1:2015/01/06(火) 09:40:58.27 ID:


菫「聞こえなかったか?二条泉をガン泣きさせたい」

照「さよなら菫、あなたと過ごした二年半は楽しかったよ」

菫「おいこら、距離を置くな。まずは話を聞いてくれ」

照「聞かなくても分かる、これダメなやつ」

菫「聞いてみないと分からないこともあると思うぞ。最後まで聞いてみたら驚きの新事実とか出て来るかもしれない」

照「冒頭でこれ以上ないぐらいのダメな事実が暴露されたからお腹いっぱいだよ…」

菫「そうか、それは残念。とりあえず話を聞いてくれ」

照「話を聞く理由が全くない」

菫「そう言わず聞いてくれ」

照「絶対ロクなことじゃないから聞きたくない」

菫「聞かないと、魔法少女のコスプレをして自分の名前と白糸台高校麻雀部部長の肩書きとオリジナルの決め台詞を叫びながら街中を練り歩く」

照「こいつ、自らの尊厳を投げ捨てて白糸台の名誉を人質に取りやがった」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1420504858
2:2015/01/06(火) 09:41:59.17 ID:


菫「話を聞く気になったようだな」

照「あまりにも不本意過ぎて涙が止まらないよ…」

菫「では話そう、あれは今年のインターハイの時のことだ…」

照「まあ、私たちはあの大会で引退したから二条さんとの接点そこしかないしね」



3:2015/01/06(火) 09:44:06.68 ID:


菫「あの大会で、我々は千里山をマークしていた」

照「そうだね」

菫「しかし、だ。準決勝の途中でついつい私の悪い癖が出た」

照「千里山を狙う理由が全くなかったよね。決勝の相手として一番注目してた相手がそのまま勝ち上がって来るのが一番いいわけだし」

菫「何せ、松実宥はなぜか私の癖を見抜いていて狙っても怯えない、安河内は福岡育ちで私の視線ごときでは怯えるはずもない」

照「福岡育ちと菫の視線で怯えないことの因果関係が不明だけど、まあ、そうだったね」

菫「そこに、場慣れしてない一年、しかも、油断しきってる…狙うだろ?」

照「狙わないよ。普通に新道寺を削るよ。新道寺や削れば手に制約が出来るから自然にうちとあの時点で二位だった千里山が上がるよね?千里山は事前に十分研究してたから、千里山が上がって来るのはデータのない阿知賀よりは都合がいいはずだよね?」

菫「期待通りの反応に気を良くした私は、更に二条泉を狙い続けた。松実は躱すし、安河内は反応がつまらんし」

照「そんな理由で打ち方を変えないでほしかった」

菫「私の眼光に怯える二条を見てイケナイ気持ちになってしまった私は、ついつい松実相手に引き際を間違えて逆に射抜かれたりもした」

照「何やってんの!?本当に何やってんの!?」

菫「結果として、研究十分な上にエースが体調を崩していて戦いやすい相手である千里山がまさかの敗退をしてしまったわけだが、まあそれは問題ない」

照「大問題だよ!ぶっちゃけそれが三連覇が止まった最大の原因だよ!松実さんのせいで私が先鋒であんまり稼げなかったし、淡は高鴨さんと相性悪いし!!」



4:2015/01/06(火) 09:44:49.36 ID:


菫「まあ、それはいいんだ。二条をガン泣きさせたいことに比べれば些細なことだしな」

照「私にとっては逆なんだけど…」

菫「思い出してみろ、あの怯えた顔、絶望した顔…最高だっただろう?」

照「いや知らんし」

菫「きっと、先輩の夏を潰してしまったこととかの責任を感じてトラウマになっていて、今ならもっと怯えてくれると思うんだ」

照「二条さんが気の毒に思えて来た…」

ガラッ

尭深「こんにちは、いらしてたんですね」

菫「ああ、亦野もようやく部長が板について来た感じではあるが、まだ不慣れなことも多いだろうからな。余計なお世話かもしれないが、たまには様子を見てやりたくてな」

照「尭深、お疲れ様…」ゲンナリ

尭深「宮永先輩…どうされました?」

照「かくかくしかじか…」

菫「かくかくしかじか…」



5:2015/01/06(火) 09:45:15.61 ID:


尭深「…宮永先輩、お疲れ様です…」ゲンナリ

照「分かってくれてありがとう」

菫「さて、というわけで千里山との練習試合を組むよう監督に進言しようと思うんだが…」

照「断固阻止する」キッ

ガラッ

誠子「おーい、尭深、弘世先輩に連絡つくかー?さっきから電話かけてるのに出てくれな…あ、お疲れ様です」

菫「おお、亦野、ちょうどいいところに…っと、すまんな、マナーモードにしていた」

誠子「いえいえ、そこまで急ぎではなかったから大丈夫です」

菫「そうか、ところで、部長のお前に相談があるんだが…」

照「させるかポンコツ」

尭深「誠子ちゃん、このひとの話を聞いちゃダメ」

誠子「あ、実は私も弘世先輩にご相談が…ちょっと外で話しましょう」

菫「構わん。あとで私の話も聞いてほしい」

誠子「了解です」



6:2015/01/06(火) 09:45:54.90 ID:


照「ぐぐぐ…まさか誠子の方から菫と二人きりになってしまうとは…引退したから現役の活動には口を挟みにくいし…」

尭深「口を挟めるとしたら宮永先輩だけだと思いますけど…」

照「しかし、現部長と元部長の話し合いとなると…麻雀方面はともかく事務仕事は菫に任せっきりだったし…」

尭深「まあ、誠子ちゃんが洗脳されることもないと思いますけど…」


『実はですね!二条泉をガン泣きさせたいんですよ!!!!!千里山との練習試合を組みたいので口添えをお願いします!!!』


照「!?」

尭深「!?」



7:2015/01/06(火) 09:46:27.64 ID:

ーー

照「今の声…?」

尭深「聞き間違いです、誠子ちゃんは私にしか興味ないから他の女に興味なんかないはずなんです、そうです、そのはずなんです、誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん…」

照「た、尭深…?」

尭深「誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん?「うえのさんうえのさんうえのさん」誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん亦野さん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃんまたのさん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん誠子ちゃん」



8:2015/01/06(火) 09:47:37.93 ID:



照「ヤバイ…尭深が壊れた…あと、なんか居た…」

尭深「あ、そうか…誠子ちゃんをたぶらかしたゴミを片づければいいんだあ…あはは、簡単じゃない。そうと決まれば早速千里山に行かないと…」

照「ダメだ…ますます千里山と練習試合を組ませるわけにいかなくなった…なんとかしないと…」


『同志よ!!!私も二条泉をガン泣きさせたいと思っていたんだ!私に出来ることなら何でもするぞ!!!!!』

『先輩!!!いや、同志!!!!ありがとうございます!!!!』


照「声デカいよ…あんたら場所変えた意味ないよ…さっき私と話してた時こんなテンションじゃなかったでしょ…」


『私もニジョーイズミをガン泣きさせる―!!!!』

『同志!!!!』

『同志!!!!!』


照「なんか増えた、なんか増えたよ!?声しか聞こえてないけど私の後継者が変な方向に行った気がするよ!?」



9:2015/01/06(火) 09:48:06.10 ID:


尭深「うふふ…仕留めないと…確実に…ばれないように…誠子ちゃんの瞳に二度と映らないようにバラバラに刻んで…」

照「こっちはこっちでヤバいし…そうだ!監督!監督ならこいつらを止めてくれるはず!!!!」


『おーい!千里山から練習試合の申し込みが来たぞー!!あそこの生意気な一年ガン泣きさせたいから今から緊急ミーティングだ!!!宮永も呼んで来い!!!』

『同志!!!!!』


照「いい加減にしろおおおおおおおおお!!!」ガラッ




10:2015/01/06(火) 09:49:07.22 ID:


菫「ああ、照、ちょうどいいところに…二条泉をガン泣きさせるからお前と淡と私で囲んでトビなしで打とうと思うんだが…」

誠子「トラウマ対象の弘世先輩を正面に配置、宮永先輩がメインアタッカー、更に二条の手を遅くするために淡を配置してサポート…完璧な布陣ですね」

淡「これでガン泣き間違いなしだよテル!!!ニジョーイズミが泣くまで二時間でも三時間でも半荘を続けようね!!!」

監督「これにはお前の協力が不可欠だ、当日の交通費どころか報酬も出そう。よろしく頼む」

照「誰が協力するかああああああああ!!!!!!」



11:2015/01/06(火) 09:49:34.26 ID:


監督「妹さんの生写真もつけよう」

照「その話、乗った。報酬の確認をしたい」キリッ

監督「成功報酬だ。写真は目に焼き付けられたら終わりだからな」

照「仕方ない。では仕事の内容を詰めたい」

監督「なに、難しいことではない。二条泉をガン泣きさせる、それが至上命題だ。手段は問わない、一応、こちらで卓を用意するというだけだ」

照「卓さえ用意してもらえば、たとえ卓上でしくじったとしても照魔鏡で奴の弱点を探ってガン泣きさせることは容易い。引き受けた」



12:2015/01/06(火) 09:50:37.93 ID:



菫「引き受けるな馬鹿!!!必死に止めようとしていたお前はどこに行った!?」ポカッ


照「痛っ!?なにするの菫!?」

菫「むしろお前が何やってんだ!?最後の良心があっさり堕ちてどうする!?」

誠子「だから言ったじゃないですか、無駄だって…」

尭深「…妹さんのことになると本当にあっさり人の道を踏み外しますからね、このひと」

淡「ニジョーイズミをガン泣きさせればテルの変態が直るって聞いたよー!早くガン泣きさせようよー!」


監督「一応、引き受けたって言うまでは引っ張ったが…悪かったなお前たち、演技の練習までさせたのに…」


菫「いえ、わずかな望みでもあるならと自分から引き受けたことです、お気になさらないでください」

誠子「これで妹さんの前だと緊張して言葉も出せないっていうんだからタチ悪いですよね」

尭深「『いっそのこと妹さんとくっつけて世話を押し付ける計画』は一瞬で破たんしましたからね…」

照「破たんはしていない。そもそも、私と咲はすでに結ばれている」

淡「ねえねえ!早くガン泣きさせようよー!」



13:2015/01/06(火) 09:51:24.39 ID:


【清澄高校】


咲「うう…お姉ちゃんと仲直りしたはずなのに、会うと無視されるよぉ…」

和「それ、仲直りしてないじゃないですか…」

咲「でも、長野まで来てくれたり、帰るときに見えなくなるまでにブレーキランプ五回つけたり、お手紙やメールには返事してくれるんだよ?」

優希「そもそも、喧嘩の原因は何なんだじぇ?」

咲「それがね…」



14:2015/01/06(火) 09:52:07.08 ID:


【回想】

照「はい、咲、お着替えしましょうねー」ハアハア

咲「えへへ…お着替え手伝ってくれてありがとう、お姉ちゃん」

照「可愛い妹のためだから」ハアハア

咲「私、大きくなったらお姉ちゃんのお嫁さんになるー!!」

照「!!!!!?」ブッ

咲「きゃうっ!?お姉ちゃん、鼻血鼻血!ドバドバ出てるよー!!」

照「…」ダクダク

咲「お姉ちゃん!お姉ちゃん!!!!」

照「ワガショウガイニイッペンノクイナシ…」ダクダク

咲「お父さんお母さん助けて――!!お姉ちゃんが死んじゃう――!!!!」


――

――――

――――――



15:2015/01/06(火) 09:52:40.47 ID:


咲「っていうことがあったの…多分、私がはしゃいで頭突きか何かしちゃって、それで死にかけたから…それ以来、お姉ちゃんとは一言も…」

久「殺されかけた恨みで、口もきいてくれないってわけね…でも、手紙やメールには返事するんでしょ?」

咲「はい…だから、仲直りできたと思っていたんですけど…やっぱり会うと…」

久「それ、死にかけたトラウマで怯えちゃってるだけじゃないの?恨んでるとすると、手紙やメールに返事が帰って来るのが説明できないもの」

咲「…え?」

和「いえ、多分結婚を意識して緊張しているだけだと思いますけど…私もそんなことがあったら咲さんと言葉を交わす自信がありません」

咲「だとすると…私は、怯えてるお姉ちゃんのところに押しかけたり…怖がってるのに無理して麻雀打たせたり…そのせいで、個人戦の三連覇も止まって…ううん、もしかしたら、団体戦だって直接は打ってなくても私のことが気になって調子悪かったのかも…」

久「…気付かない方が、幸せだったかもしれないわね」

咲「そんな…私…そんなつもりじゃ…ただお姉ちゃんと仲直りしたくて…」

久「でも、仲直りはしてくれたんでしょ?なら、照はきっと気にしてないわよ」

咲「でも…でも…」ウルウル



16:2015/01/06(火) 09:53:36.80 ID:


【白糸台高校】


照「というわけで、私と咲はすでに婚約を済ませている。咲がお嫁さんだから、咲が16才になれば私たちは結婚できる」

菫「いや、姉妹で結婚は出来ないぞ?同性はまだしも、姉妹となると世界のどこに行ってもアウトだ」

照「…え?」

菫「なんで真顔なんだ…まさか、本気で気づいてなかったのか?」

照「じゃ、じゃあ、私と咲の婚約は…?」

菫「無効に決まってるだろ。そもそも妹さんが小学生の頃の話なんだから普通の恋人でも法的には無効だ」

照「馬鹿な…そんなことが許されていいはずが…」

菫「むしろ姉妹婚が許されるはずないだろうが」


宥・絹恵「えっ?」


菫「お前らどっから湧いた」


透華「従姉妹はセーフだから大丈夫ですわ…(震え声)」


菫「お前の従姉は同性だろうが!!!声震えてるってことは分かってるよな!?」


郁乃「教え子はセーフやんな?」


菫「アウトだよ!少なくとも卒業するまでは社会的に完全にアウトだよ!!!」


久「百人斬りは…」


菫「お前さっき清澄に居ただろおおおおおおお!?」



17:2015/01/06(火) 09:54:06.21 ID:



菫「ぜえ…ぜえ…」

照「…そんな…姉妹で結婚が出来ないなんて…」

菫「ま、まあ、分かってくれたならいい。これからは妹さんに対してまともな姉として…」

照「…結婚まで初夜を我慢する理由が無くなった」

菫「…は?」

照「咲…待っていてね、今すぐあなたの想いに応えてあげるから…」


菫「亦野!渋谷!!捕縛!」


尭深・誠子「了解!」




18:2015/01/06(火) 09:54:39.55 ID:


こうして、照の妹好きは更に悪化することになった。

良かれと思ってやったことが最悪の事態を招いたり、事態の好転を狙った行為が更なる逆境を招くことはよくある。

しかし、まさかこうなるとは…

妹に阻まれて三連覇を逃しはしたが、それでも照は麻雀界を背負う器であることは衆目の一致するところだ。

麻雀に関わっていくつもりの者として、その問題行動を放っておくことは出来ない。

それに、母校である白糸台の名誉にも関わる。

―――これからも、私が照の問題行動に悩まされる日々は続きそうだ。






人気記事