1: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/30(日) 13:35:52.30 ID:srjy7aNRo

ゆっくりと意識が覚醒する。
それは生ぬるい水に溶けたミョウバンが徐々に集まり、
結晶となっていくような、そんな緩やかな覚醒だった。
気持ちを焦らせないように、静かに記憶をたどっていく。

昨日は……いや、今日か?
……まぁ、いい。
眠ってしまう前は確か、近ごろ増えだした事務仕事をいつものように
せっせせっせと片付けていて、それで――

「それから、何だったかな」

口に出してみても思い出せない。
そのものと周辺の記憶がぽっかり抜けてしまっていた。

最近、残業続きだったからな。一つ溜息をついて、寝返りをうつ。



2: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/30(日) 13:37:43.57 ID:srjy7aNRo

寝起きだからか、まだ瞼は持ちあがらず、身体も思うように動かない。
肌触りを頼りに今いる場所を確認できた。

幸い、自分が寝ていたのは柔かく、良い匂いのするベッドの上のようだった。
事務所の床に寝ていたら、『プロデューサーが倒れた!』なんて、
大騒ぎになったかもしれない。一先ずほっとした。

しかし、自分はどれくらいの時間、寝たんだろう。
緩い眠気と、久々に感じる快眠の清々しさから、考える能力が麻痺していた。

暫くして、得意の心配性気質が顔をのぞかせる。仕事は、事務は、食事は……。
次から次へと湧き出てくる不穏な思念に、久しぶりに休まった身体が
また次第に元通りに重くなっていくのを感じた。

ともかく、早く事務所に行こう。



3: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/30(日) 13:39:16.46 ID:srjy7aNRo

目を開け、起き上がろうとした。しかし目は開かない、起き上がれない。おかしい。

瞼に触れようと右手を持ち上げると、引っ張られるように左手がついてきた。
いよいよ、パニックになる。

自分が今、どんな状況に置かれているのか――

自棄になって、しかしまだ遠慮気味に手を振り回すと、
ジャラジャラと金属音がした。恐らく、鎖だろうか。

そして、目が実は開いていることに気付く。
じゃあ、何故一向に視界は開けない。

拘束された両手で不器用に顔面を撫でると、目を覆う柔らかな布を確認できた。

身体中から噴きだす冷えた汗のおかげで、肌着が身体に貼りつき、気持ち悪かった。
過呼吸気味になりながら身体をくねらせ、ずらし、そしてベッドから落ちる。



4: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/30(日) 13:40:54.99 ID:srjy7aNRo

あまり高さのないベッドだったらしく、衝撃はそれほどではなかった。
代わりに別の、精神的な衝撃が自分を貫いた。

首に何か、抵抗感がある。

恐る恐る触れると、自分の首に革製の何かが巻き付いている。
その何かには少し太めの紐が繋いであった。

緩く張ったその紐は、今しがた落ちたベッドのどこかに繋いであるらしかった。
試しに、手で引っ張る。ギシギシとベッドが音を立てた。

自分の周りにある、見えない何もかもに混乱し、呼吸がますます荒くなる。
当て布の下で涙が滲んだ。

「誰か!誰かいないか!」

声を限りに叫んだ。誰か、誰か……。
叫びが泣き叫びに変わって、徐々に疲れ、最後にはすすり泣きに変わった。
背中を丸めて嗚咽を漏らす。



5: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/30(日) 13:42:36.97 ID:srjy7aNRo

暫くしてから物音がした。ドアの開く音。

助かった――

そう思ったのも束の間で、ゆっくり、そして真っ直ぐ自分に向かってくる足音に、
また心臓と肺が騒ぎ始める。

傍に近づいて近付いて、身をかがめる気配、衣擦れの音。
身体が情けなく震えた。自分の荒く、拙い呼吸とは対照的に、
その何者かの呼吸は落ち着いて、堅調だった。

何者かは耳元で囁いた。その声は、よく知っている声だった。

「プロデューサー、起きたんですね。どうです?よく眠れました」

「り、り、律子……」

律子の声と分かって、一気に身体と精神が弛緩した。

「はいはい。りっちゃんですよ。情けない声上げないでください」



6: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/30(日) 13:43:31.25 ID:srjy7aNRo

安心から、溜息が出る。長く、深く。
「よかったぁ~」
我ながら間の抜けた台詞だ。しかしすぐにまた、疑問は湧き出る。それも大量に。

ここはどこで、自分はどうして拘束されていて、昨日は自分は何をしていて――
何故、律子が居るのか。

まず、何から訊くべきだろう。
こういう、複数の選択肢があるとき、自分は遠回りをするのが常だった。
始めは本題を避けて、当たり障りのない話題を提起する。

この不可解かつ場合によっては危機的な状況でも、その悪い癖が出た。

「今、何時?」

自分を端から見ていたら、多分、最高に笑えただろう。



7: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/30(日) 13:45:28.31 ID:srjy7aNRo


「九時半です」

くすっと可愛らしい笑い声を上げ、そして、優しく目隠しを外してくれた。
目の前に居るのは間違いなく律子だった。

暫く、ぼんやりと部屋を見渡す。窓の光に思わず目をしかめた。


――この部屋は律子の部屋だ。



8: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/30(日) 13:48:10.17 ID:srjy7aNRo

「以前、来たことありましたよね?」

無言で頷く。既に関心は他に移っていた。
それは、自分の身体に装着されている拘束具。

手枷、足枷、そして首輪。緩すぎず、締めすぎず、絶妙な加減で自分を動けなくしていた。
そして、俺の目隠しは外したのに、律子は拘束具を解く素振りを見せなかった。

「さて、プロデューサー」

自分が身体を起こすのを手伝い、ベッドのふちに寄りかからせてから、
律子は意地悪そうに笑った。

「あなたはどうされるのが一番悦ぶのかな?」



9: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/30(日) 13:50:44.06 ID:srjy7aNRo

「……帰してくれ」

力無く言う。律子は画策するように腕を組み、舌で唇をぺろりと舐めた。


「無理やりされるのをご所望みたいね」

間を置かず、律子は俺の顔を両手で挟み、乱暴に口を重ねた。



10: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/30(日) 13:53:37.32 ID:srjy7aNRo

律子の熱を持った舌が唇を這い、内側に入りこみ、歯茎を蹂躙する。
歯を撫でられ、否応無しに顎の力が緩む。

隙間から生き物のように律子の舌が入りこみ、お互いの唾液と唾液を混ぜ合わせる。

律子の行為に対してまったく抵抗できないのは、拘束具のせいか。
あるいは快楽とその先の予感に理性が緩むせいか。

どっちだってよかった。

律子はいつの間にか手を俺の耳や、首筋に移動させていた。
指先で敏感なところを撫でて、弄んで、舌は休めず。

暫くして、やっと口が離れる。
俺は息も絶え絶えに顔を真っ赤にして項垂れた。

「どうです。抵抗もできず、無理やり口の中気持ちよくされる気分は」



11: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/30(日) 13:54:35.48 ID:srjy7aNRo

何も言い返せなかった。
喉を通って体内に落ちた律子の唾液が、
今、身体を巡っていると思うと、頭がぼーっとしてしまう。

全身の血管が内側からくすぐられるような、快感、陶酔、恍惚。

「犯されたような気分ですか?」

思考回路が麻痺して、今は自分が何もできないように感じた。
せめてもの抵抗に律子を睨むこともできない。

「次は……何をしてほしいですか?」

ただ、息を荒くして、それで、次にされることを、期待して、しまって――

「…………な、にも」

「ふーん」



12: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/30(日) 13:57:11.30 ID:srjy7aNRo

漸く絞り出した言葉に、律子は不服らしかった。同時に楽しそうだった。
律子は思案顔で自分の唇を、またペロリと舐めた。

「ねぇ、プロデューサー?素直になった方が、お互い気持ちよくなれると思いません?」

律子は俺の耳元で、猫なで声を出した。吐息がかかり、思わず身をよじる。

「それに、プロデューサーのここ……すごく苦しそうですよ」

律子の細い指が『ここ』を衣服の上からつつく。
俺は急な刺激に身体を震わせ、情けなく声を上げる。
手枷の鎖が揺れ、ジャラジャラと小うるさい音を立てた。

「やめっ……!」

「やめて、いいんですか?」



13: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/30(日) 13:58:20.28 ID:srjy7aNRo

指の先でつつく動作から、徐々に指の腹で撫でる動作に。

それだけでは、達せない。もっと、もっと――

「あ……う……」

「素直になりましょう。ね?」

ふぅー、と耳に息を吹きかけられるのがトドメだった。
縦長に積まれた積み木のように不安定な、最後の理性とプライドが脆く、
崩れる音がした。

「してくれ……」

「んー?」

耳を律子の熱い舌がぬるぬると這う。もどかしく、切ない溜息が喉を擦る。



14: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/30(日) 13:59:49.64 ID:srjy7aNRo

「もっとして、くれよ……」

「……んっ、いいんですけど。そんな頼み方じゃあ、やる気起きないですよね……」

「してください……」

「何を、ですか?」

律子は焦らすような手つきで、俺の身体中を微妙な加減で愛撫する。
快感が、熱が、唾液が、体液が蓄積され、
今にも爆発しそうに身体の中で、血管の中で身悶えている。

分かってるくせに――

そう言うのは野暮だった。



15: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/30(日) 14:01:26.66 ID:srjy7aNRo

「気持ちよく……してください」

「よく言えました」

俺の言葉を聞いて、律子は嗜虐的に頬を歪ませ、満足そうに溜息を一つ。
やんわりと触れ、さするだけだった手の力をゆっくりと強めていく。

ズボンを押し上げるソレをまさぐって、いじって、無遠慮に俺を啼かせる。
身体の芯が揺すられるような感覚。無理やり自分の中にある何かを踏みにじられるような感覚。

今まで、散々我慢させられてきた快楽が臍の下にゆっくりと集まってくる。
溶解していた物質が、次第にビーカーの底へ沈殿していくように。

吐き出したい欲求が全身を震わせる。



16: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/30(日) 14:08:46.76 ID:srjy7aNRo

「も、もう……」

「我慢してください」

今にも爆ぜそうだ。
律子の愛撫の手は緩まず、むしろより強くソコを刺激する。

「む、無理だって……あっ」

「もうちょっと、ね?もうちょっとだから、まだ、まだ駄目です」

「り、律子っ……!」

まだ、まだ、という律子の制止と真逆に、欲求は強まる。
吐き出したい。かき乱されたい。もっと、もっと。

渦に、堕ちて行きたい――



17: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/30(日) 14:10:43.36 ID:srjy7aNRo

律子の目は、羞恥と快楽に悶える俺の表情を捕らえて放さなかった。

見るな――

そう、小さく嘆願しても、律子は喜ばしげにニタニタ笑うだけだ。
頭が内側からじくじくと痛んだ。胸と喉に、吐き気が焼きついた。

もう、限界だった。

せき止めてられていたモノが、ズボンの下で、律子の手で、吐き出される。
身体は痙攣し、熱を持った溜息が漏れ、歯を鳴らし、軋ませ、
そして情けなく涎を垂らしながら、余韻に呑まれる。



18: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/30(日) 14:14:45.55 ID:srjy7aNRo

「あっ……出しちゃいました?」

「はぁ……はぁ……」

返事をする気力も残ってなかった。
ただ、身体をぐったりとさせて、律子の次の行為を待ち構えた。

しかし、律子は腕時計を見て言った。

「……と、もうこんな時間。行かなきゃ」

驚いて律子を見上げる。



19: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/30(日) 14:17:12.41 ID:srjy7aNRo

「プロデューサー。私これから仕事があるので……
 拘束、解きますね。シャワーとか勝手に使って構いませんから。
 悪いですけど、始末、自分でしてください」

「えっ、えっ……」

「ああ、大丈夫ですよ。プロデューサー殿は今日、お休みってことになってます。
 着替えも、ちゃーんと用意してありますから、
 私の家でのんびりしててください。では、行ってまいります」

くつくつと屈託なく笑って、律子は部屋から出て行った。

俺を残して。



20: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/30(日) 14:18:11.64 ID:srjy7aNRo








P「というのはどうでしょう」

小鳥「プロデューサーさん、なかなかいい趣味してますね」

P「小鳥さんには敵いませんよ」

小鳥「うふふ、褒めても何もでませんよ?」


律子「……仕事しろ馬鹿共が!!」


おわりつこ



21: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/30(日) 14:22:40.12 ID:Ct9271Lwo





23: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/30(日) 14:24:18.67 ID:aWNeyx7mo

おつ













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