1: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 20:15:07.51 ID:CCuJj1QcO


・千と千尋の神隠し×ダンガンロンパ
・台本形式なので脳内補完よろしくお願いします

・最後まで書きためあります
 



2: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 20:16:47.33 ID:CCuJj1QcO


湯婆婆「今日からお前の名前は千だよ」

不二咲「は、はい……」





清「お呼びでしょうか」

不二咲(あ、さっき助けてくれた、清くんだ……)


湯婆婆「新入りだよ、案内しな」
 



3: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 20:19:05.84 ID:CCuJj1QcO


――エレベーター内


不二咲「あのさぁ……清くん」

清「無駄口を聞くな。僕のことは清様と呼びたまえ」

不二咲「えっ……」



――
――――
――――――


清「今日からここで働くことになった、千だ」

不二咲「あ、あのぉ……よろしくお願いします」


とりまき「いくら湯婆婆さまの命令でもそれはちょっと」

とりまき「人くさくてかなわんわー!」


清「ここのものを三日も食べれば臭いは消える。それで使い物にならなければ煮るなり焼くなり好きにしたまえ」


不二咲「そんなぁ……」 グスッ


清「大はいるかね」

大「あぁ!?オレに押し付けんのかよ」

清「弟子を欲しがっていただろう」
 



4: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 20:20:05.62 ID:CCuJj1QcO


大「つーか、そいつ女だろ!」

清「いや、男だ。そうだろう、千」

不二咲「あっ……はい」

不二咲(な、なんで分かったのぉ)


大「おい、マジかよ!?」

不二咲「はい……ごめんなさい……」


大「チッ。やってらんねーよ。ほら、来い」

不二咲「うっ、うっ、ごめんなさい……」
 



6: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 20:21:11.15 ID:CCuJj1QcO


大「お前上手くやったな!」パシッ

不二咲「えっ……」


大「お前トロいからなー、心配してたんだぜ?」

不二咲「……」ウルッ


大「でもま、油断すんなよ?分かんねーことあったらオレに聞け、な?」

不二咲「ありがとう…ございます……あの、大さん」

大「ん?」
 



7: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 20:23:27.70 ID:CCuJj1QcO


不二咲「ここに清って人、二人いるんですかぁ?」

大「二人ぃ!?」


大「廊下は走るなとか、早寝早起きがどうとか、お辞儀の角度がどうとか、学ぶ姿勢がどうのこうのって、あんな口うるせーのが二人もいたらたまったもんじゃねーぞ!」


不二咲「うっ…うぅっ………」


大「お、おい、どうした?大丈夫か?」サスサス

不二咲(帰りたいよぉ……)
 



8: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 20:27:44.99 ID:CCuJj1QcO


――――――
――――
――


不二咲「……っ」プルプル

不二咲(眠れない。外、明るくなってきた)

不二咲(…誰かいる……?)

清「橋の所へ来てくれ。会わせてあげよう」ボソッ


不二咲(……)








不二咲「靴がない」


すす「……!…!!」つ【靴】

不二咲「……あ。ありがとう」
 



9: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 20:29:23.99 ID:CCuJj1QcO



カオナシ「………………」

不二咲(こんな朝に……お客様、なの?)



清「こっちだ」

不二咲「あっ」タタッ








  
不二咲「千秋ちゃん!僕だよ!……せ、千だよ!病気かな、ケガしてる?」

清「いや。おなかが一杯で寝ているだけだ。人間だったことは今は忘れている」


不二咲「うぅ……千秋ちゃん!きっと助けてあげるから、あんまり太っちゃだめだよぉ!食べられちゃうから!!」
 



10: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 20:30:44.64 ID:CCuJj1QcO


清「これは隠しておきたまえ」つ服


不二咲「あっ!……捨てられたかと思ってた」

清「帰るときにいるだろう?」


不二咲(服に名前が……ちひろ?)

不二咲「ちひろ?千尋って……あ、僕の名前だ」


清「湯婆婆は相手の名を奪って支配する。いつもは千でいて、本当の名前はしっかり隠しておくんだ。いいな?」

不二咲「僕もう取られかけてたよ。千になりかけてた」


清「名を奪われると、帰り道が分からなくなるんだ。僕はどうしても思い出せなくて」

清「しかし不思議だな。不二咲くんのことは覚えていた」
 



11: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 20:32:07.62 ID:CCuJj1QcO


不二咲「清くん……僕、頑張るね」

不二咲「ウジウジしてばかりいられないよね。出来ることをやらなくちゃ」


不二咲「だから、ちゃんとご飯を食べて、ちゃんと寝て、働かなきゃ。大丈夫、清くんが励ましてくれたもん」


清「君は強いのだな」

不二咲「強い……?そう、なのかな」


清「あぁ、そうさ」

不二咲「……」
 



12: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 20:33:08.90 ID:CCuJj1QcO


兄役「大と千、今日から大湯番だ」

大「はぁ!? あれはカエルの仕事だろ!」


兄役「上役の命令だ。骨身を惜しむなよ」

大「チッ」


不二咲「あのぉ……?」

大「汚れ客専用の風呂だ」
 



13: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 20:34:28.71 ID:CCuJj1QcO


ザーザーザーザーザーザーザーザーザー


不二咲(すごい雨だなぁ。みんな傘さしてないけど、寒くないのかな)


カオナシ「……」

不二咲(あっ、今朝の)


カオナシ「……」

不二咲(やっぱりお客さんだったんだ)


不二咲「あ、あのぉ、そこ濡れませんか?」

カオナシ「……」


不二咲「えっと、ここ開けときますね!」

カオナシ「……」






カオナシ「……」
 



14: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 20:36:02.00 ID:CCuJj1QcO


大「……」ゴシゴシ

不二咲「……」ゴシゴシ


ゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシ


不二咲(昨日ちゃんと食べなかったから、お腹すいて力でないよぉ)

不二咲(……いや、元々力弱いけど)



大「あー! もー! 無理に決まってんだろ! いつから洗ってねーんだよきったねーな!!」

大「こりゃ薬湯いれなきゃ駄目だ。千、番台で薬湯の札もらってこい」
 



16: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 20:37:13.30 ID:CCuJj1QcO


不二咲「あの……薬湯の札、もらえませんか」

兄役「駄目だ。手を使え、手を」


不二咲「でも、あのぉ、薬湯じゃないと駄目みたいで……」


不二咲(僕のせいで、大さんにまで迷惑かけるわけにはいかないし……どうしよぉ……)




カオナシ「……」


不二咲(あっ、さっきの)ペコリ

兄役「ん?」クルッ



カオナシ「…………」じぃ
 



17: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 20:38:48.16 ID:CCuJj1QcO


不二咲(あれ、札がこっちに……)パシッ


不二咲「あ、あのぉ……ありがとうございます!」


兄役「あ、えっ!?おい、待て」



不二咲(あのお客さんのおかげ、だよね)


不二咲(あうぅ……いいのかな。でもこれがないと……)
 



18: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 20:39:50.31 ID:CCuJj1QcO


大「へぇ、いい札くれたじゃねーか」

不二咲(うぅ……ごめんなさいぃ)



大「これを付けて、引っ張るんだ。んじゃ、オレは朝飯とってくっからな」

不二咲「はぁい」



不二咲(頑張れそう。大さんも、お客さんもいい人だし、清くんもいるし)


不二咲「えへへ」
 



19: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 20:41:04.40 ID:CCuJj1QcO


カオナシ「アッ……アッ……」


不二咲「あ……。あの、さっきは、その、ありがとうございます」


カオナシ「アッ……」ジャラジャラ


不二咲「え!?こんなに沢山の札……」


カオナシ「アッ……」ジャラジャラ


不二咲「あのぉ、ごめんなさい。札は一つで十分なんです」
 



20: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 20:42:47.59 ID:CCuJj1QcO


カオナシ「…………アッ…」スゥー


不二咲「ふぇ!?消え……あああああーーー!!!」


不二咲(お湯が溢れて……早く止めなきゃ!!あ、さっきのお客さん、札は残したまま……あああ、戻しに行かなきゃ、怒られちゃう)


不二咲「うぅ、大さん……」





湯婆婆「千、初仕事だよ」

不二咲「え!?」

不二咲(大さん、まだ戻ってないのに……)


湯婆婆「いいね!?返事は!!」

不二咲「は、はい!」

不二咲(僕一人でもやらなきゃ……)
 



22: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 20:43:53.68 ID:CCuJj1QcO


山田「でゅふふふふふふふふwwwwww」プゥーン


不二咲「うっ…グッ……!!」

不二咲(臭い……それになんだか、デロデロしてる……う…ぅ)



山田「ふひひひひwww風呂ですぞwww何ヶ月ぶりですかなwwwwww」


湯婆婆「い、いらっひゃいまへ」プルプル


不二咲「い、いらっしゃ……ま……ングッ」
 



23: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 20:45:16.76 ID:CCuJj1QcO


不二咲「ど、どうぞ……こちらに…」プルプル


不二咲(早く終わらせなきゃ、早く終わらせなきゃ、早く終わらせなきゃ、早く終わらせなきゃ、早く終わらせなきゃ、早く終わらせなきゃ)


大「あ、あれ、千? おい、千!!」

大「うわっ!?飯がぁぁ!!……腐臭にやられたのか」グチャ



不二咲「入って、くだひゃい」プルプル
 



24: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 20:46:52.00 ID:CCuJj1QcO


不二咲(うわぁ……お湯がみるみる濁って……)


不二咲(そうだ、お湯を足そう。お客様相手だし、札使っても怒られない……よね)


山田「ファーwwwwwこりゃーいい湯だぁwwwでもぬるいwwwww」


不二咲(なんだか臭いに慣れちゃった自分に危機感を覚えるよぉ……)


不二咲「あの、ちょっと待ってて下さい!!」
 



25: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 20:48:13.31 ID:CCuJj1QcO


ぶしゃああああああああッ!!


不二咲「あぶっあぷっ……ふぅ、」


山田「うほwwwいいお湯wwwww」



大「千ーーー!!大丈夫か!!」


不二咲「大さぁん!!」


大「釜爺にありったけの湯を出すように頼んできたぜ!!最高の薬湯を奢ってくれるってよ!」
 



26: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 20:49:32.48 ID:CCuJj1QcO


山田「不二咲千尋殿wwwww涙目ペロペロwww」


不二咲(え?この人、)

不二咲「あの、えっと……?」




山田「ブヒィwwwww」


不二咲「……清くんに会いたいの?」



大「会話している……だと……?」
 



27: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 20:51:03.78 ID:CCuJj1QcO


不二咲「大さーん! この人、清くんに会いたいって言っていますーー!!」

大「清にーー!? んなこと、なんで分かんだーー!?」


不二咲「あ、あのぉ……なんとなくーー!!」




湯婆婆「……」

兄役「湯婆婆様、どうされますか」

湯婆婆「お客様の指名とあっちゃ、仕方ないね。呼んでくるよ」
 



28: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 20:52:45.22 ID:CCuJj1QcO


大「んなこと言ったって……今日はあいついねーぞ」


不二咲「そう、ですよね」

不二咲(どうしよう。この人、)


不二咲「あの、お客様」


山田「ふはwww萌えwwwwwアルターエゴたんキタコレww」


不二咲「…………………」

山田「むふふwww」


不二咲「やっぱり……僕、清くんを探してくるよ。そうじゃなきゃ、このお客さん、駄目だって言ってる」
 



29: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 20:54:38.66 ID:CCuJj1QcO


山田「むっほーwww」

大「うぇ」


不二咲「うん、待っててね、探してくるから!」

大(だからなんで会話できんだよ……)


清「お客様、お呼びでしょうか」

不二咲「あっ!!清く……様」



山田「キタコレ!!wwwキタコレ!!wwwキタコレ!!wwwキタコレ!!wwwキタコレ!!www」ザブッザブッ



大「おい、千!? 大丈夫なのかよ! なんか暴れだしたぞ!!」
 



30: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 20:56:12.22 ID:CCuJj1QcO


山田「キタ……キタコレ…」

清「……」ジッ


山田「うっ……」

清「……」テクテク



ズボッ


大「うげぇ……あいつ腐れ神に突っ込んでったぞ。全身腐るんじゃねーか?」



清「やはり」ボソッ


清「湯婆婆様、この方はお腐れ神ではありません! 膿を出します! ロープを!」
 



31: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 20:57:38.50 ID:CCuJj1QcO


湯婆婆「湯屋一同!力を合わせて!そーれ!」

グイイイッ


湯婆婆「そぉーーれ!」

グイイイッ……ズボボッ!


清「出た!!」

不二咲「ロボットの腕……?」


ズボボボボボボッ!!


大「うわぁ!なんかいっぱい出てきたぞ!」


不二咲(ロボット、お菓子の袋、ハンマー、パソコン……)


大「うげ、ゴミがこんなに……」

清「……」
  



32: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 20:59:20.78 ID:CCuJj1QcO


山田「 よ き か な 」




不二咲「ふぇ、くれるのぉ?」

不二咲(泥団子?……じゃ、ないよね)



湯婆婆「大戸を開けな! お客様のお帰りだよ!」




山田「ハハハハハハハ!!ブー子ぉぉーーーーーーー!!!!!!」ビュンッ
 



33: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 21:00:37.61 ID:CCuJj1QcO


不二咲「ねぇ清くん、あの人……」


カエル「砂金だ!!」

とりまき「キャーー!」


湯婆婆「よくやったね千! 大儲けだよ!!」

不二咲「うわっ、あ、ありがとう…ございますぅ」


不二咲(あの人、誰だったんだろぉ)
 



34: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 21:02:06.12 ID:CCuJj1QcO


――――――
――――
――


大「食うか?かっぱらってきた」

不二咲「ありがとうございます」


不二咲(肉まん?)モグモグ

不二咲「……清くん、何処にいるかなぁ」


大「まぁた清かよ。……あいつ時々いなくなるだろ? 噂だけどよ、湯婆婆にやばいことやらされてるらしいぜ」

不二咲「そう、なんだ……」


不二咲「あ、遠くに街がある……。海みたい」

大「あたりまえじゃねーか、雨が降りゃ海くらいできんだろ。
オレ、いつかあの街に行く。こんなとこ絶対にやめてやる」


不二咲「……」モグモグ
 



35: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 21:03:17.76 ID:CCuJj1QcO


不二咲「ハッ……ハッ……」タタッ



不二咲「千秋ちゃん!見て!神様がくれたお団子だよぉ!」


豚「ブヒブヒィ」

不二咲「千秋ちゃん、これを食べたらきっと人間に戻れるよぉっ」


豚「ブヒブヒ」

豚「ブヒィ」

豚「ブヒッブーー」


不二咲「千秋ちゃん? 千秋ちゃん、何処にいるの!? 千秋ちゃーーーん!!」
 



36: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 21:04:54.85 ID:CCuJj1QcO


――――――
――――
――


不二咲「ハッ」

不二咲「夢……。帰るとき、千秋ちゃんが分からなかったらどうしよう……」



不二咲「あ、本当に海になってる」

不二咲「誰もいない……。え、釜爺さんがもう火を焚いてる。そんなに寝ちゃったのかなぁ」


不二咲(大さんも、起こしてくれればいいのに)テクテク
 



37: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 21:06:12.28 ID:CCuJj1QcO


不二咲(もうみんな働いてる。忙しそう)

不二咲(清くんは何処かなぁ。大湯にもお客さん、来てないといいけど……)



大「おい、千!」

不二咲「大さん」


大「見ろ、本物の金だ! もらったんだ! すげぇ気前のいい客がきてよぉ! お前も行こうぜ!」

不二咲「あ、えっとぉ……僕は遠慮しときます」


大「そうか? じゃ、またな!」
 



38: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 21:08:35.52 ID:CCuJj1QcO


不二咲(……釜爺さんに、お団子のこととか聞こうと思ってたけど)

不二咲「忙しそうだし、後にしよう」テクテク




ビュンッビュンッ


不二咲「あれ……なんだろう、真っ白な…龍?」

不二咲(どうしよう、苦しんでるように見えるけど……助けなきゃ……)


不二咲「清くん!!こっちだよー!……あれ?」


ビュンッビュンッビュンッ
ドスンドスンッ


不二咲「うわあっ!!」


不二咲(僕が守らなきゃ…!)
 



39: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 21:10:56.95 ID:CCuJj1QcO


不二咲「あっ……アッ………血ィ」

不二咲「血だらけ……だ」ガタガタ


龍「……ッ」


不二咲(!!……守らなきゃ、僕が)


不二咲「清くん? 清くんなんだよね? 大丈夫? しっかりして! 何があったの!?」

不二咲(体が、燃えてる……これじゃ触れない。熱い……)
 



40: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 21:13:15.52 ID:CCuJj1QcO


龍「……!!!」


ビュンッ


不二咲「待って! どこ行くの!? そんな怪我で動いたら死んじゃう!! 清くん!!」


不二咲(死んじゃうよぉ……)


不二咲「湯婆婆のところに、行ったのかなぁ?」
 



41: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 21:15:11.46 ID:CCuJj1QcO


不二咲「行こう……!」タタッ


不二咲(早くしないと、清くんが……!)タタッ


ドンッ


兄役「おい、何をしてる。お客様の前だぞ。邪魔だ邪魔だ」

カオナシ「アッ……」


不二咲「あっ、あのぉ、ごめんなさい。僕急いでて……そのぉ」


カオナシ「アッ……アッ…」ジャラジャラ

不二咲「ふぇ!?金……なのぉ?こんなに沢山」


カオナシ「アッ……」

不二咲「ごめんなさい、全然欲しくないんです! 急いでるので失礼します!!」タタッ
 



42: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 21:16:59.27 ID:CCuJj1QcO


カオナシ「アッ………………………………………………………」


兄役「申し訳ございません~。なにぶん、新米の人間の小娘でして~」ハハッ



カオナシ「おいお前、笑ったな?何故笑う?」


兄役「め、滅相もない!」



ゴクンッ


とりまき「ぎゃーーーー!!」
 



43: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 21:19:45.48 ID:CCuJj1QcO


不二咲(よし、窓までこれたけど……あ、普通は鍵がかかってるよね)シュン



ガチャッ


不二咲(え、空いてる? ………いた! 湯婆婆と、清くん!!)


湯婆婆「そいつの正体はカオナシだよ! カオナシ!! チッ、あたしが行くまで余計なことすんじゃないよ」

湯婆婆「ハァ、あんた達、清を片付けときな。そいつはもう駄目だよ」



不二咲「!!」
 



44: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 21:22:06.62 ID:CCuJj1QcO


不二咲(どうしよう、清くんが……あぁぁ、湯婆婆がこっちにくる! 隠れなきゃ!)タタッ





湯婆婆「ばぁー」


坊「アポ……アポ~~」


湯婆婆「ごめんね~いい子でおねんねしてたのにねぇ~?んむぅ~~」


ぶちゅーーーーーーーーーーー


坊「ア、ポ………………………………」



不二咲(うわぁ)
 



45: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 21:23:40.87 ID:CCuJj1QcO


不二咲(よし、行ったかな)モゾモゾ



坊「おい」ギュ


不二咲「痛っ……痛い、痛いよぉ!離して!!」


坊「お前見てねーで助けろよ」ゲッソリ


不二咲「ご、ごめん」
 



46: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 21:25:20.48 ID:CCuJj1QcO


坊「罰としてオレと遊べよ! な?」


不二咲「ごめんね、僕今忙しくて、大事な人が大変で」


坊「あぁ!? オレが大声だしたら、あのババアすぐ駆けつけてくんだぞ!」


不二咲「あっ……うっ」


坊「いいのかよ、お前なんかすぐに殺されちまうぞ? あぁ?」


不二咲「でも、でもぉ……」
 



47: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 21:30:45.50 ID:CCuJj1QcO


坊「ここにいろよ……!!」ギュウウ


不二咲「痛い!! 痛い、お願い、離してぇ!!」バッ


坊「……あ?」


不二咲「見て!! これ!! 血!! 分かるよね? 血だよぉ!?」


坊「アッ、あぁあ……やめろぉぉお!!」パッ



不二咲「清くん!!」


三つ頭「おいっ、おいっ、おいっ」

烏「~~」パタパタ


不二咲(清くんを穴に落とそうとしてるの!?)


不二咲「駄目ぇぇええーーー!!!! シッシッ!! のいて!!」バッ


不二咲「清くん!! 清くんなんでしょ!? 大丈夫!? ねぇ、どうしたの!? しっかりして!」


坊「うっ……うぇ…、オイコラテメェ、なんてもん見せんだ……」ヨロヨロ

不二咲「ご、ごめん。けどぉ、」


坊「うっせぇ……ここにいろよ……オレと遊べって……! じゃねぇとマジで大声出すぞコラ!」

不二咲「ま、待ってぇ!後で戻ってくるから、絶対!」


坊「んなもん信じるわきゃねーだろ! このアホ!」
 




48: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 21:32:33.90 ID:CCuJj1QcO


龍「………ッ…!!」


不二咲「清くん!大丈夫!?」

坊「うわッ。死にかけじゃねーか。つーか、あっちぃ……燃えてんのか、コイツ」


龍「ググググ、ンググゥ……」ピクッ

不二咲「清くん、苦しいのぉ……?」



龍「ウガァァアアアアッッ!!!」ビュン


坊「お、おい!」

不二咲「暴れちゃ駄目ぇ!!落ちちゃう!!」ギュッ


ジュウウウウ……


坊「馬鹿!! 燃えてんだぞ!? 火傷じゃすまねーぞ、離れろ!!」

不二咲「アアアアグッ……ゥ!清くんッ……!うわぁ!!」
 




49: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 21:37:38.95 ID:CCuJj1QcO

――――――
――――
――


坊「いって~~~……落ちたじゃねーか……」

烏「~~~~!!!」パタパタ


釜爺「何事じゃあッ!?」


龍「……」スゥー

清「………」


不二咲「やっぱり! やっぱり清くんだったんだ!! どうしよう、おじさん! 清くん息してない!!」

釜爺「……しとるがな」


坊「炎は消えたな」

不二咲「でもぉ、まだ焼かれてるみたいに熱いよぉ……清くん…」


烏「~~」パタパタパタパタ

不二咲「……あ、扇いでくれてるのぉ?」


烏「~~」パタパタパタパタ

不二咲「グスッ。ありがとぉ」
 




50: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 21:39:14.99 ID:CCuJj1QcO


釜爺「んむ…こりゃ……呪いにかかっとるな」

千尋「呪い!?」


釜爺「単純で迷信みたいな弱い呪いじゃ。しかし……どうも拗らせとる」

千尋「どうすればいいの! ねぇ、おじさん!!」


釜爺「こいつが拗らせとるぶんには、どうにもできん」

千尋「そんな……………っ」


坊「な、なぁ、こいつが起きたら聞けばいいんじゃねーか? 何があったのか」

千尋「起きるかなぁ? このまま死んじゃわないよね? 大丈夫だよね? ねぇ?」


坊「……あーーーもう、仕方ねーな」
 



51: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 21:43:24.81 ID:CCuJj1QcO


坊「起きればいいんだろ」ポワッ


千尋(光ってる……)


千尋「魔法、使えるの……?」

坊「ちょっとならな。応急処置みてーなもんだから、完全には解けねーと思うけど」

烏「~~~~」パタパタ


千尋「ありがとぉ……」


坊「つーかお前、さっきの火傷は大丈夫なのかよ」

千尋「あれっ……そういえば、全然跡がない」
 



52: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 21:44:55.99 ID:CCuJj1QcO


釜爺「清はな、千と同じように突然ここにやってきてな。魔法使いになりたいと言いおった。

ワシは反対したんだ、魔女の弟子なんぞろくな事がないってな。聞かないんだよ。
魔法使いにならなければと、とにかく頑固で、とうとう湯婆婆の弟子になっちまった。

そのうちどんどん顔色が悪くなるし、目つきばかりきつくなってな……」


千「清くんはもう、魔法使いになれたのかなぁ……だったら、」


坊「なってねーだろ。この程度の呪い、解くどころか、拗らせてんだからよ」


千「……ッ」
 



54: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 21:48:40.67 ID:CCuJj1QcO


清「ん、」

不二咲「清くん!」


清「……不二咲くん?」

不二咲「清くん!よかったぁ!」ギュウ


不二咲「うぅ……うぅぅ~…」ポロポロ


清「不二咲くん……?」



釜爺「不二咲……そうか。お前さんの本当の名は、不二咲というのか」

清「おじいさん、一体何があったのですか?教えてください」


釜爺「お前、何も覚えてないのか?」

清「切れ切れにしか思い出せません。闇の中で不二咲くんが何度も僕を呼びました。
その声を頼りにもがいて……気が付いたらここに寝ていました」
 



55: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 21:50:32.75 ID:CCuJj1QcO


――――――
――――
――


清「呪い……ですか」

釜爺「千尋がいなければ死んどったぞ。心当たりは?」

清「……」



ガララッ


大「千!! ここにいたのか! 随分探したぞ! ……清じゃねーか。なんかあったのか、ここ。つーか、そいつら湯婆婆の」


坊「ウィーッス」

烏「~~」パタパタ


不二咲「あ、あの。お友達です」

大「ハァ!?」
 



56: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 21:52:27.42 ID:CCuJj1QcO


大「って、んなこと言ってる場合じゃねぇ!! 湯婆婆がカンカンになってお前のこと探してんぞ!!」

不二咲「え?」


大「気前がいいと思ってた客がカオナシって化けもんだったらしくてよ。湯婆婆は千が引き入れたっつってたぜ」

不二咲「あっ……そうかも」


大「マジかよ!? どうすんだ! もう三人も飲まれちまってんだぞ!」

不二咲「ご、ごめんなさい。お客さんだと思って……」
 



57: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 21:53:44.07 ID:CCuJj1QcO


清「不二咲くん、僕も一緒に行こう」

大「あ?」


清「君が僕を救ってくれた。君と共にいることが、呪いを解く鍵になるような気がするのだ」


大「何がどうなってんだ」

釜爺「分からんか、愛だ。愛」


不二咲「あ、あのぅ……僕、男です……」

釜爺「!?」
 



58: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 21:55:39.16 ID:CCuJj1QcO


坊「んじゃオレも行く! 外出れんの久々だし」

烏「~~!~~!」ツンツン

坊「お前もか?」


不二咲「え、でも」

坊「ダイジョブだっつーの! オレはネズミで、この烏は……ハエでいっか。
ついでに、置いてきた三つ頭をオレの姿にしときゃ、しばらく遊べんだろ!」ポワッ


不二咲「遊びに行くわけじゃないんだけど……」
 



59: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 21:57:17.28 ID:CCuJj1QcO


ネズミ「ちゅう」

ハエ「ジジッ」

清「行こう、不二咲くん」


不二咲「……うん」


――――――
――――
――


父役「千! と、清様? ……とにかくよかった。湯婆婆様ではもう抑えきれんのだ」



湯婆婆『そんなに暴れなくても千は来ますよぉ~』

カオナシ『千はどこだ! 千を出せ!』



不二咲「……」ゴクリ
 



60: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 22:00:34.58 ID:CCuJj1QcO


カオナシ「これ食うか? 美味いぞー。
金を出そうか? 千の他には出してやらないことにしたんだ。
こっちへおいで。千は何がほしいんだい? 言ってごらん」


不二咲「君はどこから来たの?……あのねぇ、君は来たところへ帰った方がいいと思うんだぁ」

カオナシ「グッ、う」


不二咲「おうちはどこ? 待っててくれてる人、いるんだよね?」

カオナシ「イヤダ……イヤダ……千欲しい……千欲しい……」


不二咲「おうち、分からないの?」

清「駄目だ、不二咲くん。恐らく話の通じる相手では……」


カオナシ「欲しがれ」グイッ

不二咲「うわっ、……僕を食べる気なの?」
 



61: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 22:02:43.47 ID:CCuJj1QcO


不二咲「僕を食べる前に、まずはこれを食べて。効くかもしれないから。……千秋ちゃんにあげたいから、半分だけ」ポイッ


清「苦団子かね……?」

不二咲「この間の、いっぱい金を落としていった神様からもらったんだぁ」

清「……」



カオナシ「……うぐっ、ゲボォ!……セ、千……小僧が、何を食わし……ゲェェ……」


不二咲「え?」


清「まずい! 逃げよう! 不二咲くん、ハエくんは飛べるからともかくとして、ネズミくんを離さないように気をつけてくれ!」
 



62: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 22:05:18.09 ID:CCuJj1QcO


清「こっちだ!」グイッ

不二咲「うん……」タタッ




カオナシ「ゲェェエエエエエエ!!……待て……ゲッ、ゲッ…ウゥ」


清「こっちだーーーー!!」


カオナシ「ウッ……許せん……」ゼェゼェ


不二咲「どこに連れて行くのぉ?」

清「分からないが、とにかく外へ行こう」


不二咲「外?」

清「あぁ、彼は……一度外の空気を吸った方がいい」


不二咲「?? ………うん、」
 



63: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 22:08:23.52 ID:CCuJj1QcO


不二咲「外、きたけど。海が」チャプン

ネズミ「ちゅー……」プカプカ


清「深いな……。不二咲くん、ハエくんとネズミくんは無事かね?」

不二咲「うん」


清「こっちだーーー!!」


カオナシ「アッ……」ザブン



不二咲「ど、どうするの」


清「豚小屋へ行こう。大丈夫だ。彼はもう全てを吐き出したようだから、暴れることはないだろう」

不二咲「そ、そうなの……かな」
 



64: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 22:09:33.70 ID:CCuJj1QcO


不二咲「あッ!!……!!!」

清「不二咲くん!?」



不二咲(足、痛。吊っ、駄目、沈む)


不二咲(息が…………………)



チカ

 チカ

チカ

 チカ


不二咲(この、感覚――――――)
 



65: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 22:10:49.03 ID:CCuJj1QcO


清「大丈夫かね!?」グイッ

不二咲「……ゲホッ、」


ハエ「ブン……ブン…」

不二咲「ゴホ、ごめんねぇ。足、吊っちゃったみたいで」

清「準備運動を怠ったからだ! 気をつけたまえ!」


不二咲(そんな暇なかったけど)

不二咲「ふふ、清くんらしいね」

清「……?」
 



67: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 22:12:12.33 ID:CCuJj1QcO


――――――
――――
――

豚小屋


不二咲(……千秋ちゃん、どこかな)

不二咲(………………)




カオナシ「……」


坊「ホント、カオナシの奴、お前の言うとおりに大人しくなっちまったなー」

清「ウワァ!? ネズミくん、急に戻らないでくれ! 驚くじゃないか!」


坊「ネズミって呼ぶのやめろよ……」

「そうですわね」


清「ハエくん!?!? 珍妙な格好をした女性に!?」

セレス「セレス、と呼んでくださって結構ですわよ?」


坊「え、お前烏じゃなかったのかよ」
 



68: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 22:14:23.19 ID:CCuJj1QcO


セレス「えぇ、烏の格好をしておりましたわ。あなた方のようなダッサイ服を纏うくらいなら、漆黒の翼に身を包んでいた方が遥かにマシですもの」


清「僕は今、言葉は通じるのに何を言っているのかが分からないという奇妙な体験をしている」

不二咲「ア、アハハ……関わったことのない人ってそんなものかもね」






七海「……揃った、のかな?」


不二咲「えっ……千秋ちゃん!? 千秋ちゃん!! 戻れたんだねぇ!?」

七海「じゃあ、はじめよっか」


不二咲「はじめる……?何を?」



七海「学級裁判、だよ。 お父さん」
 



72: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 22:49:32.72 ID:CCuJj1QcO


坊「学級裁判?」

七海「うん。みんなで話し合わなくちゃいけないことがあるはず……と思うよ?」


清「何故そう思う?」

七海「それは、みんなが私の元に来たから」


セレス「……どういうことですか?」

七海「そんなことより、今は話し合わなきゃいけないことを、話し合うべきなんだよ」
 



73: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 22:51:00.18 ID:CCuJj1QcO


不二咲「話し合うって、清くんの呪いのこと、かな?」

坊「オレがだいぶ和らげたとはいえ、油断ならねーしな」


清「しかし、それが何故、裁判になる?」


七海「裁かなきゃいけない人が、いるから」

清「は……?」



七海「君もそう思う、よね?」


カオナシ「アッ……」
 



74: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 22:52:33.04 ID:CCuJj1QcO


坊「いや、ソイツは喋れねーから」


七海「そう思う、よね?」

カオナシ「アッ……………ァ………………………………」



七海「答えて?」


坊「いや、だから無理なもんは無理だっつの」


七海「ねぇ、答えて」


カオナシ「…………………………………ォ…………」





カオナシ「オモ、ゥ」
 



75: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 22:53:39.81 ID:CCuJj1QcO


坊「うわ、喋った!?」


セレス「アラ、あなた喋れないフリをしていたのですか?」


カオナシ「……ア………ァ…」

セレス「……基本的にはコレなのですね」




不二咲「この五人で裁判ってことは、清くんの呪いをかけた人が、この中にいる……って、こと?」

清「どうやら、そのようだな」
 



76: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 22:54:56.17 ID:CCuJj1QcO


不二咲「ねぇ、教えて七海ちゃん。どうして急にこんなことを?
七海ちゃんは誰が呪いをかけたのか知ってるの?知ってるのなら、どうして教えてくれないの?」

七海「ごめんね。それは、みんなが気がつかないといけないこと、だから」


不二咲「え?」

七海「それにね、私はクロを知らないよ?」



清「コレ以上、聞いても無駄なようだな。話を進めよう。呪いを解く第一歩だ」

不二咲「う、うん……」


セレス「仕方がないですわね。協力してさしあげます」

坊「まぁ、ここまできたらなぁ……」
 



77: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 22:57:25.64 ID:CCuJj1QcO


【学 級 裁 判 ――― 開 廷】



坊「つーか、全員犯人とは思えねーけど」


清「確かにそうだな。人間の不二咲くんに呪いがかけられるとも思えないし、セレスくんは幾度か烏の姿を見かけたことがあるくらいで、坊くんも勿論のこと、関わったことすらない」


カオナシ「……アッ…」

清「彼とも会ったばかりな訳だしな」


不二咲「きっかけとか動機もないしねぇ。……って、じゃあ何から話せばいいのかなぁ?」





セレス「アラ? わたくしが考えるに、既に今までの言動から犯人は明らかかと」


坊「早ッ!?」
 



78: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 23:00:26.51 ID:CCuJj1QcO


セレス「そこの彼に呪いをかけた犯人……それは……………カオナシさん、あなたではありませんか?」


カオナシ「アッ……アッ……アッ…」


清「いや、セレスくん。それはおかしいのではないか? 僕が彼と顔を合わせたのは、ついさっきのことだ! 勿論初対面だ!」


坊「そうだよなぁ……。それに、明らかに昨日今日受けた呪いって感じじゃねーし」


清「不二咲くん、彼がここにやってきたのはいつなのか、分かるかね?」

不二咲「えっとぉ……多分昨日、だよぉ」


清「だとすると、やはり隙を見て僕に呪いをかけたと考えるのも不自然だし、辻褄も合わないな!」
 



79: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 23:02:51.01 ID:CCuJj1QcO


坊「いや、やっぱその前に、セレスがなんでコイツが犯人っつったのか聞きてーんだけど」

セレス「そうですわね、一つずついきましょう」


不二咲「お、お願いします」



セレス「明白ですわ。ゲームマスターのように、途端に口を挟まなくなったそこの女性が、聞いたではありませんか」

七海「あ、七海千秋です」


セレス「カオナシさんは、七海さんの
『ここに裁きを受けるべき人――すなわち犯人――がいると思うか』
という問いに対して、『思う』と答えています。そんなふうに思っているのは犯人だけですわ」


セレス「何故なら、普通に考えれば明らかに全員に犯行が不可能だからです。タイミングも動機もない。犯人以外は、全員そう思って然るべきな状況でした」


清「し、しかしそれは、湯屋で働く僕達だからこそ分かることで、客として訪れた彼に分かろうはずもない!」
 



80: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 23:06:13.09 ID:CCuJj1QcO


【裁判直前の会話】→→→【客として訪れた彼に分かろうはずもない】



不二咲「それは違うよぉっ!」BREAK!!


不二咲「ねぇ、清くん。思い出してみてよ。裁判直前の僕達の会話を」

清「直前の、会話……?」


――――――
――――
――


セレス『えぇ、烏の格好をしておりましたわ。あなた方のようなダッサイ服を纏うくらいなら、漆黒の翼に身を包んでいた方が遥かにマシですもの』


清『僕は今、言葉は通じるのに何を言っているのかが分からないという奇妙な体験をしている』

不二咲『ア、アハハ……関わったことのない人ってそんなものかもね』


――
――――
――――――






――――――
――――
――


不二咲『話し合うって、清くんの呪いのこと、かな?』

坊『オレがだいぶ和らげたとはいえ、油断ならねーしな』


――
――――
――――――
 



81: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 23:08:22.77 ID:CCuJj1QcO


不二咲「セレスさんと清くんは関わりがなかった。それに、坊くんは清くんの呪いを治そうとしてくれた」

不二咲「この会話だけで、犯人じゃないって思うには十分なんじゃないかな?」


坊「人間の千は犯人とは思えねーし、そもそも清とあんだけ仲良さげにしてんのに、疑うのもおかしいよな」


セレス「えぇ、全て決定的な証拠とはなりませんが、心象として犯人像からは離れるでしょうね」

セレス「そうでなくとも、わたくし達は、偶然ここに集まったに過ぎないのですから」


不二咲「うん。だから、『犯人がいると思うか』って聞かれて、『分からない』ならまだしも、あの状況で『いると思う』って答えるのってやっぱり不自然だよねぇ」


坊「確かに、そうだよなぁ……」

セレス「……無論、否定はしていましたが、七海さんも犯人を知っていたのでしょうね。わたくしには、あえてカマをかけたとしか思えませんでしたわ」
 



82: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 23:10:55.17 ID:CCuJj1QcO


七海「本当に、知らないんだけどね」

セレス「……まぁ、それはいいです」


清「待ちたまえ、君達。その発言一つだけで、彼を犯人だと決めつけるのは、あまりにも乱暴ではないかね?」


清「そもそも、僕は彼とは初対面だ。呪いがもっと前にかけられたものである以上、辻褄が合わない!」

不二咲「……ちょっと、待って」


清「どうしたのだね、不二咲くん」




不二咲「清くんとその人が初対面じゃないっていう証拠は……あるかもしれないよ」


清「!?」
 



83: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 23:12:40.94 ID:CCuJj1QcO


▶︎【清の三人称】


不二咲「これで証明するよぉっ!」解ッ


不二咲「清くん。清くんは、どうしてこの人のことを『彼』って呼ぶの?」

カオナシ「アッ……アッ…」


清「……それの何がおかしいのだね?」


不二咲「だって、どうしてこの人が男性だって思うの?」


セレス「そう言われてみれば、確かに少し不自然な気もしますが、しかし……」

坊「まぁ、女には見えねーしな」
 



84: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 23:14:37.42 ID:CCuJj1QcO


不二咲「だけどさ、みんな、清くんが『彼』って言ったら、誰のことだと思う?」

坊「そりゃー……カオナシのことだろ。お前がさっきそう言ったんじゃねーか」


不二咲「それがおかしいんだよぉ」

セレス「と、いいますと?」


不二咲「だって、この場には僕と坊くんもいるんだよぉ? なのに、裁判前から『清くんの言う〝彼〟=カオナシ』っていう方程式が、もう刷り込まれちゃってたと思うんだぁ」


セレス「……そういえば、そもそもカオナシさん以外の人はみんな名前で呼んでましたわね。『ネズミくん』ですとか『不二咲くん』ですとか」


不二咲「『清くんの言う〝彼〟=カオナシ』って、すんなり受け入れちゃってたけど、これって親しい関係の人じゃないと、なかなか成り立たないことだと思うんだぁ」
 



85: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 23:16:53.10 ID:CCuJj1QcO


不二咲「ほら、思い出してみて、清くんの発言を」





清『彼は……一度外の空気を吸った方がいい』


清『大丈夫だ。彼はもう全てを吐き出したようだから、暴れることはないだろう』


清『人間の不二咲くんに呪いがかけられるとも思えないし、セレスくんは幾度か烏の姿を見かけたことがあるくらいで、坊くんも勿論のこと、関わったことすらない。

彼とも会ったばかりな訳だしな』






坊「そう言われてみると、親しげな感じもするな」


セレス「えぇ、カオナシさんのことがよく分かっているような口ぶりですわね」
 



86: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 23:18:35.87 ID:CCuJj1QcO


清「……そんなものは、こじつけじゃないか」

セレス「確かにこじつけともとれます。しかし、あなたは」


セレス「一体何をそこまで、頑ななのですか?」

清「僕は自分が思ったことを言っているだけだ! 全部お前らのでっち上げだ!!」


セレス「……どうにもしっくりきませんわね。不二咲くんの話を聞いた後ですと、こう思わざるを得ません」



セレス「あなたが、カオナシさんを庇っているのだと」
 



87: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 23:20:51.28 ID:CCuJj1QcO


坊「な、なぁ、七海、だっけ?ここで犯人見つけて、裁く……とか言ってたよな?」

七海「うん」


坊「今更だけどよ、裁くって何すんだ」






七海「おしおき、だよ?」


全員「!!!!」


坊「おしおき……って、何、だよ」


清「そ、そうだ。そもそも誰が犯人を裁くというのだ! 誰がこんなことを望んだ!」


清「呪いをかけられた、被害者は僕だ! 僕は呪いを解いてもらえればそれで構わない! こんなこと、望んでいない!」
 



88: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 23:23:32.99 ID:CCuJj1QcO


七海「だけど、被害者が許したからって、罪がなくなるわけじゃない……と思うよ。だって君、呪いで死にかけたん、だよね」


不二咲「だからって、おしおきなんて……そんなの!」


七海「謝るくらいしないと」







セレス「………………謝る?」

坊「え?おしおきって」


七海「うん、」











七海「みんなの前で土下座だよ」


全員「……」
 



89: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 23:25:36.61 ID:CCuJj1QcO


清「な、なんだ。そんなことかね」


清「それで、カオナシくん、犯人は君なのかね? 正直に申し出たまえ!」


坊「切り替え早すぎだろ!!」




カオナシ「………………」


七海「言葉にしなきゃ、伝わらないよ?」ニコッ



カオナシ「………アッ………ゥ…」


「………………………」


「…………」


「……………………………」


「…………………」


「………………………ヮ、」



「ワ……カラ…ナ……ィ……」
 



91: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 23:29:34.61 ID:CCuJj1QcO


セレス「分からない?一体、」



「ヶ、ド……」


「……………………ゴ、メ……ナサ……」



「ゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサ



92: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 23:34:05.55 ID:CCuJj1QcO


坊「何だ……こいつ」

セレス「これは、自供と受け取ってよろしいのでしょうか」

不二咲「でもぉ、分からないって言ってたよ」



坊「つーかさ、お前本当にこんなやつと知り合いだったわけ?」

清「……それが、分からない」


坊「ハァ?」

清「彼とは会ったことがある気はするが……駄目なんだ、忘れてしまっているのかもしれない」



七海「ううん、一度あったことは忘れないものだよ。……思い出せないだけ」
 



93: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 23:36:04.58 ID:CCuJj1QcO


七海「大丈夫。ヒントはもう、出過ぎてるから」

不二咲「ヒント?」



七海「きっともう、思い出せてる。みんな」

坊「みんな……」



七海「少し、勇気があれば、思い出すことなんて、怖くないよ」

カオナシ「…………………」



七海「じゃあ最後のヒント。私は、この裁判が、清くんの呪いについての裁判なんて、一言も言ってない……と思うよ?」

清「君は、何を」



七海「呪われてるのは、清くんだけ、なのかな」

セレス「……」
 



94: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 23:39:18.52 ID:CCuJj1QcO




 ――呪いをかけられているのは、





不二咲(僕のことや、清くんのことを知っていた、お客さん)



山田『ハハハハハハハ!!ブー子ぉぉーーーーーーー!!!!!!』ビュンッ



清(次々と出てきた膿は、ロボット、菓子の袋、ハンマー、パソコン。彼は腐れ神ではなかった)
 
 
 
 
 
 
 





95: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 23:41:30.48 ID:CCuJj1QcO




 ――呪いにかかっているのは、





不二咲(カオナシは、どうして僕の性別を、知っていた)



カオナシ『……うぐっ、ゲボォ!……セ、千……小僧が、何を食わし……ゲェェ……』



坊(苦しみ、痛み、恨みの感情が……よく分かる)
 
 
 
 
 
 
 





96: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 23:42:58.09 ID:CCuJj1QcO




 ――呪いをかけたのは、





不二咲(純白で、まるで穢れを知らない龍)



龍『ウガァァアアアアッッ!!!』ビュン



セレス(燃えさかり、気性が荒く、自分自身を傷つけていた)
 
 
 
 
 
 
 



97: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 23:44:08.42 ID:CCuJj1QcO




 ――人を呪ったクロは、





不二咲(疑うことを、苦痛に感じる人だった。そうだ)



清『全てお前らのでっち上げだ!!!』



カオナシ(………………………………………………………………)
 
 
 
 
 
 
 



98: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 23:44:54.83 ID:CCuJj1QcO



(おしおきと言われたとき)


(何故か、きっとここにいる全員が)


(残酷で取り返しのつかないような)


(処刑を、想像していた)



カオナシ(……………)
 



99: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 23:46:33.93 ID:CCuJj1QcO


「……えぇ、全てを思い出しましたわ」


「この裁判のクロ、」


「んで、被害者も、」




「僕達全員、だったんだね」





カオナシ「………」



カオナシ「…………………アッ……」
 




100: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 23:48:35.93 ID:CCuJj1QcO


不二咲「一つだけ分からないことがあるんだぁ」

七海「……」


不二咲「君は、誰?」


七海「私は………………」



七海「ううん。今は、そんなことはどうでもいいんだよ、お父さん」





七海「裁判も、投票も終わりましたね」


七海「それじゃ、お待ちかねの、おしおきターイm
 



101: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 23:52:12.78 ID:CCuJj1QcO


石丸「待ってくれ」

七海「……?」



石丸「その前に、返したいものがあるんだ」


スタ
  スタ


スタ
  スタ



カオナシ「……アッ…ァ………」


石丸「受け取ってくれるだろう?

        ……………大和田くん」



「……………………………………」
 



102: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 23:54:01.75 ID:CCuJj1QcO


不二咲(髪が白くなってく……。目からは炎が湧き出して)



石田「勝手に奪って悪かったな、キョーダイ」

「………………」



桑田(目元はちょっとだけ、大和田みたいだ)



石田「返そう、君の心を」

「……………………」



セレス(そしてあの時と変わらず、猟奇的ですわね)
 



103: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 23:56:07.82 ID:CCuJj1QcO


 ――ポワンッ




石丸「僕は後悔していたんだ。最後まで、君の友人で有り続けるべきであったと」


石丸「僕は僕として、君に接するべきであった」



石丸「規律を乱した君を、許さずにいるべきだったんだ」



石丸「僕の中に無理矢理に閉じ込めた、見せかけの君が、呪いとなって僕を蝕んでいたのだよ」


石丸「焼かれたように苦しかった」



セレス「えぇ、そうでしょうね。焼かれていましたから」



「……きょ、う、だぃ」
 



104: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 23:57:32.38 ID:CCuJj1QcO


七海「終わった……かな?」


大和田「…………」

石丸「うむ」



七海「うん。じゃあ全員で、おしおきターイム! ……だね」



七海「ちょっと間隔をあけて、輪になって、」


七海「うん、いいんじゃないかな。それじゃ、行くよ」


いっせーのーでっ
 



105: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/21(水) 23:58:55.71 ID:CCuJj1QcO


跪いて、手をついて、


ヒタイを思いっきりと、


この豚小屋の地面に擦りつけて、



言葉は丁寧に、謝意を極限に示すために




そして五人で、一斉に。





【 誠に申し訳ございませんでした。 】









おわり
 



111: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/22(木) 13:54:32.02 ID:0uFqbAoYO


エピローグ



桑田「全部思い出してみれば、不思議なもんだよな」

セレス「事実は小説より奇なりとは言いますが、今この瞬間のことを事実と呼んでいいのかも微妙ですわね」


不二咲「山田くんは、石丸くんに謝るために来てたんだね」

石丸「……あぁ、去り際に『ごめんなさい』と言われた。あの時は意味が分からなかったのだが」


不二咲「え、それじゃ山田くんが可哀想じゃない?」

石丸「しかし不思議と、なんとなく、嬉しかったのだよ。『分かればよろしい』と返しておいた」


セレス「あのラード、わたくしに声もかけないだなんて、失礼な豚ですわ」


桑田「素直じゃなさすぎだろ。つーかお前、あくまでもゴスロリかよ。ぶれねーな」

セレス「えぇ、これがわたくしですから」
 



112: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/22(木) 13:55:39.19 ID:0uFqbAoYO


石丸「僕は彼を探してここに辿り着いたのだよ」


石丸「何度も山を抜け、川を下り、海を渡り、足が棒になるくらいの距離を歩いた……それでも彼は見つからなかった」


石丸「思えば、当然のことなのかもしれないな」

石丸「……僕が勝手に彼の心を横取りしていたのだから。見つかるはずもない」


石丸「魔法使いになりたかった。それも彼に会うためだった」

石丸「しかし、既に湯屋に辿り着いた頃には、僕は人間ではなくなっていたのかもしれない」
 



113: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/22(木) 13:56:29.60 ID:0uFqbAoYO


セレス「わたくしのきっかけは、何だったのでしょうか……」


セレス「しかしわたくしは初めから人間ではありませんでしたわ。それは間違いありません」

セレス「人でなし。人である資格がない、ということなのかもしれませんわね」

セレス「うふ、上等ですわ」



セレス「……飛び立ちたかったのです。どこまでも天高く、高く」
 



114: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/22(木) 13:57:22.46 ID:0uFqbAoYO


桑田「オレは別に、よくわかんねーけど。外には危ねーもんが沢山あるし、部屋から出ちゃいけねーって思ってたら、なんかあぁなってた」


桑田「だけどよ、つまんねーのなんのって。一人でふにゃふにゃしたボール投げても意味ねーんだよ」



セレス「あら、湯婆婆様から溺愛されているではありませんか。羨ましいですわ」


桑田「おいコラ」
 



115: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/22(木) 13:58:36.85 ID:0uFqbAoYO


不二咲「僕は、千秋ちゃんに腕を引っ張られてここに来たんだ……。そう、だよね?」

七海「うん。だけどそれは、お父さんの意思」


不二咲「?」

七海「というより、私という存在が、お父さんの意思だから」


七海「分かりやすく言うと、私は強い感情から生まれた、妖怪みたいなもの……と思うよ?」




不二咲「……あんなにお店のもの勝手にバクバク食べてたのも僕の意思なのかな?」じと

七海「う、うん」


不二咲「……僕、止めたよね?」

七海「ごめんなさい」
 



116: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/22(木) 14:00:55.48 ID:0uFqbAoYO


不二咲「それで、大和田くんは?」


大和田「……わかんねぇよ」

不二咲「……」


大和田「あんま、覚えてねーけど。何かを求めて彷徨ってた、っつー感じだと思う」


セレス「難儀な方ですわ。もっと己の欲に忠実になれば、生きやすいというものです」

桑田「お前それで死んだだろ。知らねーけど絶対そうだろ」


石丸「生きやすいと言われても、もうみんな死んでいるからなッ!ハッハッハッ!!」

桑田「いや、笑えねーから」
 



117: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/22(木) 14:02:22.33 ID:0uFqbAoYO





石丸「一つ聞いていいかね」

大和田「おう」


石丸「君はまだ、強さに固執しているのだろうか」


大和田「…………おう」

石丸「そうか」
 



118: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/22(木) 14:03:21.79 ID:0uFqbAoYO


セレス「まぁ、では強くなりたくて不二咲くんを食べようとしていたのですか?」

桑田「お前はもうちょっと空気読むってことを覚えろ」


セレス「それは石丸くんに言ってくださいな」


石丸「いいや、素直に強くないたいと言えるようになったのだ!更生の第一歩と言えるだろうッ!」

大和田「そりゃまぁ……もうそこで見栄はってもダサいだけじゃねーか」


セレス「確かにそうですわね」

桑田「だからお前は空気を」
 



119: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/22(木) 14:05:20.84 ID:0uFqbAoYO












不二咲「僕と石丸くんは、これから湯婆婆に話をつけにいくよ。湯屋をやめて何処かへ歩くんだ」

石丸「平気だ。僕も本当の名を取り戻したのだから」


大和田「また何処かで……会えっかな」



不二咲「会えるよ、きっと」

石丸「ああ、きっとな」
 
 



120: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/22(木) 14:11:09.03 ID:0uFqbAoYO


――――――
――――
――


石丸「桑田くんとセレスくんは、舞園くんや山田くんに会えるのだろうか」テクテク

不二咲「……二人は抜け出せないよねぇ。僕達みたいに、ただ雇われてたっていうわけじゃないから」テクテク


石丸「しかし、いつか客として舞園くん達が湯屋に訪れるとも限らないだろう」

不二咲「それでも、待ち続けるんだろうね、桑田くん達は」


石丸「……あぁ、そうだな」


不二咲「僕達は、どこへ行こっか?」








七海「お父さん、お肉食べたい」

不二咲「千秋ちゃんは黙ってて」
 



121: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/22(木) 14:17:39.61 ID:0uFqbAoYO


――――――
――――
――


大「千のやつ、いなくなっちまって……別に、悲しくなんてねーけど……」ズビッ


大「本当の名前は不二咲千尋、だったか」




「……」ぬっ



大「!? お前、カオナシ!まだいやがったのか!?」


「……兄貴」




大和田「兄貴」




おわり(二回目)
 



122: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/22(木) 14:18:46.48 ID:0uFqbAoYO

番外編という名の大和田兄弟の会話を一つ投下して終えたいと思います。
おわりおわり詐欺ですみません。



123: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/22(木) 14:22:56.56 ID:0uFqbAoYO


【余談】


大和田「兄貴、すまねぇ。男同士の約束守れなかった」

大亜「そんな気にすんなよ。よくあることだろ、約束守れねーなんてよ」


大和田「でも、兄貴。男同士の約束だぜ?兄貴、言ってたじゃねーか。男同士の約束は……必ず守らなきゃならねーって」


大亜「あぁ、言ったな」クスクス

大和田「……?」


大亜「すまん、笑っちまって。……いや、だってお前、『男同士の約束』って言ったらいつも目キラキラさせてよ」

大和田「おう……?」




大亜「どんな無茶振りでも守ろうとすんのが面白くてな、つい使ってただけだ」


大和田「………は?」


大亜「真実なんてのは、そんなもんだ」

大和田「ふざけてんのかよ……兄貴」


大亜「お? 怒ったか?」ニヤァ

大和田「あったりめーだろぉがよぉ!! ざけんなこのクソ兄貴!!」
 



124: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/22(木) 14:25:08.45 ID:0uFqbAoYO


大亜「まぁでも弟で遊ぶもんだろ?兄ってのは」

大和田「殴る。ぜってー殴る」


大亜「わりーわりー、マジで悪かったって」


大和田「謝ってんじゃねーぞクソ!! 兄貴は何も悪くねーだろぉがよぉ!!」


大亜「悪ふざけで、お前にすげー辛い想いさせちまったんだろ? やっぱ癖になっちまってたのかなー……あんま死んだ時のことは思い出せねーんだけどさ」

大和田「……」


大亜「チーム潰したくなかったのは本当だけど、それでお前を追い込んでたんじゃ世話ねーよな」

大亜「にーちゃんなのにな。寂しくさせてごめんな」
 



125: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/22(木) 14:27:23.94 ID:0uFqbAoYO


大和田「ごめん、兄貴。無茶な運転してごめん」

大亜「ん」


大和田「兄貴のこと、チームのみんなにも黙っててごめん」

大亜「ん」


大和田「……こんな弱虫な弟で、ごめんな」

大亜「……弟なんつーもんは、みんな弱虫だ」


大和田「兄貴をあんな、めに合わせて、ごめんなさい」

大亜「弟を守るもんなんだよ、兄ってのは」





おしまい
 



126: ◆8TuyeGHSTQ 2015/01/22(木) 14:31:41.74 ID:0uFqbAoYO


いつも冗長ですみません。最後らへんクロス全然関係なくてすみません。

今回のテーマ的なものは「謝罪」的な感じでした。


石丸・ちーたん → 旅立ち
桑田・たえこ → 待ちぼうけ

大和田くんは一歩踏み出せたのかもしれないけど、依然としてカオナシです。これからも寂しく一人彷徨うカオナシです。
抜け出せるかは知りません。


ありがとうございました。
 



127: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/22(木) 14:35:50.85 ID:w5+CdksSo

最初「何このクロスww」だったのに後半の展開でなるほどと思った
面白かったよ乙ー













http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1421838907/