カンロニの脳内整理

読んだssの感想ブログ。備忘録的な。 気付いたら7年目。

タグ:戦争

題名:もしも異世界の魔王様がクラウゼヴィッツの『戦争論』を読んだら
作者:八十八
場所:小説家になろう
タグ:オリジナル ファンタジー 戦争 軍人 魔王 勇者 異世界転生 シリアス

[あらすじ]
 魔物の帝国インダリアは、長らく人類との争いを続けていた。そんな中、今亡き先代魔王に代わって新魔王に就任した一人娘のエレナードは、退屈な日々を送っていた。
 戦争って言っても、どこで何が起きているの?
 箱入り娘のエレナードは、部下達の気遣いにより外界の情報を殆ど知らされず、人類との戦争は遠い地の出来事でしかなかった。
 そんなある日、魔術師のエニセイがエレナードに一冊の書物を差し出す。
「これは異世界より転移させた書物を解読したものです」
 そう告げたエニセイが取り出したのは、地球(アース)と呼ばれる異世界の軍人クラウゼヴィッツが記した『戦争論』と表される書物だった。
 暇を持て余すエレナードは、『戦争論』を始めとした様々な書物を読みふけり、戦争のなんたるかを理解する。同時に、魔王軍が窮地に陥っていることを始めて理解した。

 地球(アース)で培われた軍事知識を得て天才軍師となった魔王エレナードは、いかなる軍略を用いて人類に対抗するのか? いかにして魔物達の生存圏を確保するのか?
 戦争と平和の本質をコミカルに描いた本格軍略作品がここに開幕!

[感想]
 戦争とは何か、をマイルドにわかりやすく伝える良作。戦争らしい惨さやえぐさは極力排してあって、中学生でも読める感じ。初心者向け。
 為政者として国を守ろうとする魔王、彼女らを悪と断じ進む人間。お互いがお互いを殲滅しなければ平和が訪れないと思い込んでいる恐怖。そして死を直視して正義と悪で分けられない戦争の本質(所詮は生き物同士の諍い)に気づいた勇者。
 戦争を終わらせる方法とは何か、平和への道筋とは何か……。
 とても読みやすかった。いいお話だった。

題名:脳筋都市国家に飛ばされた男が「詩人」として成功するためのたったひとつの方法
作者:キュノスーラ
場所:小説家になろう
タグ:オリジナル 歴史 古代ギリシャ スパルタ 戦争

[あらすじ]
 紀元前7世紀、古代ギリシャの大地にて……
 アポロン神の神託により、ひとりの若者が都市国家スパルタに招かれた。
 自分が「詩人」として輝かしい成功をおさめることを、夢にも疑わず。
 だが、現実はとてつもなく厳しく、スパルタは、彼の予想を超えてとんでもない場所だった!
 果たして彼は無事に生き延び、歴史にその名を残すことができるのか?

「第2次メッセニア戦争」の時代を生きた、とある男の物語。

[感想]
 泣いた。スパルタの気質と伝統、戦争の恐ろしさと闘争の熱さ、それらを詩人の視点から読んでいく楽しさ。すべてが胸に迫るよ……。詩人が将軍として覚悟を決めていく過程、周囲の変わりゆく空気が肌に感じられる。史実を基にしつつ創作をプラスして完成させた手腕はすごい。
 ただラストはハッピーエンドではない。バッドエンドでもないけれど。
 これは歴史の一部に過ぎない。戦争の勝敗は史実通り変わらないけど、その戦争を直視し駆け抜けてしまった彼が今後どう生きたのか、文献には――記されていない。そこに何を見出すのかは、読者次第である。

題名:前略母さん、魔界は今日も世紀末(ヒャッハー)です
作者:もぎ すず
場所:小説家になろう
タグ:オリジナル 転生 人外 魔王 戦争 成り上がり

[あらすじ]
 元日本人の青年が、オーガ族のゴーランとして魔界に転生した。
 魔界はいま、あちこちで戦争が勃発し、戦国時代さながらの下克上。加えて、魔界の住民もヒャッハーな奴らばかり。
 半歩下がると2歩踏み込んでくる相手に、謙譲の美徳は通用しない。内心でどう思っていようと強く出なければ、自分の権利すら守れない。それが魔界。
「仲間を守るためには、命を賭してでも実行しなさい」
 生前、母親にそう言われ、その家訓を律儀に守ろうとするも、問題は次々とやってくる。
「身内は俺が全員守る!」
 そう決意するゴーランだったが、魔界は今日も世紀末です。

[感想]
 簡単なことを二つ、三つくらいしか覚えられない脳筋戦闘種族オーガ族。他から肉の壁としか利用できないと思われている彼らを無駄死にさせまいと、突撃命令ばかりを出す上司に下剋上したことが始まりだった――。
 生前、チートな道場主から合気道から暗殺拳まで習得させられたゴーランは、その技術を使い保有魔素の絶対的な格差を乗り越え、上へ上へと登っていく――。

 致命的な失敗はしないし、絶望的な挫折もなく、成り行きって感じで着々と進んでいくお話でした。戦記ものではない。人間も出てこない。ヒロインもいない。とりあえずオーガ族の犬死をなくすために動いて、戦争が起こり、戦争が起こり、戦争が起こる。なんだかんだ戦って、戦って、進化する。そんな話。
 地球との関係や魂のしくみ設定はよく考えられていて、コミカルな部分も楽しんで読めました。説明回が割と長いけど、ほんとうまくまとまってる。すごい。
 個人的にネヒョルは後半思わず応援してしまった。お前ゴーランに全部潰されていくのによく頑張ってるよ…。

このページのトップヘ