2018年12月17日

水の中のつぼみ








シンクロナイズド・スイミングの競技会場。

高校1年のマリーは、親友で同級生のアンヌの応援のため観客席に着く。
アンヌたちのつたない演技にうんざりしたマリーが席を立とうとすると、
上級生たちの華やかな演技が始まる。マリーは思わず目を奪われ、
中でもひときわ笑顔が輝くキャプテンのフロリアーヌに釘付けとなる。

一方、着替えに手間取っていたアンヌはふとした拍子に、
男子部員のフランソワに裸を見られ、恋に落ちる。

マリーはシンクロ・クラブへ入部しようとするが、受付が終了していたため断られる。
アンヌはその夜のスイミング・クラブのパーティーへマリーを誘う。
アンヌがフランソワに夢中で暇を持て余したマリーは、フロリアーヌを見つけ
練習を見せてほしいと頼むが、断られる。その内フロアでは、
フロリアーヌがフランソワと激しいキスを交わし、それを見たアンヌは会場を飛び出す。

マリーはプールでフロリアーヌを待ち伏せ、何でもするから見学させてと頼みこむ。
フロリアーヌは素気ない態度を取るが、マリーをプールサイドに招き入れる。
初めて間近でシンクロを見たマリーは何かを感じ、息を切らしてシャワーに打たれる。
異性関係が派手なフロリアーヌはチームメイトから難癖をつけられるが、
バカにしたようにやり返していた。それをマリーが黙って見ていると、
フロリアーヌは彼女を自分の家に誘う。マリーが彼女の家に着くと、
それがフランソワとの外出の口実であることに気づく。

それからマリーは、親しくしてくれるフロリアーヌの言いなりになり続けた。
ある日、フランソワとのデートに付き合わされたマリーが遂に怒って去ろうとすると、
フロリアーヌが後を追ってきた。彼女はマリーに予想もしなかった告白をする。
夜まで語り合った2人は、自然と手を重ね合う。フロリアーヌの秘密を知って
苦しむマリーに、フロリアーヌは驚くべき依頼をするのだった──。








stainbeck at 10:00|PermalinkComments(0) 西欧の映画 | フランス映画

2018年12月16日

大いなる陰謀




LIONS FOR LAMBS





















その日、ジャーナリストのロスは、共和党の若きホープであるアーヴィング上院議員
のオフィスへ招かれた。次期大統領候補とも目されるアーヴィングは、
旧知の仲である彼女に極秘情報を告げる。それは対テロ戦争において、
少数精鋭の特殊部隊をアフガニスタンに送り込むという新たな作戦だった。
高地を占領することで、戦争を勝利に導くことができると自信満々に語るアーヴィング。
その内容は、ロスを驚かせるのに充分なものだった。



LIONS FOR LAMBS



















同じ頃、カリフォルニア大学ではマレー教授が学生のトッドと面談していた。
トッドは、優れた資質を持ちながらも授業への欠席が続いている生徒だった。
マレー教授は、かつての教え子だったアーネストとアーリアンについて語る。
彼らは、マレー教授が担当する研究発表の流れから、
アフガニスタンへの志願兵を志望したのだった。
マレー教授は、現在の社会情勢に無関心であるトッドにその愚かさを説く。


戦場であるアフガニスタンの最前線、そこにアーネストとアーリアンはいた。
二人を乗せたヘリは、敵から予想外の攻撃を受ける。そして、アーネストとアーリアンは
雪深い山中に転落した。包囲網の中、孤立しながらも戦闘を続けようとする二人の姿を、
衛星の映像で捉える米軍の作戦本部。しかし、今、米軍においても彼らを救う術はなかった。
絶望的な状況の中、アーネストとアーリアンは敵から容赦ない砲弾を受ける。


アーヴィングから情報をリークされながらも、それを好意的な独占ニュースとして
報道できなかったロスは、上司から厳しい叱責を受けるが自身の判断を誇る。
そして、臨時ニュースで流されるアーネストとアーリアンの戦場での悲報をテレビで見て、
トッドの心もまた大きく揺れるのだった。







「大いなる勇者」
「スティング」
「出逢い」
「ナチュラル」
「トップガン」
「カクテル」
「レインマン」
「幸福の条件」
「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」
「マディソン郡の橋」
「ミッション:インポッシブル」
「ザ・エージェント」
「アンカーウーマン」
「M:I-2」
「ラスト サムライ」
「コラテラル」
「M:i:III」
「ナイト&デイ」
「ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル」
「ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション」


stainbeck at 10:00|PermalinkComments(0) アメリカ ハリウッド映画 | 2000年〜

2018年12月15日

フラガール








昭和40年、福島県いわき市の炭鉱町。

“ 求む、ハワイアンダンサー ”の貼り紙を見せながら、
ここから抜け出す最初で最後のチャンスだと、早苗は紀美子を誘う。
男たちは、数世代前から炭坑夫として、女たちも選炭婦として鉱山で働いてきた。
だが今や石炭から石油へとエネルギー革命が押し寄せ、閉山が相次いでいる。
この危機を救うために炭鉱会社が構想したのが、レジャー施設
「常磐ハワイアンセンター」だった。
紀美子の母・千代も兄・洋二朗も、炭鉱で働いている。父は落盤事故で亡くなった。
千代は炭鉱を閉じて“ ハワイ ”を作る話に大反対だが、
紀美子と早苗はフラダンサーの説明会に出かける。

二人のほかに集まったのは、会社の庶務係で子持ちの初子、一際大柄な女の子、
小百合だけだった。そんな中、娘たちにフラダンスを仕込むために、
ハワイアンセンターの吉本部長は、東京から平山まどか先生を招く。
本場ハワイでフラダンスを習い、SKD(松竹歌劇団)で踊っていたダンサーだった
まどかは、ど素人の娘たちに踊りを教える意欲などなかった。
また、まどかは母親の借金を背負い、半ば自暴自棄になってもいた。

しかし紀美子たちの熱意に次第に心動かされ、ひたむきな娘たちと接するうちに
夢を持つ大切さを思い出していた。だが、世間の風当たりは依然強く、
さらに予期せぬ出来事が次から次へと起こる。早苗は一家で北海道へ移住することになり、
小百合の父親は小百合が遠征で留守をしている時に亡くなる。

数々の困難を乗り越えて、いよいよ「常磐ハワイアンセンター」は初日を迎えた。
フラガールたちはみごとなダンスを披露して、大歓声を浴びるのだった──。








stainbeck at 10:00|PermalinkComments(0) 日本映画 

2018年12月14日

MON MEILLEUR AMI(監督:パトリス・ルコント、主演:ダニエル・オートゥイユ)

 


MON MEILLEUR AMI

















「葬式の参列者は親類を含めて7人、寂しいもんさ」
「君の葬式もそんなもんだ」
「冗談だろ」──「どうして?」
「友達がいないから」
「ぼくに友達がいないだって?」
「親友って誰よ?」
「いっぱいいるさ、君たちだっているし──」

「じゃあ、証明して」
「なにを賭ける?」
「あなたの落札した壷」「親友を紹介できなかったら──わたしがもらうわ」


美術商のフランソワは意気揚々としていた。
オークションで狙っていた紀元前5世紀に作られたギリシャの壷を
落札できたからだった。足取りも軽く自分の誕生日ディナーに出かける。
その席での会話で自分の顧客の葬式の話をするフランソワ。
「葬式の参列者は親類を含めて7人、寂しいもんさ」
ところがそこにいた全員から「君の葬式もそんなもんだ」という強烈な言葉。
理由は簡単、“ 友達 ”がいないから。
ショックを受けたもののこのまま引き下がるわけに行かないフランソワは、
10日以内に親友を連れてくるという賭けをする。賭けの対象は、
落札したばかりの紀元前5世紀に作られたギリシャの壷。

その日からリストに書き連ねた友人たちにコンタクトを取るフランソワだが、
「お前を友達と思う奴はいない」「君を覚えていない」「借金の申し込みか?」と、
そこで誰も彼を親友だとは思っていない事を思い知る。
そんな時、ふとしたきっかけで知り合ったタクシー運転手ブリュノ(ダニー・ブーン)
の親しみやすさを目にしたフランソワは、彼に人と仲良くなるコツを学ぶ事にする。

一方、そのブリュノは、誰よりも豊富な人の良さと知識を持ちながらも、
生来のあがり性が災いし、念願のクイズ番組への出場も予選落ちの連続。
実は、誰とでも仲良くなれる人の好いブリュノにも、かつて親友に裏切られた
拭い去ることができない過去があったのだ。

そして、二人は次第に共感の絆で結ばれてゆくが──。







「タンデム」
「髪結いの亭主」
「仕立て屋の恋」
「タンゴ」
「パトリス・ルコントの大喝采」
「歓楽通り」


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2018年12月13日

L' ENFAN(監督・製作・脚本:リュック=ピエール・ダルデンヌ、ジャン=ピエール・ダルデンヌ)








ブリュノ、20歳。ソニア、18歳。
ふたりはソニアのアパートで暮らしている。

ある日、ふたりの子供、ジミーを出産したソニアが退院してくる。
だが、部屋には見知らぬ男女の姿。ブリュノが金のために貸したのだ。
なんとかブリュノの居場所を探し出し、会いに行くが、ブリュノはチンピラ仕事の最中。
ソニアが嬉しそうにジミーを抱かせようとしても、気乗りしていない。

ブリュノは、手下のように使っている子供、スティーヴたちと共に、
小さな盗みをしては盗品を売った金でその日暮しをしている。
子供相手と言っても、分け前をごまかすことはしない。

「真面目に働いて欲しい」とソニアは頼むが、ブリュノは相手にしない。
ふたりは職業斡旋所に行くが、ブリュノは長蛇の列を見て辟易してしまう。
列にはソニアが残り、ブリュノはジミーを連れて散歩をする。
ふと、昨晩、取引をした女の言葉を思い出して電話するブリュノ。
「いくらで子供を買う?」――ブリュノはソニアに黙って、子供を売った。

しかし、足がつくのを恐れた買い手のおかげでなんとか子供は取り戻せたものの、
意識を戻したソニアは警察にことの次第を話していた。
ソニアは相変わらず軽い態度のブリュノに怒りを燃やし、彼を自分の家から追い出す。

金に困ったブリュノは、スティーヴと共に盗みを働くが執拗に警察に追い掛けられ、
スティーヴが補導されてしまう。まもなくブリュノは自首。

やがて服役中のブリュノのもとに、ソニアが訪ねてきて、
ブリュノは思わず嗚咽をあげるのだった。彼はまだ何も知らなかった。
涙も、働く汗も、本当の愛も、命の重ささえも。
ブリュノは自分の犯してしまった過ちにようやく気づいたのであった。







「イゴールの約束」
「ロゼッタ」
「ロルナの祈り」
「少年と自転車」
「サンドラの週末」


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2018年12月12日

ヒストリー・オブ・バイオレンス








インディアナ州の田舎町ミルブルックにある小さなダイナーのオーナーである
トム・ストールは、弁護士の妻エディと高校生の息子ジャック、幼い娘サラと
ともに穏やかな日々を送っていた。

そんなある日、トムの店が拳銃を持った強盗リーランドとビリーに襲われるが、
トムは驚くべき身のこなしで2人を撃退する。店の客や従業員の危機を救ったトムは
一夜にして地元のヒーローとなり、新聞やTVで報道される。

それから数日後、片目のえぐれたフィラデルフィア・マフィアのカール・フォガティが、
手下2人とダイナーに現われ、過去を知っているような口調でトムに親しげに話しかける。
フォガティは、トムの本名はジョーイ・キューザックで、フィラデルフィア・マフィアの
ボス、リッチー・キューザックの弟だと言う。トムはそれは完全な人違いでありマフィア
とは面識がないと否定するが、フォガティはそれを受け入れず執拗に一家につきまとう。

神経質になるトムのイラつきを感じ取った家族はぎくしゃくし始める。
そんなある日、息子ジャックは自分に絡み続けていた不良たちに衝動的に暴力をふるい
停学となる。トムは息子に「暴力で事を解決するな」と言うが、
息子はダイナーでの事件を言い返し、家を出て行く。

フォガティらは息子を捕らえ、トムに自分をジョーイと認めフィラデルフィアに
同行するよう脅す。その時、トム・ストールはジョーイ・キューザックに豹変し、
手下2人を簡単に殺すが傷を負いフォガティに殺されかかる。
しかし、その背後から息子はフォガティを撃ちトムを助ける。

運び込まれた病院で、トムは妻に過去はジョーイであった事と、
しかし過去を捨てトムとして生き直してきた事を告白するが受け入れられず、
妻や息子らとの関係は破綻する。

そしてある夜、兄リッチーからの電話を受けたトムはジョーイとなり、
全てに決着をつけるべく遠路フィラデルフィアに向かう。
リッチーはジョーイを殺して示しをつけようとするすが、
逆にジョーイはリッチーらを皆殺しにする。ジョーイとしての過去を清算し、
困憊しきって家に帰ったトムを息子や娘は父として受け入れる。
そして妻は伏せた顔をあげ、夫を見た。







「デッドゾーン」
「ザ・フライ」
「オーシャン・オブ・ファイヤー」
「イースタン・プロミス」
「コズモポリス」


stainbeck at 10:00|PermalinkComments(0) アメリカ ハリウッド映画 | カナダ映画

2018年12月11日

LES FILLES DU BOTANISTE(監督・脚本:ダイ・シージエ、主演:ミレーヌ・ジャンパノイ、リー・シャオラン)








1976年の唐山大地震によって両親を亡くし、孤児院で育ったリー・ミンは、
植物学者のチェン教授のもとに実習生として赴く。
そこは湖に浮かぶ小島にある植物園で、濃い緑が生い茂り、鳥の鳴き声が響き渡っていた。

10才で母を亡くし、厳格な父と二人で暮らしてきた教授の娘アンはミンを暖かく迎える。
ある日、ミンとアンは教授の心臓病に効く薬草を採るために、
ワン先生の寺を訪れた。夜になってミンが温室に近づくと薬草を蒸した上にまどろむ
アンの裸体を目にする。いつしか二人は温室で甘いひとときを過ごす関係になっていった。

そんな時、軍人であるアンの兄、タンが島に戻ってくる。
教授は息子にミンを嫁にもらうよう勧め、
すっかりその気になったタンは、プロポーズの手紙をアンに読み聞かせる。
しかし、強引な兄に怒ったアンは家を飛び出し、ワン先生の寺で一晩中泣き明かすのだった。
翌日、ミンが迎えに来てアンに言う。「あなた以外は誰も愛さない」。
二人は願いをこめた108羽のハトを大空へと放つ。アンは、単身赴任する兄と結婚すれば
お互い一緒に暮らせるだろうと提案、ミンはタンとの結婚に同意する。

婚礼の二ヶ月後、チベットにいるタンから父親宛の手紙が届く。
結婚の交渉がいまだないと知った父はミンをせき立てるが、アンとミンは夜になると
温室で薬草を蒸して癒しあい、次第に教授と距離を置くようになっていった。

ある晩、教授が薬を飲もうとアンを呼び、その姿を追うと裸で戯れる二人を目撃する。
ミンに手を上げた教授は、アンに殴り返されて倒れ込んでしまう。
打ち所が悪く、教授はそのまま帰らぬ人となるが、
その直前、ミンとアンが同性愛者であると警察に告げていた。

二人は人民裁判所に連行され、極刑を言い渡される──。








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2018年12月10日

ボンボン








フアン・ビジェガスはついてない男だった。
パタゴニアの寂れた道路沿いのガソリンスタンドで二十年も働いてきたが、
ある日突然、ガソリンスタンドが売却され、オーナーが変わると
あっけなくクビにされてしまったのだった。

少しでも金を稼ごうと、趣味が高じた手彫りの柄のナイフを作って商売するが、
さっぱり売れない。たいした技術も、財産もない初老の男に世間の風は冷たかった。
フアンは住まいも無くし、娘夫婦の家に身を寄せたが、
娘も自分の生活で精一杯で、フアンは厄介物でしかなかった。

そんなある日、道ばたで車が立ち往生して困っている女性を助け、
家まで送り届けてやると、そのお礼に大きな白い犬をもらうことになった。
その犬はドゴアルヘンティーノという血統書付きの素晴らしいもので、
犬は心の友にもなるからと半ば強引に押しつけられてしまったのだ。

フアンにはお金の方がありがたかったし、自分の食い扶持すらないのに、
と思うのだが、やはり断ることは出来なかった。彼女の家はとても立派だが、
男手もなくこれからの生計を母娘だけでたてて行くには不安そうに見えた。

フアンは仕方なくその犬・ボンボンを助手席に乗せて家路につくが、
不思議と少し心が温かくなった。ボンボンも心なしか嬉しそうに見える。
しかし家に着くと大ブーイングが待っていた。
居づらい家がいよいよ居づらくなってしまった。
だがその一方で、少しずつフアンの運命は好転し始めるのだった──。








stainbeck at 10:00|PermalinkComments(0) 北欧、その他の国の映画 | 南アメリカの映画

2018年12月09日

DOGVILLE(監督・脚本:ラース・フォン・トリアー、主演:ニコール・キッドマン)








ロッキー山脈の麓にある孤立した村、ドッグヴィル。村人は23人。

そこにひとりの訳ありの美しい女性、グレースがやってくる。
銃声があった。グレースは、ギャングに追われているらしかった。
警察もいない孤立した村、ドッグヴィルではこの来訪者をどう対応すればいいか困り果てた。
自称作家の青年トム(ポール・ベタニー)は、村人たちに彼女をかくまうことを提案。
グレースはトムのさらなる提案に従い、無償で村の為に働くことになった。
村人たちは、2週間のその彼女の働きぶりで今後を判断することに決めた。

──土いじりとは縁のないグレースの美しい手で、野生のグーズベリーの株が
  いくつか抜かれてしまったが、雑草とりが上達すると共に、人々の態度もほぐれていった。

「グレース、それじゃ、子供の世話をお願い」
「ええ、任せて」

「ここでなにしてる?、うちはあんたの手は借りんと言っただろ」
「母さんが、アキレスの子守を頼んだんだよ」
「お前たちはもう寝ろ」
「つくづくバカな女房だ、ガキに神話の名前なんかつけやがって──まだ騙されてんのか?」
「わたしは誰も騙してないわ」
「そうじゃねーよ、村があんたを騙している」
「わたしが村の人を騙しているのかと思ったわ」
「だったらまだ良かった、この村は腐ってる、消えてなくなってくれればせいせいするぜ、
 だがあんたは、この町が気に入ったんだろ?、
 木々や山に素朴な住人たち、決定的なのがシナモンの香りだ、
 手作りのパイにシナモンの香り、都会の人間が夢見るすべてがここにある」
「決めつけないで、わたしの夢がなぜわかるの?、──あなたも都会から来たのね」
「大昔の話だが、どこにいようとも人間は同じだと思い知らされた」
「ジャックさんだからわたしを嫌ったのね、田舎に夢を求めた昔の自分を思い出させるから」
「もう帰りな、犬も俺もあんたが嫌いだ、女房と子供はどうかしちまったがな」


本音で村人に接していくグレース。徐々に閉鎖的な村人たちの心を開いていく。
2週間後、グレースは、ようやくに村の一員として認められた。

──春と夏の間、グレースは楽しい時を過ごした。マーサの時を知らせる鐘の音に合わせて、
  グレースは、盲目の老人、ジャック・マッケイの話し相手、
  ベンの母親、べラの友達、そしてビルのチェスの相手となった。
──元医者であるトムの父親には、日々新たな病気にかかったと思い込んでは、
  単純なテストをしてそれを証明しようとした、
  その度にどこも悪いところはないと断言してやるのがグレースの役目だった。
──グレースの美しく白かった手も徐々に荒れていき、
  ありふれた田舎の女の手と変わらなくなった。
──住人たちは、労働に見返りは当然だと考え、グレースに報酬を払うことにした。
  わずかな額だったが節約し、彼女はヘンソン一家の店で陶磁器の人形をひとつ買った。
  長い間店先に並べられ埃を被った7つの人形、
  彼女はいつか7つの人形全てを買える日を夢見た。  

「グレース、実はわたしすごく自分勝手な理由であなたが村に残ることに賛成したの」
「どんな?」
「あなたが来て、わたしほっとしてるの男たちがあなたに夢中でしょ?、
 ──トムや他の連中も、──わたしずっと追い回されてたから、もう疲れてたの」
「みんなあなたに夢中よ、──わかってるくせに、当然よ」

やがてジョージタウンから、村が設立されて以来、初めて警察がやって来た。
警察は見つけたら通報するよう言い、村の伝道所に手配書を貼って帰った。
これでグレース犯罪に関与している疑いが強まり、村人たちの態度は急変する。
村人たちはグレースをこれまでの仲のいい友人から小作人のように扱うようになってしまう。

「つまり、彼らが言うには、警察に黙っているということは犯罪を犯しているようだと」
「それでその見返りって?」
「彼らは、君にもっと働いてほしがってた、それでぼくが新しく提案したのは、
 その・・・・・、君がそれぞれの家へ日に2度行くことだ、
 そうすれば、それほど働く時間を増やさなくても君の誠意を見せることができるだろ?、
 ──みんなの不満も取り除けるし」
「でも、それってなんだか・・・・・、それでみんな満足するの?」
「・・・・・あと、ヘンソン夫人が君への報酬を減らしたいそうだ」
「それで?」
「たんなる象徴的な意思表示だよ、彼女は手配書の危険という文字におびえているんだ」
「働けと言うならわたしは喜んで働くわ、
 今までより長く働いて報酬が少なくなってもかまわない、なんだってするわ、
 ──ただそれで、わたしがこの村に残ることにみんなが納得してくれるの?」
「もちろんさ」
「これが最善の方法なのね」

──グレースの労働条件が変更されることを聞いた村の人々は、
  誰もが皆、一応口では反対した。
  「今まで以上の労働は断る」というベンの思いやる言葉にグレースは感謝した。
  例え、彼が酔ってそう言ったのだとしても。
  忙しい時間の積み重ねは、忙しい日々の積み重ねになっていった。
  だが、グレースの労働時間を増やしたことは、正しかったかはともかく、
  村の人々は少しも満足しているように見えなかった、むしろその逆だった。

「あの枝、残念だったわね、リンゴがたくさんなってたのに」 
「切っときゃ良かったんだが、つい欲が出た」
「・・・・・ね、なにを考えてたのジャック?、
 わたしはあなたにつらく接したわ、怒りを覚えて当然よ」
「密告しようとした、俺に敬意を払うよう脅そうとした」
「それほど怒ってたの?、そうなのね、
 あなたはずっと孤独だったのね、慰めてくれる相手もいなかった、
 ──なのにわたしったら、ごめんなさい」

──7月4日が来た。遠く離れた牧草地から飛んできた種が夕暮れの通りに降り注いでいた。
  今日は独立記念を祝う日だ。誰もがつらいことを忘れる日、
  グレースは満足げにジンジャーおばさんの店先を見た。
  小さな陶磁器の人形はあと二つだけとなっていた。この人形はまだ買えないでいたのだ。

「グレース、また果樹園を手伝ってくれないか、
 二時間ほどでいい、陽の光が注いで気持ちいいぞ」
「今日は独立記念日よ、
 でも陽の光なんてずいぶんロマンティックなこと言うようになったのね」

「グレース、君がこのドッグヴィルを変えた、ある人が見かけたそうだが、
 あの無愛想なジャックが、なんと笑顔で歩いているのを見かけたそうだ、
 君といることを誇りに思う、君が本音で接してくれたことに礼を言うよ、
 ──グレースに乾杯」
「乾杯」「乾杯」「乾杯」「乾杯」「乾杯」「乾杯」「乾杯!」
「グレース、いつまでもここにいてくれ」


独立記念日の祝いの席に、またも警察がやって来た。  
「わしも独立記念日を祝いたかったんだが手配書を張替えに来た、また同じ女だ、
 失踪の理由がわかった、強盗事件に関与しているらしい」

──突然吹き荒れる嵐に対し、崖の上に立つドッグヴィルになす術がないのと同じ、
  グレースにも身を守る術はなにもなかった。
  彼女はまるでエデンの園のリンゴと同じように今にも枝から落ちそうだった。
  そのリンゴにはもはや果汁など残ってはいない、
  警察が再び、ドッグヴィルにやって来たのだ。

「俺が伝えるから警察が来たと鐘を鳴らすなとマーサに言った、──だが忘れた」
「忘れた?」
「警察はもうそこに来てるぞ、少し話もした、逃げたって無駄だ、すぐに見つかる」
「なぜ逃げなきゃならないの」
「叫んでも無駄だ」
「なぜ叫ばなきゃならないの?」
「なぜ村に来た、あんたは村には美しすぎる、俺を惑わして味方につけたんだ、
 俺に敬意を払わないあんたが悪い」
「尊敬してるわ」
「敬意を払え」
「ねえ、やめて話をしましょ、友達でしょ」

りんご農園を経営するジャック(ステラン・スカルスゲールド)は、彼女をレイプする。
そのことを知ったトムは村からグレースを逃がそうと決意し、トラック運転手のベンに
協力を頼む。しかしベンは逃亡のさなか、逃亡のためにグレースが用意した金を
受け取った後、これでは足りないと言い出し、グレースに体の関係を迫る。
この村ともこれで最後とあきらめの境地にて受け入れたグレース──だが、ベンは裏切った。
ベンの運転するトラックは、ジョージタウンに向かわず、ドッグヴィルへ戻った。


グレースは、トムが用意したはずのトムの父の10ドルを盗んだと容疑をかけられた。
これによりグレースは、村人たちに逃亡防止用の重し付の鎖を足にはめられる。
ドッグヴィルの人々の態度も変わった。盲目の老人、ジャック・マッケイの
話し相手の時間も、彼はグレースの太腿をさわるようになった。
さらには鎖をはめたまま連日の労働を課せられ、夜には、村の男性たちに弄ばれるグレース。
ついには彼女を愛していたトムまでも彼女との性欲的な関係を望むが、
グレースが断ったため、傷ついたトムはギャングに連絡してしまう。

やってきたギャングのボスは、なんとグレースの父親だった。
グレースは父親と話し、自分が家に帰る代わりにドッグヴィルを消滅するよう要望する。
ギャングの部下たちは村に火を放ち、村人たちを次々と射殺した。
そしてグレース自身もまた、自らの手でトムを射殺するのだった。







「キングダム」
「奇跡の海」
「キングダム供
「ダンサー・イン・ザ・ダーク」
「DEAR WENDY ディア・ウェンディ」
「マンダレイ」
「アンチクライスト」
「ニンフォマニアック」


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2018年12月08日

大いなる休暇








カナダ・ケベック州の小さな島、サントマリ・ラモデルヌ島はかつて漁業に栄え、
活気に溢れていた。しかしその繁栄も虚しく、
いまやほとんどの島民はわずかな失業手当に頼る生活を余儀なくされている。

ある日、この島に大規模なプラスチック工場誘致の話が持ち上がる。
狂喜乱舞する島の人々。これで、みんながまた仕事に就ける!
しかし、工場建設には1つ重大な条件が。それは「島に定住する医師がいること」。
慌てふためく島民たち。そう、サントマリ島には医者がいないのだった。
島民たちはもう4年以上、医者に会ったことがない。困り果てたその時、
本土に行ってしまった元町長の協力で、一人の若き青年医師、
クリストファー・ルイスが島にやって来ることになった。
これぞ絶好のチャンス! 
なんとかしてドクター・ルイスに島への定住を決意させなくては。


そのためにはサントマリ島がいかに素晴らしく、
理想の島だということをアピールしなければならない。
なんとかルイスに島を気に入ってもらおうと、町長のジェルマンを筆頭に
アンリやイヴォンら島民たちは頭をひねり一致団結。
いよいよ愛する島を救うための、ウソで塗り固めた大芝居が始まる。

少しでもルイスに気に入られようと、彼の好きなことを調べ上げて、
こっそり先回りしてそれを実行するジェルマンたちは大忙し。
ルイスがクリケットファンと知れば、ルールさえ知らぬ島民たちが真っ白な
ユニフォームで登場し、チームを結成。筋金入りのクリケット好きを装う。
また今にも倒壊しそうな老朽小屋を、国の重要指定文化財に仕立て上げる。
時にはルイスの電話を盗み聞きし、好物や趣味など“ ルイス情報 ”を入手。
「大きな魚が釣り上げてみたい!」と聞けば、
ルイスの釣り竿に冷凍の大魚を掛けて喜ばせたり。


気さくで楽しい島の人々に囲まれて、次第に島に馴染んでいくルイス。
そして一人の美しい女性との出会い。なんとかルイスを引きとどめようと、
不器用ながらも必死に奔走する島民たち。
だが、涙ぐましいウソの数々がやがて、ルイスの知るところとなる──。








stainbeck at 10:00|PermalinkComments(0) カナダ映画