家に行かなきゃいけないし、休日もこうやって病院にくるだけなんだけど……

それが普通なんだよね……

「凛は暑そうな服着てるわよね、もう夏なのに……あっ」

真姫ちゃんはあからさまに「しまった!」っていう顔をした

「えへへ、そうだよね」

凛はぎゅっと長袖を握って、笑った


17: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/06/04(水) 20:20:35.73 ID:1PB97OuJ0.net

「じゃあ、花陽をよろしくね凛ちゃん」

「うん」

真姫ちゃんと別れたあと、定期診察が終わったかよちんのところに行った

あの事故のあと、おばさんは休みも関係なく働いてるの

これからたくさんお金が掛かるって、そう言ってたにゃ

「かよちん、帰ろ?」

「アー、アウー」

「手、繋ぐにゃー」


20: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/06/04(水) 20:22:26.95 ID:1PB97OuJ0.net

ぎゅっと、かよちんの手を握ると、ぎゅうううって握り返される

「いっ」

凛は唇を噛み締めて、それに耐えたんだ

だって、そんなことで手を離すなんて、凛には出来ないんだもん

少し力の加減が難しくなっただけで、かよちんはかよちん!

何も変わってないにゃ!

「アー」


24: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/06/04(水) 20:25:59.83 ID:1PB97OuJ0.net

「アアアア!!!アアアアア!!!!!」

突然、かよちんが叫んだの

「アアア!!!!ヴァアアア!!!!」

「だ、だめ!かよちん!落ち着いて!お願い!」

凛は必死にかよちんに抱き付いた

「ァァァアアァ!!!!!!!!」

「いたっ!かよちん!落ち着いて!大丈夫だから!大丈夫だから!」

体を引っかかれて血が出ても、髪の毛を思いっきり引っ張られても、背中を力いっぱいつねられても、凛は無我夢中でかよちんに抱き付いた


25: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/06/04(水) 20:29:09.46 ID:1PB97OuJ0.net

「アアア!!!!ドコォー!!!!ドコォー!!!!」

かよちんは力尽きたようにその場に座り込んで、大声で泣いた

「ドコォー!!!!ミンナドコォー!!!!ドコォー!!!!」

かよちんは泣くときだけ、凛が理解できる言葉で話すの

「ミンナドコォー!!!!」

大声で、かよちんは叫ぶんだ

だから、だからね……

「かよぢん!凛はごこにいるよ!凛はっ…凛はここにいるにゃあ!」

凛もそのたび、泣いちゃうんだ……

街中でかよちんと二人、地べたに座って、泣いちゃうの……


30: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/06/04(水) 20:34:36.82 ID:1PB97OuJ0.net

「…………」

「アー♪アー♪」

時計の針が三時を示す頃、かよちんはけろっとした顔で、また歩きだした

おやつをくれる時間を覚えてるのかなぁ……この時間はいつも上機嫌なんだよね

「はやく帰ろうね、かよちん」

かよちんの手を握りながら、もう片方の手で髪を整える

あーあ、こんなボロボロの姿、大学の人たちに見られたら、またイジメられちゃうな……

腕のかさぶたがいくつか剥がれていて、血が滲む


35: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/06/04(水) 20:37:24.47 ID:1PB97OuJ0.net

「アー♪ウー♪」

「……」

「それでね、この前美味しいパン屋さんがあって…」

「まったくもう、また食べ物の話ですか」

「ふふ、穂乃果ちゃんらしい♪」

「あ」

「あっ」

角を曲がったところで、凛とかよちんは出会っちゃった

穂乃果ちゃん、ことりちゃん、海未ちゃんが固まった


37: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/06/04(水) 20:40:32.16 ID:1PB97OuJ0.net

「アー」

「……あ、あの」

「こ、こんにちは」

凛が何か言おうとする前に、海未ちゃんがぺこりと礼をした

余所余所しい、そう思ったにゃ

「…………」

穂乃果ちゃんとことりちゃんは黙ったまま

気まずそうに俯いていた

「今日はいい天気だね」

「え、ええ……」

そりゃそうだよね……あの日から、凛と二人は喋ってこなかったもん


44: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/06/04(水) 20:46:19.00 ID:1PB97OuJ0.net

「何でかよちんだったのかな」

「え?」

「何で穂乃果ちゃんとことりちゃんが無事で、かよちんだけ轢かれちゃったのかな」

自分でもびっくりするくらい、嫌な言葉

「何でみんな、かよちんのこと忘れて楽しそうにしてるの?」

「そ、そんなことは…っ!」

「凛、間違ったこと言ってるかな」

嫌な、言い方……

「あはは…」

凛、最低だよ……

「アー?」


48: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/06/04(水) 20:52:44.64 ID:1PB97OuJ0.net

「本当に……ごめん、なさい…」

「ごめんなさい……」

穂乃果ちゃんとことりちゃんが頭を下げる

凛に下げてどうするの……?

かよちんには聞こえてないよ

「いこ、かよちん」

「アー?」

かよちんの手を引いて、引き返す

せっかくもう少しでかよちんのおうちだったのに……はぁ…

「アー♪」

後ろを振り返るかよちん

三人は、まだ同じ場所で立ってた


49: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/06/04(水) 20:56:10.15 ID:1PB97OuJ0.net

「……もう」

イライしてることに気付いたのは、空がもう赤くなり始めた頃だった

「アー♪」

何が嫌なんだろう……

「アーアー」

何が駄目だったんだろう……

「かよちん……」

「アー?」

どこで、間違ったんだろう……

みんなのこと、大好きだったのにな

「かよちん…」


55: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/06/04(水) 21:03:42.97 ID:1PB97OuJ0.net

ニャーン♪

ポケットの携帯が鳴った

「……ぐすっ、誰だろ」

二つ折りの携帯を取り出し、画面を開く

「アーアー♪」

「真姫ちゃん……」

メールの差出人は真姫ちゃんだったにゃ


『今度の休み、三人で服でも買いにいかない?』


「……っ!」

ああ、ああ、もう…ズルいよ、真姫ちゃん

せっかく涙が収まってきたのに

「うえーん……真姫ちゃあん……うえーん!」

また、泣いちゃったの


59: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/06/04(水) 21:07:20.90 ID:1PB97OuJ0.net

「アー?」

「いたっ」

かよちんが凛の顔を叩いた

「アーアー!アー!」

何度も、何度も、叩くんだ

「かよちん…ありがとぉ…うえーん」

「アー」

凛の涙を拭こうとしてくれたんだよね……

かよちんは何にも変わってない、優しいかよちんだもん

夕暮れに滲むかよちんの顔は、誰よりもかわいいんだ


64: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/06/04(水) 21:13:19.99 ID:1PB97OuJ0.net

「着いたよ、かよちん」

「アー♪」

空が少しずつ暗くなってきた頃、凛とかよちんはおうちに着いたんだ

今日はまだお菓子食べてないのに、かよちんは何だかとっても上機嫌

もしかして、久し振りに皆に会えて嬉しかったの?

「みんなのこと、怒ってないの?」

「アー」

かよちんは凛を見てない

「おうち入らないの?」

「ウーず♪ウーず♪」

空でうんと輝く一番星を、いつまでも、いつまでも見ていたの


   お   わ   り



元スレ:花陽「あうあうあー^q^」凛「かよちん……」

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