NECROPHOBIC

スウェーデン、ストックホルム出身のデス/ブラックメタルバンドです。

NECROPHOBIC_1st_Shot
NECROPHOBIC_Latest_Shot
上は1stアルバムの頃のグループショット。
下は現在のラインナップ。

さて今回は(わりと)大御所。

このまとめ、90年台半ばに活動していたバンドを主にネタにしているわけですけども
その頃のバンドは今となっては解散してしまっているものがほとんどです。
DARK FUNERALMARDUKなど(メンバーチェンジは多々ありましたが)
未だ一線で活動しているバンドは大したものだと思います。

そしてこのNECROPHOBICも、スウェディッシュブラックメタルムーブメントの初期に結成
多くのメンバーの変遷、紆余曲折を経ながらも
今もなお精力的に活動中のベテランです。
彼らは1989年にDavid Parland(G.)とJoakim Sterner (Dr.)
の二人を中心に
結成、バンド名はSLAYERの曲から取ったとのことで
CDのジャケやバンドロゴにペンタグラムを好んで使うなど、影響が見られます。
その意味においては彼らは純然たるブラックとしてスタートしたわけではなく、
「Hell Awaits」のようなサタニックなスラッシュ~デスメタルが起点だったと言えるかと。

それはオリジナルメンバーであり当時のソングライターであったParlandの嗜好であったと思われますが
NECROPHOBICは時代ごとにParlandも含めて中心メンバーまで大きく入れ替わっており
当然のことながら、アルバムごとに音楽性も異なります。
追っていきましょう。

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Satanic Blasphemies
NECROPHOBIC_SATANIC
いきなりすみませんがこれはオリジナルアルバムではなくコンピレーション
1990年、1991年にリリースされたデモ音源と
1992年リリースのEPをまとめたものです。
SLAYERの曲名からバンド名を取ったくらいですから
初期NECROPHOBICはブラックというよりも
まさしく初期SLAYERやBATHORYのようなイーヴルなスラッシュメタルを標榜したバンドでした。
トレモロリフにスラッシュビート、抑揚のないダミ声で吐き捨てていくヴォーカルという
シンプルながら邪悪感満点のデス寄りスラッシュメタルが貫かれます。

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The Nocturnal Silence
NECROPHOBIC_THENOCTURNAL2
1993年リリースの1stアルバム。
Black Mark Productionからのリリース。

この時のメンバーを書いておきますと

Anders Strokirk (Vo.)
Tobias Sidegård (B./Vo.)
David Parland (G.)
Joakim Sterner (Dr.)

というメンツ。
主に前述のデモとEPに収録されていた曲で構成されており
スラッシーなスタイルのアルバム。
ある意味、「バンド、NECROPHOBIC」としてよりも、
Parlandのスタイルが詰まったアルバム、ということが言えるかと思います。
なお、彼は同時期にBlackmoonの名でLord AhrimanとともにDARK FUNERALを結成
「The Secrets of the Black Arts」アルバムまで参加、多くの楽曲に関わっています。
この点だけでも彼がスウェーデンのシーンにおいて重要な存在であった証左と言えるでしょう。

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Spawned by Evil

NECROPHOBIC_SPAWNED3
1996年リリースの4曲入りEP
本作からMartin Halfdanが加わりツインギター体制に。
またヴォーカルの
Stefan Harrvikが脱退、
ベースの
Tobias Sidegårdがヴォーカル兼任となっています。
本作はオリジナル曲は#1のみですが、その#1は
DARK FUNERALでの活動なども影響したのか
スウェディッシュブラックらしい音階のリフを駆使したスタイルの曲。
ある意味ここからNECROPHOBICは本格的にブラックメタルへとシフトしていったと言えるかも知れません。
他3曲はSLAYER ”Die by the Sword” VENOM ”Nightmare” BATHORY "
Enter the Eternal Fire"と
実にわかりやすいチョイスのカヴァー。

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Darkside
NECROPHOBIC_DARKSIDE1
1997年リリースの2ndアルバム。

ジャケ絵はもちろんNecrolord
これだけでも買う価値ありますねあるよな?

ここでまたしても大きなメンバーチェンジが。
オリジナルメンバーで中心人物であった
David Parlandが脱退
Sebastian Ramstedtがギタリストとして加わっています。

1stアルバムまでは全曲がParland作曲によるもので
本作も#1(曲タイトルも「Black Moon Rising」)は彼の作曲によるものですが
アルバム制作時は既にバンドのイニシアチブはMartin Halfdanに移っていたようで、
#9や#10などは彼ひとりによる曲。

アルバム全体としてはまだスラッシュスタイルとブラックが混在している印象ですが
特に#10などはDISSECTIONを思わせるようなスタイルで
バンドをスウェディッシュブラックたらしめたのは
Halfdanの影響も大きかったことを想像させます。
ちなみに#8ではそのDISSECTIONのJon Nodtveidtがヴォーカルでゲスト参加。
ということでこのバンドもDISSECTION人脈に繋がる…ってもういいですね。

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The Third Antichrist
NECROPHOBIC_ANTI2

1999年リリースの3rdアルバム。
前作から3年が経過し、
「David Parlandのバンド」から完全に脱却、
メンバー間のリレーションも向上したのか
Martin HalfdanとSebastian Ramstedtという二人のギタリスト/ソングライターの才が発揮された傑作。

全曲にバンドとしての統一感と個性が確立されており
デス/スラッシュ的なソリッドなリフとブラックらしいトレモロリフが行き交い
時に流麗なリードプレイが華を添える。
DISMEMBERENTOMBED等を手掛けた
Tomas Skogsbergによる
クリアでありながら太く重厚な
音作りもポイント。
ちなみに何故かジャケットはNAGLFAR
Jens Rydénが手掛けている模様。

本作は当時、日本盤もリリースされています。
良い時代だったもんですね。

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Bloodhymns
NECROPHOBIC_BLOOD2
2002年リリースの4thアルバム。

これまたメンバーチェンジが発生。
なんと前作で中心的役割を果たした
Martin Halfdanが脱退

Johan Bergebäckが2ndギタリストとして加入。
これに伴い、本作の作曲クレジットにはすべてSebastian Ramstedtの名が。
またしてもバンドの中心人物が入れ替わった訳です。

前作はデス/スラッシュ成分とメロブラのそれがバランス良くブレンドされた作風でしたが
本作は
David Parland期を想起させるような
スピーディなスラッシュ寄りブラックの風味が強くなりました。
性急に突き進むドラムに
前作よりもノイジーな音でかき鳴らされるリフ。
そこに加えて、前作では厚く作られていたサウンドプロダクションが
本作では隙間の多いロウな音作りとなっている点がスラッシーな印象を強めています。
その一方で、#5や#7のリードプレイなど、
Ramstedtのメロディへの意識が見える場面も。
バンドが過渡期にあったアルバムと言えるかと。

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Hrimthursum
NECROPHOBIC_HRIM2
2006年リリースの5thアルバム
カッコ良いジャケ絵はNIFELHEIMのベーシストでもあるTyrantこと
Erik Gustavssonの作。

メンバーは前作と変わらず。
本作も#1と#4をTobias Sidegårdが書いているほかは
全曲で
Sebastian Ramstedtが作曲としてクレジットされております。
前作はややラフなスタイルでしたが
本作は4年振りということもあってか曲作りも丁寧になった印象。
メロブラ的な邪さを漂わすメロディが大幅に増し
メロデス/メロブラのバランスが絶妙な傑作に仕上がっています。
「赤ちゃんキリスト虐殺」とかいう物騒なタイトルのオープニング曲#1に続く#2、
これを聴けば本作の充実っぷりがわかる筈。

デス/スラッシュ的な疾走感とソリッドなリフがガッチリと噛み合った硬派なスタイル
程良くメロがまぶされたカッコ良い楽曲が満載。
要所要所では女声コーラスの導入などのアレンジもスケール感のアップに貢献、
また、Sidegårdのヴォーカルも表現力を増しておりバンドの状態が良いことが窺えます
#7は屈指の名曲。

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Death to All
NECROPHOBIC_DEATHTO2
NECROPHOBIC_DEATHTO3
2009年リリースの6thアルバム。
「みなごろし」とかタイトルがもうね
ちなみにスリップケース仕様となっており、上の画像
そのスリップケースです。
ちなみにアートワークはWATAINのE.(
Erik Danielsson )。

本作ではベーシストとして
Alex Fribergが加入。
Tobias Sidegårdがヴォーカル専任となったほかはメンバーは変わらず。

結論から言うと、4thアルバムから続いた
Sebastian 体制下のNECROPHOBIC最高傑作と言えるかと。

根底にスラッシュメタルが明確に存在するリフ、
ブラストを使うことなく心地良く疾走するドラムワーク
を軸に
イーヴルなメロディを惜しみなく投入し肉付けした楽曲群は軒並み高次元で完成の域。
時に厚いコーラスを導入するなどスケール感のあるアレンジも冴え渡る。
そこに切り込む
Ramstedtリードプレイは彼がソロイストとしても優れたプレイヤーであることを窺わせます。
Sidegårdもヴォーカル専任となったことを納得させるパフォーマンスを披露しており
グロウルでドラマを表現できる数少ないヴォーカリストと言って良いでしょう。

特に#5~#8の後半の怒涛の流れは堪りません。
ゼロ年代の名盤のひとつに数えて良い作品だと思います。

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Womb of Lilith
NECROPHOBIC_WOMB2
2013年リリースの7thアルバム、そして現時点での最新作。

ここに来て衝撃の(何度目だよ!ということは言わない方向で)メンバーチェンジが発生

4thアルバム以来、バンドの主軸となっていたSebastian RamstedtとJohan Bergebäckのギターコンビが脱退。
前作あんなに良かったのに…。さすがにもう、そうか、アカンか…というところですがバンドは継続。
後任としてUNLEASHED
Fredrik Folkareを迎えます。

ここ数作のNECROPHOBICはRamstedtの書く曲、リードプレイ、
またBergebäckとのコンビによるリフワークがバンドを支えていただけに
当然ながら本作では音楽性は変化。

「リリスの子宮」というアルバムタイトルからしてサタニックな宗教的テーマを感じる本作。
リリスは数々の悪魔を産んだとされているとおり
その他の曲も「Astaroth」「Asmodee」「
Marchosias」など軒並み悪魔をテーマにした曲が並びます。

このことからも想像できる通り本作は宗教的暗さに包まれた黒々とした空気に包まれたアルバム。
オープニングに続く#2、#3などは初期に見られたような粗野なスラッシュスタイルがベースに見えますが
ここ数作で培われたイーヴルなアレンジがそれを染め上げています。
そしてメロウかつ荘厳さを漂わせる
#6を境に、バンド史上屈指のメロディアスなリフを持った#8や#9など
本作もまた後半に行くに従い、「らしい」楽曲が並び盛り上がります。
この辺りは長年の活動の成果か、
メインのソングライターは変わってもNECROPHOBICらしいスタイルに仕上げる曲作りを確立しているのでしょう。

そして、注目すべきは
Fredrik Folkareのギターワーク
僕はこれまでUNLEASHEDはあまり聴いたことが無かったんですが
本作を聴いて彼が実に良いギタリストであることを発見しました
バンドもそれを意識してか、本作では全編に彼のリードプレイが存分にフィーチャーされています。
スウィープ等を駆使した速弾きも、叙情的なロングトーンも披露していますが
現状を見る限りシーンでも過小評価されていると言わざるを得ません。
まあ僕も言えた義理じゃありませんけどねw

ということで新加入ながら見事に華を見せたFolkareのプレイが光る本作。
ランニングタイム68分という大作ですが
最後まで聴かせきる力作。
メンバーが変わろうともNECROPHOBICというバンドが
高いクリエイティビティを持っていることを証明した好作です。

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ということで最新作までご紹介しましたが、
この後のバンドの状況を書いておきますと
なんと長年、不動のフロントマンであった
Tobias Sidegårdが2013年にバンドを脱退
妻と子供に対する暴力事件が原因とされています。
後任に迎えられたのはAnders Strokirk。
なんと1stアルバム以来、20年振りの再加入

そして昨年末、なんとなく予想通りな感じもしましたが

Fredrik Folkareが脱退、
入れ替わりでなんと
Sebastian RamstedtとJohan Bergebäckが揃って再加入
現在はヨーロッパのフェスを中心に精力的にライブを行っております。

そして。

このくっそ長い記事ですが、
書いていなかった重要なこと。
それは、
たったひとり一度もバンドを離れること無く
NECROPHOBICの名を守り続けた
ドラムのJoakim Sternerの存在。

バンドの人脈図を見ると、このバンドは本当に多くの人物が関わっています。
そもそもが
David Parlandが中心としてスタートしたバンドでありながら
彼は早々に脱退。
その後も中心メンバーが多く変わり、バンドとしての実体が見えにくかったことが
このバンドが長いキャリアを持ちながら、今ひとつメジャーになり切れなかった要因であろうと思います。

そんな中、Parlandとともにバンドを結成したSterner。
決して目立つドラマーではありませんが、多くのメンバーチェンジを経たにも関わらず
NECROPHOBICがバンドとして一貫性を持ち続けていたのは彼の尽力に他ならないでしょう。
ちなみにParlandは2013年に自ら命を断ってしまい、
Sternerはいよいよひとり残されてしまいましたが、
是非とも彼にはNECROPHOBICの看板を掲げ続けて欲しいものです。

でね。
あのさあ、わかりますよね。
ライブ活動ね、精力的にやっているんですよ。
一度とは言え、日本盤も出たことあるんですよ。
ね?

(#゚Д゚)日本呼べやゴルァァァァァーーー!!!!!!!

まあ現実的には難しいでしょうけど、いすれ出るであろう新作リリースの際には…

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