2019年09月08日

ガーンジー島の読書会の秘密

2018年のフランス、イギリス映画です。
監督は、マイク・ニューウェル。
原作は、メアリー・アン・シェイファー「ガーンジー島の読書会」、アニー・バロウズ。
脚本は、ドン・ルース、ケヴィン・フッド、トーマス・ベズーチャ。
撮影は、ザック・ニコルソン。
衣装は、シャーロット・ウォルター。
編集は、ポール・トシル。
音楽は、アレクサンドラ・ハーウッド。
主演は、リリー・ジェームズ。
共演は、ミキール・ハースマン、グレン・パウエル、ジェシカ・ブラウン・フィンドレイ、
キャサリン・パーキンソン、マシュー・グード、トム・コートネイ。








1946年、終戦の喜びに沸くロンドンに暮らす作家のジュリエットは、
一冊の本をきっかけに、“ガーンジー島の読書会”のメンバーと手紙を
交わすようになる。ナチに怯えていた大戦中に島の人々を支えていたのが、
読書会と創設者であるエリザベスという女性の存在だった。
本が人と人の心をつないだという事実に魅了されたジュリエットは、
読書会に関する記事を書こうとガーンジー島を訪ねるが、
そこにエリザベスの姿はなかった。メンバーと交流するうちに、
ジュリエットは彼らが重大な秘密を隠していることに気づく。


──ぼくはガーンジー島のドーシー・アダムズです
──戦時中にチャールズ・ラムの随筆集を手にしました
──本にあなたの住所が、
──占領下の生活に、ラムは笑いを与えてくれました、
──とくにローストピッグのくだり
──ぼくの所属する読書とポテトピールパイの会もドイツ軍から
  豚肉を隠すために誕生しました


──わたしの本があなたに行きついて嬉しいです
──資金不足で泣く泣く手放した本なの
──本には帰巣本能があって、ふさわしい読者に行きつくのかしら?


──ドイツ軍の占領は終わりましたが、島には本屋がなくて、
──ロンドンの本屋の住所を教えてくれませんか?
──「シェイクスピア物語」を買いたいんです 


──3つの質問に答えてくれたらご所望の本を進呈します
──なぜ豚肉を隠すの?
──なぜそこから読書会が?
──一番知りたいのは、ポテトピールパイってなに?


ジュリエットは、アメリカ人の恋人、マークに「アメリカで暮らそう」
と言われ、喜びをかみしめるが、部屋にドーシーからの手紙が届いていた。

その手紙には、ドイツ軍が食用の家畜を取り上げ、
替わりにジャガイモを育てるように言われたこと。
戦争中に食料がなく、飢えて死にそうになったことが書かれていた。

そこにエリザベスが包丁を貸してほしいと連絡をしてきたことも。
アメリアという高齢の女性が豚を隠していたのだった。
アイソラという若い女性がジンを持ち寄り、エベン・ラムジーという
高齢の男性はポテトピールパイを持って来たことが書かれていた。

エリザベスたちは豚の肉で密かに晩餐会を催し、楽しい時間を過ごした。
その帰り、エリザベスたちはドイツ軍に取り調べにあい、
「外出禁止だ?、なにをしていた?」との質問に、
「読書会をしていた」と嘘でごまかしたことが始まりだと書かれてあった。

──ぼくたちは嘘を取り繕うため、読書会を行った
──ドイツ兵の見張りは初回だけ、だがぼくたちは頻繁に読書会を行った
──占領下のガーンジー島で、読書はぼくたちに自由を与えてくれた
──本は自由だけでなく、人と人とのつながりも生んでくれたんだ


ドーシーとの手紙のやり取りで、本が自由を与え、つながりを生んだ
その事実に、両親を戦争で亡くしたジュリエットは感動し、
読書とポテトピールパイの会を取材したいと考え、
読書とポテトピールパイの会に出席するため、ガーンジー島に旅立った。


偶然に知り、美しい事実を深めたいと旅立った女性作家の物語。
そこには、美しい事実と同時に戦争の暗い物語も存在し、
それは謎となっていた──。




おもしろい映画です。









stainbeck at 19:01|PermalinkComments(0) 新作映画評 | イギリス映画

2019年08月08日

僕たちは希望という名の列車に乗った

2018年のドイツ映画です。
監督、脚本は、ラース・クラウメ。
原作は、ディートリッヒ・ガルスカ。
撮影は、イェンス・ハラント。
編集は、バーバラ・ギース。
音楽は、クリストフ・カイザー、ユリアン・マース。
出演は、レオナルド・シャイヒャー、トム・グラメンツ、ヨナス・ダスラー、
ロナルト・ツェアフェルト、ブルクハルト・クラウスナー、レナ・クレンケ。



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1956年、東ドイツの高校に通うテオとクルトは、
祖父の墓参りで列車に乗って訪れた西ベルリンの映画館で、
「ジャングルの裸女」という映画を観る。
が、映画が始まる前、ニュース映像が流れた。
それは、ハンガリーの民衆蜂起を伝えるニュースだった。

「どうだったベルリンは?」  「映画は観たか?」
「トップレス映画を見た」
「ぼくも見たい、全部見えるのか?」
「そんなものを見たら堕落するぞ」
「それよりもっとすごいものを観た」

クラスの中心的な存在であるテオとクルトは、
レナやクラスの女の子たちも誘い、パウルの叔父の家に行った。
パウルの叔父は、人里離れた湖のそばに住み、
アメリカ・西ドイツが運営する西側ラジオ放送を聴いていた。

「聴かせてくださいよ」
「いいだろう」

──ソ連の支配に反発したハンガリーで民衆が蜂起
──プスカシュをはじめ、数千人が死亡しました


「ハンガリーのために黙祷しよう、死んだ同志のために」

テオとクルトは、級友たちに呼びかけて授業中に2分間の黙祷を実行した。
それは自由を求めるハンガリー市民に共感した彼らの純粋な哀悼だったが、
ソ連の影響下に置かれた東ドイツでは
“ 社会主義国家への反逆 ”と見なされる行為だった。

「なんだこれは!!」
「クルト!、なぜ黙っている!」 「レナ!、なぜお前も黙っている!?」
「エリック、お前もか!?」
「これは、、追悼の意です」
「追悼だと!?」


テオとクルトは、クラスのほとんどの生徒を誘い、
またパウルの叔父の家に行った。

──10月29日には警察、軍隊、市民による国民防衛隊が結成
──ナジ・イムレがソ連に停戦を呼びかけ、ソ連軍は撤退を開始した

「ハンガリーの勝利だ!、自由に万歳!」
「万歳!」  「万歳!」  「自由に!」  「万歳!」

テオとクルト、クラスの生徒たちは酒を飲み、
西側ラジオ放送から流れるアメリカの曲でダンスを踊った。


この2分間の黙祷が教育庁に知られることになる。
校長は、テオに、「わたしは同志のおかげで校長になれた」と言い。
労働者階級育ちのテオに、進学コースはエリートコースだと言い、
その特権の意味を理解するよう説明した。
「いい農民は、秋にミミズが這い出すのを見て嵐に備える」と言った。


テオは、クルト、クラスの生徒たちに、
校長が、自分にアドバイスをしてくれたと話す。
パウルの叔父は、「君たちは自分たちの意思で黙祷を行った」と言い、
これは、「自由思想だ」と言い、
国家からすると驚異で反逆罪と捉えられると言った。

テオは、これはサッカー選手、プスカシュへの哀悼にしようと話した。
クルトは、「嘘をつくのか?、俺たちはハンガリーに追悼したんだ」
と言ったが、テオはスポーツへの哀悼にし、政治意思はなかったようにする
と説明した。意見は対立したが、最後は無記名の多数決で決めた。


やがて教育庁のケスラー女史が現れた。
ケスラー女史は、まずエリックだけを呼んで取り調べた。
その後、テオを呼んだ。

「今回の沈黙の意味はなに?、たんなる学校への反抗ならいいのだけど」
「実は、サッカー選手のプスカシュが亡くなったと聞いて、それで、、」
「サッカー選手への哀悼?、はは、サッカーが好きなクラスなのね?」
「そうです」

ケスラー女史は、クラス全員をひとりひとり取り調べ、帰って行った。


テオとクルトは、クラスのほとんどの生徒を誘い、
またパウルの叔父の家に行った。

──11月4日、ソ連軍は、ハンガリーに再介入
──街は市街戦と化し、ナジ・イムレは追放された

「なんだと!?」
「アメリカは?、西側は何もしないのか?」


翌日、ケスラー女史が再び現れ、テオを呼び出した。

「あなたに朗報よ、プスカシュは生きている、
 亡くなったと言ったのは誤報よ、西側ラジオ放送のね、
 ──どこで西側ラジオ放送を聴いたの?、
 ──エリックがあなたが首謀者だと話したわ」


さらにその次の日、ランゲ国民教育大臣までが現れる。
ランゲ国民教育大臣は、校長に「出て行け」と言い、
自ら教壇に立ち、生徒たちに一週間以内に首謀者を告げるよう宣告する。
首謀者が告げられない場合、「進学クラスは廃止にする」と言った。

生徒たちは、人生そのものに関わる重大な選択を迫られる。
仲間を密告してエリートへの階段を上がるのか、それとも信念を貫いて
大学進学を諦め、労働者として生きる道を選ぶのか──。


ベルリンの壁の向こう側、社会主義国家、ソ連統制下の物語。
閉塞した社会は、SNSで行った悪ふざけを、
ここぞとばかり正論で人の人生を追い込む現代と似ていなくなくもない。




いい映画です。









stainbeck at 01:46|PermalinkComments(0) 新作映画評 | ドイツ映画

2019年06月02日

ゴジラ キング・オブ・モンスターズ

2019年のアメリカ映画です。
監督は、マイケル・ドハティ。
脚本は、マイケル・ドハティ、ザック・シールズ。
撮影は、ローレンス・シャー。
衣装は、ルイーズ・ミンゲンバック。
編集は、ロジャー・バートン、リチャード・ピアソン、ボブ・ダクセイ。
音楽は、ベアー・マクレアリー。
出演は、カイル・チャンドラー、ヴェラ・ファーミガ、ミリー・ボビー・ブラウン、
渡辺謙、チャン・ツィイー、サリー・ホーキンス、チャールズ・ダンス。







Email: パパ、連絡して、ママが心配なの

ゴジラが巨大生物ムートーと死闘を繰り広げ、
サンフランシスコに壊滅的な被害をもたらしてから5年。
その戦いに巻き込まれ、夫マーク( カイル・チャンドラー)と
破局を迎えた科学者のエマ(ヴェラ・ファーミガ)は、特務機関モナーク
で怪獣とコミュニケーションがとれる装置の開発に当たっていた。


「芹沢博士、軍は巨大生物たちを管理ではなく、殺すべきでは?」
「巨大生物たちは、目覚めるべくして生まれるんです、
 水爆実験の結果や、資源採掘の結果に、我々は共生すべきです」
「ゴジラがペットに?」
「我々人類こそがゴジラのペットだ」

そんなある日、エマと娘のマディソンが、装置を狙う環境テロリストの
ジョナ一味によってさらわれてしまう。事態を重く見たモナークの
芹沢博士(渡辺謙)とグレアム博士(サリー・ホーキンス)は、
マークにも協力を仰ぎ、ジョナたちの行方を追うのだった──。


「これは・・」

南極の氷に閉じ込められていた3つの首がある巨大生物。
ジョナ一味は、氷を爆破し、3つの首がある巨大生物を蘇らせた。

メキシコでは、火山の爆発と共にラドンが復活した。
そして、世界中で巨大生物が姿を現せ、暴れだした。
人類に未曾有の危機が訪れる──。


今回の「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」は、
前作の「GODZILLA ゴジラ」から、
監督、脚本、撮影、衣装、編集、音楽、主役キャストを全員交代と
通常の続編映画と違い、完全な前作拒否のコンセプト全面変更の作品です。

そのため、ゴジラ対キングギドラの対決という娯楽映画のカタルシスが
最重要視され、おもしろいです。
前作ではただダサくてかっこ悪いムトーというアメリカ人が創り出した
巨大生物がゴジラよりも登場するのに対し、
本作は、キングギドラ、モスラ、ラドンと次々日本製の巨大生物の登場に
時間を割き、アメリカ製の巨大生物はおまけにしか登場しません。
これが日本人にだけにいいのではなく、物語にテンポとメリハリを与え、
物語にあきさせません。


前作が、ほんとうにすごくつまらない映画だったからこそ、
「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」は、おもしろく蘇った映画。




すごくおもしろい映画です。









stainbeck at 09:21|PermalinkComments(1) アメリカ ハリウッド映画 | 新作映画評

2019年05月01日

荒野にて

2017年のイギリス映画です。
監督、脚本は、アンドリュー・ヘイ。
原作は、ウィリー・ヴラウティン。
撮影は、マグヌス・ヨンク。
音楽は、ジェームズ・エドワード・バーカー。
主演は、チャーリー・プラマー。
共演は、クロエ・セヴィニー、トラヴィス・フィメル、
スティーヴ・ザーン、スティーヴ・ブシェミ。







作家・音楽家のウィリー・ヴローティンによる2010年の小説
“Lean On Pete”
その序文
「確かに我々人間は弱く、病気にもかかり、醜く、堪え性のない生き物だ。
 だが、本当にそれだけの存在であるとしたら、
 我々は何千年も前にこの地上から消えていただろう。」
──ジョン・スタインベック


仕事を変えて住居を転々とする父(トラヴィス・フィメル)と2人で
ポートランドに越してきた15歳の少年チャーリー(チャーリー・プラマー)
は、孤独な日々を送っていた。

「リンはどうだ?」
「前の人よりいい、料理が上手だ」
「リンは人妻だ、旦那はサモア人、フットボールをやっている」

父は息子を愛しながらも、自分の楽しみを優先。
母はチャーリーが赤ん坊の時に去っていた。


「手伝ってくれるか?、10ドルやるぞ」

ある日、近所の競馬場で、厩舎のオーナー、デル
(スティーヴ・ブシェミ)が手をケガしていたため、
チャーリーはタイヤの交換を手伝った。
そのまま厩舎に行き、競走馬リーンオンピートを見せてもらった。

「ここを手伝いたい」
「いくつだ?」
「16」
「親は夜の外出を許してくれるのか?」
「うん」

チャーリーは、デルの厩舎の仕事を手伝うことにした。
素直で呑み込みが早く、馬を可愛がるチャーリーは、
すぐにデルに気に入られた。

「お前、食べ方が下品だな」
「そう」
「俺と一緒に食う時は、肘をつけずに食え」

競馬場で女性騎手のポニー(クロエ・セヴィニー)がピートに騎乗。
ピートは颯爽と駆ける。


「お前!、殺してやる!」

父がトラブルに巻き込まれ、殴られて大けがを負ってしまう。
病院に入院。チャーリーは、父にマージー伯母さんへの連絡先を聞いた。

「二人で生きていくんだ」

父はマージーの連絡先を言うことを拒否した。


チャーリーは金を稼げることもあり、やむなく父の傍を離れて
ピートの遠征に同行する。騎手のポニーからは
“馬を愛しちゃダメ。競走馬は勝たなきゃクビよ”と忠告されるが、
ピートは、チャーリーが唯一、心を許せる存在となっていた。
翌日、遠征から戻ると、容態の急変した父が亡くなっていた。

「大丈夫って言ってたじゃないか!」
「炎症が進んで、、不可抗力だった」
「一昨日はまだ話せたのに。。」
「チャーリー、君の家族に連絡を取ろう、連絡先は?」
「家族は、、いないよ」
「親戚は?」
「父さんが教えてくれるはずだったんだ」
「チャーリー、大丈夫だ、ちょっと待ってろ   ──養護院を」

チャーリーは医師を振り切り、デルの厩舎へと走るチャーリー。
チャーリーはピートのいる馬小屋で数日を過ごした。

だが、老いたピートは、競走馬としての寿命が尽きかけていた。
レースに惨敗したピートを殺処分から救うため、
チャーリーはピートを乗せたトラックを盗んで逃走した。
かつてマージー伯母さんの住んでいたワイオミングを目指した。


映画は静かに進行します。
しかし、チャーリーがピートを乗せたトラックを盗み。
ある夜。

腹が減ったのか  長距離の移動に疲れたのか
ピートは鼻息を高く、不機嫌に荒ぶります

この瞬間映画が動きます  

軽やかに颯爽と走る馬は崇高な偶像でも可愛いペットでもなく、
生きた馬だった。生き物には疲れや不機嫌がある。昂ぶる感情がある。


そして、映画は、子供にはよくある
“ なにもできなくてただ逃げ出す ”
それが痛々しく胸に刺さるのは自らも経験があるからなのか。

感傷を湛えて完結する映画。後味が残る映画です。




いい映画です。









stainbeck at 14:28|PermalinkComments(0) イギリス映画 | 新作映画評

2019年04月16日

シーズ・ソー・ラヴリー

2003年、アカデミー賞、主演男優賞受賞のショーン・ペン主演の映画です。
監督は、ニック・カサヴェテス
脚本は、ニック・カサヴェテスの父親、ジョン・カサヴェテスです。







誰の記憶にもある暴力的な男性とその男性を愛した女性の物語です。

妊娠中の妻モーリーン(ロビン・ライト・ペン)は、朝、目を覚まします。
隣には、夫、エディ(ショーン・ペン)はいません。

モーリーンはひとりでいるのが嫌いな女性なので、怒り、警察に捜索願を出します。
しかし、警察が「ちょっと待ってください」と、保留音に音楽が鳴ります。
「なんで、警察で音楽が鳴るのよ!」と怒り、電話を切ります。

モーリーンはアパートすぐ下のダイナーで一番の安物を頼みます。
すると、隣人を見つけ「酒をおごってよ」と言います。

隣人と楽しく酒を飲むモーリーン。

お互い部屋に戻った、隣人とモーリーン。
隣人は、自分の部屋で音楽を聴きながら飲み直そうと、モーリーンを誘います。

隣人は、強引にモーリーンを誘い、
目にあざができ、鼻から血が流れるほどに殴り、姦通します。

モーリーンは、このことがエディに知れると隣人を殺しかねないので、
雨の中、傘もささずに精神病院に行き「もし、なにかあったら助けて」と言います。


モーリーンがアパートに戻ると、エディは友人と酒を飲んでいます。

雨にぬれ、顔から血を流すモーリーンに、
エディは、「どうした?」と聞き、
モーリーンは、「雨の中転んだ」と言います。

エディは、モーリーンを、病院に連れて行った後、ダンスに誘います。
モーリーンは、「なに言ってるの?、顔から血だらけなのよ」と普通に言います。
エディは、「関係ねーよ」と普通に誘います。

ダンスホールに送ってもらった後、
チケット売り場にて、エディは、お金を持っていないことに気づきます。
「どうするのよ、帰りましょうよ」と普通に言うモーリーンに、
エディは、チケット売り場の店員さんに、
「今日は、せっかくのデートに二人で、踊りに来たんだ、
 ね、あんた、金貸してくれないかな 」と普通に言います。
あきれるチケット売り場の店員さんに、
「ここのチケットの分と、酒三杯分、
 あと、帰りのタクシー代と、
 あと、あんたにおごる酒一杯分 」と明るく普通にエディは言います。

見事に、店員さんにお金を借り、ダンスホールで、踊るエディとモーリーン。


雨の中、深夜アパートに帰り、深夜にレストランを営む友人を大声で起こします。
「金がないからさー、お前のところで食べさせてよ」


楽しく、アパートに戻ったエディとモーリーン。
しかし、隣人がまだ起きていて、ドアの向こうから様子を見ていました。
怒りが沸き立つモーリーン、
「ねぇ、あいつを殴ってよ、わたしのために殴ってよ」と、怒り言います。
「よくわからないけど殴ればいいんだな」と、エディは隣人を殴ります。
エディがあまりにも殴りすぎるので、
「もう、やめて死んじゃう」とモーリーンは、エディを止めます。


翌朝、モーリーンが目を覚ますと、
エディが訊きます。「昨日なにがあった?、お前をやった奴は、あいつなのか?」
その眼と、その声は、非常に危険で、
モーリーンは、エディがしらふで隣人を殺しかねないと感じます。


隣の椅子にすわっていても、他人という現代にあり、
台風のような暴力的男性というのは、脅威であり、
過ぎ去ってしまうと懐かしくもあります。

こういう暴力的男性というものは、
たいていがなにも考えていなく、それが恐ろしいというものです。

ただ、大人になり、自分がこういうものに接しなくなるようになると、
もの恋しく、打算のないあの捨て身な感性を懐かしくも感じます。


当然こういう暴力的男性、エディも、そのままでいられる訳がなく、
暴力的事件を起こし、精神病院に強制収容されることとなります。

医者からは、もう直らないだろうとモーリーンは言われ、
モーリーンは、離婚し、面会には行かない決心をします。

それから10年が過ぎ、エディは退院します。
ただ、「3ヶ月で出られる」と約束したモーリーンの言葉に、
エディの時間は止まったままでした。

モーリーンは、入院中に、裕福なジョーイと再婚し、三児の母親となっていました。


エディは、モーリーンに会いに行きます。
ジョーイは、きっちり話をつけようと言います。
モーリーンは、「もう、出てこれないと聞いていたのに」と苦悩します。
三人の娘は、台風前夜の不安と恐怖、ばくぜんとした興味に囚われます。




いい映画です。







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シーズ・ソー・ラヴリー (1997)

監督 ニック・カサヴェテス
製作 ルネ・クライトマン
製作総指揮
   ベルナール・ブーイ、ジェラール・ドパルデュー、ショーン・ペン、
   ジョン・トラヴォルタ
共同製作総指揮
    ボブ・ワインスタイン、ハーヴェイ・ワインスタイン
脚本 ジョン・カサヴェテス
撮影 ティエリー・アルボガスト
美術 デヴィッド・ワスコ
衣裳 ベアトリス・アルナ・パーストル
編集 ペトラ・フォン・オルフェン
音楽 ジョセフ・ヴィタレッリ

出演 ショーン・ペン
   ロビン・ライト・ペン
   ジョン・トラヴォルタ
   ハリー・ディーン・スタントン
   デビ・メイザー
   ジェームズ・ガンドルフィーニ
   ジーナ・ローランズ
   ジャスティナ・マシャド
   バート・ヤング
   ニール・バリー

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物語

放浪癖のある重度のアル中患者エディ(ショーン・ペン)は、
妊娠中の妻モーリーン(ロビン・ライト・ペン)が隣人から受けた暴行の腹いせに、
銃を振り回し、精神病院に強制収容されることとなった。
それから10年が立ち、退院することになったエディだが、その歳月を認識できない。
「3ヶ月で出られる」と約束した彼女の言葉でエディの時間は止まったのだ。
しかし、入院中に彼女は離婚し、裕福なジョーイ(ジョン・トラボルタ)と結婚。
今では三児の母となっていた。彼女は荒みきっていた自分を救ってくれたジョーイを
愛しているものの、エディのことを片時も忘れたことはなかった。

退院したエディは、ジョーイを訪ねた。そこにはエディとモーリーンの子供も住んでいたが、
エディは激しく動揺する。挙げ句にモーリーンは自殺未遂を起こした。
エディは、彼女を激しく抱き寄せた。いつかモーリーンの心は決まっていた。
彼女は3人の子供たちをひとりひとり抱き寄せる。エディは階段に座りこみ、
自分の娘とはじめて向き合った。そしてふたりは、車に乗って邸宅を後にした。
家の前には、いつまでも3人の子供たちとジョーイの姿があった。

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Story
ジョン・カサヴェテスが描き下ろしたシナリオを息子・ニックが監督したラブストーリー。愛し合うエディとモーリーンの、周囲からは理解されない、不器用だが深く純粋な愛の形を描く。エキセントリックなユーモアが漂...(詳細こちら


stainbeck at 10:00|PermalinkComments(1) アメリカ ハリウッド映画 | 1990年代

2019年04月08日

明日に向って撃て!

1969年のアカデミー賞、作品賞、監督賞ノミネート、
脚本賞、撮影賞ほか4部門受賞の作品です。
監督は名監督、ジョージ・ロイ・ヒル。
主演は、ハリウッドの伝説のスター、ロバート・レッドフォード、ポール・ニューマン。
共演は、アメリカン・ニューシネマの伝説のスター、キャサリン・ロス。







ブッチ・キャシディー(ポール・ニューマン)とサンダンス・キッド
(ロバート・レッドフォード)は強盗団として西部では有名になっていました。
「銀行も変わったな」
銀行もしだいに近代化し、彼らにとって仕事がしずらくなっていきます。

ブッチたち強盗団は、現金輸送の列車を行きと帰りの両方襲うという大仕事をしますが、
鉄道会社はプロの追跡隊を放ち、二人を文字通りに崖っぷちまで追い詰めます。
「飛びこもうぜ」
──「おれは嫌だ」」
「飛ばなきゃ死ぬんだぞ、他に逃げ道はない」
──「うるさい!、おれは撃ち合って死ぬ!」
「殺されるぞ、死にたいのか、何で飛ばないんだ」
──「俺は泳げないんだ!」
絶体絶命の状況の中、ブッチは笑い、川に飛び込みます。

ブッチとキッドは逃げても逃げても追跡隊に執拗に追われます。
二人はサンダンスの彼女エッタと3人で南米のボリビアに旅立ちます。

南米、ボリビア。こりもせず銀行を襲い続けるブッチとサンダンス。
そして、ここでも彼らは、お尋ね者になってしまい、
ボリビア政府は、2人の捕獲に軍隊を動員させます。

追われることに疲れ、真面目に働こうとするブッチとサンダンス。
銀行強盗のくせに、今まで人を撃ったことがないブッチ・キャシディー。
人間味あふれるアウトローを魅力的に描いた映画。



“ ハリウッド黄金時代の映画からアメリカン・ニューシネマへの移行 ”

ジョン・ウエイン、ゲイリー・クーパー主演の西部劇とは違う西部劇。
ピカレスクであり、タフガイではない男たちの西部劇。

負け続けるギャンブラーのようなブッチとサンダンス。
ボリビア軍隊に囲まれた絶体絶命の中から、「明日に向って撃て!」。




いい映画です。







収録時間:111分
レンタル開始日:2002-05-02

Story
『スティング』でもコンビを組んだポール・ニューマンとロバート・レッドフォードが臨んだ傑作西部劇。華麗に列車強盗を成し遂げたブッチとサンダンスだったが、追跡団に追われて南米ボリビアに逃げ込む。その地でも荒稼ぎを繰り返す2人だったが…。(詳細こちら


stainbeck at 10:00|PermalinkComments(0) 60年代・70年代 | アメリカ ハリウッド映画

2019年04月07日

サンセット

2018年のハンガリー、フランス映画です。
監督、脚本は、ネメシュ・ラースロー。 
他の脚本に、クララ・ロワイエ、マチュー・タポニエ。 
撮影は、エルデーイ・マーチャーシュ。 
編集は、マチュー・タポニエ。 
音楽は、メリシュ・ラースロー。 
主演は、ヤカブ・ユーリ。



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「これはどうでしょうか?」
「・・・。」
「素敵です、古いものも」
「・・あの、わたしは面接に来ました」
「こちらへ」   「早く言って」

1913年、オーストリア=ハンガリー帝国。
ブダペストにある高級帽子店にやってきた若い女性イリスは、
ここで働きたいと言う。しかしオーナー、ブリルは迷惑な顔をする。

「昔の殺人事件はもう忘れられた、わたしが店を守ってきた」

そこは、彼女が2歳の時に亡くなった両親が遺した店だった。
やがて、失踪している兄の消息を追い始めるイリス。
一方、華やかな帽子店に隠された闇も次第に浮かび上がってくる──。


この映画は難しいです。
衣装やセットにこだわった映像。
ベルリンの壁の向こう側にあったハンガリーの俊蘭の時代。
これを理解できる人は楽しめるのですが、
映像がポール・グリーングラスの「グリーン・ゾーン 」のようであり、
主人公の背後にカメラが寄り添い、“ その世界を見せる ”
というスタイルなのですが、これが娯楽映画であると
「ボーン・スプレマシー」のように昇華するものもありますが、
情念の強い社会派映画では観ていて疲れます。
これと同じ映画、謎がちりばめられた映画にはミヒャエル・ハネケの
「白いリボン」があり、「白いリボン」は、謎を考える時間、
映画の画面の静止性があり、余韻に浸る時間もあるのですが、
「サンセット」は息をもつかせないため、
ハンガリーの俊蘭の時代に浸れる人は「ボーン・スプレマシー」のような
激しい動悸が得られる名作なのですが、それがつかめない人が観ると、
物語は、雰囲気をこしらえていることに辟易し、
映像は、俊蘭の時代を感じることができる余裕を与えてくれません。




ちょっと微妙な感じの映画です。









stainbeck at 08:27|PermalinkComments(0) フランス映画 | 東欧の映画

2019年03月24日

アラバマ物語

1962年のアメリカ、ハリウッド映画です。
監督は、ロバート・マリガン。
原作は、ハーパー・リー。
脚本は、ホートン・フート。
主演は、ハリウッド黄金時代の大スター、グレゴリー・ペック。







“ 異常なる奴隷主義社会が生んだ「アメリカの良心」と呼ばれる映画 ”







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アラバマ物語 (1962)

監督 ロバート・マリガン
製作 アラン・J・パクラ
原作 ハーパー・リー
脚本 ホートン・フート
撮影 ラッセル・ハーラン
音楽 エルマー・バーンスタイン

出演 グレゴリー・ペック
   メアリー・バダム
   フィリップ・アルフォード
   ジョン・メグナ
   ブロック・ピータース
   ロバート・デュヴァル ブー・ラドレー
   フランク・オーヴァートン
   ローズマリー・マーフィ
   ポール・フィックス
   コリン・ウィルコックス
   アリス・ゴーストリー
   ウィリアム・ウィンダム

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物語
1932年、アメリカは不況のドン底だった。アラバマ州メイコムという小さな町に、
男やもめの弁護士アティカス(グレゴリー・ペック)は住んでいた。
家族は彼と幼い子供たち、息子のジェム(フィリップ・アルフォード)、娘のスカウト
(メアリー・バダム)、それにカルという黒人のメイドが家の世話をしていた。
近所には精神異常の“ ブー ”ことアーサー・ラドレーという男がいて、
父親に世話されていた。

ある日、農夫ボブが、娘が黒人の小作人トムに強姦されたと保安官に訴えた。
判事は罪を否認するトムの弁護人に、アティカスを指名した。
町の人々は黒人を弁護したらただではすまぬと、アティカスに警告した。
だが、アティカスは不正と偏見を嫌い、何よりも正義を重んじる男だった。

ジェムたち3人は、隣家の庭に忍び込んだ。鎖で繋がれているという
ブーを見るためだった。恐る恐るジェムが窓を覗き込んでいると、どこからか
大きな黒い影がジェムに近づいて来た。それに気付いた3人、必死で逃げた。
金網にジェムがズボンを引っ掛け、仕方なく脱いで逃げた。
ジェムが後でズボンを取りに行くと、ズボンはきちんとたたんでそこに置いてあった。
そのうちにスカウトとジェムあての贈物が、
ラドレー家の前の木の穴に置かれるようになった。壊れた懐中時計だったり、
ナイフだったり、人形だったりした。ジェムとスカウトは、
ただなんとなくブーの仕業ではないかと思った。このようにして日々は過ぎていった。
危害を避けるため、ほかの町の留置場に入れられていたトムはメイコムに戻された。

裁判の前夜、アティカスが外で見張っていると、何台かの車で駆けつけた
男たちが降りてきた。中には猟銃を持つ者もいた。
男たちがアティカスに「どけ!」と詰め寄る。
その中にジェムたち3人が割って入る。スカウトは男たちの中にカニンガムを見つけた。
カニンガムは以前、フィンチに弁護で世話になったことがあるのだが、金が無いため、
時々野菜などを持ってくるのだった。カニンガムの息子、ウォルターは、学校では
ジェムたちと同級生だった。ジェムたち子供たちの登場で気まずくなったカニンガム。
ほかの男たちも戦意を失い、引き上げていった。

いよいよ裁判の当日。アティカスは必死の弁護を行って被告の無罪を主張した。
保安官は、事件の日、連絡を受けて駆けつけた時、メイエラの右目が殴られ、
右手にも傷があり、首にも締められた後があったことを証言した。
メイエルの父、ボブ・ユーエルも証言した。
「家の門へ入った時、娘の叫び声がした。
 トムが逃げるのが見えた、娘は家の中に倒れていた」
「ユーエルさん、娘さんの傷は保安官の言うとおりですか?」
「ああ、間違いない」
「なあたは読み書きができますか?」
──うなずくユーエルに、アティカスは紙とペンを渡す。ボブは左手で書き始めた。
メイエラ・ユーエルも証言した。
「家の中にトムが入ってきて襲った。殴られ、首を締められた」
「君のお父さんは優しいかい?、親子の仲は?、酒を飲んで殴ったことは?」
「・・・殴られたことは一度もないわ」
──その時、アティカスは、「これを受けてくれ」と、トムにグラスを投げた。
トム、右手で掴んだ。
「次は左手で・・・」
「できない、12の時、綿繰り機にはさまれ、左手の筋が全部切れた」
「この男がどうやってあなたを強姦したんだね?」
「わからない、・・・とにかく、その男がやったのよ」
「メイエラにいつも用事を頼まれるので、その夜も家の中に入ると、
 抱きついてきてキスしようとした、
 その時、お父さんが帰ってきた、逃げたので後は知らない」
アティカスは、陪審員たちに向かって言った。
メイエラは、白人が黒人を誘惑した罪を消し去ろうと嘘の証言をし、
トムを遠ざけようとしていると。
トムは、仕事を手伝っただけだと。トムは無実で、真犯人は別にいると。

休廷後の陪審の評決は、「罪状どうり有罪」という残酷なものだった。
トムはうなだれ、アティカスはやるせない思いだった。
2階席の黒人たちは失望し、沈黙した。3人の子供たちも言葉がない。
手錠を嵌められ退廷するトムにアティカスが声を掛けた。
「上訴するから気を落とすな」
その後、家へ帰ったアティカスのもとへ保安官がやって来た。
保安官の話を聞いているアティカスの肩が落ちた。
トムが死亡くなったのだった。刑務所へ護送される途中、トムは逃亡し、
保安官の威嚇した弾が当たって死んだのだった。

アティカスは、トムの家族のもとを訪ねた。トムの母親は訃報を聞き、卒倒した。
そこへ、ボブ・ユーエルが酒にふらつきやって来た。表情が憎しみに満ちていた。
アティカスの顔に唾を吐きかけた。アティカスは黙って唾を拭き、立ち去った。

ハロウィンの夜。
ハムの姿に扮したスカウトと紳士に扮したジェムが暗い林の中を歩いていた。
突然、ジェムが何者かに襲われた。
そこへ突然、第2の人影が現れ、襲った男をつかまえた。
襲ったのはボブ・ユーエルだった。彼は胸にナイフを刺して死んでいた。
2人を助けてくれたのは、“ ブー ”アーサー・ラドレーだった。
ブーの行動は正当防衛だった。

スカウトはブーを連れてきてジェムに合わせ、それから白髪の彼を送っていった。
“ ブー ”がくれたのは、人形や、壊れた懐中時計やナイフ、そして命だった。
相手の身になって考えろとアティカスが言ったその意味がやっと子供たちはわかった。
ふたたびアティカス一家の平和な生活が始まったのだった。

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監督:ロバート・マリガン
出演者:グレゴリー・ペック、 メアリー・バダム、 フィリップ・アルフォード、 ロバート・デュバル
収録時間:129分
レンタル開始日:2003-06-27

Story
『ローマの休日』のG・ペックが主演、人種差別と闘いながら正義を貫く男を描いた社会派ドラマが“ユニバーサル・シネマ・コレクション ドラマウェーブ”で登場。1930年代、アメリカの田舎町で暮していた弁護士・アティカスの下に、黒人の弁護依頼がくる。 (詳細はこちら


stainbeck at 16:43|PermalinkComments(0) アメリカ ハリウッド映画 | 60年代・70年代

2019年03月23日

ハリーとトント

1974年のアメリカ、ハリウッド映画です。
監督、脚本は、ポール・マザースキー。
音楽は、ビル・コンティ。「ロッキー」を担当する前の第一回、音楽作品です。
主演は、アート・カーニー。



ハリーとトント













72歳のハリー(アート・カーニー)は、愛猫のトントと
ニューヨークのマンハッタンに住んでいます。
が、今のニューヨークは、フィッツジェラルドの「失われた世代」ではなく、
ウォーホールの「ポップアート」の時代。

ハリーは、黒人の青年に買い物袋をひったくられそうになり、
なんとか難をしのぎましたが、アパートに戻ると現在の世相を呪い、
年を取り、ふがいなくなった自分にも苛立ちます。

ハリーのアパートは区画整理のために、立ち退きを命じられています。
ハリーは最後の住人。やがて強制的に立ち退きを迫られ、
ハリーはソファーに座ったまま、シェイクスピアの「リア王」の戯曲を叫びます。
市の職員は、ソファーに座ったままのハリーをそのまま表に運び出します。
その姿を見た長男のバートは自分のアパートに来るよう、父ハリーを諭します。

仕方なくハリーは、猫のトントを連れて長男のバートの家に行きますが、
やはりバートの妻に気兼ねしなければならず、「奥さんの気持ちもわかってやれ」と言い、
シカゴにいる娘のシャーリー(エレン・バースティン)や、ロサンゼルスに住む
次男のエディを訪ねてみると、はからずも72歳のハリーが、
アメリカ、東海岸から西海岸への旅をすることになってしまいます。


72歳のハリーと猫のトントとの旅。

飛行機でひとっ飛び、となるはずでしたが、猫のトントを連れては搭乗を拒否され、
バスで行くことになってしまいます。しかし、バスに乗ってもトントが身体を悪くし、
「少し休ませたい」とハリーも無茶を言い、
バスの運転手も「絶対無理、常識を考えろ」と言いますが、
年寄りのわがままを聞き入れます。
しかし、せっかくバスの運転手の好意も、トントがどこかへ行ってしまい、
「さすがにこれは無理」とバスの運転手はハリーの了解を得た上で、
ハリーの荷物を置き去り、行ってしまいます。

仕方なくハリーは中古車を買い、目的地に向かうことにします。
途中、コミューンへいくという若い恋人たちに会い、
ハリーは、「車は運転できるか?」と訊き、
車の運転を変わってもらう代わりに同乗を許可します。
が、モーテルに泊まった翌朝、男性が「あの車に乗せてもらう、ここで別れよう」と言い、
ハリーが女性、ジンジャーに「いいのか?」と訊くと、
ジンジャーは、「別にかまわない、恋人でもない」と普通に言うので、
ハリーはよくわからないまま納得し、ハリーの旅は、ジンジャーを伴うようになります。

ジンジャーは、十六歳、家出少女でした。
ハリーは旅のさなか、思い出の土地、思い出の話をし、
初恋の相手でダンサーだったジェシーのことを話したとき、
ジンジャーは「会いに行きましょう」と言います。

ハリーが、記憶を頼りにジェシーに会いに行くと、ジェシーは黒人の女性でした。
「ダンス教室のジェシーでしょ?、よく間違われるのよ」



ハリーは、老人ホームにてジェシーに再会します。
本屋を経営する娘のシャーリーとの再会。ジンジャーとの別れ。
初めてのヒッチハイクで高級娼婦に乗せてもらったこと。初めてのラスベガス。
猫好きということで意気投合した老カウボーイ、ウェード。
免許証なしで人にまじない医術を施したから捕まったという老インディアンの酋長。

老齢に入ってしまった男性の偶然にも幸福な旅の物語。



そして幸福な旅の最後は、
世の中の“ 父親、母親 ”がよく直面するよくある問題にて物語は波乱を含みます。
が、“ 父親、母親 ”は強く、たくましくあるものが普通だと、物語は気分よく完結します。




いい映画です。







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ハリーとトント (1974)

監督 ポール・マザースキー
製作 ポール・マザースキー
脚本 ポール・マザースキー、ジョシュ・グリーンフェルド
撮影 マイケル・C・バトラー
編集 リチャード・ハルシー
音楽 ビル・コンティ

出演 アート・カーニー
   エレン・バースティン  
   チーフ・ダン・ジョージ
   ラリー・ハグマン
   ジェラルディン・フィッツジェラルド
   メラニー・メイロン
   ハーバート・バーゴフ
   クリフ・デ・ヤング
   エイヴォン・ロング

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物語

72歳のハリー(アート・カーニー)は、愛猫のトントとニューヨークの
マンハッタンに住んでいたが、区画整理のためにアパートから強制的に立ち退きを
迫られた。仕方なくハリーはトントを連れて長男のバートの家に行ったが、
バートの妻に気兼ねしなければならず、シカゴにいる娘のシャーリー
(エレン・バースティン)を訪ねる旅に出る決心をした。

バートは飛行機で行くことをすすめたが、トントと一緒では飛行機に乗せてもらえず、
バスで行くことになった。しかしそのバスもトントのために途中で
降りなければならなくなり、中古車を買って目的地に向かうことにした。
途中、コンミューンへいくという娘、ジンジャーに会い、
彼女の勧めで初恋の相手でダンサーだったジェシーに会いにいった。
年をとったジェシーは頭がすこしいかれていてハリーを想い出せなかったが
昔ダンサーだったことは覚えていて、ハリーと一緒に踊ったりした。

ようやく、本屋を経営するシャーリーの家に辿りつき、彼女の次男のノーマンに会った。
2人はたちまち仲よくなった。シャーリーはハリーと一緒にきたジンジャーに、
コミューンへいくのは危険だから両親の許へ帰るよう説得したが、
彼女はききいれなかった。またシャーリーはハリーにシカゴで一緒に暮らそうと
いったが、ハリーもそれを断わり、翌朝ジンジャーと出発した。ノーマンもついてきた。
一行がアリゾナにつくと、ジンジャーとノーマンは、ハリーに一緒にコミューンへ
行こうと誘ってみたが、ハリーは当分の間1人でいたいと断わった。

ハリーとトントの旅が再び始まり、さまざまな人間に会った。猫好きということで
意気投合した老カウボーイ、ウェード(アーサー・ハニカット)、高級売春婦、
ラスベガスで立小便をしたとき留置所に入れられ、そこで会った老インディアンの酋長、
ツー・フェザー(チーフ・ダン・ジョージ)。ツー・フェザーは、免許証なしで人に
まじない医術を施したから捕まったといった。滑液のう炎をわずらっているハリーが
彼に薬をぬってもらうと、それは驚くほどよく効いた。

ハリーが次に訪れたのはロサンゼルスだった。ここには次男のエディ(ラリー・ハグマン)
が住んでいた。翌日、ハリーはトントが病気にかかっているのに気づき、
病院へ連れて行き手当をしてもらったが、その甲斐もなくトントは死んだ。
ハリーは浜辺を歩いている1匹の猫を見つけた。それは死んだトントによく似ていて、
彼は猫を抱き上げた。渚の傍で女の子が砂の城をきずいているのを見ると、
ハリーは一緒にその城を作りはじめた。

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監督:ポール・マザースキー
出演者:アート・カーニー、 エレン・バースティン、 チーフ・ダン・ジョージ、 ラリー・ハグマン
収録時間:116分
レンタル開始日:2010-01-08

Story
ポール・マザースキー監督が、ひとり暮らしの孤独な老人とペットの猫が辿る旅をペーソスたっぷりに綴ったロードムービーの名作。区画整理でアパートを追い出された老人・ハリーは、愛猫のトントを連れて娘の住むカリフォルニアへ向かうが…。 (詳細はこちら


stainbeck at 20:30|PermalinkComments(0) アメリカ ハリウッド映画 | 60年代・70年代

2019年03月21日

ハムレット

ケネス・ブラナーの監督、脚本、主演作品です。
共演は、「タイタニック」のケイト・ウィンスレット。
そして、リチャード・ブライアーズ、ジュリー・クリスティ、ビリー・クリスタル、
ジャック・レモン、ロビン・ウィリアムズ、リチャード・アッテンボロー、
マイケル・マロニー、チャールトン・ヘストン、ジェラール・ドパルデュー。







ケネス・ブラナーは王立演技学校を主席で卒業、
ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーにて、最年少のヘンリー五世を
演じるなどイギリス舞台俳優としては天才としての経歴を持っています。

そして、演劇界だけでなく、イギリス映画界でも成功を収め、
「フランケンシュタイン」にてアメリカ、ハリウッドでも収めた後に、
製作されたのが、このシェイクスピア原作「ハムレット」です。


ケネス・ブラナーは舞台俳優として
これ以上ない最高のキャリアを持つ舞台人ですが、
現代に生きる人々は「シェイクスピア」劇など見ないという
痛ましい現実をよく知っています。

それをよく理解し、ケネス・ブラナーは「世にも憂鬱なハムレットたち」
という名作を作っています。

この「ハムレット」は、そうした痛ましい現実をよく理解しながらも、
すべての成功をつかんだケネス・ブラナーの意欲的な作品です。

シェイクスピア長編原作ををそのままノーカットで描く完全なる「ハムレット」。

豪華絢爛な舞台。
アメリカの伝説の名優、チャールトン・ヘストン。
フランスの名優、ジェラール・ドパルデュー。
美しいオフィーリア役は、「タイタニック」に出演する前後の頃のケイト・ウィンスレット

シェイクスピア原作をまったく切り捨てない、4時間をこえる長時間の作品です。


が、映画を観る人にも暖かいケネス・ブラナーのわかりやすい優しい演出。




いい映画です。
この映画は、ようやく2008年、DVD化されています。







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ハムレット (1996)

監督 ケネス・ブラナー
製作 デヴィッド・バロン
原作 ウィリアム・シェイクスピア
脚本 ケネス・ブラナー
撮影 アレックス・トムソン
美術 ティム・ハーヴェイ
衣装 アレクサンドラ・バーン
音楽 パトリック・ドイル

出演 ケネス・ブラナー
   ケイト・ウィンスレット
   リチャード・ブライアーズ
   ジュリー・クリスティ
   デレク・ジャコビ
   ビリー・クリスタル
   ジャック・レモン
   チャールトン・ヘストン
   ロビン・ウィリアムズ
   リチャード・アッテンボロー
   ジェラール・ドパルデュー
   マイケル・マロニー
   ニコラス・ファレル
   ティモシー・スポール
   ブライアン・ブレッスド
   ローズマリー・ハリス

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物語

19世紀のデンマーク王国。国王が急死する。
王の弟クローディアスは王妃と結婚し、跡を継いでデンマーク王の座に就く。
父王の死と母の早い再婚とで憂いに沈む王子ハムレット(ケネス・ブラナー)は、
従臣から父の亡霊が夜な夜な城壁に現れていることを聞かされる。
亡霊に会ったハムレットは、実は父はクローディアスに毒殺されていたことを知る。

復讐を誓ったハムレットは狂気を装う。王と王妃はその変貌ぶりに憂慮するが、
宰相ポローニアスは、その原因を娘オフィーリア(ケイト・ウィンスレット)への
実らぬ恋ゆえだと察する。父の命令で探りを入れるオフィーリアを、ハムレットは
無下に扱う。やがて王が父を暗殺したという確かな証拠を摑んだハムレットだが、
王と誤ってポローニアスを殺してしまう。オフィーリアは度重なる悲しみのあまり狂い、
やがて溺死してしまう。ポローニアスの息子レアティーズ(マイケル・マロニー)は、
父と妹の仇をとろうと怒りを燃やす。

ハムレットの存在に危険を感じた王はレアティーズと結託し、
毒剣と毒入りの酒を用意してハムレットを剣術試合に招き、秘かに殺そうとする。
しかし何も知らぬ王妃が毒入りの酒を飲んで死に、
ハムレットとレアティーズ両者とも試合の最中に毒の剣で傷を負ってしまう。
死にゆくレアティーズから真相を聞かされたハムレットは、王を殺して復讐を果たした後、
事の顛末を語り伝えてくれるよう親友ホレイショーに言い残し、自らも息絶えた。

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stainbeck at 20:34|PermalinkComments(0) イギリス映画