1:2014/10/19(日) 22:15:59.72 ID:
 
――――桜中学校


梅岡「こ、このイラストは…!?」

梅岡「このデザイン…。この繊細さ…。少しデザインをかじっただけの僕でも解る」

梅岡「このデザインは天才的だ!これほど才能のある子が僕のクラスに居たなんて…!」

梅岡「このノートの持ち主は……桜田!?桜田ジュンだって…?」

梅岡「こ、これはすごい!!これほどの才能を埋れさせるのはもったいないぞ!」

梅岡「学年集会で発表しよう!まずは掲示板に貼りだしだ!!」タタタッ…!






雪華綺晶「………」
 


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1413724549
2:2014/10/19(日) 22:17:42.83 ID:
きらきー祭りの時に書いたけど結局投下できなかったSSです。
本編とおまけがありますが、おまけが本編みたいになってしまいました。
本編は前スレとそんなに関連はありません。
今日明日の夜に投下します。

前スレ
http://blog.livedoor.jp/ssweaver/archives/41490609.html
 



3:2014/10/19(日) 22:28:33.96 ID:
 
掲示板前

ワイワイ… ザワザワ…
スゲー! キレー! スゴイカシラー!


ジュン(な、なんで!?)

ジュン(どうしてあの絵が掲示板に…!?)

ジュン(あっ!宿題のノート…!落書きしたまま提出しちゃったんだ)

ジュン(でも、なんで…!?)



「本当にすごいねー」

「でもさー、なんかちょっとエロくねー?」

「言われてみればスカート短いかも…」

「描いたの男だったりして」

「え――、キモ…」

「ないよないよ。アレ絶対女のセンスだもん」

「ほら行こ。学年集会始まっちゃうよ」



ジュン(うぅ…)






イラスト「」

雪華綺晶「……」ジー



5:2014/10/19(日) 22:31:21.76 ID:
「では次に…、文化祭実行委員顧問の梅岡先生から連絡があるそうです」


梅岡「えー、皆さん」

梅岡「掲示板に貼りだしたプリンセスの衣装。もう見てくれた人はいますか?」


ジュン「!」ドキッ


梅岡「先生はノートに描かれたイラストを見て感動しました!」

梅岡「素晴らしい才能です!」


ジュン「…」ドクン


梅岡「みんなもどんどん個性的なアイデアでデザインを応募してみて下さい!」

梅岡「あのステキな衣装を考えてくれたのは…」


ジュン「……」ドクン ドクン



梅岡「1年3組……桜田ジュンくんです!」



6:2014/10/19(日) 22:34:09.36 ID:
 
ザワザワ… ワイワイ…


「誰?どいつどいつ?」

「げー、男かよ…」


ざわざわ…


「すごーい!桜田くん」

「やっぱりなぁ。やっぱり桜田だったじゃん」

「やっぱりって何が?」

「俺の姉ちゃんがあいつの姉ちゃんと友達でさぁ」


ざわ ざわ 


「デザイナーみたいだよねー」

「うん!すごいよね」

「でもさ、なんか怖くない?」

「桑田のスリーサイズ考えながら描いたんだろ?」

「普段からエロい目で見てたんじゃね?」

「やべーって、アイツ―――」

「うぇ~、こえー」

「ちょっと!やめなよ」


ジュン(うぅ…ぅ…」



7:2014/10/19(日) 22:35:40.25 ID:
ジュン「うぁ…ぅ…」


「家で編み物したり洋服作ったりしてるんだろ、アイツ―――」

「案外着る方が趣味だったりしてな」

「桑田さんも災難だよなぁ」



由奈「………」

由奈「……」プイッ


ジュン「ぅ……ぐ…」



ザワッ!


キャ―――――ッ


うわっきったね…


桜田が吐いた―――!



静かに!! 静かにしなさい!


キャーー ワーー ワーー…
 



8:2014/10/19(日) 22:39:52.72 ID:
 
誰が悪かったのか…。私の口からは一概には言えません。


学年集会で発表してしまった梅岡先生のせい?
友達に話してしまったのりお姉様のせい?
悪口を言っていた同級生のせい?
冷たい態度を取った桑田さんのせい?
あの場所に居ながら何もできなかった雛苺のマスターのせい?
うっかり落書きを残したまま提出してしまった小さいマスターのせい?


わかりません…。
でも、私にものりお姉様と梅岡先生の気持ちはわかります。


自分の弟が、生徒があれほどの才能を魅せたのです。
言いたくなるのは人の性。2人共すごく嬉しかったのでしょう。
たとえ、本人の気持ちが真逆だったとしても…。




もし…、もしも小さいマスターが私のマスターだったら……私はどうしたでしょうか。

お姉様たちに自慢して…ドレスを作ってもらって……彼がいてくれたらアリスにもなれた。
自慢したくもなりますよね。
だからこそ、紅薔薇のお姉様が憎かった…!だって私が最初に見つけたのに…。


でも私は間に合わなかった。糧が必要だったから。維持できなかったから。
すぐには彼の下に行けなかったし、まだ傷が深いと思ったから…。



彼とわたくしの苗床を探して戻ってきた時には…すでに真紅がそこに居た。



9:2014/10/19(日) 22:41:49.19 ID:
 
すごく……すごく悔しかった。

だって……だって!この時代でアリスゲームが始まるのはわかっていたし、
彼がローゼンメイデンに深く関わってくる事も知っていた…。


彼が巴様とのりお姉様とお人形遊びをしていたのも見ていたし、
お洋服のデザインを手がける度に腕が上がっていくのも見ていて飽きなかった。

私はすぐに契約しようとした。でも…、



ラプラスの魔「いけませんよ。7番目のお嬢様」

雪華綺晶「ど、どうして…?」

ラプラスの魔「まだ姉妹は誰も目覚めてはいないのです」

雪華綺晶「そんなの構いませんわ!この時代でアリスゲームが始まるのは知っているのですから」

雪華綺晶「早めに契約してその時を待ちます」

ラプラスの魔「クック…、これはこれは…」ククク…

雪華綺晶「…なんですか?」

ラプラスの魔「いえいえ…」ククク…

雪華綺晶「…怒りますよ…?」

ラプラスの魔「トリヴァル!私はゲームの審判のようなもの」

ラプラスの魔「ルール違反は見逃せませんよ」

雪華綺晶「ルール違反?」



10:2014/10/19(日) 22:45:39.42 ID:
ラプラスの魔「えぇえぇ。ルール違反です」

雪華綺晶「早くに契約するのはいけないことなのですか?」

ラプラスの魔「他の姉妹だったらよろしいかと。しかし、あなたは…」

雪華綺晶「…あっ!」

ラプラスの魔「そうでしょう。そうでしょう。ククク…」

ラプラスの魔「あんな小さなお子さんと契約してどうするのですか?」

ラプラスの魔「しかも、アリスゲームが始まるまで…あと3,1536,0000秒―――10年後」

ラプラスの魔「契約したらあの子の命はあっという間に…」

雪華綺晶「わ、わかりました…。成長するまで彼を見守っていますわ…」



私は姉妹の中でも…、特殊な第1ドールよりもさらに特異な存在だった。
ボディが無く、ローザミスティカだけの幽体。アストラル。
姉妹の中で最もアリスに近いアストラルのドール。その代償なのか…リスクもあった。
ローザミスティカだけでは存在を維持することができなかったのです。

ボディが無いハンデ。それを補うには人間の意識が必要だった。
手段は1つ。人間を複数眠らせて私の糧にしてしまう。
ローゼンメイデンのマスターになった人間はみんな眠らせて閉じ込めてしまうの。


お父様…。なぜ私をこんな風に造ったのですか?
こんな私がアリスになれますか?



11:2014/10/19(日) 22:48:40.43 ID:
 
――――ローゼンの箱庭(過去)


私が目を覚ましたとき。
お父様のアトリエには誰も居なかった。


箱庭に出てみる。荒れ放題。
ここにも誰も居ない…。
みんな去ってしまった。私が来る前に。



………私はだぁれ…?

だぁれ……


荒れ果てた箱庭で私はひとり。…ひとり。




ラプラスの魔「おやおや、おはようございます。お嬢さん」


だれ?ウサギさん?


ラプラスの魔「えぇえぇ、ウサギでございます」



ラプラスの魔はいろいろ教えてくれました。
お姉様たちにしたようにアリスゲームの説明。
私の名前。お父様。姉妹たち。ローザミスティカ。マスター。世界のこと。

あと、この箱庭はお父様からのプレゼントなのだと聞いた。


オルゴール

バイオリン

如露

ハサミ



ぬいぐるみ


そして、おもちゃやお菓子、楽器や作品などのプレゼントたち。
お姉さま方は多くのプレゼントを頂いていたらしい。

それなのに私には…。
箱庭なんて大きすぎて…私にはとても…。
それに…、なんで私にだけ姿を見せてくれないの?

お父様。
なぜ私にだけ身体をくださらなかったの?



12:2014/10/19(日) 22:50:01.33 ID:
 
私はずっと観てきた。



水銀燈『メアリー……貴女、そんな性格じゃ友達少ないでしょ』


金糸雀『この手紙を届ければいいのね?カナにおまかせかしら!マスター』



雪華綺晶「あれが私のお姉さま方…?すてき…すてき」



翠星石『蒼星石、かっこいいですぅ』

蒼星石『からかわないでくれ。ほら、おじいさんとレオシュの所に行くよ』



雪華綺晶「かっこいいし、かわいいですわ」ウフフ



真紅『アリス……いや、ワトスン君、これは事件よ』


雛苺『わかったわ。かくれんぼしてずっと待ってるわ。コリンヌ…』



雪華綺晶「………」


雪華綺晶「私はどうして独りなの…?」



私は どこに還ればいいの?



13:2014/10/19(日) 22:53:08.84 ID:
雪華綺晶「お姉さま方には皆マスターがいた」

雪華綺晶「わたくしも…」

雪華綺晶「私も身体がほしい」

雪華綺晶「そして、ぜんまいを巻いてくれる人がほしい…」



ゴオォォォォォォォォォォォォン!!!!!


雪華綺晶「キャッ!」ビクッ


ゴオォォォォォォォォン!!!!


雪華綺晶「い、一体なにが…?!」


ゴオォォォォォォン!!


雪華綺晶「こ、これは…、天蓋の大時計…?」

雪華綺晶「今まで一度もこんな風に鳴らなかったのに…」


ゴオォォォォォォォン!!    ゴオォォォォォォン!!


雪華綺晶「何故いきなり…?」



14:2014/10/19(日) 22:56:45.21 ID:
 
頭上を見上げると、大きな大きな時計。
時分秒だけでなく、年や月、星座もよめる天蓋の大時計が鳴り響いていました。

今まで鳴らなかったのに何故いきなり…?



私はお父様のアトリエに入り、時計内部に続く通路へ急ぐ。
長年調べた甲斐もあり、通路の場所は知っている。でも……

時計内部に入ったことはなかったの。


雪華綺晶「うぅ…」


不安と好奇心との狭間。時計がなぜ鳴っているのか、ただ知りたいだけ。
アストラルだから歯車を警戒しなくていいと思う。
でも、怖い。

怖いけど…!


雪華綺晶「いきますわ…!」


好奇心は猫をも殺す。
そんな言葉が私の頭を過ぎったが、身体は止まらない。
もう止められない。

好奇心に勝てるはずもなく、私は通路の扉を開けました。



15:2014/10/19(日) 22:59:05.13 ID:
雪華綺晶「ここは…?」

雪華綺晶「私は通路に入ったはずじゃ…」


扉に飛び込んだ。飛び込んだまではよかった。
でも、ここはお父様のアトリエでもなければ、時計内部に続く通路でもない。
外。どこかの広場。俗に言う公園。

今思えば、通路の扉はnのフィールドに変えられていたのだと思う。



無意識の海での事だけど、私は世界を廻った。
それでも、第1世界に来たのはこれが初めて。驚きも一際大きい。
そんな感じで混乱していた私に2つの影が目に入った。


「ジュンくん、またねー!」

「トモエちゃんも、またねー!」


あれは日本語…?ここは日本?…日本のこども。


「ママとお姉ちゃんおそいなー」


『桜田ジュン』との初めての出会いでした。
いえ、出会ってはいませんね。なぜなら、私は凍った水たまりから覗いているだけ。

実体のない私にはnのフィールドから眺める事しかできませんでしたから。


「一人じゃつまんない…。 あれ? あれなんだろ?」



16:2014/10/19(日) 23:07:09.49 ID:
 
ベンチに人影が一つ。
その人は布を頭からスッポリ被っていた。


「こんにちはー。なにをしてるの?」

「これかい?これは人形劇だよ。よかったら観ていくかい?」

「うん!」


人形劇。お人形の私も興味があった。彼と一緒に夢中になって観ていました。




「第一幕は楽しんでいただけたかな。 坊や」

「うん。すごいね。生きてるみたいだった」

「生きてる人形も混じってるからね。よく見ていてごらん」

「―――さあ、第二幕のはじまり…」


生きてる人形。そして、この懐かしさ。言い知れぬ予感。
わたくしは人形劇を見続けた。



娘を亡くした男の物語。
人形を造り、錬金術で娘を蘇らせようとした悲喜劇。

彼は人間をやめてからも人形を造り続けた。
そして…


「……ついに生成した…私の…



『ローザミスティカ』」」




あぁ、やっぱり…。気持ちを抑えられない。


雪華綺晶「お父様ぁ!!」



17:2014/10/19(日) 23:10:11.02 ID:
 
―――ローゼンの箱庭


雪華綺晶「あら?ここは…」

気づいた時は箱庭。
眠らない私の意識に干渉してくるなんて、こんな事ができるのは…


雪華綺晶「やっぱり、あれはお父様だったのね」

雪華綺晶「でも、なんのために…?」


初めて見たお父様とお話しすることもなく、戻された事に疑問が残る。
でも、すぐに解決した。

雪華綺晶「わかりましたわ!あの子が私のマスターなのですね」


人口精霊のいない私は自分自身でマスターを見つけるしかなかった。
だから、お父様は人口精霊の代わりにマスターを見つけてくれたのです。


雪華綺晶「私にマスターができる…。こうしてはいられませんわ!」

雪華綺晶「契約する前に箱庭をお掃除しないと。マスターをお呼びできるように素晴らしい場所にしてみせますわ」



それからは箱庭の大掃除。さらに水晶のお城を建てて準備万端!
でも、まだ契約はできないから彼を見続けていた。



18:2014/10/19(日) 23:12:33.27 ID:
「ジュンくん、またお姫様描いてー」

「うん、いいよ」

「わー、きれいきれーい」


あれはお姉さま方の絵?やっぱり彼は…


「ジュンくんの描くお姫様はみんな幸せねー」

「ステキなドレスばっかりなんだもの」

「へへ…」


えぇ、本当に幸せそう。
私も幸せにしてください。マスター。





「はい、直ったよ。姉ちゃん」

「良かったぁー」

「ありがとう。ジュンくん」

「ジュンくんの作ってくれたこの子のお洋服… お気に入りなんだもの」


あぁ…、すごい。なんてすごいの。
私が壊れたら直してくれるかしら?
わたくしにもお洋服を作ってくださるかしら?

あぁ、お姉さま方に紹介したい。
『あれがわたくしのマスターです』…と。



19:2014/10/19(日) 23:14:20.45 ID:
「元気でね…トモエちゃん…」

「うん…ジュンくんも元気でね…、また会えたらお人形のお洋服作ってほしい…」

「うん。作るよ!もっと上手くなってるから!」

「うん…グスッ……ありがとう。…じゃあね…」

「…またね」



「うぅ…姉ちゃん…」

「グスッ……ジュンくん大丈夫よぅ。きっとまた会えるわ」




グスン…
人間はこうして成長していくのですね。
すごく切ないですわ…。
元気を出して、マスター。



20:2014/10/19(日) 23:16:14.27 ID:
「ウエディングドレスとウィッチドレスのデザインできたよ」

「すごいわ!もうプロも顔負けよぅ!」

「大袈裟だなぁ」

「じゃあね、じゃあね、今度は女格闘家ドレスチェンジ布槍術装備を描いてほしいの!」

「ドレスチェンジ…?ふそう…?」



さすがマスター!
あの歳で見違えるような技術です。
あぁ、わたくしにもドレスを作ってほしいですわ。



「布槍ってつまり布だよな?こんな感じ?」

「きゃーー!すごいわ!ジュンくんって天才ね」

「今度はね、女吟遊詩人風衣装を作ってほしいの」

「吟遊詩人って…」



本当に素晴らしい。
彼と一緒ならアリスにだってなれる。
そして、お父様やお姉さま方と一緒にいられるようになる。

あぁ、なんて素敵なの。



21:2014/10/19(日) 23:17:26.98 ID:
 
――――桜中学校


梅岡「こ、このイラストは…!?」

梅岡「このデザイン…。この繊細さ…。少しデザインをかじっただけの僕でも解る」

梅岡「このデザインは天才的だ!これほど才能のある子が僕のクラスに居たなんて…!」

梅岡「このノートの持ち主は……桜田!?桜田ジュンだって…?」

梅岡「こ、これはすごい!!これほどの才能を埋れさせるのはもったいないぞ!」

梅岡「学年集会で発表しよう!まずは掲示板に貼りだしだ!!」タタタッ…!






雪華綺晶「………」

雪華綺晶「うふふ、マスターはやっぱりすごいですわ」



22:2014/10/19(日) 23:18:48.85 ID:
 
掲示板前

ワイワイ… ザワザワ…
スゲー! キレー! スゴイカシラー!


ジュン(な、なんで!?)

ジュン(どうしてあの絵が掲示板に…!?)

ジュン(あっ!宿題のノート…!落書きしたまま提出しちゃったんだ)

ジュン(でも、なんで…!?)



「本当にすごいねー」

「でもさー、なんかちょっとエロくねー?」

「言われてみればスカート短いかも…」

「描いたの男だったりして」

「え――、キモ…」

「ないよないよ。アレ絶対女のセンスだもん」

「ほら行こ。学年集会始まっちゃうよ」



ジュン(うぅ…)




イラスト「」

雪華綺晶「……」ジー

雪華綺晶「こんなに素晴らしいのに…なぜ悪口をおっしゃるの?」



23:2014/10/19(日) 23:20:59.48 ID:
 
――――保健室


梅岡「いきなりでビックリさせてしまったかなぁ…」

梅岡「先生なぁ、あのノートの衣装に感動してしまって…みんなに桜田の才能を知ってもらいたくてなぁ…」


その気持ちわかりますわ。
なんで皆さんあんなにヒドイ事おっしゃったのでしょう?


梅岡「でも、みんなスゴイって言ってたぞ」


褒めていた方もいました。
それはいいのですが、マスターの心は……


ジュン「う…ぇッ」

梅岡「だ、大丈夫か!?桜田!」




その日を堺に彼は学校に通わなくなった。



24:2014/10/19(日) 23:22:35.09 ID:
 
――――ジュンの部屋


ジュン「笑われるくらいなら認められたくなんかない」

ジュン「誰にも知られたくなかったのに…」

ジュン「ふざけるな!………ふざけるな…」


ジュン「消えたい…。知られたくない…」

ジュン「眠ろう……眠れば何も考えなくてすむんだ…」

ジュン「………」

ジュン「……」




雪華綺晶「マスター…」


私はどうすればいいの…?
こんな時に契約しても彼を苦しめるだけ…。

そうですわ!逆に私から力を与えればいいのです。
他の人間から力をもらって彼に与えれば…!

それに、もうすぐアリスゲームが始まる。
準備はできていますけど、急いだ方がいいかもしれません。



25:2014/10/19(日) 23:25:00.23 ID:
 
それからは大忙しだった。
ローゼンメイデンのマスターだった者たちの縁の者を眠らせ、力をもらう。
そうすれば、負担どころか彼を元気にしてあげられる。

なぜもっと早くにこの考えが浮かばなかったのでしょう。

そうですわ。
そろそろお姉さま方も目覚めるはず。
お姉さま方のマスターも頂きましょう。




――――nのフィールド


雛苺「トモエー、今日はお人形で遊びましょ!」

巴苺「雛苺…」


雪華綺晶「はじめまして、お姉さま」

雛苺「うゅ?誰なの?」

雪華綺晶「私は雪華綺晶と申します」

雪華綺晶「今回はすべてのドールが目覚めるでしょう」

雛苺「アリスゲームが始まるのね…」

雪華綺晶「はい。7人みんなで遊ぶのです」

雛苺「ホント!?わーい!遊ぶのー」

雪華綺晶「それでは、またお会いしましょう」



26:2014/10/19(日) 23:27:17.30 ID:
雪華綺晶「薔薇園に根を張り、マンションに抜け道を作りました」

雪華綺晶「最後は病院」

雪華綺晶「一番上のお姉さまはいらっしゃるかしら?」チラッ


めぐ『水銀燈どこ行っちゃったんだろ?』


雪華綺晶「いらっしゃらないようですね。でも、これで準備が出来ましたわ」

雪華綺晶「最後は彼と契約を結ぶだけ。楽しみですわ」ウフフフ

雪華綺晶「やはり夢の中で契約を交わすのが…、いえ、もっとドラマチックに…」ウフフ





真紅「誓うなら指輪にキスを」

真紅「さあ早く―――」

ジュン「わっ わかっ…(わからないけど)」

キィイイイイイイイイン!!




雪華綺晶「……」



27:2014/10/19(日) 23:30:11.54 ID:
雪華綺晶「えっ?なん……どうして!?」

雪華綺晶「お、お姉さまの誰かがマスターに近づいたらわかるようにしておいたのに!」

雪華綺晶「どうして!!」

雪華綺晶「あぁ……なぜ…?どうして……?」


わたくしがモタモタしていたから…?いいえ、これは……


なんにせよ、もう過ぎてしまった。
マスターは5番目のお姉さまのものになってしまった。

ショックのあまり…わたくしは『無意識の海』に向かいました。
何も考えずにただ漂いたかったのです。


マスターもこんな気持ちだったのでしょうか…?




それから、マスターは雛苺と翠星石も受け入れた。
わたくしだけのマスターだったのに…。



28:2014/10/19(日) 23:35:38.29 ID:
 
――――無意識の海


雪華綺晶「……これからどうしましょう」

雪華綺晶「あら?あれは…マスターとお姉さま?」



水銀燈『……離して…』

ジュン『君は…壊れないッ』



雪華綺晶「マスター…」

雪華綺晶「マスターはどのドールとも縁があるのですね」

雪華綺晶「この私とも……そうですわ!」

雪華綺晶「縁があるのなら、さらなる契約を交わせるはずです。他のドールの契約を解いて私が契約し直せば…」

雪華綺晶「これならマスターは私だけのマスターに」


雪華綺晶「うふふふ…、廻るわ」

雪華綺晶「運命の糸車が…廻る」




こうして、マスターを私だけのものにする計画が始まりました。



29:2014/10/19(日) 23:37:32.12 ID:
オディール『ここは…?あのお城は…』

雪華綺晶『窓を覗いてご覧なさい』

『ジュンだーい好き!』

『こら!離れろ、苺!』

オディール『あっ!あれは…雛苺?』

雪華綺晶『雛苺を取り戻しましょう』

雪華綺晶『あるべき姿に戻しましょう』

雪華綺晶『あの子はゲームの盤から降りなければならない』

雪華綺晶『だから―――』



雪華綺晶「仮のマスターも手に入れましたし、これで雛苺はOKですわ。次は…」



翠星石「これをnのフィールドで見つけたです」

一葉「それは…!蒼星石の帽子」

翠星石「蒼星石は鞄で眠ってるはずです。だから、こんな事はおかしいです」

一葉「鞄を開けてみよう…!」




雪華綺晶「うふふ、運命が廻る。もうすぐよ、マスター」



30:2014/10/19(日) 23:40:25.78 ID:
 
――――nのフィールド


雪華綺晶「うふふ、これで黒薔薇様のマスターも私のもの」

雪華綺晶「これで苗床はあらかた揃った」

雪華綺晶「翠星石は契約を解いた。そして、紅薔薇のお姉さまも」

雪華綺晶「彼は…彼はもう誰のマスターでもない。そして、これからなるの」

雪華綺晶「私のマスターに」


真紅「ぃ…いいえ、ジュンは…貴女のっマスターには…ならないわ…」

真紅「うっ…そ…れに…薔薇の誓いがなくても…クッ……絆は無くならないのだわ…」

雪華綺晶「絆…。ステキな言葉。羨ましい言葉。あぁ、私も絆が欲しい」

雪華綺晶「お父様との、お姉さま方との、マスターとの絆が欲しい」

真紅「あぅっ……愚かね…、末妹。無理やり紡いだ糸は…すぐ切れてしまうのだわ…」

雪華綺晶「大丈夫よ、お姉さま。彼は絶対に貴女を助けにくる」

雪華綺晶「優しい彼なら私も受け入れてくれますわ」

真紅「そんなこと……あぁっ!」ずる

雪華綺晶「…苦しそうですね、お姉さま。今飲み込んでさしあげますわ」

真紅「うぐっ…! えっ!?こ、この気配は…!」



31:2014/10/19(日) 23:44:40.62 ID:
雪華綺晶「うふふ、これはマスターと小鳥のお姉さま」

雪華綺晶「わたくしの巣に入ってきてくれるなんて…なんて嬉しいの」

真紅「そ、そんな…ジュン…」

雪華綺晶「それでは駒鳥さん。さようなら」

真紅「ああぁっ!!」ずるずる

ごっくん


雪華綺晶「マスター、今会いに行きます」





ウネウネウネ


金糸雀「末妹の攻撃が増してきてるかしら!」~♪

金糸雀「これ以上はジュンを守りきれないっ!」

ジュン「金糸雀!大丈夫か!?」

金糸雀「時間の問題よ!相手の力が予想以上に強かったかしら。私一人では…」

ジュン「僕はどうすればいい!?」

金糸雀「第7ドールの狙いは恐らくジュンかしら!だから、隠れ家を探してそこに退避していてもらうわ」

金糸雀「ジュン!あなたに合った扉を探して!扉を『開けた』あなたならできるかしら!」

ジュン「扉…。僕ならできる」



32:2014/10/19(日) 23:47:32.02 ID:
 
ウネウネウネウネ  ドバッ!!


金糸雀「くっ…、そんなにジュンが欲しいようね」

金糸雀「音の壁がもう 持たない…! ジュン!まだかしら!?」


ジュン(真紅、翠星石…みんなを助けるために必要な扉)

ジュン「ここだ!見つけた!!」ガッ

金糸雀「でかしたかしら!カナも後から向かうから先に行ってて!」

ジュン「わかった!無事でいろよ、金糸雀!」ガチャッ

金糸雀「りょーかいかしら!」

バタン!


金糸雀「なんか無駄に死亡フラグが立っちゃった気がするけど…、まぁいいわ」

金糸雀「適当にあしらって逃げるかしら!いくわよ、ピチカート!!」





雪華綺晶「あぁ…、金糸雀の妨害でマスターを見失ってしまった…」

雪華綺晶「ひどい…。金糸雀には私の茨は届かない…」

雪華綺晶「黄色の薔薇にも逃げられましたし…、どうしましょう」


雪華綺晶「でも、紅薔薇のお姉さまが居ればマスターは必ず来るはず」

雪華綺晶「紅薔薇のお姉さまの体は……、あら?」



33:2014/10/19(日) 23:49:30.61 ID:
雪華綺晶「紅薔薇のお姉さまのローザミスティカがありませんわ」

雪華綺晶「たしかに私の花弁で飲み込みましたのに…」

雪華綺晶「糸を付けておいて正解でしたね。どこにいるの?お姉さま」

































雪華綺晶「見つけた」



34:2014/10/19(日) 23:53:35.70 ID:
雪華綺晶「少女のつくり方に別の世界のマスター」

雪華綺晶「あぁ、お姉さま!貴女は『桜田ジュン』を二人も独り占めするのですね」


雪華綺晶「なんていけない人



許さない


許しませんわ。お姉さま」


雪華綺晶「貴女がマスターに造ってもらったように、私もマスターに体を造ってもらいます」

雪華綺晶「マスターをこの手に。今度こそ。必ず…!」




真紅『わかっているわ。ホーリエ。あと7日――…』


雪華綺晶「わかっているわ」ズ…

ふ…

雪華綺晶「ホーリエ」…

ふふ…

雪華綺晶「あと7日…」ズズズ…

うふふ ふふ…
 



42:2014/10/20(月) 22:48:22.79 ID:
 
――――大ジュンの夢の中


大ジュン「い、今のは…?」

大ジュン「雪華綺晶の…記憶?」

雪華綺晶『見られちゃいましたか。恥ずかしいです』ポッ

大ジュン「おわぁっ!!き、雪華綺晶!お前なんで……それにここは…?」

雪華綺晶『もぅ!そんなに驚かなくてもいいじゃないですか』

雪華綺晶『ここはマスターの夢の中。先ほど見ていたのは私の過去の記憶。ヤンデレ時代ですね』

大ジュン「や、ヤンデレ?それより、お前!『まかなかった世界』でも起きられるようになったのか!?」

雪華綺晶『いいえ…、残念ながらマスターの夢限定ですわ。ローゼンメイデンとマスターは深層心理で繋がっていますから』

大ジュン「そうか…」

雪華綺晶『ところでマスター。久しぶりに会ってなんですが、まだドレスは作れますか?』

大ジュン「作れると思うけど…。そうか。お前、昔のアレを見てたのか」

雪華綺晶『はい。マスターの作ったドレスを来てみたいなぁって思っていました』

大ジュン「……わかった。作ってやるよ。作ったら着せればいいのか?」

雪華綺晶『やだ、マスター。私のドレスを脱がして何をするのですか?///』

大ジュン「ち、ちが…!脱がさないと着せられないと思って」

雪華綺晶『ふふ、楽しみにしていますわ。私のマスター』



43:2014/10/20(月) 22:52:31.90 ID:
 
翌朝


大ジュン「ふわぁあ、……夢だったのかな?」チラッ

雪華綺晶「」

大ジュン「あっちの僕が居れば起こして話が聞けるんだけどなぁ」

大ジュン「違う。雪華綺晶はこの『僕』に頼んできたんだ。僕が彼女の願いを叶えてあげなくてどうする!」

大ジュン「よし!さっそく作ってやるぞ。雪華綺晶に合っていて……プリンセス…」

大ジュン「プリンセスのようなドレスを作ろう!もう昔の僕じゃないんだ」

大ジュン「待っててくれよ。雪華綺晶」








――――nのフィールド


金糸雀「そして完成したドレスがそれなのね。似合ってるわよ」

雪華綺晶「うふふ、マスター会心の出来だそうです」

ジュン「へぇ、けっこうやるじゃん。さすが僕」

雪華綺晶「そうでしょ そうでしょ。流石ですよね!」

雪華綺晶「お姉さま方や小さいマスター、マスターのお姉さまにも見せたくてしょうがなかったんです!」

雪華綺晶「ジュン様、お姉さま、こことかどうですか。このフリルとか」

ジュン「へぇ、フリルもそうだけど良い色合いだよな」

金糸雀「かわいいかしらー」

雪華綺晶「えへへ」



44:2014/10/20(月) 22:57:00.14 ID:
雪華綺晶「それでですね。この部分がこうなってて…」

ジュン「けっこう斬新な発想だな。いい感じじゃん」

金糸雀「ふふ」

金糸雀(雪華綺晶のこんな嬉しそうな笑顔は久しぶりかしら)

金糸雀(カナもわかるわ。貴女に合った一番のドレスを一番大切な人からプレゼントされたんだもの)

金糸雀(次はカナの番ね。みっちゃん)

金糸雀「みんなでお喋りするのは楽しいかしら」

雪華綺晶「はい、楽しいですね」ウフフ

金糸雀「姉妹のみんなと話したらもっと楽しいかしら。さぁ、そろそろお茶会会場に着くわよ」

ジュン「僕ん家だけどな」

金糸雀「細かい事は後回しかしら。ほら!みんな待ってるわよ。早く行きましょ」ピュー

ジュン「お、おい!早いって」

雪華綺晶「うふふ、お待ちになって お姉さま」マッテー


~おわり~



45:2014/10/20(月) 23:01:07.42 ID:
 
おまけ

~乙女たちの昔話~



翠星石「へー、あの時そんな事を考えてたですか」

金糸雀「うん、そうよ。カナの昔話はどうだったかしら?」

翠星石「どの辺がわきまえてないのかわからなかったですよ。金糸雀はわきまえ過ぎです」

金糸雀「そ、そんな事ないかしら!けっこう悩んだのよ?」

真紅「そうね。旅立ちの日はすごく悩んでいたみたいだし。長い沈黙だったわ」

金糸雀「そ、そんなに長かった?」

蒼星石「長かったよ」

金糸雀「かしらぁ…」

水銀燈「悩みすぎよ。私なんて即決だったわぁ」

真紅「貴女は早すぎなのだわ」

水銀燈「だって無駄に悩んでも馬鹿らしいでしょ?良い子ちゃんの真紅は悩み過ぎたでしょうけど」クスクス

真紅「悩んで当然なのだわ」

雛苺「今思えば、ラプラスの魔は親切だったの。今度会ったらお礼を言うわ」

蒼星石「そうだね。あんまり会いたくはないけど」



46:2014/10/20(月) 23:03:42.79 ID:
翠星石「あと、雪華綺晶の話はなんか怖いですよ…」

雪華綺晶「仕方ないですわ。お姉さま方と違ってマスターがいなかったのですから」

真紅「それはそうと、それが例のドレスね?綺麗なのだわ」

雪華綺晶「はい!もう嬉しすぎて毎日着てます」

水銀燈「お父様のドレスよりそんなものが良いなんて。理解できないわぁ」

雪華綺晶「改心きらきは悪口スルーできるようになったんです」プイッ

水銀燈「スルーしてないじゃないの」


金糸雀「そういえば、みんなの昔話も聞いたことあるけど、もっと聞きたいかしら」

水銀燈「やあよ」

雛苺「ヒナは話してもいいよ!」

蒼星石「じゃあ、順番に話していこうよ」

翠星石「よーし!最初は誰からいきますか?」



47:2014/10/20(月) 23:05:19.36 ID:
 
真紅の昔話 紅茶でも飲んで落ち着くのだわ


アリス「しんくー!ホームズごっこしましょ」

真紅「えぇ、いいわよ。もちろん貴女がワトスン君役よね?」

アリス「えー!真紅がワトスン君やってほしいの」

真紅「嫌よ。それに貴女。この間写真を撮ってもらった時もホームズの格好をしていたじゃないの」

アリス「だって真紅じゃ大きすぎるでしょ?それに、ドードーさんだってアリスの方が似合ってるって言ってくれたわ」

真紅「ドードーさんはアリスに甘いのだわ」

アリス「とにかく!アリスがホームズなんだから」

真紅「いいえ!この私よ。たまにはワトスン君をやりなさい」

アリス「いやなのー!アリスがホームズなのー」

真紅「いいえ、私よ」

アリス「アリスよ!」

真紅「真紅なのだわ!」



48:2014/10/20(月) 23:06:37.97 ID:
アリス「アリス!」

真紅「真紅!」

アリス「アリス!」

真紅「ふぅ…、疲れたのだわ。そろそろお茶にしましょうか。ワトスン君」

アリス「むむ…、もうそんな時間なのね。ワトスン君」

真紅「埒があかないのだわ」

アリス「こうなったら最終手段!ホームズのネタバレを…」

真紅「もう読んだのだわ」

アリス「むー」プクー


ガチャッ

ドードー「あれ?二人共どうかしたのかい?」

アリス「あっ!ドードーさん!」



49:2014/10/20(月) 23:08:29.56 ID:
ドードー「そろそろお茶の時間だと思ってね。用意してきたよ」

真紅「流石ね、ドードーさん。頂くわ」




真紅「うん。ドードーさんの紅茶はいつ飲んでも最高なのだわ」

ドードー「喜んでもらえて何よりだよ」


アリス「あっ!そういえば、真紅ってば薔薇の花びらを出せるようになったんだよね」

真紅「えぇ、そうよ。まさか自分にこんな力があるとは思いもしなかったわ」

ドードー「ほぅ、何もない所から花びらを出せるの?」

真紅「実際に見せた方が早いわね。試しに薔薇の花びらを紅茶に浮かべてみせるわ」

真紅「ローズテイル!」ブワッ 

部屋中花びらの舞―


アリス「うわぁ…」

ドードー「こ、これは…」

真紅「も、もっと練習が必要なのだわ…」



51:2014/10/21(火) 05:53:59.17 ID:
 
――――桜田家


真紅「ふふ、懐かしいのだわ」

金糸雀「前に話してくれた時代のことね」

真紅「えぇ、そうよ。アリスは良い子だったし、ドードーさんは本物の英国紳士だったわ」

水銀燈「それはそうと、まさか貴女にあんな力があるなんて思いもしなかったわ。それにしても…」

水銀燈「紅茶にローズテイルって…。本当におばかさんねぇ」アハハ!

真紅「悔しいけど言い返せないのだわ…」


雛苺「そのアリスって子。ヒナにとっても似てるのね。ヒナも会いたかったのよ」

真紅「そういえば、雛苺。貴女あの時代で目覚めていたのでしょう?」

雛苺「うゅ?よく覚えてないの」

真紅「そう。まぁ、いいのだわ」

蒼星石「真紅と雛苺はまだ能力を十分操れていなかったからね。仕方ないさ」

真紅「上から目線ね」

翠星石「そもそも箱庭を出る頃。能力があったのは第1ドールから第4ドールまでですからね」

真紅「時間の薇を戻す時計は持っていたわよ」

金糸雀「懐かしいわね。さて、次は誰が話すかしら?」

雛苺「じゃあ、次はヒナが話すのー!」



52:2014/10/21(火) 05:55:34.73 ID:
 
雛苺の昔話 隠れすぎなの…


コリンヌ「ねぇ、雛苺。かくれんぼしましょ」

雛苺「うん!いいよ。どっちが隠れるなの?」

コリンヌ「そうね。実はフォッセー家の人は隠れるのが上手くてね。戦時で身を隠すために訓練されてきたの」

雛苺「うゅ…?」

コリンヌ「隠れることに関しては誰にも負けないわ」

雛苺「ホント!?なら、ヒナがコリンヌを見つけてあげるんだから!」

コリンヌ「えぇ、それなら私が隠れるわ。10数えたら探しに来てね!」ピュー

雛苺「あっ!もう隠れちゃったの。コリンヌってば素早いのね」

雛苺「よぉーし!見つけちゃうんだから!」

雛苺「えっと、10数えるのよね。 Un、deux、trois……」



53:2014/10/21(火) 05:57:11.83 ID:
雛苺「――dix! 10数え終わったわ。さっそく出発なの」



雛苺「コリンヌー!コリンヌのお部屋は…」ヒョコッ

コリンヌの部屋「」シーン…

雛苺「いないの」



雛苺「お父様とお母様のお部屋には…」ヒョッコリ

寝室「」シーン…

雛苺「やっぱり居ないの…」



雛苺「う~ん…、どこに行ったんだろぅ…」


メイドさん「あら?雛苺様。どうかなさいましたか?」

雛苺「うゅ…、実はコリンヌとかくれんぼしてて…」

メイドさん「!?」



54:2014/10/21(火) 05:58:18.70 ID:
雛苺「ど、どうしたの?」

メイドさん「実は…以前お館様がかくれんぼをしている時に行方不明になってしまわれて…」

メイドさん「大人数で探したのですが…結局一ヶ月もお隠れになられて…」

雛苺「一ヶ月も!?」

メイドさん「はい。フォッセー家の血を継いでるコリンヌ様もおそらくは…」

雛苺「た、大変なの…」アワワ…

メイドさん「屋敷中のメイドと執事をかき集めます。くれぐれもお館様と奥方様にはご内密に」

雛苺「えっ?どうしてなの?」

メイドさん「お二人共フォッセー家の方です。一緒になって隠れてしまわれるかも…」

雛苺「そうなったら大変なのよ…」

メイドさん「はい。くれぐれもご内密に。雛苺様も一緒に探していただけますか?」

雛苺「もちろんなの!」

メイドさん「では、行きましょう」

雛苺「うん!」



55:2014/10/21(火) 05:59:05.02 ID:
 
――――二ヶ月後


コリンヌ「………」

雛苺「………」

コリンヌ「………」

雛苺「………」

コリンヌ「ねぇ、雛苺」

雛苺「なぁに?」

コリンヌ「かくれんぼって…つまらないね…」

雛苺「……」

雛苺「隠れすぎなの…」



59:2014/10/21(火) 23:04:33.79 ID:
 
――――桜田家


翠星石「なんですか…、その話…」

雛苺「かくれんぼにはいい思い出がないの…」

雪華綺晶「オディールももしかして…」

雛苺「フォッセーだからたぶん…」

金糸雀「すごい一族かしら」

真紅「そうね」

水銀燈「……」


蒼星石「じゃあ、気を取り直して次に進もう」



60:2014/10/21(火) 23:06:16.05 ID:
 
翠星石と蒼星石の昔話 お仕事って面白いですか?


翠星石「レオシュはお仕事面白いです?」

レオシュ「えっ? いきなりなんだよ」

翠星石「早く答えるです!」

レオシュ「うーん…、辛い事も多いけど大切…かな」

翠星石「なんだか要領を得ませんね。好きか嫌いかで言ったらどっちです?」

レオシュ「僕は…家業を継いだ形だから、まだよくわからない…」

翠星石「なんですか、それ。相変わらずウジウジしてますねぇ」

レオシュ「うぅ…」

ルドルフ「翠星石。それ以上煽ってはいけないよ」

蒼星石「やぁ、二人共」

翠星石「あっ! 蒼星石とルドルフ」

レオシュ「これは…!皇帝陛下!」

ルドルフ「あぁ、いい。続けてくれ」



61:2014/10/21(火) 23:08:23.58 ID:
翠星石「ルドルフはお仕事面白いですか?」

レオシュ「お、おい!お前…」

ルドルフ「そうだな。面白くないな」

レオシュ「陛下!?」

ルドルフ「お前たちだけには本音で話そうと思ってな」

ルドルフ「毎日くだらん会議ばかりだよ。面白くはない」

ルドルフ「しかし、そうも言っていられない。何せ、私は皇帝だ。民を守っていかなければならないし、その責任もある」

ルドルフ「どんな仕事にも責任は付き物だ。楽しい楽しくないではない。仕事とはそういうものなのだ」

翠星石「でもでも、どうせやるなら楽しい方がいいに決まってますよ。翠星石たちがまさにそれです!」

蒼星石「えっ? 翠星石って庭師の仕事楽しいの?」

翠星石「え゛!? そ、蒼星石?」

蒼星石「冗談だよ。僕だって庭師の仕事は楽しいよ」

翠星石「お、脅かすんじゃねえですぅ…」



62:2014/10/21(火) 23:09:56.60 ID:
ルドルフ「まぁ、楽しくやれれば一番だな」

ルドルフ「レオシュ。君の作品は本当に素晴らしいものだ」

ルドルフ「君の仕事に感動する者がいることも覚えておいてくれ」

レオシュ「は、はい!」

翠星石「レオシュはプチサイズの肝っ玉でまだまだ半人前ですけどね」

レオシュ「なんだとっ!」

翠星石「本当のことですぅ」

レオシュ「……」ショボーン…

蒼星石「翠星石。ほどほどにね」

翠星石「わかってるですぅ」



63:2014/10/21(火) 23:15:20.24 ID:
レオシュ「ところで翠星石。なんで仕事の事を聞いたんだ?」

翠星石「レオシュは毎日働いていますよね。面白いのかなって思っただけです」

レオシュ「そ、それだけなの?」

翠星石「なんです?なんか文句でもあるですか?」

蒼星石「ダメだよ。翠星石」

翠星石「わかってますよ。さて、クララと遊んできますか」

蒼星石「そういえば約束していたよね。僕も行くよ」

翠星石「じゃあ、行きますか。それと、レオシュ!」

レオシュ「なんだよ…」

翠星石「翠星石もお前の硝子職人の腕は認めてるですよ!だ、だからもっと自信を持つです!」

蒼星石「ふふ」

翠星石「蒼星石!笑ってないで行くです」タタタッ

蒼星石「はいはい。マスター行ってきます」

ルドルフ「あぁ」



レオシュ「………」

レオシュ「翠星石…。僕がんばるよ」



64:2014/10/21(火) 23:31:14.31 ID:
 
――――桜田家


水銀燈「ホント、人間って労働を強いられている生き物よね」

真紅「生きることは闘うことだもの。仕方ないのだわ」


蒼星石「それにしても懐かしいな」

金糸雀「皇帝がマスターってすごいかしら!そもそも、ローゼンメイデンは裕福な家庭に送られる事が多いと思うの」

真紅「いつも人口精霊が選んでくれてるけど、確かにそうね」

翠星石「何せ、翠星石たちは幻のお人形ですからね。高貴な家じゃないと高価過ぎて手が出せないですよ」

真紅「それにしても、今回は今までで一番貧相な家だったのだわ。しかも、男の子のマスター。異性のマスターは初めてだったわ」

翠星石「へー、そうだったんですね。翠星石のマスターはみんな大人でしたから、ここまでチビなマスターは初めてだったですぅ」

蒼星石「ちょっと二人共!ジュンくんの悪口はダメだよ」

雪華綺晶「そうですわ!」

雛苺「ダメなのー!」

水銀燈「ハッ…、マスターなんてくだらないわよ」

真紅「貴女…、マスターとの絆も悪くはなかったと言ってたじゃないの」

水銀燈「最後のマスターは特別よ」

金糸雀「じゃあ、次は水銀燈が話すかしら」

水銀燈「はぁ?……仕方ないわね。少しだけよ」ハァ…



65:2014/10/21(火) 23:33:03.31 ID:
 
水銀燈の昔話? 私のマスターってなんでイカれた子が多いのかしら…


水銀燈「ここは……私の夢の中ね」

水銀燈「まぁいいわ。久しぶりに真紅の夢に行ってイタズラしてこようかしら」

メアリー「水銀燈っ!」

水銀燈「!? め、メアリー!? 貴女なんでここに…?」

メアリー「あれからけっこう探したのよ。やっと見つけた」

水銀燈「ふん、貴女なんて知らないわぁ」

メアリー「あのね、水銀燈。私ずっと謝りたかったの」

水銀燈「えっ?」

メアリー「あの時は本当にごめんなさい」

水銀燈「………」



66:2014/10/21(火) 23:34:33.76 ID:
水銀燈「死んでからも謝りに来るなんて…貴女って本当におばかさんね」

メアリー「バカでもいいわ。ずっと謝りたかったの」

水銀燈「貴女も相当イカレてるわね。…いいわ、許してあげる」

メアリー「ホント!?やった!水銀燈大好き!!」ギュッ

水銀燈「ちょ、ちょっと!離れなさいよ」




メアリー「水銀燈。貴女けっこう性格丸くなった?」

水銀燈「そんなわけないじゃない。貴女も知ってるでしょ?私は逆十字を背負った最凶のドールだってことを」

メアリー「いーえ!絶対丸くなったわ!」

メアリー「それに、女王としての美しさに磨きがかかってるもの」

水銀燈「そんなことはどうでもいいのよ。それより…」

水銀燈「貴女を許しはしたけど、あの仕打ちを忘れてはいないわよ」



67:2014/10/21(火) 23:37:32.89 ID:
メアリー「…そうね。私もあれから色々あった。イカレていたのは私の方だったわ」

水銀燈「お互いイカレてるわよ。はーぁ…、私がイカレてるからこんなマスターばっかりだったのかしら?」

メアリー「今までのマスターはどんな人たちだったの?」

水銀燈「みんなイカレてたわぁ。私を悪用しようとした人間や変な音楽家」

水銀燈「頭のおかしいドール収集家に病んだ舞台役者。まぁ、その中でも貴女は真ん中辺りかしら」

メアリー「うーん…、微妙な順位ね。一番イカれたマスターはどんな人だったの?」

水銀燈「そうねぇ。もっともイカレてたのは病んだ病人だったかしら」

水銀燈「…忘れられないわ…」


めぐ「……」



メアリー「あら? 誰かしら? 水銀燈、誰かいるわよ」

水銀燈「はぁ?ここは私の夢の中なのよ。そうそう誰か入ってこれるわけないでしょ」クルッ

めぐ「うふふ…、水銀燈お久しぶり」

水銀燈「」



68:2014/10/21(火) 23:39:28.76 ID:
水銀燈「め、め、めぐ!?」

めぐ「水銀燈ひどいじゃない。一緒にこの世から飛び立ったと思ったのに貴女だけ残るだなんて」

水銀燈「こ、これには訳があるのよ」

めぐ「知ってるわ。桜田くんでしょ?……余計なことを」ギリッ

水銀燈「えー…」


メアリー「水銀燈。こちらの方は?」

水銀燈「私の最後のマスターよ」

メアリー「ふーん。水銀燈のマスターをやっていたメアリーよ」ウフフ…

めぐ「水銀燈のマスター、柿崎めぐです」アハハ…



水銀燈「寒気がするわ…」



69:2014/10/21(火) 23:41:39.19 ID:
めぐ「まぁいいわ。今日水銀燈に会いに来たのには理由があるのよ」

メアリー「あら?貴女もそうなの?」

めぐ「奇遇ね。同じ水銀燈の媒介だったからなのかな。それとも、同じイカれた者同士だからなのか」

メアリー「たぶん後者よ」

水銀燈「ちょっと!二人共何を話してるのよぉ!」

めぐ「ねぇ、水銀燈。あっちで一緒に暮らしましょうよ」

メアリー「そうよ。あちらは良い所よ」

水銀燈「あっちってどこよ…」

めぐ「天国よ。死は完美で癖になるわ。もしかしたら貴女のお父様もいるかもしれないわよ」

めぐ「ねぇ、いいでしょ?水銀燈」

水銀燈「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!そ、それって…」



70:2014/10/21(火) 23:43:59.80 ID:
メアリー「大丈夫よ。とっても良い所なんだから」

水銀燈「じょ、冗談じゃないわよ!ゴメンだわ!!」

めぐ「あっ!逃がさないわよ。そっちを抑えてくれる?」

メアリー「えぇ、いいわよ。一緒に逝きましょう。水銀燈」

水銀燈「ちょ、ちょっと二人共離して!!」

水銀燈「メアリー!あなた謝る気なかったでしょ! めぐも落ち着きなさいよ!」

メアリー「ウフフフフ」

めぐ「うふふふ…」

水銀燈「じょ、冗談よね?」

メアリー「ウフフフフ」

めぐ「うふふふ…」

水銀燈「い、いやぁあああああああああああああああああああ!!!!」



71:2014/10/21(火) 23:45:56.05 ID:
 
――――みっちゃんのマンション


水銀燈「あああああああああああああああああ!!!!」ガバッ!

金糸雀「す、水銀燈!?」

みっちゃん「銀ちゃん!?」

水銀燈「ハァ…ハァ……ヒドイ夢を見たわ…」ゼェ…ハァ…

金糸雀「水銀燈、凄くうなされてたかしら」

みっちゃん「うん。銀ちゃん大丈夫?」

水銀燈「……平気よ」ゲッソリ

金糸雀「平気そうに見えないかしら」

みっちゃん「そうよね。 よし!銀ちゃん待っててね。今から元気が出るもの作るから」

水銀燈「…いらないわよ…」

金糸雀「いると見た かしら」



72:2014/10/21(火) 23:48:23.53 ID:
みっちゃん「そうと決まれば銀ちゃんとカナの好きなものを作るわね」

金糸雀「ホント!? やったかしらー!」

水銀燈「うるさいわね。耳元で叫ばないで。それに私は食べるなんて一言も…」

金糸雀「毎日ここでご飯食べてるのに今更かしら」

水銀燈「ぅ、うるさいわね」

金糸雀「みっちゃんのお料理は美味しいもの。水銀燈が気に入るのも無理ないわ」

水銀燈「はぁ…、もういいわよ…」

水銀燈「……」

水銀燈(人間…。本当に不思議な生き物ね)

水銀燈(姉妹と人間。他者との絆も悪い気はしない)

水銀燈(この世界も捨てたものではないわ。めぐ。メアリー)


<ごはんできたよー


金糸雀「水銀燈。どうしたの?」

水銀燈「なんでもないわ。さあ、食事を頂こうかしら」

金糸雀「かしらー」



77:2014/10/22(水) 21:13:59.41 ID:
 
――――桜田家


金糸雀「………」

金糸雀「ねぇ、水銀燈。それって最近の話じゃないかしら?」

水銀燈「別にいいでしょ。昔のマスターも出てきたんだし」

翠星石「水銀燈が怖い夢を見て飛び起きて、ご飯食べただけじゃねーですか…」

蒼星石「昔話でもなんでもないね」

水銀燈「な、なによ なによ!いいじゃないの!」

雛苺「でも、気持ちはわかるわ。ヒナもコリンヌとオディールを間違えた時に言いようのない不安を感じたもの」

金糸雀「ふふ、水銀燈ったら相変わらず怖がりかしら。箱庭の時だって…」

水銀燈「それ以上話したらジャンクにするわよ」ギロッ

金糸雀「えー、話したいかしらー」

水銀燈「ダメよ!」

雪華綺晶(あっ、この間言っていたお父様と一緒にイタズラしたお話かも。聞きたいですわ)



78:2014/10/22(水) 21:19:01.87 ID:
金糸雀「よぉーし!次はカナの番かしら。あれは三人目のマスターとの出来事だったわ」

金糸雀「むかしむかし……」

雪華綺晶「ちょっと待ってください!」

金糸雀「雪華綺晶。どうしたの?」

雪華綺晶「私は過去にマスターがいませんでした」

金糸雀「うん」

雪華綺晶「お姉さまのお話は興味あるのですが、私だけハブられたようで嫌ですわ」

金糸雀「つまり、どういうことかしら?」

雪華綺晶「昔話はやめてイタズラの話を聞かせてもらいたいです」

水銀燈「ちょっと!」

金糸雀「そういえば、前に話すって言ったわね。でも、カナはけっこう冒険話を持ってるけど」

雪華綺晶「それですわ!」

金糸雀「えっ、どれかしら?」

雪華綺晶「金糸雀お姉さまの経験値です」



79:2014/10/22(水) 21:21:31.96 ID:
雪華綺晶「前に真紅お姉さまが言っていました」

雪華綺晶「水銀燈と金糸雀は世界で生き抜く力と知恵を持っている…と」

真紅「そういえば、そんなことも言ったわね」

雪華綺晶「薔薇乙女で世界を多く飛び回っていたのは長女と次女のお二人です」

雪華綺晶「姉妹の中でもより多くマスターを見つけていた金糸雀お姉さま」

雪華綺晶「他の姉妹のお話でお腹いっぱいですのに、最後に思い出が豊富そうなお姉さまのお話となると…」

金糸雀「えー…、語りたいかしら」

雪華綺晶「私は、『マスター?何それおいしいの?』状態でした」

雪華綺晶「これ以上は私が惨めになりますわ」ウルッ…

金糸雀「わ、わかったかしら!だから泣かないで」

雪華綺晶「な、泣いていませんわ…」ゴシゴシ



80:2014/10/22(水) 21:26:12.39 ID:
金糸雀「じゃあ、イタズラの話をしようかしら」

水銀燈「カナリアーー!!」

翠星石「雛苺!」スィドリーム!

雛苺「りょーかいなの!」ベリーベル!

水銀燈「ちょっ、貴女たち離しなさい!」


金糸雀「むかしむかし、あれはまだローゼンメイデンが二人だけの時の話……」





――――ローゼンの箱庭(過去)


水銀燈「ふわぁ…、よく眠ったわぁ……って暗っ!」

水銀燈「な、なんで暗いのよぉ…。夜の概念は知ってるけど、実際に夜は来ないはずなのに…」

水銀燈「こんな事ができるのはお父様くらいだと思うけど…」

水銀燈「お父様!金糸雀! 二人共いないの?」

水銀燈「うぅ…」


影「」


水銀燈「ひっ!?だ、だれ?お父様?金糸雀?」

影「」カサカサ

水銀燈(ふ、二人じゃない?じゃあ誰なの?)

水銀燈「そ、それ以上近づいてきたら黒羽で攻撃するわよ!」

水銀燈(だんだん目が暗闇に慣れてきた。正体を暴いてやるわ)バサッ



クワガタのドール「」ギッチョン ギッチョン


水銀燈「きゃあああああああああああああああああああああ!!!!」



81:2014/10/22(水) 21:31:03.89 ID:
水銀燈「あ…あぁ……に、逃げなきゃ」アワワ…

金糸雀「かしらぁああぁぁぁぁああああああああ!!」わっ!

水銀燈「いやぁあああああああああああああああ!!!」


水銀燈「」


水銀燈「」パタリ…

金糸雀「あ、あれ?水銀燈?お、お父様ぁ!!水銀燈が失神しちゃったかしらぁ!!」

ローゼン「やりすぎたか」






水銀燈「うぅ~ん…、あら?ここは…」

金糸雀「あっ!お父様、水銀燈が起きたかしら」

ローゼン「水銀燈、具合はどうだ?」

水銀燈「えぇ、大丈夫です。……ハッ!そ、そうだわ!二人共逃げなさい!!化物がいるわ!」

ローゼン「化物って…。もしかして、この子の事かい?」

クワガタのドール「」ギッチョン

水銀燈「そ、そいつよ!そいつから離れて!!お父様!」

ローゼン「………」



82:2014/10/22(水) 21:37:41.38 ID:
水銀燈「フン!」プンスカ

ローゼン「すまなかった…。水銀燈」

水銀燈「いくらお父様でも許さないわ」

金糸雀「水銀燈、ごめんなさい…。カナが全部悪いかしら」

金糸雀「最近、水銀燈の生活態度が悪かったからお父様に相談したの。そしたら…」



ローゼン『なるほど。じゃあ少し懲らしめよう』

金糸雀『懲らしめる?あまり危険な事はダメよ。お父様』

ローゼン『大丈夫だ。脅かすだけだよ』



金糸雀「―――…って話だったかしら」

水銀燈「それってほとんどお父様が悪いじゃないの!」

ローゼン「すまない」

水銀燈「お父様なんてもう知らない!」プイッ

ローゼン「……」

ローゼン「すまなかった。お詫びになんでも言うことを聞こう」

水銀燈「う~ん…、金糸雀は何かないの?」

金糸雀「じゃあ、演奏を…」

水銀燈「却下。下手くそで耳がもたないわ」

金糸雀「そ、そんなぁ…」



83:2014/10/22(水) 21:41:27.20 ID:
水銀燈「じゃあ、果樹園のりんごでアップルパイを作ってきなさい。それでチャラよ」

金糸雀「わ、わかったかしら!早速作ってくるわね」ピュー

ローゼン「……」ハヤイナ…

ローゼン「私は…?」

水銀燈「そうねぇ」

水銀燈「お父様には私の髪を梳いた後、ネコのぬいぐるみでも作ってきてもらおうかしら」

ローゼン「わかった」





金糸雀「り、りんごに手が届かないかしら…」ピョン! ピョン!

金糸雀「どうしよう…。ピチカート…」

ピチカート「」チッカ チッカ

金糸雀「なるほど!その手があったかしら。木を揺らすのね」ユッサユッサ

金糸雀「あとは調理よ!」


ウンショ コラショ
キャー! コゲチャッタカシラァ…
 



84:2014/10/22(水) 21:43:22.00 ID:
水銀燈「うふふ」ネコのぬいぐるみ

水銀燈「お父様からいただいたぬいぐるみ」ウフフフ

水銀燈「かわいいわぁ」クルクル

水銀燈「にゃーん にゃーん」モフモフ

水銀燈「うふふ」ダキッ

水銀燈「にゃん にゃん にゃーん♪」ゴロゴロ

金糸雀「……」

水銀燈「」




金糸雀「………」

水銀燈「………」

金糸雀「………」

水銀燈「……」

水銀燈「…いつから?」

金糸雀「5分くらい前から。アップルパイを持ってきたかしら」

水銀燈「……そぅ…」



85:2014/10/22(水) 21:47:59.09 ID:
金糸雀「うふふ」ニマァ

水銀燈「ちょっと!笑うなんてヒドイじゃないの!」

金糸雀「ふふふ、水銀燈にも可愛いところがあるんだなぁって思って」クスクス

水銀燈「頭にきたわぁ!!」バサッ

金糸雀「水銀燈の弱みをまた1つゲットかしら~」スタコラサッサー

水銀燈「待ちなさぁい!!金糸雀ぁ!」





――――桜田家


金糸雀「―――って事があったかしら」

真紅「そう。それは可愛いのだわ」ニマニマ

蒼星石「水銀燈って怖がりだったんだね」フフ…

翠星石「最凶の薔薇乙女が聞いて呆れるですぅ」プー クスクス

雛苺「そういえば、電気を消したら水銀燈怖がってた事があったのよ。今思えば納得なの」

雪華綺晶「あぁ、長女みたいな次女に次女みたいな長女。なんて可愛いのでしょう」ウットリ


水銀燈「うぅ…、二つもバラすことないじゃない…」ウルウル

水銀燈「じゃあ、私もバラすわよ!金糸雀はこんな見た目だけど、怒るとヤバイのよ」

金糸雀「こんなは余計かしら」



86:2014/10/22(水) 21:53:10.03 ID:
水銀燈「前にバイオリンを壊しちゃった事があったんだけど」

蒼星石「えっ?それって金糸雀は怒らなかったのかい?」

水銀燈「怒ったわよ。それはもう鬼のようにね」

金糸雀「ヒドイ言われようかしら…」

水銀燈「だって本当のことでしょ。箱庭をめちゃくちゃにしておいて」

翠星石「あんなに広い所をめちゃくちゃにしたですか?」

水銀燈「まるで嵐だったわぁ。本当に真紅よりも厄介な子よ」

真紅「聞き捨てならないけど、まぁいいわ。金糸雀って怒るとそんなに凄まじかったのね」

雛苺「なんか急に怖く見えてきたの…」

金糸雀「そんな昔の話バラさなくてもいいかしら!」

水銀燈「フン!お互い様よ」


雪華綺晶「それでどうなったのですか?」

水銀燈「私とお父様で何とか押さえ込んだわよ。金糸雀に新しいバイオリンをプレゼントして解決したわ」

金糸雀「若気の至りかしら。じゃなくて!もうこんな話やめましょうかしらぁ!」



87:2014/10/22(水) 21:56:44.82 ID:
金糸雀「じゃあ、最後は雪華綺晶の話で〆るかしら」

雪華綺晶「えっ?でも、私には…」

金糸雀「大丈夫。ビッグジュンとの思い出を話せばいいかしら」

雪華綺晶「………」

金糸雀「ど、どうしたのかしら?」

雪華綺晶「わたくし…あっちだと物言わぬ人形なんです…」

金糸雀「あ…」

真紅「そういえば、そうだったわね」

翠星石「地雷を踏んでどうするですか。これだからチビカナは…」

雪華綺晶「小さいマスターが来てくだされば動けるのですが…」

金糸雀「でも、大切にしてくれてるんでしょ?」

雪華綺晶「えぇ、それはもう」

雪華綺晶「あっ!そうですわ。最近はマスターの夢に入れるようになりました」

金糸雀「夢の中で一緒にいるの?なんだかロマンチックかしら」

翠星石「たしかにロマンチックですぅ」

蒼星石「マスターと夢の中で…か。悪くないね」

雪華綺晶「えへへ」



88:2014/10/22(水) 21:59:27.86 ID:
金糸雀「なら、それを話せばいいのよ」

雪華綺晶「でも、惚気になってしまいますよ?」

金糸雀「それでもいいわ。聞かせてくれるかしら?」

水銀燈「えー…」

翠星石「翠星石は恋のお話大歓迎ですよ。『まかなかった世界』とはいえ、相手がジュンってのが気に食わないですけど…」

蒼星石「マスターの様子が気になるから僕も聞きたいな」

真紅「そうね」

雛苺「ヒナもおっきいジュンのお話し聞きたいわ」

雪華綺晶「では、話します。えっとですね。マスターが夢の中でも髪を梳いてくれてですね」

金糸雀「うんうん」

雪華綺晶「それでですね。一緒にご飯食べたり、テレビ見たりして……」

金糸雀「ふふ、楽しそうね」


金糸雀(本当に楽しそう)

金糸雀(姉妹が幸せそうだとカナも嬉しいかしら)



89:2014/10/22(水) 22:16:15.28 ID:
雪華綺晶「それでね、マスターったら後ろから抱きしめてくれるんですよ」

雛苺「雪華綺晶は幸せいっぱいね!」

金糸雀「ドールとマスターの理想像かしら」

金糸雀「……」

金糸雀「雪華綺晶」

雪華綺晶「はい。どうしました?」

金糸雀「みんな」

水銀燈「なによ」

真紅「金糸雀。どうしたの?」

金糸雀「誰かとお喋りするのって楽しいかしら?」

雪華綺晶「はい!とっても楽しいですわ」

雛苺「うん!ジュンやトモエ、のりやオディールも居たらもっと楽しいと思うの!」

金糸雀「そうね。今度はマスター達も呼んで、みんなでお喋りしましょ」

雪華綺晶「マスターたちも交えておしゃべり?」

翠星石「それってすごい人数ですよね?二人のジュンにのりにおじじに…」

蒼星石「パーティだね」

金糸雀「そうね。箱庭でパーティとかどうかしら?」

真紅「久しぶりに箱庭でお茶会もいいわね」

水銀燈「まぁ、たまになら悪くないかもね」

金糸雀「うん!今度やりましょ!」

金糸雀「きっと…、いいえ、絶対!もっともっと楽しいかしら」



~乙女たちの昔話~

END
 



90:2014/10/22(水) 22:21:53.17 ID:
これで終わりです。
ここまでお付き合い頂き、ありがとうございました。


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