1:2015/03/27(金) 20:14:00.98 ID:

あらすじ
あたしは今から、この挫折も執着も否定も殴り倒して、進むんだ。

注意
あくまでドラマです。設定はドラマ内のものです。

それでは、投下していきます。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1427454840



2:2015/03/27(金) 20:18:45.06 ID:



H大学室内プール

水泳の季節にはまだ早かった。

けれど、止まるわけには行かなくて、こうやって泳ぎ続けてる。

大きく強く進むことを意識して、水の中を進む。

ターンがしっくりとこなくて、50mを泳いだところで止まってしまった。

プールサイドで、あたしの息は乱れていた。

大学の温水プールは開いてるけど、いるのはあたし一人。

ふう、と大げさに息をついてみた。

だから、何が変わるわけでもないのにさ。

ケータイが鳴っていた。後輩からの着信はいつも唐突だ。



3:2015/03/27(金) 20:19:36.42 ID:

西島櫂「もしもし」

吉岡沙紀『櫂さん、元気っすか?』

櫂「元気だよ、どうしたん?」

沙紀『別に理由なんてないっす。履歴でたまたま見つけたんで』

櫂「はは、沙紀も元気そうだね」

沙紀『今、何してるんすか?』

櫂「大学のプールで自主練中」

沙紀『こんな時期にっすか?』

櫂「公式戦じゃないけど、大会もあるからさ」

沙紀『へぇ、大会はいつっすか?』

櫂「いつ?」

沙紀『何時はいつっす。予定があえば応援に行くっすよ』

櫂「ありがと。小さな大会だし、無理に来なくてもいいよ」

沙紀『なんか理由つけて会おうかと思っただけなんすけどね』

櫂「そうなん?」

沙紀『そうっすよ。奢ってください』

櫂「もう少し、そういうことは隠さない?」

沙紀『正直に生きてるんっすよ』

櫂「まっ、沙紀らしいか。大会後くらいで予定つけるよ」

沙紀『約束っすよ』

櫂「わかったわかった。またね」

沙紀『ええ、お邪魔したっす』ピッ

変わらない声を聞いて、少しだけ安心した。

よしっ。もうひと頑張りしよう。



4:2015/03/27(金) 20:24:02.19 ID:



トレーニングルーム

木場真奈美「やっぱり、君か」

梅木音葉「……真奈美さん」

真奈美「ピアノの演奏中にお邪魔だったかな」

音葉「……いいえ」

真奈美「何か目的でもあったのか?」

音葉「目的がなければ……何かをしてはいけませんか」

真奈美「へぇ、単なる趣味かい?」

音葉「……そうだとは決められません」

真奈美「だろうな。音に親しむのは君にとっては重要なことだからな」

音葉「……ええ」

真奈美「私のことは気にせずに続けたまえ」

音葉「真奈美さんは何を……?」

真奈美「トレーニングだが?」

音葉「……目的は、なにでしょう」

真奈美「意地が悪いな」

音葉「お返し……です」

真奈美「趣味だ」

音葉「……嘘です」

真奈美「ああ。仕事のためさ。君も付き合うか?」

音葉「お断りします……私にはいりませんから」

真奈美「不健康だな。たまには運動もした方がいいぞ」

音葉「知っています……でも」

真奈美「……」

音葉「……」

真奈美「……気が向いたら声をかけてくれ」

音葉「……はい」



5:2015/03/27(金) 20:29:42.15 ID:



H大学室内プール

櫂「よし」

そう呟けるくらいには良い泳ぎだったと思った。

どうした、櫂、という言葉が返ってくるまでは。

どういうことですか。タイムが落ちてるぞ。本当ですか。本当。いくつですか。

無駄な問答だった。

なんとなくはわかっていて、なんとなくだから無視していた。

つまるところ。

あたしはスイマーとして壁にぶち当たってる。

しかも、それの理由が、ダメだ、考えちゃダメだ、やらないと。

櫂「もう一回お願いします!」

だから、頑張らなくちゃ。



6:2015/03/27(金) 20:36:49.29 ID:



休憩室

井村雪菜「おつかれさまですぅ」

浜川愛結奈「お疲れ様。もうそんな時間?」

雪菜「はい。私が休憩時間ですぅ」

愛結奈「このコーヒーが飲み終わったら行くわ」

雪菜「それがいいですねぇ。私も一服しまぁす」

愛結奈「何かあった?」

雪菜「何にもないですぅ。平穏無事です」

愛結奈「退屈ね。そう思わない?」

雪菜「でもぉ、いいお仕事だと思いますよ?」

愛結奈「悪いなんて、言ってないわ」

雪菜「こうやって、慌てずお茶が出来るんですぅ。それだけでいいです」

愛結奈「雪菜」

雪菜「なんですかぁ?」

愛結奈「朝とメイク変わってない?」

雪菜「はい!気づいてくれました?」

愛結奈「それくらいヒマってことね」

雪菜「メイクの研究は実践が大切なんです」

愛結奈「はいはい。後でワタシにも教えてね」

雪菜「はぁい」

愛結奈「ワタシは戻るわ」

雪菜「頼子さんが飲み物欲しいって言ってたのでぇ、持って行ってください」

愛結奈「あの子も大人しく見えて、図々しいわね。わかったわ」

雪菜「ありがとうございますぅ」

愛結奈「あなたはごゆっくり」



7:2015/03/27(金) 20:42:12.83 ID:



H大学プール

櫂「ん?」

見慣れない男がプールにいた。

盗撮騒ぎがあったとか、なんとかでこういう時の対策はバッチリだ。

犯罪者じゃないかもしれないけど、部外者なので帰ってもらおう。

櫂「もしもし、警備室ですか」

しばらくして、男は警備員と共に退場していった。

なんかのスカウトだったらしい。なんだろ。ま、いっか。

邪魔者もいなくなったし、今日も練習に戻る。

今のあたしに適した泳ぎを探さない、と。



8:2015/03/27(金) 20:47:36.48 ID:



H大学食堂

疲れたら食べないといけない。鶏とか卵を中心にモグモグと。

櫂「疲れた……」

一人暮らしの家に帰っても、食事が用意されてるわけじゃない。

から、こうやって一人でご飯を食べてる。

櫂「ごちそうさま」

今までは何とかなってたけど、やっぱり食事も考えないといけないかも。

はぁ、とため息が出る。

大変だなぁ、スイマーって。

スカウト「あの……」

櫂「あ、さっきの。どうしたの?」

スカウト「お話を、と思いまして」

櫂「あたしに?」

スカウト「ええ。私、こういうものでして」

櫂「芸能事務所……?」

スカウト「はい」

櫂「ああ、誰かお目当てがいたんだ?」

スカウト「ええ」

櫂「こんな時間まで残ってることは本気なんだね。わかった、話つけてあげるよ。で、誰なん?」

スカウト「ええ……と」

櫂「ああっ!名前はわからないのか」

スカウト「いえ、そういうわけでは」

櫂「ま、捕まらないようにだけ気をつけてよ。盗撮とかうるさいしさ」

スカウト「はい、それは気をつけます」

櫂「もうプールに誰もいないしさ。あたしも帰るよ、ばいばい。はぁ、疲れた……」

スカウト「待ってくださ……お疲れ様です……」



9:2015/03/27(金) 20:52:50.49 ID:



女子寮

槙原志保「そうなんですか?」

伊集院惠「ええ、そうらしいわ」

志保「新しい人かぁ、楽しみですっ」

惠「誰が来るかは決まってるわけじゃないらしいけれど」

志保「?」

惠「ああ、説明が悪かったかしら」

志保「えっと、どういうこと?」

惠「ポジションが空いてるから、人を加えたいみたいよ」

志保「どうやって決めるんでしょう?」

惠「さぁ?真奈美さんと音葉さんの経緯だとすると」

志保「スカウトかな」

惠「ええ。そう簡単に行くとは思えないけどね」

志保「でも、行かないと困りますよね」

惠「主に私がね」

志保「決まるといいですね。ここも人が増えると嬉しいですっ」

惠「ええ。コーヒー、お替り貰えるかしら?」

志保「はいっ!クッキーもいかがですか?なんならパフェも作りますよ!」

惠「クッキーだけにしておく」



10:2015/03/27(金) 20:56:30.34 ID:



H大学室内プール

櫂「はぁ、はぁはぁ……」

少しは向上した。少なくともタイムが落ちてることなんてない。

食事制限も多少は効いたかもしれない。

料理を覚えてもいいかも、なんて、思った。

大丈夫、と聞かれた。もちろん、大丈夫。少しだけ疲れただけ。

櫂「筋トレの方法も考えないとかなぁ」

自分の体を触りながら、呟いてみる。

変わった、ということだけは否応にもわかった。

変わってるんだから、今までじゃダメだよね、そりゃ。

もっと頑張らないと。

一秒でも早く先に進むためには。

強く強く水を蹴れないといけない。

なぜなら。

櫂「よしっ」

大学1年目もそろそろ終わり。

そろそろ展望を示さない、と。



11:2015/03/27(金) 21:00:07.27 ID:



トレーニングルーム

真奈美「見つかったか?」

兵藤レナ「まだ。そう簡単にはいかないわねー」

真奈美「どうするんだ?」

レナ「最悪、配置転換でどうにかするわ」

真奈美「誰を、だ?」

レナ「真奈美さんか音葉ちゃんしかいないでしょ?」

真奈美「あまり得策とは言えんな」

レナ「私だって、わかってるわよ」

真奈美「一日や二日で変えられない。変えるのは簡単だが」

レナ「ええ。戻すのが簡単じゃないでしょうね」

真奈美「分かってるなら、答えは簡単だろう?」

レナ「だから、強引なこともやらせてもらってる」

真奈美「実にウチらしい。組織が変わってからは更に、だ」

レナ「褒めてないわね」

真奈美「心の底から褒めてるさ」

レナ「一つだけ、連絡を」

真奈美「なんだ?」

レナ「音葉ちゃんをディアーから変えるのは無理」

真奈美「つまり」

レナ「配置転換は覚悟しておいて、真奈美さん」

真奈美「そうならないように祈ってるよ」

レナ「ええ。そうなるように努力するわ」

真奈美「約束だぞ」



12:2015/03/27(金) 21:04:17.40 ID:

10



H大学室内プール

櫂「うん、この日なら大丈夫だから。楽しみにしてる、ばいばい」

ふう、と息をつく。

大会の日が近づいていた。

沙紀との約束はちゃんとした。会場には来れないみたいで、安心した。

仕上がりは上々だと思う。

本格的なシーズン前に良いスタートが切れればいいと思う。

だから、もう少しだけ頑張ろう。

あたしには、水泳しかないんだから。



13:2015/03/27(金) 21:07:29.57 ID:

11

休憩室

古澤頼子「……」ペラッ

高峯のあ「……」

頼子「……」

のあ「……」

頼子「……」

のあ「頼子」

頼子「あっ、のあさん、こんばんは」

のあ「深夜に何を……?」

頼子「読書です。ここは静かなので」

のあ「そう……」

頼子「のあさんこそ、どうしたんですか?」

のあ「水分補給、よ」

頼子「あら。志保さんから頂いた紅茶とスコーンがありますよ」

のあ「……ふむ」

頼子「いります?」

のあ「ええ……いただくわ」

頼子「調子はどうでしょう」

のあ「こちらの進捗に問題はないわ……踊る時には完璧に踊れる」

頼子「良いことです。どうぞ」

のあ「ありがとう……」ズズ

頼子「順調ならいいのですが」

のあ「頼子……これから時間はあるかしら」

頼子「特に予定はありませんけれど」

のあ「見学に来るかしら……?」

頼子「ええ。参考にさせてもらいます」

のあ「スコーンを」

頼子「どうぞ、のあさん」



14:2015/03/27(金) 21:09:35.19 ID:

12

大会会場

地域の大会だった。年齢も中学生から社会人まで様々。

正直言えば、勝てる大会だった。エントリーは一種目だけだったし。

どんな場でも勝つのは自信になる。

そんなことを思いながら、臨んでいた。

予選を通過して、決勝レース。

この時点で、あたしは後悔してた。

出なければ、良かった。



15:2015/03/27(金) 21:13:00.56 ID:

13

トレーニングルーム

音葉「……」

真奈美「急に演奏を止めて、どうした?」

音葉「いえ……気のせいですね」

真奈美「話してみろ」

音葉「話せるほどに……固まったイメージではありません」

真奈美「ふむ。まぁ、いい」

音葉「真奈美さん、お願いがあるのですが」

真奈美「なんだ?」

音葉「歌の指導を……お願いできないでしょうか」

真奈美「もちろんだ。君なら歌わないのはもったいない」

音葉「よろしく……お願いします」



16:2015/03/27(金) 21:16:36.45 ID:

14

大会会場

表彰台の2番目で、あたしは無理に笑顔を作る。

昔から元気な性格って言われてたし、得意だと思う。

試合には負けた。

自分よりも身長が15センチくらい低い15歳の子が優勝した。

天真爛漫に明るく笑っていた。

地元の役所だけが取材に来ていて、楽しそうに答えていた。

予選の時点で結果は見えてた。

その子はしなやかに軽く泳いでいた。

必死に力の限り泳ぐあたしとは違った。違ってた。

水泳はフォームの美しさも、経験も、努力も採点をしてはくれない。

重いものをゴールまで運ぶのと軽いものをゴールまで運ぶのは一緒。

単純に誰よりも早くゴールにつけばいいだけ。



17:2015/03/27(金) 21:17:21.87 ID:

笑ってください、と言われたので笑う。

力強い泳ぎでした。ありがとうございます。

タイムはいかがですか。まだまだです。これから調子をあげていきます。

嫌な視線に気づいた。昔は気にしなかったのに。

目標は。目標?

櫂「目標は、そうですね、0.1秒でも早くなれるように努力していきます」

どこかで答えた気がする、受け答えそのまま。

優勝した子について聞かれて。

きっと良いスイマーになれるよ。でも、次は負けないよ。

なんて答えて。その子が朗らかな笑みをしてくれたから。

きっと、この嘘は正しかったのだと思う。

あたしは、次も勝てない。

そして、こんな事実を告げる必要もないと思う。

がんばってね。それと握手を。

小さくて柔らかい手で、快く握手をしてくれた。

あたしは、負けた。



18:2015/03/27(金) 21:22:09.31 ID:

15

H大学構内

櫂「沙紀、うん、今練習が終わったから行くよ」

大会で負けた理由をずっと考えていた。

正確には、ずっと取り繕おうとしていた。

認められない。

自分の努力とか、相手の実力とかじゃないのが許せない。

だって、あたしが負けた理由は。

櫂「え……」

急にふらりと倒れこんで。

頭の中まで真っ白になって。

沙紀『櫂さん、どうしたっすか?』

世界が真っ黒になった。



19:2015/03/27(金) 21:27:05.55 ID:

16

Z病院

沙紀「はぁ、心配したっすよ」

櫂「あはは……」

沙紀「あはは、じゃないっす」

櫂「ごめん」

沙紀「それでいいっす。で、なんだったんすか?」

櫂「軽い貧血と疲労だって。一応血液検査もした」

沙紀「そんなに追い込んでたんすか?」

櫂「まぁ、うん、そうかな」

沙紀「シーズンも前なのに追い込み過ぎは毒っす。バランスっすよ、バランス」

櫂「……」

沙紀「大会はどうだったんすか?」

櫂「うん、上々。2位だった」

沙紀「良かったっす。医者からは何か言われたっすか?」

櫂「しばらくは安静にしてろ、って」

沙紀「帰るのはオーケーすね?」

櫂「うん。点滴も打ったし」

沙紀「もう夕方っすね」

櫂「なにさ?」

沙紀「ご飯にでも行きましょ。鉄分取るっすよ」



20:2015/03/27(金) 21:32:21.03 ID:

17

会議室

レナ「はじめましょうか」

柳清良「報告は二人から。お願いね、池袋さん、一ノ瀬さん」

一ノ瀬志希「任されたー。ということで、よろしくー」

池袋晶葉「返事だけがいいのは良くないぞ」

レナ「それで、要件は?」

晶葉「候補者が見つかったぞ」

清良「病院の方から連絡があったの」

レナ「やっぱり後ろめたい方から、来るのね」

志希「にゃははー」

晶葉「適正はかなりあるだろうな」

レナ「根拠は?」

清良「これを」

レナ「ふむ……」

晶葉「後は本人の意思次第だろうが、確信はある」

志希「80%くらい?」

晶葉「そんなものだ。レナ、どうする?」

レナ「まずは、お越しいただきましょうか。その前に」

清良「ええ。真奈美さんに様子を見てもらいましょうか」

晶葉「私もそれに賛成だ。真奈美なら信頼できる」

志希「あたしもさんせーい」

レナ「決定。清良ちゃん、真奈美ちゃんに連絡しておいて」

清良「わかりました」

レナ「二人は仕事に戻って。次までに6の準備を終えなさい」

志希「わかったー」

晶葉「任せろ」



21:2015/03/27(金) 21:36:50.81 ID:

18

深夜

H大学室内プール

あたしは隠しきれたかな。

2位はいい結果だって。

泳ぎもしないのに来たプールサイド。

泳げる気もしない。

櫂「くそっ……」

どうしようもなく疲れが出てきて。

へたり込んだ。



22:2015/03/27(金) 21:38:48.00 ID:

19

真奈美「私だ。西島櫂は自宅にいない」

頼子『状況確認しました』

真奈美「あてはあるのか?」

頼子『大学方面へ。プールに居るかと』

真奈美「大学か。たしか、競泳選手だったな」

頼子『先日、地域の大会で2位に輝いています』

真奈美「実力者だな」

頼子『はい。ご足労をかけますが、よろしくお願いします』

真奈美「バイクだったら15分くらいだ。問題ないさ」

頼子『よろしくお願いします』



23:2015/03/27(金) 21:41:07.81 ID:

20

H大学室内プール

わかってた。

どこかで限界が来るってわかってた。

せめて、それが自分の限界であって欲しかったな。

もう少しだけ後が良かった。

大学1年で終わりなんて、さ。

わかってた。

単純に体質が変わってきた。

脂肪がつきやすくなってきた。

ああ、もう、本当にそれだけだった。

櫂「どうして、だよ!」

叫んでも虚しくなるだけだった。

櫂「ああ、もう、どうして……」

高校時代の最後の大会が終わっても泣かなかったし。

卒業式でももちろん泣かなかった。

なのに、どうして、今泣いてんのさ。

ポチャン……

櫂「はっ……」

プールの方から音がした。

櫂「気のせいかな……?」

どうにしても。

櫂「もう……やだ」

パチン、と。

何がが弾けるような音を聞いた。

櫂「え……」

何かがまとわりついていた。

櫂「いった……」

みずから、這い出た何かがあたしを飲み込んでいく。

櫂「……もう、いっか」

挫折と執着と否定があたしを飲み込んで。

それは目覚める。



24:2015/03/27(金) 21:56:04.83 ID:

21

H大学構内

真奈美「到着した。プールはどこだ?」

頼子『……』

真奈美「聞いてるか、頼子君?」

頼子『付近IMC反応検知。緊急招集をかけます』

真奈美「なに?」

頼子『反応、おそらく真奈美さんの北西側です』

パーン!

真奈美「目視で確認した」

頼子『状況を教えてください』

真奈美「プールの屋根が吹っ飛んでIMC出現。色は黄色系統だ。推定高さ10メートル」

頼子『移動してますか』

真奈美「いいや。非常時だ、入らせてくれ!」

頼子『建物は……これは』

真奈美「ああ、プールだな」

頼子『ということは』

真奈美「かもしれん。状況を確認してから帰還する」

頼子『警察到着まではお願いします』

真奈美「任せておけ」

頼子『ご健闘を』

真奈美「さて、生身は久しぶりだな」



25:2015/03/27(金) 21:57:48.16 ID:

22

IMCGオペレーションルーム

レナ「頼子、雪菜、愛結奈、揃ってるわね!」

愛結奈「もちろんよ!」

雪菜「はわぁ、パックの途中だったからぁ、メイクしてないんですー!」

頼子「状況に変化なし」

レナ「雪菜は簡単にメイクをしてなさい」

雪菜「ありがとうございますぅ!」

愛結奈「警察には連絡済み。伊集院さんが走ってくれてるわ」

レナ「情報統制は?」

頼子「関係機関には連絡済みです」

レナ「技術班、進捗を!」

晶葉「シュリンク、4、5、6、全て準備は終わってる」

レナ「6?」

晶葉「次までに準備を完了させろ、って言ったのはレナじゃないか」

清良「言ってたわ。使えるかは別としてね」

レナ「さすがね。音葉ちゃんは?」

頼子「現在、移動中です」

清良「あとは」

レナ「真奈美さんの連絡待ちね」

雪菜「よし、バッチリですっ!」

レナ「総員、IMC討伐フェイズ1への移行準備!」

愛結奈「了解!」



26:2015/03/27(金) 21:58:24.26 ID:

23

どうして、こんなに夢中になったの?

どうして?

どうして。

それは好きだったから、だよ。

いくらでも泳げたし。

いくらでも速くなったし。

いくらでも楽しめた。

仲間がいるともっと頑張れるし。

競争相手がいると燃えるし。

身長も伸びてくれたし。

注目は心地よくて。

賞賛は勇気をくれて。

勝利はもっと嬉しい。

好き、好き、大好き。

どこまでだって成長できて。

いつか、大舞台に、って。

でも。

それは重り、鎖。

ずんずんと重くなっていくこの体に。

知ってた。

知ってて、無視してた。

もう少しだけ頑張れば。

きっと結果が出ると、信じたかった。

だから。

もう、やめて……



27:2015/03/27(金) 21:59:16.77 ID:

24

H大学室内プール

真奈美「私だ、プールまで来たぞ」

雪菜『逃げ遅れた人はいますかぁ?』

真奈美「いないな。IMCの目の前まで到達した」

愛結奈『こっちからは動きが確認できないけど、そっちはどうなの?』

真奈美「本当に彫像みたいだな。ほとんど動いてない」

雪菜『気を抜かないでくださいねぇ』

真奈美「わかってるさ。銃は構えてるよ」

頼子『カウンセリングは出来そうですか』

真奈美「やってみる。お姫様はそこにいるみたいだしな」

愛結奈『目視出来てるの?』

真奈美「IMCに取り込まれてるよ。体育座りで顔は伏せた状態だ」

頼子『映像を送れますか?』

真奈美「ケータイでいいなら」

頼子『お願いします』

雪菜『ふーん、きっと顔を見られたくないんですねぇ』

真奈美「何か、意見でもあるのか雪菜君?」

雪菜『恥ずかしいんですよぉ』

真奈美「恥ずかしい?」

雪菜『人に見せられない、って自分で思っちゃたら、顔なんて隠したくなるんですよぉ』

真奈美「ふむ……」

雪菜『きっと、そういう気持ちがあると思うんです』

真奈美「IMCを起動するには十分か。わかった、考慮する」

雪菜『がんばってくださいねぇー』

真奈美「さて」

真奈美「どうした、西島櫂君?」



28:2015/03/27(金) 22:00:16.21 ID:

25

はっきり言えば。

それは女性アスリートの宿命だ。

女性アスリートはどんどんと若い世代が出てくる。メディアは褒めそやす。

でも、違う。上が沈む。

体に脂肪がついてきて。

男子顔負けだったこの体も女性的な丸みを帯びてくる。

胸とお尻で魅惑的なボディラインを。

まるでそうすべきだと言わんばかりに。

女神様はいつだって押しつけがましいんだ。

知ってた。気づいてた。

だけど、認められなくて。

努力で何とかなるって。

せめて、そう信じさせて欲しかった。

お願い。

お願い、このままでいさせて。

お願い、どうか。

お願い……

……

このままで、いさせて?



29:2015/03/27(金) 22:01:06.08 ID:

26

IMCGオペレーションルーム

愛結奈「真奈美さんから連絡あり」

レナ「なんて?」

愛結奈「カウンセリングはうまく行ってないようね。シュリンクがないと厳しいそうよ」

清良「そうでしょうね。音葉さんは、到着したかしら」

頼子「はい。後は固定だけです」

レナ「惠ちゃんは?」

雪菜「到着はしてますぅ」

レナ「なら、いいわね」

清良「ええ」

レナ「ディアー、出撃準備を」

頼子「残念ですが」

レナ「何か、問題でも?」

頼子「警戒ランクが上がりませんので」

愛結奈「上がゴーを言わないわ」

レナ「これだから、お役所は……」

清良「ここに制限をかけるつもりだから、正解でしょう」

レナ「音葉ちゃんは待機。真奈美さんを呼び出して」

頼子「了解。真奈美さん、聞こえますか」

レナ「早急に帰還を」

雪菜「IMC、動きましたぁ!」

レナ「はじめて動いたのね」

愛結奈「振動停止。なんだったのかしら」

晶葉「シュリンク4の準備だ!急げ!」

のあ「……ええ」



30:2015/03/27(金) 22:01:38.11 ID:

27

H大学室内プール

真奈美「さすがに無理か。つなげそうな感覚はあるんだがな」

頼子『ご無事ですか』

真奈美「私は平気だ」

頼子『先ほどの振動は何ですか』

真奈美「わからん。危険とは思えないが」

頼子『次が安全とは思いません。早急に帰還を』

真奈美「ああ……待て」

頼子『どうしましたか?』

真奈美「動いてる……?」

頼子『IMCの動きは検知されてませんが……』

真奈美「違う。コアの方だ」



31:2015/03/27(金) 22:02:13.36 ID:

28

このままで、いさせて?

あたしがそう言ったの?

うっそだぁ。

嘘だ。嘘つき。

単なる学生スイマーで終わりたくないから、大学でも水泳を続けてる。

このままで、いたくないから。

もっともっと上を目指してたのに?

そうか、わかった。

あっ……ああ。

呼吸を整えて。

ああ、と。

嘘つき。



32:2015/03/27(金) 22:03:24.46 ID:

水泳を辞めたら何をしようかな。

大学生活を楽しむのもいいかも。

バイトとか。勉強とか。遊びとか。恋とか。

なんて、考えてたっしょ。

沙紀が冗談交じりに言ったのを聞いてて。

ちょっとは空想してたでしょ。

挫折はいくらでもしてきたし。

スランプはいくらでもあったし。

今も選手人生を終えようとしてるのに。

水泳、好きだよ。

だからさ、どうしてそんなに水泳に執着するのさ。

自分がそれしかないと決めつけるのさ。

それを無くしたら、あたしはいなくなっちゃうわけ?

ああ、なんか、スッキリしてきた。

本当に好きで頑張ってたんだなぁ、あたし。

本気でやってたんだ、あたし。

よし、目覚めさせてあげようか。

挫折。いくらでもしてきた。これからもする。

でも、越えるよ。

執着。だって、好きだから。仕方ないよ。

だから、選手じゃなくなっても離さない。

否定。いくらあたしでも、それごとあたしの未来を否定するのは許さないから。

進むんだ。あたしは、また打ち込めることを見つけられる。

櫂「聞けっ、あたし!」

拳を強く握りしめて。

大きく息を吸って。

叫ぶ。



33:2015/03/27(金) 22:04:08.23 ID:

29

IMCGオペレーションルーム

愛結奈「IMCに反応あり!」

レナ「フェイズ2移行!?何やったのよ!?」

愛結奈「IMCが移動を開始したわ!」

雪菜「警戒レベル不十分ですぅ!ディアーは出れません!」

レナ「移動は低速……川の方に向かってるわね」

雪菜「真奈美さん、フェイズ1に成功したんですかぁ?」

頼子「違うみたいです……」

のあ「なら……なに」

晶葉「まさか、自力か!」

頼子「そのようです」

晶葉「素晴らしいじゃないか!自分で打ち破るとは!」

レナ「褒めてあげましょう、後は私達の仕事」

愛結奈「真奈美さん、至急帰還を!」



34:2015/03/27(金) 22:04:45.86 ID:

30

H大学室内プール

櫂「は、はぁ、はぁ……」

真奈美「大丈夫か」

櫂「うん、あたしは、大丈夫」

真奈美「逃げるぞ。あいつが動き出す」

櫂「あの、お姉さん」

真奈美「木場だ」

櫂「あいつさ……」

真奈美「説明は後だ。逃げるぞ」

櫂「あたしなんだ。あたしから出てきたモノ」

真奈美「今は考えなくていい」

櫂「ダメだっ!」

真奈美「……」

櫂「あたしが、ケリをつけないと」

真奈美「……なんだ、晶葉君」

櫂「あたしが、あの気持ちを、壊してあげないと」

真奈美「随分と楽しそうだな……わかったよ。西島櫂君、だったな」

櫂「どうして、名前を知ってんの」

真奈美「来るがいい。その希望を叶えてやる、とさ」



35:2015/03/27(金) 22:05:20.40 ID:

31

H大学構内

惠「お疲れ様です」

真奈美「警察との折衝役よりは疲れないよ」

惠「どうも。ルートはこちらで」

真奈美「ありがとう」

惠「IMCGまで一直線に行けます。交通封鎖もしてるから、スムーズです」

真奈美「よし、こっちは頼んだ」

惠「ええ。お気をつけて」

真奈美「行くぞ」

櫂「はい」



36:2015/03/27(金) 22:05:57.06 ID:

32

路上

真奈美「川に入って止まったみたいだな」

櫂「そうかと思った」

真奈美「どうしてだ?」

櫂「水に固執してるんだよ。あたしだし」

真奈美「そう、か」

櫂「どこに向かってんの?」

真奈美「秘密基地さ」

櫂「秘密基地、なにそれ?」

真奈美「スピードあげるぞ、舌を噛まないように黙って、強く捕まってろ」



37:2015/03/27(金) 22:06:56.19 ID:

33

IMCG入口

晶葉「良く来た!」

志希「にゃははー」

真奈美「待ったか?」

のあ「……ええ」

晶葉「君が、西島櫂だな?」

櫂「中学生が、白衣着てる……?」

晶葉「実際、中学生だが些細な問題だろう!さ、こっちだ」

真奈美「行こうとしようか」

志希「はい、これー」

櫂「なに、この黒いジャージ?」

のあ「急ごしらえの……代用品」

志希「とりあえず、着るといいよー」

櫂「っていうか、ここなんなの?」

真奈美「言ったろ、秘密基地だ」

晶葉「何をしてる、早く!」



38:2015/03/27(金) 22:07:41.29 ID:

34

IMCGオペレーションルーム

愛結奈「西島櫂さんがドッグに到着」

レナ「晶葉ちゃんは?」

頼子「同行してます」

レナ「IMCの様子は」

雪菜「河川侵入後、速度を落として移動中ですぅ」

清良「その気ならば任せてもいいのかしら?」

頼子「シュリンク6、出撃許可」

レナ「ええ。存分に、憂さ晴らしさせてあげなさい」



39:2015/03/27(金) 22:08:50.93 ID:

34

IMCGドック

櫂「え……?なにこれ、なんなの?」

真奈美「だから、言ったじゃないか。秘密基地だって」

櫂「ロボット?」

のあ「ロボットじゃないわ……シュリンク」

櫂「シュリン、ク?」

のあ「操縦法は……?」

櫂「あたしに言われても」

のあ「違うわ……操縦法を選んで」

櫂「選ぶ?」

志希「うーんと、慣れがいるのは厳しいと思うなー」

晶葉「ああ。移動に関しては半オートにしよう」

のあ「……上半身のみの接続」

晶葉「それでいいだろう!出撃準備だ!急げ!」

櫂「えっと」

晶葉「どうした?」

櫂「もしかしてさ」

晶葉「なんだ?」

櫂「あたしが乗んの?これに?」

晶葉「他に誰がいるんだ?」

櫂「本気で言ってる?」

晶葉「私はいつだって本気だ」

のあ「急ぎなさい……彼女はまだ移動中よ」

櫂「そっか……」

真奈美「行くか?ケリをつけるんだろう」

櫂「……うん」

志希「レナちゃん、つながってるー?」

櫂「あたし、止めてくる」

志希「聞いたー?」

のあ「……聞いてるようね」

晶葉「さ、こっちだ」



40:2015/03/27(金) 22:09:28.83 ID:

35

IMCGオペレーションルーム

頼子「西島櫂、搭乗しました」

雪菜「接続しましたぁ。セルフテスト完了ですぅ」

愛結奈「十分に動かせるわね。でも、微妙に落ち着いてないみたい」

レナ「理由は?」

頼子「パイロットが違和感を感じているようです」

レナ「そればっかりはどうしようもないわね」

愛結奈「どうするの?」

雪菜「発振準備できました!」

レナ「慣れてもらうしかないでしょう」

清良「ええ」

レナ「フェイズ2移行、シュリンク6発進!」

愛結奈「発進!」



41:2015/03/27(金) 22:10:00.89 ID:

36

河川敷

櫂「うっわ、動いてる……というか動かしてる」

愛結奈『乗り心地はいかがかしら?』

櫂「悪くないけどさ、なんか落ち着かないんだよね」

雪菜『きっと、夢中になれば気になりませんよぉ』

櫂「そういうもんなの?」

晶葉『そうだ。モーションキャプチャーは出来てるか?』

櫂「うん。グー、チョキ、パー」

のあ『お上手……』

櫂「これ、足はどうやって動いてんの?」

愛結奈『思う通りに動いてるかしら?』

櫂「そうそう。というか、それが不思議かな」

志希『ふっふーん。志希にゃんお手製のお手軽操作君のおかげなのだー』

櫂「どういうこと?」

晶葉『簡単に言えば、脳波でコントローラを動かしてるだけさ』

のあ『無駄話はやめて……集中を』

頼子『IMCを視認しましたか』

櫂「IMC、ってあれのこと?」

のあ『ええ……』

櫂「そっか、あんな形なんだ」



42:2015/03/27(金) 22:10:29.99 ID:

雪菜『こんな形?』

櫂「彫刻みたい。こんなものになってしまえ、ってことかな」

頼子『深い話は後で考えましょう。接近を』

櫂「ねぇ、こいつで」

雪菜『シュリンクですぅ。ニックネームは後で考えましょ♪』

櫂「何ができんの?」

愛結奈『殴れるわ』

頼子『費用効果のために、近接戦闘のみに特化しました』

櫂「武器とか、ないの?」

愛結奈『ないわよ』

晶葉『そんなものは不要だ』

櫂「わかりやすくていいや」

愛結奈『なら、やるべきことは?』

櫂「あいつをぶん殴って、止める」



43:2015/03/27(金) 22:11:04.76 ID:

37

IMCGオペレーションルーム

レナ「へー、普通に動くのね」

晶葉「当たり前だろう。適正から選んでるんだ」

愛結奈「IMC、反転したわ!」

レナ「さて、どうなるかしら」

頼子「IMC、シュリンク6に接近中」

雪菜「ファイティングポーズですよぉ」

晶葉「よし、いいものを見せてくれ!」



44:2015/03/27(金) 22:13:35.97 ID:

38

河川敷

櫂「うお、とっとっと、っと!」

頼子『尻餅をつきました』

愛結奈『思った以上に抵抗が強いわね』

櫂「よし、起き上がれ!」

雪菜『シュリンク6、立ち上がります』

櫂「うーん、なんか、しっくりこない」

晶葉『どうした?』

櫂「ちゃんと見えてる。でも、動かない」

のあ『接続が悪い……?』

櫂「ワンテンポくらい遅れてるんだよね」

愛結奈『そうなの?』

頼子『数値上はそのように見えませんが』

雪菜『でもぉ、真奈美さんと音葉さんと比べたら悪いかもしれませんねぇ』

晶葉『機体の問題ではないな』

志希『IMCが近づいてるよー?』

櫂「大丈夫。水からは上がってこないよ」

頼子『IMC、止まりました』

櫂「……そっか」

晶葉『どうした?』

櫂「水か」

のあ『水……?』

櫂「水、ここに貯められる?」

頼子『大丈夫なのですか』

晶葉『ふむ。こんなこともあろうかと、オプションとしてはある』

愛結奈『あるの?』

のあ『あるわ……コクピット内は防水よ』

晶葉『まったく『天才』の考えることはわからん。だが、役に立つ時が来たようだ』

櫂「出来る?」

晶葉『のあ、志希』

のあ『冷却水を……コクピットに入れるわ』

志希『オッケー、冷却水のバイパスを考えるよー』

のあ『指示した通りに……行くわよ』



45:2015/03/27(金) 22:14:11.67 ID:

39

河川敷

のあ『……注水完了』

志希『首まで浸かっちゃったけど、いいのー?』

頼子『シュリンクに問題なし』

櫂「よしっ」

雪菜『IMC、まだ止まったままですぅ』

櫂「すー……」ザブン

晶葉『一応純水だが、長く浸かっていることはオススメしないぞ』

櫂「……」

のあ『あら……』

頼子『数値上昇しました』

櫂「はっ!」

雪菜『さぁ、パンチですよ、パンチですぅ!』



46:2015/03/27(金) 22:15:00.48 ID:

40

IMCGオペレーションルーム

愛結奈「シュリンク6、IMCに突撃!」

レナ「動きがよくなったじゃない」

晶葉「ふむ。微小な差だが、動きにしてみると違うな。面白い」

頼子「右ストレートがヒット」

櫂『あー、もう!』

レナ「どうしたのかしら」

雪菜「どうしましたぁ?」

櫂『移動補助解除して!水に足突っ込んでるから、あたしの方が上手い!』

志希「あっちゃー、そこもこだわったんだけどー」

のあ「拘りは……彼女の方が強いわ」

晶葉「わかった。頼子」

頼子「移動補助、解除」

櫂『おっしゃあ!』

愛結奈「さすがっ!一気に懐まで詰めたわ!」

櫂『聞けえぇぇぇぇ!』

レナ「聞け、か」

頼子「左肩がヒット」

櫂『あたしがそれだけだと思うなっ!』

のあ「……」



47:2015/03/27(金) 22:15:43.82 ID:

愛結奈「ボディに当たったわ!」

櫂『くそっ、くそぉ、このやろっ!』

頼子「反撃を回避」

雪菜「返し様に左パンチが当たりましたっ!」

櫂『あたしはっ!』

レナ「ふふ……」

櫂『あたしの、あたしに、未来を否定されないっ!』

愛結奈「IMC、体勢を崩したわ!」

頼子「シュリンク、更に接近」

櫂『あたしは、進むんだぁぁ!』



48:2015/03/27(金) 22:16:52.77 ID:

41

晶葉「素晴らしいじゃないか」

櫂『はぁ、はぁ、はぁ……』

頼子「IMC反応停止。フェイズ2、完了」

愛結奈「勝ったわ」

雪菜「パイロットも無事ですっ!」

レナ「お見事よ」

櫂『……』

晶葉「どうした?」

櫂『もう、いいから……ばいばい……』

レナ「泣いてる……?」

のあ「排水を……帰還させてあげましょう」



49:2015/03/27(金) 22:19:13.69 ID:

42

後日

IMCG・舎内

櫂「真奈美さん、スカウトに来てたの?」

真奈美「ああ。まさか、IMCの設計図にされるとは思わなかったがな」

櫂「あはは……あ、それじゃプールに来てた男の人も?」

真奈美「ん?誰だ?」

櫂「名刺くれたんだけど、えっと、これこれ」

真奈美「これ、芸能事務所じゃないか」

櫂「知ってる。偽装とか?」

真奈美「大手だぞ。本当にスカウトだったんじゃないのか」

櫂「まさかぁ」

真奈美「変な機械に乗るのとどちらが現実的かな?」

櫂「どちらかと言うと変な機械の方があたしにはリアルみたい」

真奈美「違いない。ここだ」

櫂「ここが、オペレーションルーム?」

真奈美「ああ。覚悟はできてるか」

櫂「もちろん。あたしと同じ気持ちには、させたくないから」

真奈美「良い心がけだ」

櫂「よし……」

真奈美「ようこそ、IMCGへ。これから頼むよ」

櫂「はいっ!」


製作 テレビ○日



50:2015/03/27(金) 22:20:24.89 ID:

オマケ

CuP「櫂君、凄い役ですね」

PaP「櫂ちゃんにしかやれない役だよ」

CoP「似合いますね、熱血系」

PaP「あれでネガティブな所もあるからだけどな。ところで」

CoP「なんです?」

PaP「カワイイ櫂と172’sというのは、どうだろうか?」

CoP「提案してみましょうか?」

PaP「真奈美ちゃんに?」

CoP「はい。もちろん」

CuP「やってくれそうなのが、また……」

おしまい



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